精霊術学院の死霊魔術使い

ワガドゥー男子

文字の大きさ
31 / 196

第30話:クレアリスと合流、そして謎の通告

しおりを挟む

オードリーの視点:



「オケウエー……頑張ったわね」



深い眠りに落ちたようなオケウエーの無防備な寝顔を見てると、なんかほっこりするというか、あたくしに討伐できなくて彼に討伐できたっていうさっきのバケモノの件に関して、オケウエーに対する『精霊術使いの先輩』として初めて嫉妬みたいなものを同時に感じる複雑な気持ちを抱くようになるわよね………



「でも、助けてくれた時のあの彼の優しい見下ろしてる姿……」



あの時、巨人の世界獣の手首を切り落とした後の彼にお姫様抱っこで抱きかかえられた時、



「~~~~!?~~~」



思い出しただけで、胸が雷に打たれたようなきゅんとした感覚を覚え、顔や頭もなんかゆで蛸みたいにか~っと熱くなって、これらは15歳まで生きてきた人生の中で初めて感じるものなの。



「あたくし……どうしちゃったのよ……。ただのバカ南黒人オケウエーの癖になんて!……なんてかっこいい姿してくれたのよーー!!もう~!」



やっぱり気に入らない。散々あたくしの胸をああも力強く鷲づかんできたた癖に、何いきなり1週間経ってきただけであたくしに対してヒーロ気取りしてくれてるのよー!ふーん!



考えれば考えるだけで益々自分の内に芽生えたこんなおかしくて複雑で訳の分からない感情の実体が掴めず、頭から思考を追い出そうとしてこれからどうするか切り替えようとした途端、



ターー!



「戻ったきたのよ、オードリー。サリシャの索敵能力を通して、とてつもない莫大な【反人力】の波動を遠くからでも感じ取って、急いでここの階層まで昇ってきたけれど、って、オケウエー君はどうしたの?」



宙から着地してきたのは……あ!



「クレアリスーー!?あんた、今までどこで何してたのよーー!?さっき、触手に絡めとられ、穴へと引きづり込まれたじゃないー!ここまで昇ってきたということはまさか、一人だけであんなバケモノの本体を倒せたっていう訳ーー!?」



「ふふふ……まあ、そんなところかしらね。でも、『うちら二人だけ』の力じゃないわね。『助っ人』も討伐に手伝ってくれたけれど、今のところは詳細を話せないの。『契約』に違反するからね」



「……そう。まあ、あんたがそういうのなら、詮索はしないけれど。でも、……無事なら良かったわよ!……チームメイトとしてね!別にあんたとはそこまで親しい『友達』の間柄でもないしね、ふーん!」



「ふふ、お気持ちだけ受け取らせてもらうよ。じゃ、そこにオケウエー君が倒れたってことはさっき感じた巨大な世界獣を彼が渾身の力で倒しちゃったから疲れて気絶してるって推察できたけれど、そうなのね?」



「まあ、……そんなところよ。で、でも、さっきの戦いで、別にそこまで苦戦してないつもりなのにいきなりあいつが戻ってきたから、活躍の場を奪われた気分だわ、ふーん!」



なるべく、自分の無様なところをクレアリスにだけは知られたくないからね。彼女は外国出身の貴族だから、このレイクウッド王国を代表する四大貴族のあたくしとして、これ以上他所からのスパイになり得るかもしれない彼女にだけは弱みを見せたくないだけだわ。



「ふふ、そういうなら分かる気がするのね。ん?彼の側には綺麗な真っ白い剣がー」



パチイイイィーーーーーーーーンング!!!!



「「ーーーえ!?「あら?」」



オケウエーが使っていた……確か、あいつの【愛の大聖霊】の『武器化した姿(ウェポナイーゼッド・フォーム)』でバスタードソードの形してる剣っていう…それが!いきなり眩しく光ってたかと思えばー



『どうも、……チームオケウエーのみんな。自分はイーズ……愛の大聖霊、......イーズベリアだよ』



「「ーーー!?」」



…………



う、うそ………



この儚い顔してる幼い少女が……あの【愛の大聖霊】の真体姿(トゥール・フォーム)だっていうのー?華奢な四肢が包帯に巻かれ、お腹と太ももだけ見えてるなんて……それに、胸のところもちょっと見えそうだし、……な、なんて聖霊持ってるのよ、オケウエーの変態!



その煽情的な姿してる『聖霊』に、慌てて自分の制服のブレーザーを彼女に被せているあたくし。



この子がなんで具現化したかって考えると、多分、『契約人間』であるオケウエーが殆どの聖魔力を使い果たしたっぽいから気絶したことに関連して、契約精霊であるこの子があいつからの聖魔力の供給が一時的に断たれて、 ウェポナイーゼッド・フォームを維持できなくなったわよね!



そして、契約した人間にしか『人間の言葉』を聞かせてくれない精霊だという常識があるんだけど、『3体の大聖霊』は普通の精霊じゃないからその常識に当てはまらないわよね!



普通の精霊を持ってるあたくしなら、体内にベネを聖魔力の一部として宿すことができるけれど、3体の大聖霊達はそうじゃないみたいなのねー!原理も体質、本質も違うし………



それから、軽い会話を交わしたあたくし達3人は20分の休憩の後、オケウエーの身体をクレアリスと協力して運んでいきながら、一旦ジュディ達へと合流すべく、あの通路に向かっていったわ!



…………………



「うぐっ……やっぱり男の子だわ、オケウエーはー!気絶してたら重いったらないわよー!」



「ふふ……肩で担ぐの難しいなら、お姫抱っこしてあげたらー?」



「冗談じゃないわよ、そんなのー!誰がするもんか、そんなことー!?」



確かに、契約精霊持ちのあたくしは強靭な肉体を持つようになったけれど、それでもそれがあくまでも精霊魔術や魔術といった非物理的な技に対してもっとも耐性が強い。



それでも物理耐性なら、衝撃に対してだけ強くても腕力まではさほど上がらないので、身体能力強化を使わないと、こんなふうに男の子一人の身体を肩に全身を担いでみてもキツイわよーー!!蹴るのと担ぐのと、負担の仕方がこんなにも違うわよねー!



ん?通路まで少し着きそうだけど、あそこに壁の破片が一欠けら転がってるようだけれど、え?そこに文字みたいなのが見えるー?



よくよく目を凝らしてみると、ここからの位置からだと、あたくしが『読んでしまった』ものはただ、こういう言葉だけ:



Nealmariere von Drenfield



The one who will bring destruction to the land of Gjallarholtz



(ニールマリエー・フォン・ドレンフィールド)



( ギャラールホルツに破滅を齎す者)




…………………



(ーーー!!?お姉様ーー!!?…わけの分からない中傷だけれど、誰が書いたのよーー!!?)



その言葉を見て動揺を覚えてしまったあたくしがその破片を持ち帰ろうかどうか思案してるところに、



「オードリー?いきなり止まってるようだけれど、何かあったの?」



はっ!?



クレアリスに自分の停止してるとこが変に思われたか、あそこから自身の契約精霊であるフクロウと何か内緒話でもしていたか、ずっと宙に浮遊してきたそれと視線を交わし合ったばかりなのに、あたくしがこうも長く『破片に記されてる言葉』を凝視してたからなのか、気づかれてそう訪ねられたわね。



「………ううん、何でも…ないわよ。さあ、行こうー?」



「ふふ、先にどうぞ?」



「あ、…まあ、いいわ。指図きくのは癪だけれど、今早く景色が変わるあの通路に入って『気分転換』でもしたいわね」



「いいのよ。うちが殿で、ふふ」



心なしか、先に歩こうとしたところに、クレアリスを横から通り過ぎる時にちょっとだけそちらへ横目を流してしまったら、彼女から何か意味深な冷笑が一瞬見えてしまった気がするのだけれど、気のせいじゃないかしらー?



まあ、それにしても……別にあの破片の言ってることを真に受けてはならないし、持ち帰る必要もないというか……取り合えず、気分を切り替えようーー!うん!



頭の中に芽生えてしまった迷いを追い出すように、ヒルドレッド達と合流すべく真っ直ぐ通路へと入っていくあたくしだった。




……………………………………




……………………



「けけけかかーー!!計画が順調に進んでいってるようで、『あの方』もきっと喜ぶだろう、けかかかーー!!そして、あの男も相変わらずの成長速度抜群で興味深いんだね!けけけ………さて、これからも忙しくなるし…我も征くとするかー」



遥か前方にいる二人は気づかないし、知る由もないだろう。



後ろの中空に一は人だけ浮遊してる、仮面を被る黒髪の男が自分達の歩行を観察しているところに関して。



気配を悟られないように何かしたのか、クレアリスの精霊からの『索敵機能』と彼女の側に黙々と歩いてるだけのイーズベリアからも何か異変を察知した様子もないままに、あの仮面の男はただ思うがままに彼女達をどこまでも観察していく素振りを崩さないように、尾行していることをやめない様子であった。




……………………………………………




……………………




__________________________________
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

学年一可愛いS級の美少女の令嬢三姉妹が、何故かやたらと俺の部屋に入り浸ってくる件について

沢田美
恋愛
名門・雄幸高校で目立たず生きる一年生、神谷悠真。 クラスでは影が薄く、青春とは無縁の平凡な日々を送っていた。だがある放課後、街で不良に絡まれていた女子生徒を助けたことで、その日常は一変する。救った相手は、学年一の美少女三姉妹として知られる西園寺家の次女・優里だった。さらに家に帰れば、三姉妹の長女・龍華がなぜか当然のように悠真の部屋に入り浸っている。名門令嬢三姉妹に振り回されながら、静かだったはずの悠真の青春は少しずつ騒がしく揺れ始める。

【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】 【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】 ~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~  ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。  学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。  何か実力を隠す特別な理由があるのか。  いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。  そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。  貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。  オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。    世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな! ※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。

陰キャ幼馴染に振られた負けヒロインは俺がいる限り絶対に勝つ!

みずがめ
恋愛
★講談社ラノベ文庫新人賞佳作を受賞しました!  杉藤千夏はツンデレ少女である。  そんな彼女は誤解から好意を抱いていた幼馴染に軽蔑されてしまう。その場面を偶然目撃した佐野将隆は絶好のチャンスだと立ち上がった。  千夏に好意を寄せていた将隆だったが、彼女には生まれた頃から幼馴染の男子がいた。半ば諦めていたのに突然転がり込んできた好機。それを逃すことなく、将隆は千夏の弱った心に容赦なくつけ込んでいくのであった。  徐々に解されていく千夏の心。いつしか彼女は将隆なしではいられなくなっていく…。口うるさいツンデレ女子が優しい美少女幼馴染だと気づいても、今さらもう遅い! ※他サイトにも投稿しています。 ※表紙絵イラストはおしつじさん、ロゴはあっきコタロウさんに作っていただきました。

処理中です...