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第4章 ジャンヌの西進
閑話25 長浜杏(エイン帝国大将軍)
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「ただいまー元帥いるー?」
北の平定を終えて、疲れ切った体を休めた翌日。
元帥に帰還の報告をしながらからかってやろうと思い、元帥府に出頭したのだが。
「お待ちしておりました、長浜さん」
そこにいたのは煌夜ちんだった。
黒のカソック姿で、大きい体を折り曲げるようにして、来客用のソファに座っていた。
その横に麗明っちが座っている。相変わらずの無表情。人形みたいだ。
「あれ、煌夜ちん? どしたの?」
「貴女を待っていたんですよ。そろそろ帰ってくると思いまして」
「へぇ、相変わらずの予知はすごいねぇ。ふーん、で? この部屋の主は?」
「出陣しました。一昨日に」
「え? まさかオムカを陥としに行ったとか!? 僕様のいないうちに!?」
「いえ、西です」
西?
西ってゆーと、ビンゴ領の反乱の件か。
「旧ビンゴの奴ら、そんなに強いの? あの双子とあの2人に椎葉ちん入れてもダメなの?」
「その椎葉さんから連絡があり、増援として向かいました。なんでもオムカのジャンヌ・ダルクが参戦し、1万以上を失う敗北を喫したとか」
「…………へぇ」
自分でも気づかぬうちに頬がほころぶ。
あのジャンヌ・ダルクが動いたか。
ま、そうだよね。ここでビンゴ領を完全に帝国に取られたら、オムカは詰みだ。
だから先手を打ってきたわけだろうけど。
それにしても1万も失うとはねぇ……。やるじゃん。
てかそれくらいやってもらわないと『引き分けた』僕様としての立場がないよね。
「ってか、1万失ってもまだ5万以上はいるでしょ。それでヤバイの?」
「いえ、どうにかなるとのことです。あの丹姉弟、我らが想像しているより策略家のようですね」
「ふーん? じゃあなんで元帥は出てったのさ?」
「その丹姉弟が問題なのです。詳しくは分からないのですが、椎葉さんはどこか違和感を感じたようで」
「それって、手ぇ抜いてるってこと?」
「それであれば良いのですが……あるいは彼女らは――ビンゴ領に新しい国を創るのではないかと」
「は?」
国を、創る?
どこからそんな言葉が出てきたんだろうか。唐突すぎて分からない。
「国を創るって、ビンゴ王国を復興するってことじゃないよね?」
「おそらくは。これも私が報告を聞き、推論を組み立てた結果の結論でしかないので。椎葉さんも何が目的か分からないとのことです」
確かに、プレイヤーを5人も行かせるなんてかなり大盤振る舞いな感じだよね。
さらに元帥まで行くんだから本当に何が起きているのか。
そもそもあの双子。
いつも2人で抱き合って、ボンテージファッションで、互いの考えを代弁するような喋り方をして、もう異常以外のなにものでもないわけだけど。
そんな2人が企むとか、想像もしたくない。
「てか、あの双子とはほとんど喋ったことないんだけど、煌夜ちんから見てどうよ?」
「そう、ですね……おそらく2人とも元の世界ではかなり苦労したようです。お互いを、2人しか信用できないような何かがあったのでしょう」
まぁ、そういうものかもなぁ。
あれほど捻じ曲がるには、どんな目に遭えばそうなるのか皆目見当がつかない。
「そして、何故という理由は分かりませんが、何をしようとするかは、なんとなく分かります」
「それが国を創る?」
「ええ。彼らの彼らによる彼らだけの国です。彼ら以外は人ではなく、彼らは唯一の人としてその国に君臨する。おそらく、そういう世界でしょう」
「こりゃまた酷い暗黒世界な合衆国だなぁ」
「おそらく……彼女たちもこの世界の真実に気づいているのでしょう」
「世界の真実?」
なにそれ。
そんなものがあるの?
「いつか、貴女にも言いましたよね。この世界は女神のおもちゃだと」
「ああ。それで女神を殺すって話になったよね。てか女神なんて最初に出てきたばかりで、とんと会っちゃいないけど」
「やはり、貴女もですか……」
「ん? どういう意味?」
「いえ、なんでもありません。それより長浜さん。この世界が女神のおもちゃだと聞いて、どう思いました?」
どうって言われてもなぁ。
もう女神とか顔すら覚えてないし。ぶっちゃけどうでもいいんだよねぇ。
んー……どう思ったか。
「女神が僕様たちプレイヤーをこの世界に投入して、どうなるかを見る、って感じかな。もうちょっと簡単に言うと……ゲームの中の世界みたいな感じ? わかんないけど」
「なるほど」
答えを聞いた煌夜陳は、深く考え込むようにして黙ってしまった。
「で? それがどうしたのさ?」
「もし、もしですよ。この世界が……この世界が真実の世界だと言われたら、貴女はどうしますか?」
意味が分からない。
この世界が真実の世界?
ここは今は確かに現実だけど、よくある異世界みたいなものじゃなく?
だったらこっちも真実だし、元の世界も真実だし問題ないんじゃないか?
「女神がおもちゃにしている世界。そしておもちゃにしているのは、我々プレイヤーも同様。もし、あの姉弟がそれを知ったのであれば、あるいは……」
「えっと、煌夜ちん。話が見えないんだけど? この世界の真実って何?」
「これは……すみません。忘れてください。私もちょっと考えすぎなところがあるかもしれません」
ふーん。ま、いっか。
それほどこの世界がどうなろうと、僕様には関係ないし。
「てか、珍しいね。煌夜ちんがそこまで自信ないなんて」
「私はいつも自信なんてありませんよ。臆病で、慎重で、必死なだけです。だからあの姉弟にも目を光らせなければならないのですが……」
「ん、まぁ分かった。とにかくその姉弟に問題ありそうで、元帥はそっちに向かったと。じゃあ僕様ちゃんはこのまま帝都にいた方がいいのかな?」
「はい、それをお願いしたく。あぁ、そういえば北はどうでした?」
「どうも何も。あんまり手ごたえはなかったかなぁ。いつもみたいに一方的に攻めて、適当なところで和睦して終わりだよ。ちょっちフラストレーション溜まる感じだから発散したかったけど、ま、しょうがないね」
「いえ、ありがとうございました。やはり北のことは貴女に任せておけば問題ありませんね」
「それで毎回呼ばれるのは勘弁だけどね。とにかく、兵たちを休ませながら臨戦態勢は整えておくよ」
「ええ。それでよろしくお願いします」
用件はそれで終わりらしい。
煌夜ちんが立ち上がるとそのまま部屋の外へ。麗明っちもそれに続いて立ち上がりこちらに会釈をしてくる。
なーんか、変だよなぁ。
はっきりしない煌夜ちんも、なにを考えてんのかわかんない麗明っちも、動きすぎる元帥も。
そしてもちろんあの双子も。
全員が何を考えてるのかよくわかんない。
何かに突き動かされているようで、何かに焦らされているようで、何かが変だ。
「女神のおもちゃ、か」
あるいはそれか? それに突き動かされているのか?
なーんてね。
もう、煌夜ちんが変なこと言うから意識しちゃったじゃないか。
別にそうだろうと僕様には関係ない。
突き動かされようが、焦らされようが僕様は僕様。
やることはもう決まっている。
みんなが何かに突き動かされる中、確固たる自分をもって動いている人物。
ジャンヌ・ダルク。
北へ東へ南へ西へ。
本当によく動く。
だからこそ、僕様の好敵手にふさわしい。
僕様はそのまま部屋の奥に。
今は留守のこの部屋の主が使っている豪奢な椅子に深々と腰を落ち着けた。
「第一ラウンドはジャンヌ・ダルクが取った。第二ラウンドは……さてさて、椎葉ちんが逆襲するか、それともジャンヌ・ダルクがまたまた勝つのか。それとも元帥が間に合うのか、あるいはあの双子が何か仕掛けるのか。ふふっ、しばらくは高みの見物でもさせてもらおうかな」
僕様も北の大地を駆け巡って少し疲れた。
少しくらいはこうやって鋭気を養ってもいいだろう。
椅子をくるりと回転させて、そう思った。
北の平定を終えて、疲れ切った体を休めた翌日。
元帥に帰還の報告をしながらからかってやろうと思い、元帥府に出頭したのだが。
「お待ちしておりました、長浜さん」
そこにいたのは煌夜ちんだった。
黒のカソック姿で、大きい体を折り曲げるようにして、来客用のソファに座っていた。
その横に麗明っちが座っている。相変わらずの無表情。人形みたいだ。
「あれ、煌夜ちん? どしたの?」
「貴女を待っていたんですよ。そろそろ帰ってくると思いまして」
「へぇ、相変わらずの予知はすごいねぇ。ふーん、で? この部屋の主は?」
「出陣しました。一昨日に」
「え? まさかオムカを陥としに行ったとか!? 僕様のいないうちに!?」
「いえ、西です」
西?
西ってゆーと、ビンゴ領の反乱の件か。
「旧ビンゴの奴ら、そんなに強いの? あの双子とあの2人に椎葉ちん入れてもダメなの?」
「その椎葉さんから連絡があり、増援として向かいました。なんでもオムカのジャンヌ・ダルクが参戦し、1万以上を失う敗北を喫したとか」
「…………へぇ」
自分でも気づかぬうちに頬がほころぶ。
あのジャンヌ・ダルクが動いたか。
ま、そうだよね。ここでビンゴ領を完全に帝国に取られたら、オムカは詰みだ。
だから先手を打ってきたわけだろうけど。
それにしても1万も失うとはねぇ……。やるじゃん。
てかそれくらいやってもらわないと『引き分けた』僕様としての立場がないよね。
「ってか、1万失ってもまだ5万以上はいるでしょ。それでヤバイの?」
「いえ、どうにかなるとのことです。あの丹姉弟、我らが想像しているより策略家のようですね」
「ふーん? じゃあなんで元帥は出てったのさ?」
「その丹姉弟が問題なのです。詳しくは分からないのですが、椎葉さんはどこか違和感を感じたようで」
「それって、手ぇ抜いてるってこと?」
「それであれば良いのですが……あるいは彼女らは――ビンゴ領に新しい国を創るのではないかと」
「は?」
国を、創る?
どこからそんな言葉が出てきたんだろうか。唐突すぎて分からない。
「国を創るって、ビンゴ王国を復興するってことじゃないよね?」
「おそらくは。これも私が報告を聞き、推論を組み立てた結果の結論でしかないので。椎葉さんも何が目的か分からないとのことです」
確かに、プレイヤーを5人も行かせるなんてかなり大盤振る舞いな感じだよね。
さらに元帥まで行くんだから本当に何が起きているのか。
そもそもあの双子。
いつも2人で抱き合って、ボンテージファッションで、互いの考えを代弁するような喋り方をして、もう異常以外のなにものでもないわけだけど。
そんな2人が企むとか、想像もしたくない。
「てか、あの双子とはほとんど喋ったことないんだけど、煌夜ちんから見てどうよ?」
「そう、ですね……おそらく2人とも元の世界ではかなり苦労したようです。お互いを、2人しか信用できないような何かがあったのでしょう」
まぁ、そういうものかもなぁ。
あれほど捻じ曲がるには、どんな目に遭えばそうなるのか皆目見当がつかない。
「そして、何故という理由は分かりませんが、何をしようとするかは、なんとなく分かります」
「それが国を創る?」
「ええ。彼らの彼らによる彼らだけの国です。彼ら以外は人ではなく、彼らは唯一の人としてその国に君臨する。おそらく、そういう世界でしょう」
「こりゃまた酷い暗黒世界な合衆国だなぁ」
「おそらく……彼女たちもこの世界の真実に気づいているのでしょう」
「世界の真実?」
なにそれ。
そんなものがあるの?
「いつか、貴女にも言いましたよね。この世界は女神のおもちゃだと」
「ああ。それで女神を殺すって話になったよね。てか女神なんて最初に出てきたばかりで、とんと会っちゃいないけど」
「やはり、貴女もですか……」
「ん? どういう意味?」
「いえ、なんでもありません。それより長浜さん。この世界が女神のおもちゃだと聞いて、どう思いました?」
どうって言われてもなぁ。
もう女神とか顔すら覚えてないし。ぶっちゃけどうでもいいんだよねぇ。
んー……どう思ったか。
「女神が僕様たちプレイヤーをこの世界に投入して、どうなるかを見る、って感じかな。もうちょっと簡単に言うと……ゲームの中の世界みたいな感じ? わかんないけど」
「なるほど」
答えを聞いた煌夜陳は、深く考え込むようにして黙ってしまった。
「で? それがどうしたのさ?」
「もし、もしですよ。この世界が……この世界が真実の世界だと言われたら、貴女はどうしますか?」
意味が分からない。
この世界が真実の世界?
ここは今は確かに現実だけど、よくある異世界みたいなものじゃなく?
だったらこっちも真実だし、元の世界も真実だし問題ないんじゃないか?
「女神がおもちゃにしている世界。そしておもちゃにしているのは、我々プレイヤーも同様。もし、あの姉弟がそれを知ったのであれば、あるいは……」
「えっと、煌夜ちん。話が見えないんだけど? この世界の真実って何?」
「これは……すみません。忘れてください。私もちょっと考えすぎなところがあるかもしれません」
ふーん。ま、いっか。
それほどこの世界がどうなろうと、僕様には関係ないし。
「てか、珍しいね。煌夜ちんがそこまで自信ないなんて」
「私はいつも自信なんてありませんよ。臆病で、慎重で、必死なだけです。だからあの姉弟にも目を光らせなければならないのですが……」
「ん、まぁ分かった。とにかくその姉弟に問題ありそうで、元帥はそっちに向かったと。じゃあ僕様ちゃんはこのまま帝都にいた方がいいのかな?」
「はい、それをお願いしたく。あぁ、そういえば北はどうでした?」
「どうも何も。あんまり手ごたえはなかったかなぁ。いつもみたいに一方的に攻めて、適当なところで和睦して終わりだよ。ちょっちフラストレーション溜まる感じだから発散したかったけど、ま、しょうがないね」
「いえ、ありがとうございました。やはり北のことは貴女に任せておけば問題ありませんね」
「それで毎回呼ばれるのは勘弁だけどね。とにかく、兵たちを休ませながら臨戦態勢は整えておくよ」
「ええ。それでよろしくお願いします」
用件はそれで終わりらしい。
煌夜ちんが立ち上がるとそのまま部屋の外へ。麗明っちもそれに続いて立ち上がりこちらに会釈をしてくる。
なーんか、変だよなぁ。
はっきりしない煌夜ちんも、なにを考えてんのかわかんない麗明っちも、動きすぎる元帥も。
そしてもちろんあの双子も。
全員が何を考えてるのかよくわかんない。
何かに突き動かされているようで、何かに焦らされているようで、何かが変だ。
「女神のおもちゃ、か」
あるいはそれか? それに突き動かされているのか?
なーんてね。
もう、煌夜ちんが変なこと言うから意識しちゃったじゃないか。
別にそうだろうと僕様には関係ない。
突き動かされようが、焦らされようが僕様は僕様。
やることはもう決まっている。
みんなが何かに突き動かされる中、確固たる自分をもって動いている人物。
ジャンヌ・ダルク。
北へ東へ南へ西へ。
本当によく動く。
だからこそ、僕様の好敵手にふさわしい。
僕様はそのまま部屋の奥に。
今は留守のこの部屋の主が使っている豪奢な椅子に深々と腰を落ち着けた。
「第一ラウンドはジャンヌ・ダルクが取った。第二ラウンドは……さてさて、椎葉ちんが逆襲するか、それともジャンヌ・ダルクがまたまた勝つのか。それとも元帥が間に合うのか、あるいはあの双子が何か仕掛けるのか。ふふっ、しばらくは高みの見物でもさせてもらおうかな」
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