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第二部第二章〈夏休み編〉act.15
-夏祭りー
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〈夏祭り〉
「……はぁ……終わった。
後は掃除道具を片づけて…っと」
その日のライブが終わり、ホールに出て
清掃を終わらした翔は道具を片付けようと
スタッフルームに向かおうとした。
「終わったのか?」
「あれ、隆二さん。帰ったんじゃ?」
後ろから声を掛けて来た隆二に驚きながら
振り返り返事をする翔。
隆二の後ろには玲子と雪乃の姿があった。
隆二の後ろでニコニコと笑っている玲子は
雪乃の腕を組みながら言って来た。
「翔くんが終わるのを待ってたのよ。
雪乃ちゃんと一緒に…」
雪乃は玲子に腕を組まれやはりまだ
緊張しているのかちょっと硬い表情で
申し訳なさそうに言って来た。
「…すみません翔さん。
あたし。片づけを手伝おうと
思ったんですけど…玲子さんに
楽屋へ呼ばれて…」
翔は緊張気味の雪乃を微笑ましく
思いながら顔を見て返事をする。
「ああ。別にそれはいいんだけど。
ところで隆二さん?
なにか用事があるんでしょう?」
そして、隆二の方に視線を移し
恐る恐る聞いてみた。
翔の今までの経験上、自分のバイト後
すぐに隆二と玲子がそろって声を
掛けて来る時はロクなことがなかった。
まして、雪乃を巻き込んでいる時は
だいたい玲子絡みの問題が多いのだが、
翔はあえて玲子ではなく隆二に
確認するように聞いてみたのであった。
「ははは、わかるか?
じつはな、明日も件でな」
少しげんなりとした表情で用件を聞いて
くる翔に笑いながら話かける隆二。
しかし、『明日の件』と聞いても
翔には思い当たる用事や約束が無く、
頭の中には疑問符が浮かび上がっていた。
「明日? ですか?」
「翔くん。
もしかして明日何あるか知らないとか?」
翔が不思議そうな顔をしているのを見た
玲子は雪乃の腕を離し、翔の前にグイッと
身を乗り出して下から顔を見上げるように
聞いてくる。
「明日…ですか?なにかありましたっけ?」
玲子の顔が急に近づき少し引き気味に
なりながら答える翔。
玲子はその場で振り返り隆二と雪乃に
自慢そうに答えていた。
「ほら。 やっぱり知らなかった」
「翔さん、本当に知らないんですか?」
雪乃は口元に手を当てて、信じられない
という表情で翔の顔を見て聞いてくる。
「………知らない。
雪乃…明日何かあるのか?」
『明日』と聞いてもなにも思い出さず
反応を示さない翔に驚く玲子と雪乃
であった。
隆二は半ば呆れながら説明をしてきた。
「………お前なあ。
明日、九頭竜神社の夏祭りだろうが?」
「……夏祭り…ですか?」
隆二に『夏祭り』と言われても翔には
隆二達の言わんとしている事が
理解できずにいた。
(…………………。
そう言えばそんなのあったような?
しかし、だからなんなんだ?)
ここまで説明しても腕を組んで
首を傾げる翔に隆二は違和感を覚え、
彼にとってありえない質問を
ぶつけてみた。
「………翔。まさかお前?
祭りに行ったことが無いとか?」
「…………………。
…………ないです…ね…」
翔は隆二の質問を受け、
少し考えそして素直に答えた。
「「「えっ?」」」
祭りに行った記憶が無い翔に
驚きの声をあげる三人。
翔は昔を思い出すように話し続ける。
「凄く小さい子供の頃ならあったかも
知れませんが…
大きくなってからは、ありませんね…」
翔の告白を受け驚きの声を上げる
隆二であった。
「マジかよ? 沖縄に行く前は?
沖縄でもないのか?」
隆二はまるでUMAでも見るような目で
翔を見て再度、確認するように聞いてきた。
翔は自分の顎に手を当てて
もう一度考えてみる。
(……………………。
あの頃は、人が集まるイベントは
避けてたもんな。
沖縄には祭りって無いし………)
しばらく考えた後、手を下ろし隆二の顔を
見て答える翔であった。
「無いですね。
基本的に人が集まる所って
嫌いでしたから…。
沖縄時代はそれどころじゃなかったって
いうか…沖縄で祭りって
あまり聞かなかったような?」
祭りに対する意欲がまったく感じられない
翔に隆二は翔の両肩を掴み
真剣な表情で強引に誘ってきた。
「翔お前。明日付き合え!」
「へっ?」
「良い機会だ。
俺が祭りって奴を教え込んでやる!」
「………はい」
隆二の有無を言わさぬ迫力に押され
頷く翔であった。
「翔さん。
あたしも一緒に行きたいです」
雪乃は翔の腕を引っ張りながら
気持ちを伝えてきた。
その後ろから玲子がすかさず
フォローを入れてくる。
「今さっき、雪乃ちゃんを誘ったのよ。
もちろん、翔くんも誘うつもりだった
けど…みんなで行こうと思って…」
「わかりました。行きますよ」
翔は微笑んで玲子に答える。
「よし、明日行くぞ!」
隆二は安心したように
みんなの顔を見渡しながら声を掛ける。
雪乃は翔の腕を掴んだまま優しい表情で
言って来た。
「明日あたしが迎えに行きますね?」
(なんだか良くわからんが、とにかく
みんなでお祭りってやつに行くって
事なんだろうな。……まあ、いいか?)
なぜだか他の四人に同情的に扱われて
いる感じがする翔であった。
。
。
。
ガチャ
「翔。じゃまするぞ!」
「………ぅが…」
「おじゃましま~す~」
次の日の昼過ぎ。
夏祭り行くために身支度をしている
翔の部屋を訪ねてきたのは隆二と石田、
そして伸の三人だった。
一応声は掛けてはいるものの扉を開けて
から声を掛けて自分の部屋のように
遠慮なく入って来る隆二だった。
大きいからだで言葉少なく部屋に入って
来る石田と明るく手を振りながら
はしゃいで入って来る伸も後に続く。
「あれ?隆二さんと石田さん。
それに伸まで?
どうしたんですか?
雪乃が来たら、そっちに行こうと
思ってたんですが…」
迎えに来る事になっている雪乃を
待っていた翔であったが突然部屋に
訪れてきた隆二達に驚いて不思議そう
にたずねた。
「いや…。俺も着替え終わったんだが
玲子に追い出された」
隆二は手振りで『しかない』と
いう感じで手を上げて翔に答え
ガラステーブルの前にドカッと座る。
その斜め前に石田が静かに座る。
そして伸は…。
「伸!お前!!」
翔に声を掛けられ冷蔵庫の前で
ビクッとして顔を向ける伸。
その口にはソーセージが咥えられていた。
伸は冷蔵庫の中を漁っていた。
「あはは。ボクチン腹減っちゃって…」
「俺の朝飯用のソーセージ…
しかも、生で食うか?」
翔は台所の入り口に立ち自分の額に
手を当てて呆れるように言った。
伸はそのままの状態で固まっていた。
「伸。スグに同じ物…買って来いよな?
それで許してやる。
買ってこなかったら…軽くシメるから…」
翔はニッコリと笑いながら親指を立てた手を
自分の首に当てて横に切った。
伸は引き攣りながらコクコクと首を
縦に振って答えた。
翔の後ろで隆二たちが
声を殺して笑っていた。
「ったく伸のやつは…」
翔がブツブツ言いながら隆二たちの前に
座ると伸は台所から出てきて
そのまま玄関に向かって行った。
「伸。 コンビニに行くなら
なんか飲み物買って来い!」
隆二は伸に向かって
声を掛け自分の札入れを投げ渡した。
伸はそれを上手に受け取り
ダッシュで玄関を出て行った。
・
・
・
「で、隆二さん。追い出されたって…
どうしたんですか?」
翔は改めて隆二に確認するように聞いた。
「いや、男共は邪魔だって…
玲子達に追い出されただけだから…」
隆二は歯切れの悪い答えを
翔に返してきた。
「………?」
翔が不思議そうに顔を傾げていると
隆二は笑いながら言ってきた。
「まあ気にするなって…
後でわかるから…」
「でも、隆二さん…」
翔が何か聞き直そうとした時扉が開いた。
ガチャ
「りゅ、隆二さん!
買ってきましたぁ~!!」
そこからコンビニ袋を両手に持った伸が
飛び込んできた。
「伸!早くね!?」
翔が振り返り叫ぶ。
伸はハァハァと息を切らしながら
部屋に入ってきてテーブルの上に
袋を置いた。
「ハァハァ…。
イ、イベントに間に合うように…ハァ
走ったよ…ボクチン…ハァ」
「イベント?」
翔が不思議そうに伸の顔を見て呟く。
伸はその場に座り込み話を続けようと
口を開いた。
「やっぱり…ハァ…
一緒に見た…ガァッ!!」
伸の顔面に缶ビールが炸裂し
伸はそのまま後ろに倒れていく。
「伸。黙れ!」
翔が驚いて振り返ると投げたままの
格好で怒っている隆二がいた。
「…………」
(りゅ、隆二さんが…怒っている。
ここは黙って従うしかないな…)
翔は引き攣りながら隆二の顔を見てから、
倒れている伸をチラリと見た。
伸はピクピクと体を痙攣させ
そのまま気絶していた。
「翔。とにかく飲め!」
隆二は袋からノンアルコールビールを
取り出し翔の前に置いた。
「…………」
コクコク
翔は黙って頷きそのノンアルを手に取った。
それと同時に隆二と石田も袋から
ビールを取り出し飲みだす。
翔もそれに続いてノンアルを飲みだした。
「…………」
(隆二さん…なにを隠してるんだ?
今は石田さんとバンドの話を
してるみたいだけど…)
翔は黙ってノンアルを飲みながら隆二達を
見ていた。
翔の見ている限りでは隆二の顔には
さっきまでの険しい表情が消えて
楽しそうに石田と語らっているように
見えていた。
(よっぽど何か隠していたいんだな?
まぁ…気になるって言えば
気になるけど…いいか)
翔はそんな事を考えながら手にしている
ノンアルを一気に飲み干したのであった。
・
・
・
「……はぁ……終わった。
後は掃除道具を片づけて…っと」
その日のライブが終わり、ホールに出て
清掃を終わらした翔は道具を片付けようと
スタッフルームに向かおうとした。
「終わったのか?」
「あれ、隆二さん。帰ったんじゃ?」
後ろから声を掛けて来た隆二に驚きながら
振り返り返事をする翔。
隆二の後ろには玲子と雪乃の姿があった。
隆二の後ろでニコニコと笑っている玲子は
雪乃の腕を組みながら言って来た。
「翔くんが終わるのを待ってたのよ。
雪乃ちゃんと一緒に…」
雪乃は玲子に腕を組まれやはりまだ
緊張しているのかちょっと硬い表情で
申し訳なさそうに言って来た。
「…すみません翔さん。
あたし。片づけを手伝おうと
思ったんですけど…玲子さんに
楽屋へ呼ばれて…」
翔は緊張気味の雪乃を微笑ましく
思いながら顔を見て返事をする。
「ああ。別にそれはいいんだけど。
ところで隆二さん?
なにか用事があるんでしょう?」
そして、隆二の方に視線を移し
恐る恐る聞いてみた。
翔の今までの経験上、自分のバイト後
すぐに隆二と玲子がそろって声を
掛けて来る時はロクなことがなかった。
まして、雪乃を巻き込んでいる時は
だいたい玲子絡みの問題が多いのだが、
翔はあえて玲子ではなく隆二に
確認するように聞いてみたのであった。
「ははは、わかるか?
じつはな、明日も件でな」
少しげんなりとした表情で用件を聞いて
くる翔に笑いながら話かける隆二。
しかし、『明日の件』と聞いても
翔には思い当たる用事や約束が無く、
頭の中には疑問符が浮かび上がっていた。
「明日? ですか?」
「翔くん。
もしかして明日何あるか知らないとか?」
翔が不思議そうな顔をしているのを見た
玲子は雪乃の腕を離し、翔の前にグイッと
身を乗り出して下から顔を見上げるように
聞いてくる。
「明日…ですか?なにかありましたっけ?」
玲子の顔が急に近づき少し引き気味に
なりながら答える翔。
玲子はその場で振り返り隆二と雪乃に
自慢そうに答えていた。
「ほら。 やっぱり知らなかった」
「翔さん、本当に知らないんですか?」
雪乃は口元に手を当てて、信じられない
という表情で翔の顔を見て聞いてくる。
「………知らない。
雪乃…明日何かあるのか?」
『明日』と聞いてもなにも思い出さず
反応を示さない翔に驚く玲子と雪乃
であった。
隆二は半ば呆れながら説明をしてきた。
「………お前なあ。
明日、九頭竜神社の夏祭りだろうが?」
「……夏祭り…ですか?」
隆二に『夏祭り』と言われても翔には
隆二達の言わんとしている事が
理解できずにいた。
(…………………。
そう言えばそんなのあったような?
しかし、だからなんなんだ?)
ここまで説明しても腕を組んで
首を傾げる翔に隆二は違和感を覚え、
彼にとってありえない質問を
ぶつけてみた。
「………翔。まさかお前?
祭りに行ったことが無いとか?」
「…………………。
…………ないです…ね…」
翔は隆二の質問を受け、
少し考えそして素直に答えた。
「「「えっ?」」」
祭りに行った記憶が無い翔に
驚きの声をあげる三人。
翔は昔を思い出すように話し続ける。
「凄く小さい子供の頃ならあったかも
知れませんが…
大きくなってからは、ありませんね…」
翔の告白を受け驚きの声を上げる
隆二であった。
「マジかよ? 沖縄に行く前は?
沖縄でもないのか?」
隆二はまるでUMAでも見るような目で
翔を見て再度、確認するように聞いてきた。
翔は自分の顎に手を当てて
もう一度考えてみる。
(……………………。
あの頃は、人が集まるイベントは
避けてたもんな。
沖縄には祭りって無いし………)
しばらく考えた後、手を下ろし隆二の顔を
見て答える翔であった。
「無いですね。
基本的に人が集まる所って
嫌いでしたから…。
沖縄時代はそれどころじゃなかったって
いうか…沖縄で祭りって
あまり聞かなかったような?」
祭りに対する意欲がまったく感じられない
翔に隆二は翔の両肩を掴み
真剣な表情で強引に誘ってきた。
「翔お前。明日付き合え!」
「へっ?」
「良い機会だ。
俺が祭りって奴を教え込んでやる!」
「………はい」
隆二の有無を言わさぬ迫力に押され
頷く翔であった。
「翔さん。
あたしも一緒に行きたいです」
雪乃は翔の腕を引っ張りながら
気持ちを伝えてきた。
その後ろから玲子がすかさず
フォローを入れてくる。
「今さっき、雪乃ちゃんを誘ったのよ。
もちろん、翔くんも誘うつもりだった
けど…みんなで行こうと思って…」
「わかりました。行きますよ」
翔は微笑んで玲子に答える。
「よし、明日行くぞ!」
隆二は安心したように
みんなの顔を見渡しながら声を掛ける。
雪乃は翔の腕を掴んだまま優しい表情で
言って来た。
「明日あたしが迎えに行きますね?」
(なんだか良くわからんが、とにかく
みんなでお祭りってやつに行くって
事なんだろうな。……まあ、いいか?)
なぜだか他の四人に同情的に扱われて
いる感じがする翔であった。
。
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ガチャ
「翔。じゃまするぞ!」
「………ぅが…」
「おじゃましま~す~」
次の日の昼過ぎ。
夏祭り行くために身支度をしている
翔の部屋を訪ねてきたのは隆二と石田、
そして伸の三人だった。
一応声は掛けてはいるものの扉を開けて
から声を掛けて自分の部屋のように
遠慮なく入って来る隆二だった。
大きいからだで言葉少なく部屋に入って
来る石田と明るく手を振りながら
はしゃいで入って来る伸も後に続く。
「あれ?隆二さんと石田さん。
それに伸まで?
どうしたんですか?
雪乃が来たら、そっちに行こうと
思ってたんですが…」
迎えに来る事になっている雪乃を
待っていた翔であったが突然部屋に
訪れてきた隆二達に驚いて不思議そう
にたずねた。
「いや…。俺も着替え終わったんだが
玲子に追い出された」
隆二は手振りで『しかない』と
いう感じで手を上げて翔に答え
ガラステーブルの前にドカッと座る。
その斜め前に石田が静かに座る。
そして伸は…。
「伸!お前!!」
翔に声を掛けられ冷蔵庫の前で
ビクッとして顔を向ける伸。
その口にはソーセージが咥えられていた。
伸は冷蔵庫の中を漁っていた。
「あはは。ボクチン腹減っちゃって…」
「俺の朝飯用のソーセージ…
しかも、生で食うか?」
翔は台所の入り口に立ち自分の額に
手を当てて呆れるように言った。
伸はそのままの状態で固まっていた。
「伸。スグに同じ物…買って来いよな?
それで許してやる。
買ってこなかったら…軽くシメるから…」
翔はニッコリと笑いながら親指を立てた手を
自分の首に当てて横に切った。
伸は引き攣りながらコクコクと首を
縦に振って答えた。
翔の後ろで隆二たちが
声を殺して笑っていた。
「ったく伸のやつは…」
翔がブツブツ言いながら隆二たちの前に
座ると伸は台所から出てきて
そのまま玄関に向かって行った。
「伸。 コンビニに行くなら
なんか飲み物買って来い!」
隆二は伸に向かって
声を掛け自分の札入れを投げ渡した。
伸はそれを上手に受け取り
ダッシュで玄関を出て行った。
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「で、隆二さん。追い出されたって…
どうしたんですか?」
翔は改めて隆二に確認するように聞いた。
「いや、男共は邪魔だって…
玲子達に追い出されただけだから…」
隆二は歯切れの悪い答えを
翔に返してきた。
「………?」
翔が不思議そうに顔を傾げていると
隆二は笑いながら言ってきた。
「まあ気にするなって…
後でわかるから…」
「でも、隆二さん…」
翔が何か聞き直そうとした時扉が開いた。
ガチャ
「りゅ、隆二さん!
買ってきましたぁ~!!」
そこからコンビニ袋を両手に持った伸が
飛び込んできた。
「伸!早くね!?」
翔が振り返り叫ぶ。
伸はハァハァと息を切らしながら
部屋に入ってきてテーブルの上に
袋を置いた。
「ハァハァ…。
イ、イベントに間に合うように…ハァ
走ったよ…ボクチン…ハァ」
「イベント?」
翔が不思議そうに伸の顔を見て呟く。
伸はその場に座り込み話を続けようと
口を開いた。
「やっぱり…ハァ…
一緒に見た…ガァッ!!」
伸の顔面に缶ビールが炸裂し
伸はそのまま後ろに倒れていく。
「伸。黙れ!」
翔が驚いて振り返ると投げたままの
格好で怒っている隆二がいた。
「…………」
(りゅ、隆二さんが…怒っている。
ここは黙って従うしかないな…)
翔は引き攣りながら隆二の顔を見てから、
倒れている伸をチラリと見た。
伸はピクピクと体を痙攣させ
そのまま気絶していた。
「翔。とにかく飲め!」
隆二は袋からノンアルコールビールを
取り出し翔の前に置いた。
「…………」
コクコク
翔は黙って頷きそのノンアルを手に取った。
それと同時に隆二と石田も袋から
ビールを取り出し飲みだす。
翔もそれに続いてノンアルを飲みだした。
「…………」
(隆二さん…なにを隠してるんだ?
今は石田さんとバンドの話を
してるみたいだけど…)
翔は黙ってノンアルを飲みながら隆二達を
見ていた。
翔の見ている限りでは隆二の顔には
さっきまでの険しい表情が消えて
楽しそうに石田と語らっているように
見えていた。
(よっぽど何か隠していたいんだな?
まぁ…気になるって言えば
気になるけど…いいか)
翔はそんな事を考えながら手にしている
ノンアルを一気に飲み干したのであった。
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