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第2章 南郡平定戦
第22話 ジャンヌの休日
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よほど疲れていたのだろう。
昨日、半日寝ていたというのに、鍋の効果もあってか体が温まると眠気が襲ってきた。
さすがに体がべとべとだったのでお風呂に入ったわけだがそれがとどめだった。
一度ベッドに倒れ込むと、クロエとの会話もままならないまま、泥のように眠った。
そして朝。
寝すぎたせいで頭がぼうっとして体が鉛のように重い。
ただ今日は休みだ。
戦闘に区切りがついたので、遠征した兵たちには休日を与えたのだが、俺たち幹部連中もマリアから休みをもらった。
シータ訪問も一応は公務扱いだから、言ってしまえばこの1か月、どこのブラック企業だと言わんばかりにずっと働きづめだったわけで、今日くらいはゆっくり休んでも罰は当たらないだろう。
「あ、隊長殿。おはようございます」
「あぁ、おはようクロエ」
寝ぼけまなこのクロエと一緒に顔を洗い、歯を磨き、クロエの作ってくれた簡単な朝食で腹を満たす。
「隊長殿は今日お休みですよね。どうされますか?」
クロエは王都の待機組だったから、仕事に出ることになる。
少し気後れしないでもないが、せっかくの休みだし有意義に使おうと思った。
「ん……そうだな。ちょっと気分転換に王都でも巡ってみようかなと」
「そうですか。それではお夕食には戻るということですね」
「いつもすまないな。クロエも大変なのに」
「いえいえ、これも趣味なので!」
仕事じゃなくて趣味なのか。
それにしてもこれまた変な趣味。ただそれで助かってるのも事実。
朝食の後かたづけを請け負い、家を出るクロエを見送る。
さてどうしたものか。クロエにはああ言ったものの、あまり外出に気が進まないのも確かなのだ。
こうしている間にも、国際情勢は大きく変化しているだろう。
プレイヤーが暗躍したり、傷つけあっているかもしれない。南郡の情勢も分からない。
何より心の奥にどこか焦りというか、不安というかそんな気持ちがある。
一度王宮に出仕して、今後の対策を練る必要が――
っといかんいかん。
すっかり仕事脳になってしまっていた。
俺ってこんなワーカーホリックだったのかと思う。確かに大学の研究では没頭すると、平気で数日引きこもることはあったけど……。
では気晴らしに何かするか。
とはいっても、この世界にそこまで娯楽は多くない。
しかも今はようやく先の籠城戦からの復興が成ったばっかりで、これから発展していく途上にある国だ。
だが娯楽はこういう今だからこそ必要なんじゃないか? と思う。
張り詰めた弓はどこかで緩めないと簡単に切れてしまう。人々の不満が爆発しないように、どこかでガス抜きさせてやらなきゃならない。
だがあまりに野放図にしすぎると、治安の悪化やよからぬことを考える人が出て来るから軍にそこらの治安維持を――
「あーもー! 真面目か! 俺ってこんな真面目だったのか!?」
気がつけば仕事のことしか考えてない。
やっぱり外に出よう。
何をするかはぼんやり考えればいい。時間はあるのだ。
そう思って洗い物を終えた俺は着替えると、そのまま外に出た。
さすがに9月も中旬を超えると暑さも和らいでくる。
だから下はロングパンツにして、上に一枚羽織る。
「あ、ジャンヌ様!」「おはようございます、ジャンヌ様」「オムカを守っていただいてありがとうございます!」
家を一歩出れば、行く人々に声をかけられた。
とはいえ人づきあいレベルの低い俺のことだ。
曖昧に笑顔で笑ったり、手振りで応えるだけで気の利いた返しや会話に発展できない。
今度外に出る時は、少し変装でもしてみようか。
そんなこんなで家の近くをぶらぶらと歩き、少し早めの昼食をとった店先のテラスでぼうっと街の光景を眺めていると、
「号外ー! 号外ー! また女王様からアレが来たぞー!」
馬に乗った男が大通りを疾走する。
そして手に持った紙をばらまいていく。
それを人々はどよめきながらも、好奇の目で見ている。
号外って……新聞屋みたいなものか?
それにしてもマリア、何をするつもりだ?
「アレって何か知ってます?」
何か嫌な予感がして、俺は店の人を捕まえると聞いた。
「ああ、ジャンヌ様。アレは女王様発案のお遊びです。先月、城壁の補修が完了したことを記念して、お祭りみたいなことをやったんです。その時は、料理人をたくさん集めて特大のケーキを作って皆に振舞ってくださったんですよ。かくいう私も集められた1人でして――」
「あいつ……」
俺のいない間に、そんなことやってたのか。
もうすぐ戴冠式だってのに、呆れながらも感心する。
だがこれは悪くない。
こうして官民一体となって、祭りみたいなことができるのであれば、それはさっき考えた娯楽となって人々のガス抜きができる。
あいつもあいつなりに国のことを考えてたのか。
今度会ったら褒めてやらないとな。
なんて他人事みたいに考えていたが、
「こ、これは……」「まさか――」「あれ、そういえばさっきそこに――」
急に周囲から不穏の空気を感じた。
いや、空気というより視線。刺すような、射貫くような視線。
その時、宙を舞っていた紙切れがちょうど俺の足元に落ちた。
なんの気なしにそれを拾って読んでみる。
「お祭りプロジェクト第2弾、捕縛ゲーム……我が国の軍師ジャンヌ・ダルクを捕まえた者には金一封を与えるのじゃ。期限は今日の日没まで。ということで始めなのじゃ」
声に出して読んでみた。
意味が分からなかった。
「な、なぁこれって」
先の店員に視線を移す。
するとその店員はスッと近づいてきて、
「ジャンヌ様、失礼します」
「嫌っ!」
咄嗟に飛びのいた。
その店員の目が尋常じゃなく、動作も殺気を伴ったものだったから。
しかもまた変な声が出たし!
じゃなく!
立ち上がる。
先ほどより視線に殺気がこもる。
よく見れば店の周りには人だかり。包囲された!?
その視線がすべて俺に注がれていて、
「えっと、これって……あの……冗談だよな?」
「捕まえろー!」
誰かの号令によって、一斉に群衆が動き出す。
男も女も構わず、テラスに殺到してきた。
あ、死ぬ。
これ巻き込まれて死ぬやつだ。
ていうかなんだよこれ。
さっき褒めてやろうって思ったの、あれ取り消し。
てか文句でも言ってやらないと気が済まない。
だから――
「っざけんな!」
一番前の男が飛びかかる瞬間に、俺は椅子から転げ落ちるように倒れた。
それで群衆はターゲットを一瞬見失う。
その隙にテーブルの下をくぐって、包囲の緩い店の中へと走る。
店内では、幸いにもまだ何が起きているのか分かっていないようだった。
「悪い、迷惑かける」
カウンターにいた店主に謝罪すると、そのまま店の奥――厨房に突進する。
そこは昼時で殺気立った料理人たちが所狭しと動いていたが、
「すまん、通る!」
殺気立っていた俺を見ると、ピタリと動きを止め、そして唖然とした様子で俺を見送った。
「ジャンヌ・ダルクを捕まえろー!」
背後から声。
それに押されるように、裏口から外に出る。
細い路地にはまだ人はいない。
だが表から回り込んでこられたら、この鬼ごっこはゲームオーバーだ。
てかジャンヌ・ダルクか……。
あれだけジャンヌ様ジャンヌ様言ってたのにこの始末。
金に踊らされた人間ほど怖いものはないな。
うん、学習した。
その間にも路地を奥へ入り、進んでいく。
「『古の魔導書』!」
この広い王都とはいえ、がむしゃらに動き回ってもどこかで捕まる。
というか俺の体力がもたない。
だから路地の構造、人の動き、流れ、それらを計算して最適な逃走ルートを構築することができる。
はっ、この知力100の俺からすればこんなの簡単……って、どんだけ知力の無駄遣いだよ、これ……。
途中で小休止を挟みながらも、王都を南下していく。
人の多い中心部から離れるように動いている形だ。
この鬼ごっこ、鬼は何万人もの王都民だがそもそものこの王都が馬鹿みたいにでかいのだ。
その中で俺1人を見つけようなど不可能に近い。
しかも今の俺は路地の奥の、更に一歩踏み込んで溝になった場所にいる。
何気なくあるものだから、俺の体の小ささも手伝って注視しないとバレない。地図で見つけた穴場だ。
そこで体力を回復しつつ、周囲の状況を探る。
地図は人の動きでびっしりだ。
しばらくここでやり過ごそう。
そう思い、息をひそめてしばらくすると、
「いたぞー! 隊長殿だ!」
まさか! 見つかった!?
上を見上げれば、建物の上から見下ろす影。
咄嗟に起き上がり、声から逃げるように入る。
――ん、待てよ。隊長殿?
路地から抜け出すと、そこは少し開けた通り。
そこに待ち伏せする影が見えて、それは俺のよく知った人物だった。
「残念です、隊長殿」
「く、クロエ……」
およびジャンヌ隊の皆だった。
久しぶりにブルータス、お前もか!
「よし、隊長殿を捕まえろ!」
「ちょっと待ったぁ!」
今度はなんだ、と思ったら背後からこれまた良く知った人物が来た。
「ジャンヌちゃんは俺たちが捕まえるぜぇ!」
「サカキ……お前もか」
こいつも今日は休日なはずなのに、軍服を着て部下を連れ立っている。
もう訳が分からない。
「第2師団長殿。これは我々ジャンヌ隊の問題です。お引き取りを」
「いいや、ジャンヌちゃんへの愛は誰にも負けない自信がある! だからどくのはそっちだ!」
「愛ですと? この私に隊長殿への愛を語るとは言語道断! 師団長殿とはいえ容赦はしません!」
「そうだそうだ!」「やっちまえ、クロエ!」「俺たちの隊長を守るんだ!」
サカキに対するように、俺の部下たちが騒ぐ。
「ひよっこどもに何ができる! こういうのは大人の男がやることだろうが! いっちょ前に愛を口ずさむな!」
「さすがサカキ師団長!」「よっ、大人げない!」「けど男の中の男!」
サカキの部下たちは、面白そうにやんやとはやし立てる。
もはや周辺はカオスだった。
そこを逃す俺ではない。
「むむむ……こうなったら隊長殿に決めてもらいましょう! もちろん我々と一緒に来てくれますよね!」
「おお、もちろん俺たちだよな……って、あれ? ジャンヌちゃんは?」
「え……あれ? 隊長殿?」
はぁ……あいつらが馬鹿で助かった。
言い合いをしている横をこっそり通り抜けて再び路地に身を隠し、その場を離れる。
こうなったら少し大回りをして城門の辺りまで出よう。
なんて思っていると、
「あ、発見っす。さすがサカキ師団長。あの人の変態探知機は一級っすねー」
「ぶ、ブリーダ……」
お前まで来るのか!
こういうのやるタイプとは思えなかったのに。
「いや、自分もあんま興味なかったっすけど。賞品が軍師殿ってなるとさすがにっすね」
「俺が賞品?」
そんなの初耳だ。
「ほら、ここに書いてあるっすよ。規約っつーすんすか? ここに小さく」
ブリーダが取り出したのは先ほど配られていた紙。
確かに下の方にちっこく規約が書いてある。
その中のどこだろうと身を乗り出した途端、急に肩を抱きすくめられた。
何が――と思うが、ブリーダ以外にいない。
そこで初めて自分の迂闊さを呪った。
「残念っすねー、そんなのウソっす」
「だ、騙したな!?」
「いやー軍師殿を欺くオレの智謀、捨てたもんじゃないってことっすねー」
ぐっ……なんか普通に捕まるよりすんげぇ悔しい。
こんな初歩的な罠にかかるなんて。
だがいくらもがこうにも、俺の筋力は1。しかも相手はオムカ屈指の勇将ブリーダだ。
勝ち目があるわけがない。
ここで終わりか。
なんて思った瞬間、息苦しさから解放された。
「え……?」
「っちぃ! あとちょっとだったっすのに……忘れてましたよ――ジーン師団長殿」
「え、ジル?」
見れば私服姿のジルが俺の横に立っていて、油断なくブリーダに対して構えている。
「ジャンヌ様、早くお逃げください」
「え……いいのか?」
ジルの言葉が意外だった。
てっきり彼も俺を捕まえに来たのかと思ったからだ。
「私の使命はジャンヌ様をお守りすること。故にここでこの男を止めます」
嫌みっぽくもキザっぽくもなく、ただただ本心からのジルの言葉に俺は一瞬、言葉を失う。
うわ、ヤバい。これ女だったら惚れる奴だ。って今、俺女だ。いやいや、惚れないよ!?
「へぇ、さすが王国一の色男。羨ましいっすねぇ」
ブリーダがへらへらしたように言う。
だがその目は笑ってなく、ジルから目を離さない。
「そういえば師団長殿とは一度手合わせをしてみたかったっす」
「オムカ王国軍先鋒、相手にとって不足はなし。だが鉄壁のジルの異名を持つ私をどうにかできるつもりか!」
「やってみなきゃわかんねーっすよ!」
それを合図にして、2人がバトルモードに入ってしまった。
こうなれば俺の入り込む余地はない。
ジルの忠勤に応えるならこの場から逃げるしかなかった。
どれくらい時間が経っただろうか。
今や陽も傾き、日没まであと1、2時間といったところだろう。
だから後は人通りのないところを選んで、身を隠せば俺の勝ちだ。
その時だ。
「お姉ちゃん!」
ポスン、と体当たりされた。
筋力1の俺でもまったくよろけない威力の体当たり。
だがそれも当然で、相手が俺より体格の小さいからで、
「リンに会いに来てくれたのー?」
リンが見上げるように、俺へと眩しい笑顔を見せる。
「え、あ、いや……うん」
そういえばこっちはリンの店があった方だ。今思い出した。
そして別にリンに会いに来たわけじゃないから、答えに詰まる。
そこへ――
「いたぞー!」「ジャンヌ・ダルクだ!」「捕まえろー!」
やべ、見つかった!
「あのな、リン。ごめん。ちょっと今、俺急いでいるから――」
というかこのままだとリンが巻き込まれる。
可愛そうだけどリンを振りほどこうとするが、リンはよくわかっていないのか、しがみついたまま離れない。
だから俺とリンが群衆に巻き込まれそうになったその時――
パンッ!
弾ける音。
鉄砲? いや、空砲だ。
そしてそれは声を伴って、
「はい、ゲーム終了でーーーーす! お祭りプロジェクト第2弾、捕縛ゲームを制したのは――リンちゃんです!」
どこから現れたのか、メガホン持参のニーアがそう宣言した。
その言葉で、狂気の目をした群衆は、ピタリと我に返ったように止まった。
助かった……わけだがどうも納得いかない。
「てめぇ……」
「いやー、ジャンヌ捕まっちゃったねー。残念無念。てかジャンヌ走るの遅すぎ。隠れるのうますぎ。あー面白かったー」
その言い方。最初からずっとついてきてたってことか。体力お化けめ。
「はい、ではー今回の企画立案をしてくださった、女王様からのお言葉です」
通りの向こうから馬車が全力で駆けてくる。
そして俺たちの前で急停車すると、そこから今紹介されたこの事件の黒幕が姿を現した。
「じょ、女王様だ!」
誰かが叫ぶと、皆がその場で膝をついて平伏する。
「うむ、くるしゅうない。面をあげよ。うむうむ、捕まったようじゃな、ジャンヌ! しかも捕まえたのは、これはまた可愛らしい女の子ではないか!」
「女王様? すごい、お姉ちゃん、もしかして女王様とお知り合い?」
「あ、あぁ……」
「ふわー、女王様、綺麗ー」
「に、ニーア、どうしようなのじゃ。この子、いい子なのじゃ!」
「リンちゃんです。私とジャンヌの子供ですよー」
「違うって言ってるだろ!」
こいつら、本当どうしてくれようか。
「うむ、すまんなジャンヌ。だがこれも国のためなのじゃ。皆で仲良く楽しく、そんな国を作っていきたい。そう思ってのことなのじゃ」
「マリア……」
やっぱり色々考えていたのか。
国のため、皆のため。
それを思っての今日のこれなら俺も――
「まぁ余も暇じゃったし、ジャンヌの色んな姿が見れて楽しかったのじゃけど!」
「それじゃあ最後にジャンヌから一言もらいましょうか。どうでしたか、今日は。オフを満喫できたんじゃないですかー?」
あぁ、もう。お前ら。
一言でいい。
一言だけ言わせてくれ。
「お前ら、みんな揃って馬鹿ばっかか!」
こうして俺の休日は、何を得る間もなく終了した。
果てしない疲労と、マリアとニーアに対する殺意を残して。
昨日、半日寝ていたというのに、鍋の効果もあってか体が温まると眠気が襲ってきた。
さすがに体がべとべとだったのでお風呂に入ったわけだがそれがとどめだった。
一度ベッドに倒れ込むと、クロエとの会話もままならないまま、泥のように眠った。
そして朝。
寝すぎたせいで頭がぼうっとして体が鉛のように重い。
ただ今日は休みだ。
戦闘に区切りがついたので、遠征した兵たちには休日を与えたのだが、俺たち幹部連中もマリアから休みをもらった。
シータ訪問も一応は公務扱いだから、言ってしまえばこの1か月、どこのブラック企業だと言わんばかりにずっと働きづめだったわけで、今日くらいはゆっくり休んでも罰は当たらないだろう。
「あ、隊長殿。おはようございます」
「あぁ、おはようクロエ」
寝ぼけまなこのクロエと一緒に顔を洗い、歯を磨き、クロエの作ってくれた簡単な朝食で腹を満たす。
「隊長殿は今日お休みですよね。どうされますか?」
クロエは王都の待機組だったから、仕事に出ることになる。
少し気後れしないでもないが、せっかくの休みだし有意義に使おうと思った。
「ん……そうだな。ちょっと気分転換に王都でも巡ってみようかなと」
「そうですか。それではお夕食には戻るということですね」
「いつもすまないな。クロエも大変なのに」
「いえいえ、これも趣味なので!」
仕事じゃなくて趣味なのか。
それにしてもこれまた変な趣味。ただそれで助かってるのも事実。
朝食の後かたづけを請け負い、家を出るクロエを見送る。
さてどうしたものか。クロエにはああ言ったものの、あまり外出に気が進まないのも確かなのだ。
こうしている間にも、国際情勢は大きく変化しているだろう。
プレイヤーが暗躍したり、傷つけあっているかもしれない。南郡の情勢も分からない。
何より心の奥にどこか焦りというか、不安というかそんな気持ちがある。
一度王宮に出仕して、今後の対策を練る必要が――
っといかんいかん。
すっかり仕事脳になってしまっていた。
俺ってこんなワーカーホリックだったのかと思う。確かに大学の研究では没頭すると、平気で数日引きこもることはあったけど……。
では気晴らしに何かするか。
とはいっても、この世界にそこまで娯楽は多くない。
しかも今はようやく先の籠城戦からの復興が成ったばっかりで、これから発展していく途上にある国だ。
だが娯楽はこういう今だからこそ必要なんじゃないか? と思う。
張り詰めた弓はどこかで緩めないと簡単に切れてしまう。人々の不満が爆発しないように、どこかでガス抜きさせてやらなきゃならない。
だがあまりに野放図にしすぎると、治安の悪化やよからぬことを考える人が出て来るから軍にそこらの治安維持を――
「あーもー! 真面目か! 俺ってこんな真面目だったのか!?」
気がつけば仕事のことしか考えてない。
やっぱり外に出よう。
何をするかはぼんやり考えればいい。時間はあるのだ。
そう思って洗い物を終えた俺は着替えると、そのまま外に出た。
さすがに9月も中旬を超えると暑さも和らいでくる。
だから下はロングパンツにして、上に一枚羽織る。
「あ、ジャンヌ様!」「おはようございます、ジャンヌ様」「オムカを守っていただいてありがとうございます!」
家を一歩出れば、行く人々に声をかけられた。
とはいえ人づきあいレベルの低い俺のことだ。
曖昧に笑顔で笑ったり、手振りで応えるだけで気の利いた返しや会話に発展できない。
今度外に出る時は、少し変装でもしてみようか。
そんなこんなで家の近くをぶらぶらと歩き、少し早めの昼食をとった店先のテラスでぼうっと街の光景を眺めていると、
「号外ー! 号外ー! また女王様からアレが来たぞー!」
馬に乗った男が大通りを疾走する。
そして手に持った紙をばらまいていく。
それを人々はどよめきながらも、好奇の目で見ている。
号外って……新聞屋みたいなものか?
それにしてもマリア、何をするつもりだ?
「アレって何か知ってます?」
何か嫌な予感がして、俺は店の人を捕まえると聞いた。
「ああ、ジャンヌ様。アレは女王様発案のお遊びです。先月、城壁の補修が完了したことを記念して、お祭りみたいなことをやったんです。その時は、料理人をたくさん集めて特大のケーキを作って皆に振舞ってくださったんですよ。かくいう私も集められた1人でして――」
「あいつ……」
俺のいない間に、そんなことやってたのか。
もうすぐ戴冠式だってのに、呆れながらも感心する。
だがこれは悪くない。
こうして官民一体となって、祭りみたいなことができるのであれば、それはさっき考えた娯楽となって人々のガス抜きができる。
あいつもあいつなりに国のことを考えてたのか。
今度会ったら褒めてやらないとな。
なんて他人事みたいに考えていたが、
「こ、これは……」「まさか――」「あれ、そういえばさっきそこに――」
急に周囲から不穏の空気を感じた。
いや、空気というより視線。刺すような、射貫くような視線。
その時、宙を舞っていた紙切れがちょうど俺の足元に落ちた。
なんの気なしにそれを拾って読んでみる。
「お祭りプロジェクト第2弾、捕縛ゲーム……我が国の軍師ジャンヌ・ダルクを捕まえた者には金一封を与えるのじゃ。期限は今日の日没まで。ということで始めなのじゃ」
声に出して読んでみた。
意味が分からなかった。
「な、なぁこれって」
先の店員に視線を移す。
するとその店員はスッと近づいてきて、
「ジャンヌ様、失礼します」
「嫌っ!」
咄嗟に飛びのいた。
その店員の目が尋常じゃなく、動作も殺気を伴ったものだったから。
しかもまた変な声が出たし!
じゃなく!
立ち上がる。
先ほどより視線に殺気がこもる。
よく見れば店の周りには人だかり。包囲された!?
その視線がすべて俺に注がれていて、
「えっと、これって……あの……冗談だよな?」
「捕まえろー!」
誰かの号令によって、一斉に群衆が動き出す。
男も女も構わず、テラスに殺到してきた。
あ、死ぬ。
これ巻き込まれて死ぬやつだ。
ていうかなんだよこれ。
さっき褒めてやろうって思ったの、あれ取り消し。
てか文句でも言ってやらないと気が済まない。
だから――
「っざけんな!」
一番前の男が飛びかかる瞬間に、俺は椅子から転げ落ちるように倒れた。
それで群衆はターゲットを一瞬見失う。
その隙にテーブルの下をくぐって、包囲の緩い店の中へと走る。
店内では、幸いにもまだ何が起きているのか分かっていないようだった。
「悪い、迷惑かける」
カウンターにいた店主に謝罪すると、そのまま店の奥――厨房に突進する。
そこは昼時で殺気立った料理人たちが所狭しと動いていたが、
「すまん、通る!」
殺気立っていた俺を見ると、ピタリと動きを止め、そして唖然とした様子で俺を見送った。
「ジャンヌ・ダルクを捕まえろー!」
背後から声。
それに押されるように、裏口から外に出る。
細い路地にはまだ人はいない。
だが表から回り込んでこられたら、この鬼ごっこはゲームオーバーだ。
てかジャンヌ・ダルクか……。
あれだけジャンヌ様ジャンヌ様言ってたのにこの始末。
金に踊らされた人間ほど怖いものはないな。
うん、学習した。
その間にも路地を奥へ入り、進んでいく。
「『古の魔導書』!」
この広い王都とはいえ、がむしゃらに動き回ってもどこかで捕まる。
というか俺の体力がもたない。
だから路地の構造、人の動き、流れ、それらを計算して最適な逃走ルートを構築することができる。
はっ、この知力100の俺からすればこんなの簡単……って、どんだけ知力の無駄遣いだよ、これ……。
途中で小休止を挟みながらも、王都を南下していく。
人の多い中心部から離れるように動いている形だ。
この鬼ごっこ、鬼は何万人もの王都民だがそもそものこの王都が馬鹿みたいにでかいのだ。
その中で俺1人を見つけようなど不可能に近い。
しかも今の俺は路地の奥の、更に一歩踏み込んで溝になった場所にいる。
何気なくあるものだから、俺の体の小ささも手伝って注視しないとバレない。地図で見つけた穴場だ。
そこで体力を回復しつつ、周囲の状況を探る。
地図は人の動きでびっしりだ。
しばらくここでやり過ごそう。
そう思い、息をひそめてしばらくすると、
「いたぞー! 隊長殿だ!」
まさか! 見つかった!?
上を見上げれば、建物の上から見下ろす影。
咄嗟に起き上がり、声から逃げるように入る。
――ん、待てよ。隊長殿?
路地から抜け出すと、そこは少し開けた通り。
そこに待ち伏せする影が見えて、それは俺のよく知った人物だった。
「残念です、隊長殿」
「く、クロエ……」
およびジャンヌ隊の皆だった。
久しぶりにブルータス、お前もか!
「よし、隊長殿を捕まえろ!」
「ちょっと待ったぁ!」
今度はなんだ、と思ったら背後からこれまた良く知った人物が来た。
「ジャンヌちゃんは俺たちが捕まえるぜぇ!」
「サカキ……お前もか」
こいつも今日は休日なはずなのに、軍服を着て部下を連れ立っている。
もう訳が分からない。
「第2師団長殿。これは我々ジャンヌ隊の問題です。お引き取りを」
「いいや、ジャンヌちゃんへの愛は誰にも負けない自信がある! だからどくのはそっちだ!」
「愛ですと? この私に隊長殿への愛を語るとは言語道断! 師団長殿とはいえ容赦はしません!」
「そうだそうだ!」「やっちまえ、クロエ!」「俺たちの隊長を守るんだ!」
サカキに対するように、俺の部下たちが騒ぐ。
「ひよっこどもに何ができる! こういうのは大人の男がやることだろうが! いっちょ前に愛を口ずさむな!」
「さすがサカキ師団長!」「よっ、大人げない!」「けど男の中の男!」
サカキの部下たちは、面白そうにやんやとはやし立てる。
もはや周辺はカオスだった。
そこを逃す俺ではない。
「むむむ……こうなったら隊長殿に決めてもらいましょう! もちろん我々と一緒に来てくれますよね!」
「おお、もちろん俺たちだよな……って、あれ? ジャンヌちゃんは?」
「え……あれ? 隊長殿?」
はぁ……あいつらが馬鹿で助かった。
言い合いをしている横をこっそり通り抜けて再び路地に身を隠し、その場を離れる。
こうなったら少し大回りをして城門の辺りまで出よう。
なんて思っていると、
「あ、発見っす。さすがサカキ師団長。あの人の変態探知機は一級っすねー」
「ぶ、ブリーダ……」
お前まで来るのか!
こういうのやるタイプとは思えなかったのに。
「いや、自分もあんま興味なかったっすけど。賞品が軍師殿ってなるとさすがにっすね」
「俺が賞品?」
そんなの初耳だ。
「ほら、ここに書いてあるっすよ。規約っつーすんすか? ここに小さく」
ブリーダが取り出したのは先ほど配られていた紙。
確かに下の方にちっこく規約が書いてある。
その中のどこだろうと身を乗り出した途端、急に肩を抱きすくめられた。
何が――と思うが、ブリーダ以外にいない。
そこで初めて自分の迂闊さを呪った。
「残念っすねー、そんなのウソっす」
「だ、騙したな!?」
「いやー軍師殿を欺くオレの智謀、捨てたもんじゃないってことっすねー」
ぐっ……なんか普通に捕まるよりすんげぇ悔しい。
こんな初歩的な罠にかかるなんて。
だがいくらもがこうにも、俺の筋力は1。しかも相手はオムカ屈指の勇将ブリーダだ。
勝ち目があるわけがない。
ここで終わりか。
なんて思った瞬間、息苦しさから解放された。
「え……?」
「っちぃ! あとちょっとだったっすのに……忘れてましたよ――ジーン師団長殿」
「え、ジル?」
見れば私服姿のジルが俺の横に立っていて、油断なくブリーダに対して構えている。
「ジャンヌ様、早くお逃げください」
「え……いいのか?」
ジルの言葉が意外だった。
てっきり彼も俺を捕まえに来たのかと思ったからだ。
「私の使命はジャンヌ様をお守りすること。故にここでこの男を止めます」
嫌みっぽくもキザっぽくもなく、ただただ本心からのジルの言葉に俺は一瞬、言葉を失う。
うわ、ヤバい。これ女だったら惚れる奴だ。って今、俺女だ。いやいや、惚れないよ!?
「へぇ、さすが王国一の色男。羨ましいっすねぇ」
ブリーダがへらへらしたように言う。
だがその目は笑ってなく、ジルから目を離さない。
「そういえば師団長殿とは一度手合わせをしてみたかったっす」
「オムカ王国軍先鋒、相手にとって不足はなし。だが鉄壁のジルの異名を持つ私をどうにかできるつもりか!」
「やってみなきゃわかんねーっすよ!」
それを合図にして、2人がバトルモードに入ってしまった。
こうなれば俺の入り込む余地はない。
ジルの忠勤に応えるならこの場から逃げるしかなかった。
どれくらい時間が経っただろうか。
今や陽も傾き、日没まであと1、2時間といったところだろう。
だから後は人通りのないところを選んで、身を隠せば俺の勝ちだ。
その時だ。
「お姉ちゃん!」
ポスン、と体当たりされた。
筋力1の俺でもまったくよろけない威力の体当たり。
だがそれも当然で、相手が俺より体格の小さいからで、
「リンに会いに来てくれたのー?」
リンが見上げるように、俺へと眩しい笑顔を見せる。
「え、あ、いや……うん」
そういえばこっちはリンの店があった方だ。今思い出した。
そして別にリンに会いに来たわけじゃないから、答えに詰まる。
そこへ――
「いたぞー!」「ジャンヌ・ダルクだ!」「捕まえろー!」
やべ、見つかった!
「あのな、リン。ごめん。ちょっと今、俺急いでいるから――」
というかこのままだとリンが巻き込まれる。
可愛そうだけどリンを振りほどこうとするが、リンはよくわかっていないのか、しがみついたまま離れない。
だから俺とリンが群衆に巻き込まれそうになったその時――
パンッ!
弾ける音。
鉄砲? いや、空砲だ。
そしてそれは声を伴って、
「はい、ゲーム終了でーーーーす! お祭りプロジェクト第2弾、捕縛ゲームを制したのは――リンちゃんです!」
どこから現れたのか、メガホン持参のニーアがそう宣言した。
その言葉で、狂気の目をした群衆は、ピタリと我に返ったように止まった。
助かった……わけだがどうも納得いかない。
「てめぇ……」
「いやー、ジャンヌ捕まっちゃったねー。残念無念。てかジャンヌ走るの遅すぎ。隠れるのうますぎ。あー面白かったー」
その言い方。最初からずっとついてきてたってことか。体力お化けめ。
「はい、ではー今回の企画立案をしてくださった、女王様からのお言葉です」
通りの向こうから馬車が全力で駆けてくる。
そして俺たちの前で急停車すると、そこから今紹介されたこの事件の黒幕が姿を現した。
「じょ、女王様だ!」
誰かが叫ぶと、皆がその場で膝をついて平伏する。
「うむ、くるしゅうない。面をあげよ。うむうむ、捕まったようじゃな、ジャンヌ! しかも捕まえたのは、これはまた可愛らしい女の子ではないか!」
「女王様? すごい、お姉ちゃん、もしかして女王様とお知り合い?」
「あ、あぁ……」
「ふわー、女王様、綺麗ー」
「に、ニーア、どうしようなのじゃ。この子、いい子なのじゃ!」
「リンちゃんです。私とジャンヌの子供ですよー」
「違うって言ってるだろ!」
こいつら、本当どうしてくれようか。
「うむ、すまんなジャンヌ。だがこれも国のためなのじゃ。皆で仲良く楽しく、そんな国を作っていきたい。そう思ってのことなのじゃ」
「マリア……」
やっぱり色々考えていたのか。
国のため、皆のため。
それを思っての今日のこれなら俺も――
「まぁ余も暇じゃったし、ジャンヌの色んな姿が見れて楽しかったのじゃけど!」
「それじゃあ最後にジャンヌから一言もらいましょうか。どうでしたか、今日は。オフを満喫できたんじゃないですかー?」
あぁ、もう。お前ら。
一言でいい。
一言だけ言わせてくれ。
「お前ら、みんな揃って馬鹿ばっかか!」
こうして俺の休日は、何を得る間もなく終了した。
果てしない疲労と、マリアとニーアに対する殺意を残して。
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