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第42話:切り札
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「お、オケ…ウエー……あ、あたくしー」
「もう大丈夫だ、オードリー。もう痛んだりはしなくなっただろう?俺が着いたからには絶対にお前のことも守るし、お前のお姉さんのことも俺が絶対に救出してみせるから、もう安心して寝てていいよ?」
「……は、はいー、そう…さ…せて…もらうわ…ねー………」
ゴド――!
「(むふ~!?むす~)《オードリー!大丈夫なのー!?》」
少しだけ振り向いてみると、確かにさっきの柱にいたことで感じた強烈な痛みのような感覚に苛まれていただろうオードリーがそれで聖魔力量の殆ども吸収されていったか、脳内が感じた激痛で精神的な疲労と神経的ダメージが入ったからか理由は定かではないが、すぐに疲労困憊な表情を見せた後、力尽きて気絶してる模様。
オードリーのお姉さんもなんか彼女のことが心配のようで、首を左右に揺らして何かを訴えかけようとしている様子だ。
「ヒーローごっこはもう終わりか、黒ボイー旦那よー?」
「黒ボイー旦那?」
「はーっ!なにも驚くことのない呼称なんだろうー!?てめえは精霊術学院において唯一、フェクモからの出身者なんだぜー?【南地不干渉条約】にて、本来この大陸で姿を見ることが出来なかったフェクモ出身者のてめえがそこで『希望の才女』とも呼ばれてたクソ女をも決闘で打ち負かした本人なんだから、てめえをこう呼ぶことは一応、てめえの見るに堪えない黒い皮膚を罵倒しつつも優れてる実力の方も認めるって混合された呼称にしたんだから何の疑問がー」
「一々五月蠅いな、お前。それとも何か、お前こそが正義の鉄槌を下す側だから、オードリーに過去からの恨みがあるだろうその口ぶりからして、悦に浸ってるってだけなんじゃないのか?」
「はーっ!てめえこそ一々口が減らない黒ボイー野郎がよーお!だが、あまりアタイを怒らせないでくれよなあー?コイツの命が惜しければ、今すぐその場で聖剣を捨て、そしてー」
タ――ン!
パチー―――!
「中へ入りなー!」
何かの小銭をそこで投げ出してきたかと思えば、指を鳴らした銀髪の犯人は小銭を爆発させ、その後に円筒形の柱が形成された。
「…断るって言ったら?」
「おい、おい、おいー!フェクモ出身者の基本的な知能指数がどれ程のものか知らんが、今この状況の正確な判断が出来ない訳じゃねえーだろう、さすがによおー?もう一度いうぜ、この女の命が惜しければ、今すぐその柱の中へ入れってんだよーー!!この刃は特別性で、アタイを殺してもー」
カチャ―――ック!
「これでいいだろう?最初に」
聖剣を地面に刺して、丸腰であることをアピールするように両手を上げると、
「は!ははは!それでいい、それでいい、黒ボイー旦那!じゃ、その柱の中ー」
「なんちゃってー」
カチャ―ック!
銀髪っ子の指示を無視するように聖剣イーズベリアを床から抜き取って、手で握っているこれを彼女の方へ向けて指すと、
「もうお前からの指示は一切聞かないし、従わないよ。どうそ好きにやってくれ」
「おいーー!!そんなバカなー!この状況下において、そんな愚劣な行動が本当にできるとはつくづく単細胞なフェクモ人らしいってところだなーーー!!だがアタイもはったりで忠告した訳じゃーない!5秒数えたら、いう通りに柱の中へ入らないと本当にこの女、お前の良くつるむようになったオードリーの姉ちゃんを頭から真っ二つにしてやるからなーーー!!」
「(むふ~!むふ~)《あたしに構わずにこの人を止めてくださいー!どうせこの身体になっていつも妹を困らせるばかりだし、あたしがどうなっても構わないわよー!》」
あの銀髪女、マジで五月蠅いようだからもうすぐにこの茶番を終わらせてやることにするぞー!オードリーの姉さんもこんな膠着した対峙が気にくわないみたいだし、一気に片を付けるーー!
「5-ー!」
ター!
なんとなく、聖剣を握り持っているままに柱の近くへ歩こうとすると、
「だから先に剣を捨てろって言ったろうがーー!!4-ー!!」
ター!
「3-ー!」
ター!
「剣を捨てないと今すぐコイツをー」
「もういいよ?」
「え?」
「焼くなり、煮るなり、どうぞご自由にしてくれー!そいつを殺したければ、好きにしてどうぞ?」
「……はっ!」
「……」
「ははっ!あーはははははははははは~~!!!どうやら、フェクモからの黒ボイー旦那はつい頭がいかれちまってきてるようだな、あ~ははははははははーーー!!!あはははは!だがいいだろう、望み通りに、コイツを地獄送りにしてやるから覚悟しろよなー!せやーーー!!!」
カチ――――――――ン!!
そう告げたと同時に、彼女の手の中で持ってる機器で操作したのか、ニールマリエーの頭の上で突出してる刃が力強い音を鳴らして、一瞬の振り下ろしでもしてたように下へと落とされているがーーー!!
シュゥゥ……………
貫通せず、ニールマリエーの金髪がいっぱい詰まってる頭の上で止まっているだけで、一向に切り裂ける様子を見せないままであるーーー!!
「ば、バカな―――!!?この刃はアタイの特別製のはずーー!!アタイの聖魔力までもが纏われてる魔道兵器の刃で、切り裂けないはずがーー!?」
「困惑してるようだが、よく彼女の頭部を見てみるといいぞ?」
「なーー!?」
そう。
ニールマリエーの頭部には刃と触れている箇所すべてに、点滅しているように光り輝いていて、まるで防壁さながらにして刃の切り込む余地を与えない様を見せている様子だ。
さて、種明かしと行こうかー。
「【聖封第4、遺伝子直系接続防御魔壁(ジーネティック・ダイレクトライン・オブ・コネクテッド=ディーフェンシーヴマジックヲール)】 ー!防衛したい対象の身体の一部をこちらが持っている場合、この聖霊魔術を使うと、本体へと繋がるような接続された防御の魔壁を形成させ、敵の攻撃から守り通すことができる便利な魔技だ!遺伝子直系に頼る要素もあるので、たとえ俺がただオードリーの髪の毛を持っていても、同じ家系にして直系の遺伝子を持っている姉であるニールマリエーの身体にも通じるよう防御魔壁が形成できるーー!」
オードリーの部屋に入った時、銀髪の子の髪の毛だけじゃなくて、オードリーのも見つけられたからそれも持ってきているんだ。
もっとも、この聖霊魔術を発動できる条件としては術者である俺が守る対象から300メートル以上離れない距離にいるのが必須だけどな!
「(むーふ~!むーふ~~!!)《や、やった~~!やっぱりオードリーの言ってた通りに、お強い男子のようで妹にとっての良い掘り起こしものだわ~~!あたしのこともこうして守れているし、ドレンフィールド家が再建するのにぴったりな人材じゃない~~!?≫」
「ーーな!ななななーー!!?一体全体なにがどうなってんだよーーー!!?愛の大聖霊と契約してることは既にクレガーキール様 から聞いていたが、まさかそんな万能級な隠し玉を持っているとはーーー!?くっ!だがな!刃で殺せぬなら、アタイが直々に自らの手で殺してみるだけのことだーー!!!【身体能力強化、5倍】ーーーー!!!!」
ぷちー!ぷちぷちーーー!!!ぷちーーーーーー!!!!
ほう。
【身体能力強化】って魔術が大の得意なのか、俺達がいつも使っていたそれのと5倍以上までも身体能力を上げられて、筋肉がもりもりに盛り上がってきてるようになってるから服もあっちこっちの箇所がぷつんって綻んでしまい、肌の露出がもっと高めな格好になっているようだ。
「これで、コイツも息絶えるまで絞め殺してやー」
「いいや、死ぬのはー」
「(むーふ!?むゥ~~~?)」
先に、ニールマリエーに向かって剣の切っ先をここから突き付けてから指向性ビームが彼女に当たった後、彼女を眠らせながら対象となったニールマリエーを指定した場所へと転移できる【聖封第5、安全転移睡眠20分後全快(セーフプレース=テレ―ポート・アンド・トゥーエンティーミニットスリープ=フール・リーカバリー)】で以って、眠らせたニールマリエーを俺がついさっき見ていた屋敷の外へと転移してやった。もちろん、この聖霊魔術にも拘束具が対象の身体にくっついたら巻きついてても強引にひっぺがしたり消滅させることもできる。そして今度は銀髪の外道女に対してーー!
ぐちゅううーーーーーーーーーーー!!!!!
ゴドーゴド――!
「お前の方だ」
そう。
傍から見れば、何が起こったのかさっぱり分からなかっただろう。
何故なら、いきなりあの筋肉もりもりになっている銀髪少女がどういうわけか、頭が上から力強い圧力にでも晒されるようにして『見えない何か』によって首から『剥がれ出されていって』、頭部が斬首されたように投げ出され床にころころと転がっているからだ。
変に思うなら、荒唐無稽に見えるならば無理もないだろう。
…………だって、
今の俺は【聖封第2、広範囲悪滅大聖域(ラージュ=スケール・イビルデストロイング・ホリーエリア)】 という強力な結界をついさっき張っておいたから、この辺り一帯にいくつかの『魔術発動探知機』が死角となってる箇所で隠れて設置されようとも、地中に埋め込まれ発見しにくいところにあっても、この結界の範囲内にさえ入っていれば、普段通りの機能を発揮できず、結界内で発動される如何なる魔術であろうとも探知できなくなり、情報を管理人側である王国の【魔術発動権管理省】に漏れ出ることがなくなったのだ。
だから、こうして俺は安心して、【呪殺秘術(ブードゥー)】というもっとも強力な【死霊魔術】を使うことができた。後ろ手で人形をいじってたから、あの銀髪の子があそこから見ると、こっちが何かしていたのか確認することもできないまま死ぬことになったんだね。
相手の身体の一部さえ手に入れられればそれを指定した人形に装着させ、まるでそれが本人であるかのように拷問とかしても現実世界にいる相手の身体と同じ部位を痛めつけられる魔術。
つまり、例えば人形の心臓に当たる部分を何かで貫き通せればリアルの相手の心臓も差し穿ったと同じ効果をもたらす。
もちろん、人形の頭部を剥がしても現実世界にいる本人の頭も首からもがれたかのように死ぬ。この魔術は残虐極まりないので、あまり使いたくはないけれど、相手も殺人を企むような残酷で卑劣そのものの人物のようなので、躊躇わずにぶっ殺すことにした!
ちなみに、この【死霊魔術】のもっとも優れてる特徴は、対象となる者の聖魔力がどれほど多かろうと、どれほどの熟練度の高い魔術使いや精霊術使いであろうとも、そいつらの身体の一部を俺の手に落ちたが最後、もう成す術もなく俺の術中だ!だが卑劣だなって思ったこともあったので、特別に外道だって認定できる者にしか使わないように決めたことがある。
つまり、目の前で地面に転がっているその頭部の持ち主だった者が、それほど俺が外道として認識し、許さないことをしたからああなっているってこと!
これにて、外へ転移させたニールマリエーの救出が完了ーっと!
俺が死霊魔術使いであるとオードリーのお姉さんにバレたくないから、【聖封第5、安全転移睡眠20分後全快】にて先に眠らせて外へ転移してやったって訳だ。
元々は乱戦状態の戦場から重要人物や負傷した者を離脱させるために利用する聖霊魔術の類だそうだってイーズに教えられた。
但し、転移できる場所は術者が既に目で見たことあるところにしか転移できないので、気をつけて使わなければならない。
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「……は、はいー、そう…さ…せて…もらうわ…ねー………」
ゴド――!
「(むふ~!?むす~)《オードリー!大丈夫なのー!?》」
少しだけ振り向いてみると、確かにさっきの柱にいたことで感じた強烈な痛みのような感覚に苛まれていただろうオードリーがそれで聖魔力量の殆ども吸収されていったか、脳内が感じた激痛で精神的な疲労と神経的ダメージが入ったからか理由は定かではないが、すぐに疲労困憊な表情を見せた後、力尽きて気絶してる模様。
オードリーのお姉さんもなんか彼女のことが心配のようで、首を左右に揺らして何かを訴えかけようとしている様子だ。
「ヒーローごっこはもう終わりか、黒ボイー旦那よー?」
「黒ボイー旦那?」
「はーっ!なにも驚くことのない呼称なんだろうー!?てめえは精霊術学院において唯一、フェクモからの出身者なんだぜー?【南地不干渉条約】にて、本来この大陸で姿を見ることが出来なかったフェクモ出身者のてめえがそこで『希望の才女』とも呼ばれてたクソ女をも決闘で打ち負かした本人なんだから、てめえをこう呼ぶことは一応、てめえの見るに堪えない黒い皮膚を罵倒しつつも優れてる実力の方も認めるって混合された呼称にしたんだから何の疑問がー」
「一々五月蠅いな、お前。それとも何か、お前こそが正義の鉄槌を下す側だから、オードリーに過去からの恨みがあるだろうその口ぶりからして、悦に浸ってるってだけなんじゃないのか?」
「はーっ!てめえこそ一々口が減らない黒ボイー野郎がよーお!だが、あまりアタイを怒らせないでくれよなあー?コイツの命が惜しければ、今すぐその場で聖剣を捨て、そしてー」
タ――ン!
パチー―――!
「中へ入りなー!」
何かの小銭をそこで投げ出してきたかと思えば、指を鳴らした銀髪の犯人は小銭を爆発させ、その後に円筒形の柱が形成された。
「…断るって言ったら?」
「おい、おい、おいー!フェクモ出身者の基本的な知能指数がどれ程のものか知らんが、今この状況の正確な判断が出来ない訳じゃねえーだろう、さすがによおー?もう一度いうぜ、この女の命が惜しければ、今すぐその柱の中へ入れってんだよーー!!この刃は特別性で、アタイを殺してもー」
カチャ―――ック!
「これでいいだろう?最初に」
聖剣を地面に刺して、丸腰であることをアピールするように両手を上げると、
「は!ははは!それでいい、それでいい、黒ボイー旦那!じゃ、その柱の中ー」
「なんちゃってー」
カチャ―ック!
銀髪っ子の指示を無視するように聖剣イーズベリアを床から抜き取って、手で握っているこれを彼女の方へ向けて指すと、
「もうお前からの指示は一切聞かないし、従わないよ。どうそ好きにやってくれ」
「おいーー!!そんなバカなー!この状況下において、そんな愚劣な行動が本当にできるとはつくづく単細胞なフェクモ人らしいってところだなーーー!!だがアタイもはったりで忠告した訳じゃーない!5秒数えたら、いう通りに柱の中へ入らないと本当にこの女、お前の良くつるむようになったオードリーの姉ちゃんを頭から真っ二つにしてやるからなーーー!!」
「(むふ~!むふ~)《あたしに構わずにこの人を止めてくださいー!どうせこの身体になっていつも妹を困らせるばかりだし、あたしがどうなっても構わないわよー!》」
あの銀髪女、マジで五月蠅いようだからもうすぐにこの茶番を終わらせてやることにするぞー!オードリーの姉さんもこんな膠着した対峙が気にくわないみたいだし、一気に片を付けるーー!
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「だから先に剣を捨てろって言ったろうがーー!!4-ー!!」
ター!
「3-ー!」
ター!
「剣を捨てないと今すぐコイツをー」
「もういいよ?」
「え?」
「焼くなり、煮るなり、どうぞご自由にしてくれー!そいつを殺したければ、好きにしてどうぞ?」
「……はっ!」
「……」
「ははっ!あーはははははははははは~~!!!どうやら、フェクモからの黒ボイー旦那はつい頭がいかれちまってきてるようだな、あ~ははははははははーーー!!!あはははは!だがいいだろう、望み通りに、コイツを地獄送りにしてやるから覚悟しろよなー!せやーーー!!!」
カチ――――――――ン!!
そう告げたと同時に、彼女の手の中で持ってる機器で操作したのか、ニールマリエーの頭の上で突出してる刃が力強い音を鳴らして、一瞬の振り下ろしでもしてたように下へと落とされているがーーー!!
シュゥゥ……………
貫通せず、ニールマリエーの金髪がいっぱい詰まってる頭の上で止まっているだけで、一向に切り裂ける様子を見せないままであるーーー!!
「ば、バカな―――!!?この刃はアタイの特別製のはずーー!!アタイの聖魔力までもが纏われてる魔道兵器の刃で、切り裂けないはずがーー!?」
「困惑してるようだが、よく彼女の頭部を見てみるといいぞ?」
「なーー!?」
そう。
ニールマリエーの頭部には刃と触れている箇所すべてに、点滅しているように光り輝いていて、まるで防壁さながらにして刃の切り込む余地を与えない様を見せている様子だ。
さて、種明かしと行こうかー。
「【聖封第4、遺伝子直系接続防御魔壁(ジーネティック・ダイレクトライン・オブ・コネクテッド=ディーフェンシーヴマジックヲール)】 ー!防衛したい対象の身体の一部をこちらが持っている場合、この聖霊魔術を使うと、本体へと繋がるような接続された防御の魔壁を形成させ、敵の攻撃から守り通すことができる便利な魔技だ!遺伝子直系に頼る要素もあるので、たとえ俺がただオードリーの髪の毛を持っていても、同じ家系にして直系の遺伝子を持っている姉であるニールマリエーの身体にも通じるよう防御魔壁が形成できるーー!」
オードリーの部屋に入った時、銀髪の子の髪の毛だけじゃなくて、オードリーのも見つけられたからそれも持ってきているんだ。
もっとも、この聖霊魔術を発動できる条件としては術者である俺が守る対象から300メートル以上離れない距離にいるのが必須だけどな!
「(むーふ~!むーふ~~!!)《や、やった~~!やっぱりオードリーの言ってた通りに、お強い男子のようで妹にとっての良い掘り起こしものだわ~~!あたしのこともこうして守れているし、ドレンフィールド家が再建するのにぴったりな人材じゃない~~!?≫」
「ーーな!ななななーー!!?一体全体なにがどうなってんだよーーー!!?愛の大聖霊と契約してることは既にクレガーキール様 から聞いていたが、まさかそんな万能級な隠し玉を持っているとはーーー!?くっ!だがな!刃で殺せぬなら、アタイが直々に自らの手で殺してみるだけのことだーー!!!【身体能力強化、5倍】ーーーー!!!!」
ぷちー!ぷちぷちーーー!!!ぷちーーーーーー!!!!
ほう。
【身体能力強化】って魔術が大の得意なのか、俺達がいつも使っていたそれのと5倍以上までも身体能力を上げられて、筋肉がもりもりに盛り上がってきてるようになってるから服もあっちこっちの箇所がぷつんって綻んでしまい、肌の露出がもっと高めな格好になっているようだ。
「これで、コイツも息絶えるまで絞め殺してやー」
「いいや、死ぬのはー」
「(むーふ!?むゥ~~~?)」
先に、ニールマリエーに向かって剣の切っ先をここから突き付けてから指向性ビームが彼女に当たった後、彼女を眠らせながら対象となったニールマリエーを指定した場所へと転移できる【聖封第5、安全転移睡眠20分後全快(セーフプレース=テレ―ポート・アンド・トゥーエンティーミニットスリープ=フール・リーカバリー)】で以って、眠らせたニールマリエーを俺がついさっき見ていた屋敷の外へと転移してやった。もちろん、この聖霊魔術にも拘束具が対象の身体にくっついたら巻きついてても強引にひっぺがしたり消滅させることもできる。そして今度は銀髪の外道女に対してーー!
ぐちゅううーーーーーーーーーーー!!!!!
ゴドーゴド――!
「お前の方だ」
そう。
傍から見れば、何が起こったのかさっぱり分からなかっただろう。
何故なら、いきなりあの筋肉もりもりになっている銀髪少女がどういうわけか、頭が上から力強い圧力にでも晒されるようにして『見えない何か』によって首から『剥がれ出されていって』、頭部が斬首されたように投げ出され床にころころと転がっているからだ。
変に思うなら、荒唐無稽に見えるならば無理もないだろう。
…………だって、
今の俺は【聖封第2、広範囲悪滅大聖域(ラージュ=スケール・イビルデストロイング・ホリーエリア)】 という強力な結界をついさっき張っておいたから、この辺り一帯にいくつかの『魔術発動探知機』が死角となってる箇所で隠れて設置されようとも、地中に埋め込まれ発見しにくいところにあっても、この結界の範囲内にさえ入っていれば、普段通りの機能を発揮できず、結界内で発動される如何なる魔術であろうとも探知できなくなり、情報を管理人側である王国の【魔術発動権管理省】に漏れ出ることがなくなったのだ。
だから、こうして俺は安心して、【呪殺秘術(ブードゥー)】というもっとも強力な【死霊魔術】を使うことができた。後ろ手で人形をいじってたから、あの銀髪の子があそこから見ると、こっちが何かしていたのか確認することもできないまま死ぬことになったんだね。
相手の身体の一部さえ手に入れられればそれを指定した人形に装着させ、まるでそれが本人であるかのように拷問とかしても現実世界にいる相手の身体と同じ部位を痛めつけられる魔術。
つまり、例えば人形の心臓に当たる部分を何かで貫き通せればリアルの相手の心臓も差し穿ったと同じ効果をもたらす。
もちろん、人形の頭部を剥がしても現実世界にいる本人の頭も首からもがれたかのように死ぬ。この魔術は残虐極まりないので、あまり使いたくはないけれど、相手も殺人を企むような残酷で卑劣そのものの人物のようなので、躊躇わずにぶっ殺すことにした!
ちなみに、この【死霊魔術】のもっとも優れてる特徴は、対象となる者の聖魔力がどれほど多かろうと、どれほどの熟練度の高い魔術使いや精霊術使いであろうとも、そいつらの身体の一部を俺の手に落ちたが最後、もう成す術もなく俺の術中だ!だが卑劣だなって思ったこともあったので、特別に外道だって認定できる者にしか使わないように決めたことがある。
つまり、目の前で地面に転がっているその頭部の持ち主だった者が、それほど俺が外道として認識し、許さないことをしたからああなっているってこと!
これにて、外へ転移させたニールマリエーの救出が完了ーっと!
俺が死霊魔術使いであるとオードリーのお姉さんにバレたくないから、【聖封第5、安全転移睡眠20分後全快】にて先に眠らせて外へ転移してやったって訳だ。
元々は乱戦状態の戦場から重要人物や負傷した者を離脱させるために利用する聖霊魔術の類だそうだってイーズに教えられた。
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気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
12/23 HOT男性向け1位
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