536 / 627
第6章 知力100の美少女に転生したので、世界を救ってみた
閑話6 水鏡八重(シータ王国四峰)
しおりを挟む
「まったく、人使いが荒いんだから!」
敵が前進して射程距離に入った途端、激しい銃撃戦が開始された。
双方に鉄の大楯を持っているから、射撃による致命的な被害にはなっていない。
ただ、敵の方が練度が高いのか、射撃と弓矢の連携による攻撃にこちらは次第に押されるようになる。
やはりシータ軍は弱い。
水の上なら操船技術といい、敵に肉薄する度胸といい、かなり強いことは知っている。
けどこういった四つに組んでの平地戦では、それほど効果的な動きができているとは思えない。
それでもここでしっかり戦って勝たなければ、私たちに明日はない。
だから押されていようと、味方がやられようと、自分は自分の仕事をするしかないのだ。
射撃戦が終われば、その後に白兵戦だ。
その時にタイミングよく指定の場所にいかなくちゃいけないわけで、というのも昨日アッキーが、
『――なんてことを敵は考えてるはずだ。それをこちらは逆に叩く。天の本隊は敵の主力を抑えてくれ。そして水鏡。お前はこういう動きをして、この位置まで来てくれ』
本当に人使いが荒い。
つまり奇襲の軍になれということだから、私が動いたことをあまり気取られてはいけない。
だから射撃戦に形だけ参加し、その背後では部隊の離脱を行っていた。
そして今。射撃に続いて喚声が響く。
敵が援護射撃の合間を縫って突撃してきた。
天の2万が受け持つのはおよそ1万ほどの敵。兵力差で言えば2倍の優位にあるのだけど、敵には白地に金縁という元帥府の旗が立っている。
去年、アッキーが苦戦してなんとか引き分けた大将軍だろう。なら相当な強敵のはず。
「総司令、私は行くわ」
天のいる本陣へと走り、それだけを伝えて去ることにする。
「ええ、よろしくお願いします」
「敗けんじゃないわよ」
「これでも帝国とずっと戦ってきた身です。それに、ジャンヌさんと結婚するまで死ねません」
「ぶれないわね」
「それが私ですので」
ま、私も男だったら、あの子を放っておけないのは分かるけど。
あれ、でもあの子って男だから別に私が今のままでもいいのかな?
「ミカ」
と、そこへ雫が声をかけてきた。隣には良介がいる。
どこへ行ったかと思ったら、本陣にいたのね。
「雫、あんたたちも頼むわ。天の援護してあげて」
「ん……」
「任せてください! 雫さんと俺の愛の共同作業……でぇぇぇぇ!?」
「バカ」
雫にボディブローされて悶絶する良介。
大丈夫かな、いろんな意味で。
「とにかく、気を付けてね」
「ミカも」
「うん」
雫の頭をなでると、気持ちよさそうに頭をふりふり。
ずっとこうしてたいけど、今はそれどころじゃない。
誘惑を打ち払って本陣を離れると、移動中の自分の部隊に合流した。
その数、歩兵が5千。
それが戦闘に加わらず、味方本隊の後ろを通って移動する。
そんな兵力を遊ばせている暇はないはずだけど、アッキーが立てた作戦のため、こうして移動している。
もし敵がアッキーの作戦を超えて、別の動きをしてきたら全くの無駄――どころか敗戦の決定打になりかねない。
けど、アッキーが自信をもって立てた作戦だ。それを疑い、否定するのは違う気がした。
だから走る。
部下たちも何が分からないまま不満も出さずに走ってくれる。
おおよそ本隊を通り過ぎようとしたとき、前から騎馬が1頭、いや3頭駆けてきた。
敵、とは思えないけど念のため速度を落とさせる。
と、その先頭の人物が大声で叫ぶ。
「水鏡!」
「アッキー!? なんでここに!?」
アッキーはオムカの本陣にいるはずだ。
ここから部隊1つ飛び越えた先。
なのにここにいるのは。
「詳しい話は後だ! 想定通りになる! 水鏡は敵の側面をついてくれ!」
「……了解!」
アッキーたちはすぐに馬を返して戦場に戻る。
昨日、指揮権を渡した旧淡英軍に戻るのだ。
こちらは北西に進路を取る。
そしてそこで“挟撃を受けている”旧淡英軍を救うために、敵の横に出るのだ。
「これより敵の横を突く! 遅れないでよ!」
部下を鼓舞し、走り出す。
歩兵の脚に合わせて、馬はゆっくり、速足だ。
2日目にして敵は一番痛いところを突いて来た。
そしてアッキーはそれを餌に一気に敵の部隊を壊滅させようとしている。
戦闘は2日目にして大一番を迎えそうだ。
敵が前進して射程距離に入った途端、激しい銃撃戦が開始された。
双方に鉄の大楯を持っているから、射撃による致命的な被害にはなっていない。
ただ、敵の方が練度が高いのか、射撃と弓矢の連携による攻撃にこちらは次第に押されるようになる。
やはりシータ軍は弱い。
水の上なら操船技術といい、敵に肉薄する度胸といい、かなり強いことは知っている。
けどこういった四つに組んでの平地戦では、それほど効果的な動きができているとは思えない。
それでもここでしっかり戦って勝たなければ、私たちに明日はない。
だから押されていようと、味方がやられようと、自分は自分の仕事をするしかないのだ。
射撃戦が終われば、その後に白兵戦だ。
その時にタイミングよく指定の場所にいかなくちゃいけないわけで、というのも昨日アッキーが、
『――なんてことを敵は考えてるはずだ。それをこちらは逆に叩く。天の本隊は敵の主力を抑えてくれ。そして水鏡。お前はこういう動きをして、この位置まで来てくれ』
本当に人使いが荒い。
つまり奇襲の軍になれということだから、私が動いたことをあまり気取られてはいけない。
だから射撃戦に形だけ参加し、その背後では部隊の離脱を行っていた。
そして今。射撃に続いて喚声が響く。
敵が援護射撃の合間を縫って突撃してきた。
天の2万が受け持つのはおよそ1万ほどの敵。兵力差で言えば2倍の優位にあるのだけど、敵には白地に金縁という元帥府の旗が立っている。
去年、アッキーが苦戦してなんとか引き分けた大将軍だろう。なら相当な強敵のはず。
「総司令、私は行くわ」
天のいる本陣へと走り、それだけを伝えて去ることにする。
「ええ、よろしくお願いします」
「敗けんじゃないわよ」
「これでも帝国とずっと戦ってきた身です。それに、ジャンヌさんと結婚するまで死ねません」
「ぶれないわね」
「それが私ですので」
ま、私も男だったら、あの子を放っておけないのは分かるけど。
あれ、でもあの子って男だから別に私が今のままでもいいのかな?
「ミカ」
と、そこへ雫が声をかけてきた。隣には良介がいる。
どこへ行ったかと思ったら、本陣にいたのね。
「雫、あんたたちも頼むわ。天の援護してあげて」
「ん……」
「任せてください! 雫さんと俺の愛の共同作業……でぇぇぇぇ!?」
「バカ」
雫にボディブローされて悶絶する良介。
大丈夫かな、いろんな意味で。
「とにかく、気を付けてね」
「ミカも」
「うん」
雫の頭をなでると、気持ちよさそうに頭をふりふり。
ずっとこうしてたいけど、今はそれどころじゃない。
誘惑を打ち払って本陣を離れると、移動中の自分の部隊に合流した。
その数、歩兵が5千。
それが戦闘に加わらず、味方本隊の後ろを通って移動する。
そんな兵力を遊ばせている暇はないはずだけど、アッキーが立てた作戦のため、こうして移動している。
もし敵がアッキーの作戦を超えて、別の動きをしてきたら全くの無駄――どころか敗戦の決定打になりかねない。
けど、アッキーが自信をもって立てた作戦だ。それを疑い、否定するのは違う気がした。
だから走る。
部下たちも何が分からないまま不満も出さずに走ってくれる。
おおよそ本隊を通り過ぎようとしたとき、前から騎馬が1頭、いや3頭駆けてきた。
敵、とは思えないけど念のため速度を落とさせる。
と、その先頭の人物が大声で叫ぶ。
「水鏡!」
「アッキー!? なんでここに!?」
アッキーはオムカの本陣にいるはずだ。
ここから部隊1つ飛び越えた先。
なのにここにいるのは。
「詳しい話は後だ! 想定通りになる! 水鏡は敵の側面をついてくれ!」
「……了解!」
アッキーたちはすぐに馬を返して戦場に戻る。
昨日、指揮権を渡した旧淡英軍に戻るのだ。
こちらは北西に進路を取る。
そしてそこで“挟撃を受けている”旧淡英軍を救うために、敵の横に出るのだ。
「これより敵の横を突く! 遅れないでよ!」
部下を鼓舞し、走り出す。
歩兵の脚に合わせて、馬はゆっくり、速足だ。
2日目にして敵は一番痛いところを突いて来た。
そしてアッキーはそれを餌に一気に敵の部隊を壊滅させようとしている。
戦闘は2日目にして大一番を迎えそうだ。
0
あなたにおすすめの小説
異世界亜人熟女ハーレム製作者
†真・筋坊主 しんなるきんちゃん†
ファンタジー
異世界転生して亜人の熟女ハーレムを作る話です
【注意】この作品は全てフィクションであり実在、歴史上の人物、場所、概念とは異なります。
無限に進化を続けて最強に至る
お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。
※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。
改稿したので、しばらくしたら消します
レベルアップは異世界がおすすめ!
まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。
そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
スキルで最強神を召喚して、無双してしまうんだが〜パーティーを追放された勇者は、召喚した神達と共に無双する。神達が強すぎて困ってます〜
東雲ハヤブサ
ファンタジー
勇者に選ばれたライ・サーベルズは、他にも選ばれた五人の勇者とパーティーを組んでいた。
ところが、勇者達の実略は凄まじく、ライでは到底敵う相手ではなかった。
「おい雑魚、これを持っていけ」
ライがそう言われるのは日常茶飯事であり、荷物持ちや雑用などをさせられる始末だ。
ある日、洞窟に六人でいると、ライがきっかけで他の勇者の怒りを買ってしまう。
怒りが頂点に達した他の勇者は、胸ぐらを掴まれた後壁に投げつけた。
いつものことだと、流して終わりにしようと思っていた。
だがなんと、邪魔なライを始末してしまおうと話が進んでしまい、次々に攻撃を仕掛けられることとなった。
ハーシュはライを守ろうとするが、他の勇者に気絶させられてしまう。
勇者達は、ただ痛ぶるように攻撃を加えていき、瀕死の状態で洞窟に置いていってしまった。
自分の弱さを呪い、本当に死を覚悟した瞬間、視界に突如文字が現れてスキル《神族召喚》と書かれていた。
今頃そんなスキル手を入れてどうするんだと、心の中でつぶやくライ。
だが、死ぬ記念に使ってやろうじゃないかと考え、スキルを発動した。
その時だった。
目の前が眩く光り出し、気付けば一人の女が立っていた。
その女は、瀕死状態のライを最も簡単に回復させ、ライの命を救って。
ライはそのあと、その女が神達を統一する三大神の一人であることを知った。
そして、このスキルを発動すれば神を自由に召喚出来るらしく、他の三大神も召喚するがうまく進むわけもなく......。
これは、雑魚と呼ばれ続けた勇者が、強き勇者へとなる物語である。
※小説家になろうにて掲載中
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。
久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。
事故は、予想外に起こる。
そして、異世界転移? 転生も。
気がつけば、見たことのない森。
「おーい」
と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。
その時どう行動するのか。
また、その先は……。
初期は、サバイバル。
その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。
有名になって、王都へ。
日本人の常識で突き進む。
そんな感じで、進みます。
ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。
異世界側では、少し非常識かもしれない。
面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる