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18話 現状と現場
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手駒は揃ってきたここで、ちょっと現状の再確認でもしましょうか。
クロイツェル・アン・ラスアィン
私のお見合い相手に来た没落貴族。
ちょっと見目がいいだけの優男なんだけど、私のプロジェクト“かぐや姫”の目的を的確に見抜いた知恵者だ。ちょっとキザでいけ好かないけど。
ダウンゼン・ドーン
下町で反乱計画をもくろむガテン系アニキ。
貴族に反発を持っているようで、その統率力から人望も厚い。あと胸板も。うぅん、あの胸板は反則よ。
ただその裏にガーヒルが暗躍しているようで、その繋がりは重要な位置づけにある。
ソフィア・アノマニスム(という姓だと後で知った)。
ガーヒルの婚約者。私から結婚相手を奪った相手なんだけど……なんというか被害者感が凄い。けど盲目的な恋に生きる乙女という感じで、なんとも哀れ。あんな男に惚れなさんな。
最初はこの子も、あるいは主犯格として私殺しに関わっていたと思うけど、たぶんないわね。これで実は、みたいな展開はミステリーでありそうだけど、それだったらアカデミー賞ものの演技力よ。
そして今パパ。
正直、状況は苦しいらしい。どれくらい厳しいか、それはさすがに家に情報は持ち帰らないから不明だけど、王宮に出仕して帰宅する今パパの憔悴と苛立ちを見れば大体のことは分かる。
ふむ。ここら辺の情報がもっと入るようにしたいけど、なかなか難しいわね。今パパもさすがにそこはわきまえてるだろうし、どこか王宮にいる人間との繋がりが必要かも。
とりあえず自分が使えそうな駒はそんな感じ。アーニィもいるけど、これは手駒というより護衛でしか使えないからね。
そして敵。
ガーヒル……なんだっけ? ま、いいわ。
とにかく私を殺そうとした……いえ、殺した相手。敵。
だから情けは要らない。前パパも言ってた。敵対するなら徹底的に潰しなさい、と。だから潰す。
かといって目には目を歯には歯を、みたいなことはしないわよ。別にあいつを殺しても一銭の特にもならないわけだし。だからせいぜい無様に踊って絶望にもだえ苦しみ破産して世間的に破滅するくらいのことしか願ってないわ。本当よ?
そのガーヒルだけど、あのパーティ以降の動きが鈍い。いえ、ダウンゼンらを使って反乱を起こさせようとかしてるらしいけど、表立った動きはない。
それがどこか不気味。考えすぎかもだけど。
それより1つ疑問として残るのが、あの男がなぜ彼女を結婚相手に選んだのかということ。
今パパと私を切り捨てた。そこは分かる。
だって私たちを断罪することで権力を握る大義名分、正統性を得た。さらに私たちを見限った貴族どもを吸収して一大勢力になり上がることもできた。
そこまでは理解できる。
けどなんでソフィーを?
正直言って、ソフィーの家は没落一歩手前。あのクロイツェルと同じで、貴族の中でも末の末というもので、あの男にとってはなんらメリットがない。
こういう時は、大貴族の令嬢と婚姻して更なる権力基盤の拡充を目指すのが普通のはず。
なのになんでソフィー?
あるいは本気で彼女に惚れた。
――なんてことは1ミリたりとも思ってない。
だってあのガーヒルとかいう男。いや、正直あのパーティで会って直接話をしたわけじゃないから全然知らないけど。
それでもそんな惚れた女性に一途みたいなことはまったく信じられない。
なんでって?
そりゃ当然。そんな人間が、自分のために婚約破棄させて、都合が悪いからと暗殺させようとする? しないでしょ。
そんなのがいたら、とんだサイコパスよ。
だからあの男がソフィーを選んだのは何か理由があってのこと。
そしてそれをソフィー側は望んだかどうかはわからないということ。
あの子。ぽーっとしてるから、簡単に悪い男に引っかかりそうだもの。
ま、そこらへんはおいおいでいいわ。問題はソフィーのこと以外にいっぱいあるし。
とにかく今は宮中の動きを掴むこと。
相手の動きが見えないなら、それを見えるようにすればいい。それだけのこと。
けどどうやって宮中に潜り込もうか。
そう考えていた時だ。
「騒がしいわね」
家の外で何やら言い争いをしている声が聞こえる。
ここは一応、貴族たちのいる風流で雅なエリア。喧騒なんてものは彼らの気質に合わないし、なんとも不自然な感じもする。
だからその時私は知らなかった。
見えない敵の動き。それが実は始まっていたのだと。
クロイツェル・アン・ラスアィン
私のお見合い相手に来た没落貴族。
ちょっと見目がいいだけの優男なんだけど、私のプロジェクト“かぐや姫”の目的を的確に見抜いた知恵者だ。ちょっとキザでいけ好かないけど。
ダウンゼン・ドーン
下町で反乱計画をもくろむガテン系アニキ。
貴族に反発を持っているようで、その統率力から人望も厚い。あと胸板も。うぅん、あの胸板は反則よ。
ただその裏にガーヒルが暗躍しているようで、その繋がりは重要な位置づけにある。
ソフィア・アノマニスム(という姓だと後で知った)。
ガーヒルの婚約者。私から結婚相手を奪った相手なんだけど……なんというか被害者感が凄い。けど盲目的な恋に生きる乙女という感じで、なんとも哀れ。あんな男に惚れなさんな。
最初はこの子も、あるいは主犯格として私殺しに関わっていたと思うけど、たぶんないわね。これで実は、みたいな展開はミステリーでありそうだけど、それだったらアカデミー賞ものの演技力よ。
そして今パパ。
正直、状況は苦しいらしい。どれくらい厳しいか、それはさすがに家に情報は持ち帰らないから不明だけど、王宮に出仕して帰宅する今パパの憔悴と苛立ちを見れば大体のことは分かる。
ふむ。ここら辺の情報がもっと入るようにしたいけど、なかなか難しいわね。今パパもさすがにそこはわきまえてるだろうし、どこか王宮にいる人間との繋がりが必要かも。
とりあえず自分が使えそうな駒はそんな感じ。アーニィもいるけど、これは手駒というより護衛でしか使えないからね。
そして敵。
ガーヒル……なんだっけ? ま、いいわ。
とにかく私を殺そうとした……いえ、殺した相手。敵。
だから情けは要らない。前パパも言ってた。敵対するなら徹底的に潰しなさい、と。だから潰す。
かといって目には目を歯には歯を、みたいなことはしないわよ。別にあいつを殺しても一銭の特にもならないわけだし。だからせいぜい無様に踊って絶望にもだえ苦しみ破産して世間的に破滅するくらいのことしか願ってないわ。本当よ?
そのガーヒルだけど、あのパーティ以降の動きが鈍い。いえ、ダウンゼンらを使って反乱を起こさせようとかしてるらしいけど、表立った動きはない。
それがどこか不気味。考えすぎかもだけど。
それより1つ疑問として残るのが、あの男がなぜ彼女を結婚相手に選んだのかということ。
今パパと私を切り捨てた。そこは分かる。
だって私たちを断罪することで権力を握る大義名分、正統性を得た。さらに私たちを見限った貴族どもを吸収して一大勢力になり上がることもできた。
そこまでは理解できる。
けどなんでソフィーを?
正直言って、ソフィーの家は没落一歩手前。あのクロイツェルと同じで、貴族の中でも末の末というもので、あの男にとってはなんらメリットがない。
こういう時は、大貴族の令嬢と婚姻して更なる権力基盤の拡充を目指すのが普通のはず。
なのになんでソフィー?
あるいは本気で彼女に惚れた。
――なんてことは1ミリたりとも思ってない。
だってあのガーヒルとかいう男。いや、正直あのパーティで会って直接話をしたわけじゃないから全然知らないけど。
それでもそんな惚れた女性に一途みたいなことはまったく信じられない。
なんでって?
そりゃ当然。そんな人間が、自分のために婚約破棄させて、都合が悪いからと暗殺させようとする? しないでしょ。
そんなのがいたら、とんだサイコパスよ。
だからあの男がソフィーを選んだのは何か理由があってのこと。
そしてそれをソフィー側は望んだかどうかはわからないということ。
あの子。ぽーっとしてるから、簡単に悪い男に引っかかりそうだもの。
ま、そこらへんはおいおいでいいわ。問題はソフィーのこと以外にいっぱいあるし。
とにかく今は宮中の動きを掴むこと。
相手の動きが見えないなら、それを見えるようにすればいい。それだけのこと。
けどどうやって宮中に潜り込もうか。
そう考えていた時だ。
「騒がしいわね」
家の外で何やら言い争いをしている声が聞こえる。
ここは一応、貴族たちのいる風流で雅なエリア。喧騒なんてものは彼らの気質に合わないし、なんとも不自然な感じもする。
だからその時私は知らなかった。
見えない敵の動き。それが実は始まっていたのだと。
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