精霊術学院の死霊魔術使い

ワガドゥー男子

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第129話:オケウェーがジュディのために出来ること

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マックミュレーンの視点:



「シェリアサンーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!」



【ロンドヴァスト大魔城】を飲み込んだように広がっている三角形と四角形が重ね合わさったオーラを見てしまったジュディは直ぐにシェリアと過ごした心安らぐ時間が思い出され、如何に彼女が自分の心の支えになってくれていたことかが再認識させられる瞬間だった!



「ジュディちゃん……」



強烈な臭い匂いを嗅げなくされた【混沌術】をシェリアにかけられているマックミュレーンはジュディの変貌した姿の今の腐臭を気にせずに抱きかかえることができるので、ジュディのシェリアに対する悲しい思いをただ黙って見守ることしか出来なかった。



だって、シェリアの尊い犠牲は、彼らを魔神から救う形になったのだから!



「(というか、後ろでシェリアさんが自己犠牲するような自爆系な混沌術を使っているようだけど、もし既に死んでいるのならば、彼女にかけてもらったこの強烈な匂いを嗅げなくした効果は解除されるはずだけど、もしかして混沌術というのは、我々人間や聖神が主に使っている精霊魔術、四元素魔術、物理法則魔術と違って、術者が死んでも発動した『魔技』が直ぐに解除されたり霧散されるのではなく、一定の時間を経てからでないと効果が切れたりしないの?



だったら、いつになったらこの臭い匂い嗅げなくなった効果が切れるんだろうな。



10分後?10時間後?



まあ、……考えてみても無駄かぁー。



今はここでジュディちゃんを下ろして、帰る準備をするために彼女の具合とか心境も確かめるべきだ!



ター!



「ジュディちゃん……」



「ウワアアァーーー!!シクシクー!ヒックー!シェリアサーン……ナゼ、……ナゼワタシタチトイッショニニゲテクレナインデスカ……」



ジュディちゃんを手下ろしながら、遠くの大魔城があったところにあるその巨大な【混沌術】が徐々に消えていくように3角形と4角形のオーラが霧散し始めるのを確認した。ジュディちゃんはまだシェリアさんが僕達を魔神の手から救うために犠牲になったことが耐えられないらしくて、泣きじゃくりながら両手を顔に持っていってつらく悲しんでいる様子だ。



「ジュディちゃん……お気持ちは分からないでもない……シェリアさんは心優しい【蛇人族】だということは疑いようのない事実。……だけど、彼女は僕達を魔神から逃がすために、…そして僕達が確実に人間界へと帰れるように自らを犠牲にしてまで魔神に対して自滅行為という並々ならぬ決断を選択したんだ。……だったら、彼女の意思を尊重して、ここは早く落ち着いて僕と一緒にここから出てきみの両親が待っているレイクウッド王国での家に帰らないかね?」



「シクシク…………タシカニカエリタイコトハヤマヤマ…………デモ、ワタシノハジメテノトモダチニナッタシェリアサンヲ……ナニモデキズニミゴロシニシテシマッタザイアクカン………ワタシガナニモデキナカッタコトガクヤシイ………カナシイ、……デス…」



「……なら、……彼女の犠牲、…シェリアさんの尊い決断を忘れないよう、……ここで!」



ガチャ――!



【異空間収納魔術】から取り出した、普通の【精練魔剣】を鞘から抜き取って、地面に突き立てたマックミュレーン!



「ここで、僕の剣を献上して、シェリアさんの魂の安らぎでもなれるように、奉納しよう!」



それだけいってジュディちゃんの方に手を置くと、



「帰ろう、ジュディちゃん!僕達の住むべき、元の世界である【人間界】のレイクウッド王国にー」



「……ソウ……デスネ……シェリアサン、……サイゴマデシェリアサンノ【エンギ】ニキヅカナカッタワタシノコトヲ……ユルシテクダサイ。トモダチノココロヲウタガッテシマッタコトモ、………ホントウニゴメンナサイデス…」



別れの言葉を死んでいったシェリアの魂に送ると、すぐさま立ち上がったジュディがマックミュレーンに支えられながら、そしてー



「【次元転移魔法陣(ヴィヴァルシア=エクトゥスメラーッハ)】ーーー!!」



色とりどりの魔法陣を出現させたマックミュレーンの【精霊魔術】を通して、一緒にレイクウッド王国の王都クレアハーツに帰っていったのだった!



もちろん、24時間後になってやっと元通りになったジュディの姿に戻ってから両親の元に帰ったことは言うまでもない。安い宿屋で一夜を過ごした後。無論、臭い匂いを嗅げなくされた混沌術の効果が切れた後でも、マックミュレーンは大量な香水や夥しい程の芳しい花々を買って、ジュディの泊まる宿屋の一室の隅々まで隈なくまき散らしながら匂いが外に漏れないようにしたりはした。それも、一番芳しい特殊にして極稀な【セニライズ花】も用いての対処方法で。






…………………………………………………………………





……………………………




………




現在の、オケウエーに真実を明かしている最中の寮でのジュディの部屋に時間が巻き戻る!




「それから、……【王都クレアハーツ】に帰ってきた私達でしたが、やっぱりあの……、一生のトラウマになった【あの変貌】の所為で、……人とまともに喋ったり目を向け合ったりすることも出来なかったその当時の私は、……自分の殻に引きこもり、当時は全てのことを話して知ってもらった両親達は私が一年間も初等学院への入学拒否を受け入れ、私のメンタル療養のためにママとだけ王都の外れにある小さな町の【ピアズール】へ二人だけ引っ越して、そこで取り決め通りに予めにマックミュレーンさんの用意してくれた、……【混沌波力の排除(ヴェリナクレス=ソロミー)】という【舌好き雌の無名ちゃん】の精霊魔術がかけられている家へと住まわせてくれました!……ママと二人で」



ジュディによると、【混沌波力の排除ヴェリナクレス=ソロミー】がかけられている範囲の建物や一か所には【混沌の波力】を【力の源】としている全ての魔神の侵入を阻める効果を持っているので、万が一にもアフォロ―メロがシェリアの自滅攻撃によって生き残れた場合でもそこを侵入され襲われる心配もないらしい!



何でも、その時はどうやらあの、後々呼ばれるようになった英雄的存在の……【激舌の壮麗男】、マックミュレーン・マック=グレガーが最初からそれを自分の買った【ピアズール】での一軒家にかけながら【神界】に行ったんだから、それで【混沌波力の排除ヴェリナクレス=ソロミー】と【次元転移魔法陣ヴィヴァルシア=エクトゥスメラーッハ】を短い間隔で立て続けに発動したことによって、万全な状態を保ちながら魔神アフォロ―メロと十分に戦えなかったのだという。



【ピアズール】での彼の一軒家には彼の妹も住んでいるらしくて、それで万が一に何か魔神からの報復でも恐れたか、ヤツの手下が襲ってこないようにかけたんだって。



無論、【混沌波力の排除ヴェリナクレス=ソロミー】も【悪意ある全てのものを中に入れさせない効果】もあるので、魔神に限らずたとえ世界獣、人間とか猛獣の動物、ひいては悪意ある聖神からの侵入と襲撃も防げるということらしい!



「もちろん、トラウマ一杯感じてしまったの、…その忘れ得ない最悪の事件から1年後も経つと、どういう訳かシェリアさんの自滅攻撃で死んでいたはずのアフォロ―メロが王都の王城に舞い降りて、エリシャ王女もその後に何人もの女性を攫っていく【最悪な1年間】の始まりがあったけど、修行をしていたあの頃のマックミュレーンさんが継続していつでも【混沌波力の排除ヴェリナクレス=ソロミー】にて守ってくれてたので、またもアフォロ―メロに攫われることがありませんでしたけどね……」



「……なる程…」



ジュディの話を聞いてやっと詳細なことが分かった。



「無論、それだけじゃ足りないと感じたマックミュレーンさんも結局は【最悪な1年間】の最中に、彼もそのピアズールの街に住みながら強力な【無名ちゃん】による結界精霊魔術の【大規模都市守護壁傍不視化防光ナヴァルドー・クレメンタイン】にて、その町がアフォロ―メロから見えないようにしてくれたんです。中にいる住民の【力の源】の気配も隠蔽できるものでしたから、それで魔神から気づかれる心配もありませんでした。



ですから、安心して2年間も私とママがあの町で暮らしたんです。まあ、トラウマの所為なのか、その期間中にマックミュレーンさんと彼の妹であるリリアやママとパパにしかまともに口を利けなかったんですけど……」



ほおおうー。2年間もその町から出ずに暮らしてたのかー?9歳までに。それに引きこもりにもなってた時期だったね。



無理もない話かぁー。トラウマを感じてしまった最悪な事件を経験したばかりの小さな幼女だったからな、当時のジュディは…。



「しっかしー。あの時、舌好きの~~、なんちゃって変な名前してる精霊から戦闘服を着せてもらった時のジュディ、……魔神と戦ってた時のジュディって結構勇敢だったんだねー!そして、何が『あなたを半殺しにします』ってー?明らかに7歳の幼女にしては物騒すぎる言葉なんじゃー?如何に最低な悪人の魔神が相手であろうとも!あれじゃ、まるでジュディの方こそが…」



オードリーじゃあるまいし、なんか想像もつかないね、小さなジュディの容赦ない警告って…



だから、その違和感について思うところがあった俺は冗談交じりに最後にああいう言葉を続けようとしたけど、はっとなり、言ってはいけないことを言ってしまったなぁって自覚した!ジュディにとっては!



「し、仕方なかったでしょう、オケウエーさん!…あの時、本当に汚すぎる牢屋に閉じ込められてたから戻されたくなかったんだもんー!何してもそんなことだけは精神的に、生理的にも受け付けないと強く嫌悪してた私が力を得てしまったので、一時的にキレて魔神に制裁を加えようって思っちゃってたんだもんー!7歳だから暴れられたんでしょうーー、もう!」



反論してきたジュディがむくれる様にぶんぶんと腕を振り回して俺にじゃれつく形で抗議の拳で俺の身体中を小殴りにしてきたらー



「わ、分かった!分かったから落ち着け―!ただ言ってみたかっただけで別にからかったり咎めるつもりはないからどうか許してくれないかー?」



「も、もう~!これ以上意地悪なことを言うとオケウエーさんにも口利いてあげないからねー!」



「ごめんごめん!傷つけられるような言葉を聞かせてしまったなら謝るから、それを詫びるために次にアイスでも飯でも奢ってどうか怒りを収めてくれないかな?」



「……まあ、……いいですけど…」



しゅんとなったジュディだけど、徐々に落ち着いてソッポを向きながら髪をいじるとー



「……それはそうとして、あの当時の話に戻ると、あれからどうなったー?ジュディのお父さんは王都に経営してたカフェーに一人で残して【ピアズール】にお母さんと引っ越していったんだから、彼のことは大丈夫だった?魔神に襲われないー?」



「ええ、彼はピンピンでしたよ。あの頃も今でも。だって、アフォロ―メロは女しか攫わないから、男一人暮らしの庶民で、重要人物でも王侯貴族でもない父を襲う理由がなかったんだもの」



それもそうかー。じゃー!



「魔神アフォロ―メロはー?なんでシェリアって【蛇人族】が纏ってたあの鎧の形してる【神話級の神器】を通して発動させたすごい【混沌術】を受けても生き残って人間界に降りてきたの―?そしてどうやって最後にマックミュレーンに倒されたんだー?」



「……それについても、私は知らないですよ?……もちろん、出来る限りならシェリアの仇を私がしたいとも思ってたんですよ?でも、……やっぱり私みたいな無力少女じゃどうにも……それに、彼は良くも悪くもマックミュレーンさんの倒すべき【使命】と【目標】みたいに感じましたし」



そうだったよね?



だって、魔神ともなると、たとえ愛の大聖霊イーズベリアと契約したばかりの今の俺でも魔神アフォロ―メロとまともに戦えるかどうか怪しいんだもんな……



伝説級の世界獣も討伐できることを証明していない今の時点で…!

ましてや【契約精霊】もない頃の無力な8~9歳少女だった頃のジュディなら尚更だな!



「じゃ、その【最悪の1年間】の末にマックミュレーンがアフォロ―メロ―を倒したということは既に聞かされた歴史話だったが、その時の最後の戦いの詳細なー」



コーンコーン!コーンコーン!



「時間切れですよ、オケウエー様!トンプソン様のお部屋にはもういられない時間帯ですね」



「「-!?」」



どうやら時間切れのようだ。



マティルダーさんが注意してきたので仕方なく話を切り上げるようにした俺達は仕方なく続きの話を明日からでも頼もうかと思いながら、マティルダーに伴われながら自分の部屋へと戻るために廊下を進んでいくとー



「あれでもお膳立てしたつもりでしたので、本来は30分だけ約束しましたが、何かと立て込んでいたお話をしていたかもしれないと直感で感じてしまった私が10分追加して好きにして上げましたよ」



やっぱりかー。



もっと長く話せたのは寮母さんが気を利かせてくれたので、本当に感謝の気持ちしか湧き来ずに、彼女には迷惑ばかりかけてたなって苦笑した瞬間だった。



彼女の気転と善意に恩返しするためにも次は何かプレゼントしようかと考えを巡らしたのだった。



それにしても、マティルダーに遮られたから会話を【あっち】に移行できなかったが、そういえばジュディのあの呪いって、………彼女のお腹を見せてくれた時のあのキモイ髑髏の入れ墨って、確かに古の魔神である【不潔なる醜顔悪臭クエラドリアス】がかけた呪いの証拠みたいなものだったけど、彼女の過去話から察するように、彼女が何者かによって口づけをされたら、醜い容姿、.....だけじゃなくて強烈な匂いも発するような姿へと変貌させられるそうだったが、だから極端にキスされるのを嫌がってたんだね、ジュディ!



道理で俺やあの犯人少女からキスされるのを避けたかったんだ!



トラウマ再燃のあの事件、……身体がまたも変貌するのを恐れたから!



でも、……身体への呪いが原因でああなってるかあーー



ジュディのそんな問題について、【死霊魔術使い】としての俺なら、何かしてやれないものかと部屋に戻って思案し始めていたのだった。



もしかしたら、【あれ】でも使って、ジュディの身体を……





…………………………





…………




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