知力99の美少女に転生したので、孔明しながらジャンヌ・ダルクをしてみた

巫叶月良成

文字の大きさ
57 / 627
第1章 オムカ王国独立戦記

第52話 王都バーベル防衛戦1日目・初戦

しおりを挟む
 8万の軍とはどんなものか、と思ったが、目の前にいるのは2万を少し超えるほどだ。
 四方の各門に振り分けられたから、期待していたというと変な表現になるが、想像していたのより少なく見えた。
 それでも東京ドームの約半分と思うと途方もない人数だ。

 他の門からも約2万と対峙中と報告を受けている。
 完全に包囲されたということだ。

 城壁に登って見るに、敵は1キロも離れていない場所に陣取っている。
 城門から直線上にある城壁には楼閣ろうかくがあり、そこの方が高く見晴らしがよいが、兵が俺の姿を見れば安心するし、指揮をとるにも危険だが城壁の上の方が臨機に動けると思い城壁に立つことにした。

 この城壁、10メートル以上というからビルの4階建てくらいか。
 一応落下防止のため、最大1メートルほどの凹凸型の岩壁がある。今の俺にはほぼ体が隠れる高さだが、乗り越えるのは簡単だ。
 なるだけ真下はみないようにと思っても、やはりどこかで意識してしまう。

「隊長殿、攻めてくるのでしょうか」

「そりゃあね。あれだけの人間従えて物見遊山ってわけにはいかないだろ」

「そ、そうですよね……」

 クロエの声が震えている。
 数万相手の籠城戦はシータ国と経験済みだが、あの時とは数も地形も場所も違う。

 正直、王都は籠城に適した場所ではない。
 なにせ平原のど真ん中に突っ立っているのだ。しかも馬鹿でかい壁があるだけで防衛機構としては最低。
 川が通っているが上流から毒を流されたら飲み水に窮する。相手の水も不足することになるので、それはやらないと推察しているけど、そうは思っても最悪の事態も起こりうるのはハカラの件で反省したので、水の貯蓄は最優先させている。

 そもそもこのバカでかい城壁。確かに弓も当たらないし乗り越えることも無理だが、高すぎて逆に攻撃しづらいのだ。
 特に真下の城門に取り付かれたら、身を乗り出さない限り弓で攻撃するのはかなり難しい。超大国だったころの名残で、籠城戦など想定されておらず、威容を示すためにもこうなったのだと思っている。

 だが泣き言を言っていられない。
 ここを落とされたら皆殺しにされる。
 仮にマリアたちと共に逃げたとしても、再起の場所なんてどこにもない。そうなったら俺はもう二度と日本には戻れない。いや、今ならシータに潜り込むという手も使えるが、俺はここにいる彼ら彼女らと一緒に生きたいと思っている。

 守り抜くしかないのだ。

 そんな悲壮な決意を感じたのか、あるいは本当の瀬戸際を感じて緊張しているのか。おそらく両方だろう。クロエは不安そうな表情を隠しもしない。
 いくら良く働くといっても、数か月前は新兵で、まだ10代半ばの子供なのだ。
 そんなクロエが愛おしく思えて、彼女の頭に手を置く。

「大丈夫だ、俺がなんとかする」

「……凄いですね、隊長殿は。どんな時も落ち着いて。私より年下とは思えません」

「開き直ったと言ってもいいかな。それと俺、実は19だから」

「えぇ!? そ、それにしてはちっちゃ……あ、いや、なんでもないです!」

「ははっ、まぁそうだよなぁ」

 この世界に来て2カ月ほど。
 まだ慣れないことも多い。
 好きな料理も食べれないし、電気もないから夜は真っ暗だし、漫画もゲームも映画もないから娯楽が少ない。早く元の世界に戻りたい、と思う。

 でも、この世界で必死に生きている人たちを見ると、俺も尻を蹴飛ばされるような気分になって、やってやるっていう気分になる。生きていることを実感できる。調子に乗って失敗することもあるけど、誰もが優しく温かい。
 こんな場所、日本に戻ったとしてそうあるだろうか。

 確かに里奈とは会いたい。
 けど、俺は死んだ身として諦めてこの世界で生きていくべきなんじゃないかとも思わなくもない。なんてことを考えたけど、それはここを生き延びた先のことだ。

「クロエ。絶対生き残るぞ」

「っ、はい!」

 クロエが幸せいっぱいの笑顔を浮かべる。
 それをみるとこっちも頑張ろうって気になるから不思議だ。

「動いた!」

 見張りの叫びに注意喚起され、城壁から外を見る。
 動いているのか……いや、動いた。大軍ゆえに初動が重いのだ。

 2万が横に約1千、20列になって近づいてくる。一部動かないのは本陣だろう。
 他の門も同じく動き出したらしく、それは地鳴りとしてはっきりと知覚できるものだ。この振動で城壁が崩れたらどうしようなんて、天が落ちてくるのを心配する人を笑えないことを思った。

「弓構え!」

 号令の下、北門に配置された兵たちが弓を構える。
 その中にはジャンヌ隊もいて、弩を構えている。それがどれだけ戦力になるか分からないがないよりはいい。

 弓の射程距離は昨日の段階で試してみていた。
 だからそのラインを頭の中で思い描き、その位置に来るまで引き付ける。

 先頭がそのラインを超す。
 弓兵たちの息を呑む音が聞こえるようだ。
 まだ撃たないのか、と言下に聞いてくるように思える。
 まだだ。完全な効果を得るなら――

「撃て!」

 5列目がラインを超えた時に号令を放つ。
 弓弦の音が重なって響き、空間を無数の矢が覆い尽くすように飛んで行く。近づいてくるエイン軍がバタバタと倒れた。

 まだ弓の射程距離外と思っていたのだろう。慌てて木の盾を頭上に掲げて飛んでくる矢を防ぐ。
 退くか、いや、被害はそれほどでもない。なら――

「敵は来るぞ、火矢の用意!」

 盾は木製だから燃えやすい。だから火矢を用意した。
 鉄製の盾を持つものもいるが、それは重歩兵や騎兵の連中だけで戦闘を進むような歩兵は木で作った簡単な盾しか持っていない。

 案の定、敵はさらに攻めてきた。
 普通の弓矢の中に火矢も混ざる。もちろん盾に当たったといってもすぐに燃え広がるものではない。ただ、持っていればいつかは燃え広がるので、燃えるのを覚悟で持ったまま進むか、捨てて身軽になって進むかを強いることができる。

「撃て撃て! 矢の残りは気にするな! まだまだあるからな!」

 エイン帝国侵攻の報を受けてなお王都に残るといってくれた人たちは、何も遊んでいたわけじゃない。
 食事が作れるものは食事を。
 武器を作れるものは武器を。
 専門でなくてもやれることはたくさんあった。

 まず矢を増産させた。
 外に木を伐採にも行ったし、やじりはハカラ達が使っていた剣を溶かして作った。それでも足りなければ石を使えばいい。

 それなりの犠牲を出しながらも、愚直に攻め寄せる大軍の圧力はまだ健在だ。
 そもそも絶対量が多いのだ。

「ぐぁっ!」

 数メートル横にいた兵がもんどりうって倒れる。
 敵からも弓を撃ってきたのだ。
 これほどの高さだから多くは途中で城壁に弾かれるが、何本かは飛び越えてくる。

「隊長殿!」

 クロエに岩壁に身を押し付けられる。
 それでも凹型の壁の隙間から下を見る。

 敵は部隊を2つに分けた。
 1つがそのまま城門に攻め込む歩兵部隊。
 もう1つがその援護として、弓を撃って城壁の俺たちを釘付けにする弓兵部隊。とは言うが、それでも1万近くいるのだ。
 ほとんど届かないと分かっていても圧倒的な物量の死がこちらに飛んで来るのを見るとやはり恐ろしくもなる。

 かといって抵抗しないわけにはいかない。
 歩兵部隊は堀にたどり着きそうになっている。そこを越えて城門を攻撃されれば厄介だ。

 ただ厄介なのがこの城壁。真下に向かって撃つには身を乗り出さなければならない。そうすると敵の弓の的になる。
 そこで役に立つのが次の武器だ。

「石!」

 人の頭ほどの岩石を投げ落とす。
 投げつける必要はない。10メートルの高さから落とすのだから、重力が手伝って凶悪な兵器となるのだ。

 これも防衛の一環となるため用意させた。
 城内の家はほぼ石造りになっている。だから建築用の石が残っているし、それでも足りなくなれば今ある家を取り壊して補充することができる。もちろん不満が出ないよう後で保証することになるが、それで生き残れるのなら安いものだ。

 投石は面白いように当たり、敵の悲鳴が断続的に響く。
 もちろん敵の数が多いのもあるが、何より堀のおかげだ。

 橋は上げてあるから城門にたどり着くには5メートルほどの堀を渡る必要がある。
 そうなると堀を泳ぐことになるので、行軍スピードが格段に落ちる。その間は上からの落石には無防備になる。木の盾を掲げたところで重力加速のついた石なら盾ごと粉砕するのだ。

「……辛いな」

 敵とはいえ人間の悲鳴なのだ。
 東西南北、同じような事態が起きていると、今の時点で死傷者は1千人を超えるはずだ。

 俺の考えた作戦で、それだけの人間が傷つき、あるいは命を落とす。

 ……だめだ。いい加減に割り切れ。
 俺がやらなかったら、この王都にいる十数万の人間が殺されるのだ。それを考えろ。割り切れ。

「隊長殿!」

「どうした」

「敵が退いていきます!」

 クロエの言葉に壁から顔を出す。
 眼下では敵がある程度の秩序をもって遠ざかっていくのが見える。怪我をしている戦友に肩を貸して逃げていく人もいた。
 耳をすませば風に乗って鐘の音が聞こえる。四方からだ。

「勝った……勝ったぞ!」

 1人が威勢よく手を空に突き上げる。
 するとそれに同調して周囲が歓声を上げる。他の城壁でもあがる。

 勝ったわけじゃない。今日は退いただけにすぎない。
 これから続く長い籠城戦の1つ目が終わっただけだ。
 しかもこれからはこんな愚直な攻めはしないだろう。手を変え品を変え攻めてくるに違いない。
 その中の1つにでも負ければ、俺たち全員の敗北なのだ。

 とはいえそれを指摘するほど野暮ではないつもりだった。

「隊長殿、良いのですか」

 クロエはその事がよく分かっているが、それを口に出す時点でまだまだだな。

「好きにさせておけ。おそらく今日はもう来ないだろう」

「まだ日が沈むには時間がありますが」

「今のは瀬踏み(偵察)だよ。俺たちの実力がどんなものかつついてみただけに過ぎない。俺たちの防衛術を見て作戦を練り直すつもりだろう。そもそも移動で兵たちは疲れてる。それを休ませる意味で今日はもう攻めて来ない」

「なるほど……」

 ただそれは100%とは言えないのが辛いところだ。
 敵将のことを『古の魔導書エンシェントマジックブック』で調べてみたが、何も出てこないのだ。
 こんなことは今までなかったから、何か例外があるのだろうか。

 唯一分かっているのは、ハカラの失脚に狙いをすましたかのようなこの侵攻をするほど知略と政略に長けた人間で、しかも味方を簡単に切り捨てられる冷酷な相手。
 このタイミングの良さは、あるいはこの敵がハカラを焚きつけた知恵者なのかもしれない。そうなると兵の疲れなど知らずに攻めてくる可能性もないとは言えないのだ。

 だから締める時はビシッと締める。

「おい、浮かれるのはいいがほどほどにしておけ! 見張りは交代制! しっかり敵を監視しておけ! それ以外はしっかり休め! これから長いのに今から疲れてどうする!」

 兵たちを叱咤して城壁を歩く。
 遠くに人の塊がある。
 彼らをあと何人殺せば諦めてくれるのか。
 それを考えると暗澹あんたんとした気持ちになるが、それも受け入れるしかないのだ。

 とにかく初戦は勝った。
 それをさらに確かなものにするため、俺は各門の見回りに出るとクロエに告げて歩き出す。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

無限に進化を続けて最強に至る

お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。 ※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。 改稿したので、しばらくしたら消します

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

【完結】487222760年間女神様に仕えてきた俺は、そろそろ普通の異世界転生をしてもいいと思う

こすもすさんど(元:ムメイザクラ)
ファンタジー
 異世界転生の女神様に四億年近くも仕えてきた、名も無きオリ主。  億千の異世界転生を繰り返してきた彼は、女神様に"休暇"と称して『普通の異世界転生がしたい』とお願いする。  彼の願いを聞き入れた女神様は、彼を無難な異世界へと送り出す。  四億年の経験知識と共に異世界へ降り立ったオリ主――『アヤト』は、自由気ままな転生者生活を満喫しようとするのだが、そんなぶっ壊れチートを持ったなろう系オリ主が平穏無事な"普通の異世界転生"など出来るはずもなく……?  道行く美少女ヒロイン達をスパルタ特訓で徹底的に鍛え上げ、邪魔する奴はただのパンチで滅殺抹殺一撃必殺、それも全ては"普通の異世界転生"をするために!  気が付けばヒロインが増え、気が付けば厄介事に巻き込まれる、テメーの頭はハッピーセットな、なろう系最強チーレム無双オリ主の明日はどっちだ!?    ※小説家になろう、エブリスタ、ノベルアップ+にも掲載しております。

神様、ちょっとチートがすぎませんか?

ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】 未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。 本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!  おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!  僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇  ――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。  しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。  自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。 へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/ --------------- ※カクヨムとなろうにも投稿しています

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。 事故は、予想外に起こる。 そして、異世界転移? 転生も。 気がつけば、見たことのない森。 「おーい」 と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。 その時どう行動するのか。 また、その先は……。 初期は、サバイバル。 その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。 有名になって、王都へ。 日本人の常識で突き進む。 そんな感じで、進みます。 ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。 異世界側では、少し非常識かもしれない。 面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。

ガチャと異世界転生  システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!

よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。 獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。 俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。 単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。 ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。 大抵ガチャがあるんだよな。 幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。 だが俺は運がなかった。 ゲームの話ではないぞ? 現実で、だ。 疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。 そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。 そのまま帰らぬ人となったようだ。 で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。 どうやら異世界だ。 魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。 しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。 10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。 そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。 5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。 残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。 そんなある日、変化がやってきた。 疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。 その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。

処理中です...