異世界転移したけど王様がクズなので旅をします。〜邪神に選ばれし男は神へと至る〜

悪鬼さん

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古の島編

2度目の転移

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「……は?」
なんで海?俺は部屋にいた筈だぞ、なのになんで今目の前に海が広がってるんだ?
ザザン、ザザーンと海の音が聞こえる、日の光は眩しくて暑い、砂からは湯気が漂っている。
「夢…じゃなさそうだな…」
辺りを見渡すと、前方はただただ広い海、背後は密林のようだった。
「……罠だったってことか?いや…でもな…」
ゼロの強さならわざわざ俺を変な場所に飛ばさなくてもどうにも出来る筈だよな……じゃあなんのために?
「…考えても分からんし、雨風凌げる場所を探すか」
ぼっちは常に一人で考えて行動するから自己完結が早いのだ、これにおいてはぼっちの右に出る者は居ないだろう………なんか言ってて悲しくなってきた。





密林は視界が悪く、木の根や妙な植物のせいで足場も悪いかった。そして風の音や葉の擦れる音が煩く、周囲の音が聴こえにくい。
「取り敢えず洞窟があるかどうかだな…遠くにデカイ山があるが…流石に遠過ぎるな、……当てずっぽうかぁ…」
向かう方向を決まる為に辺りを見る為に止まると、気配察知に反応があった。

反応があった背後を急いで振り返ろうとすると、振り返る寸前で背後から勢いよく吹き飛ばされてしまった。
「ガァッ!?」
攻撃された角度が悪かったのか、そこまで飛びはしなかったがそのかわり俺は地面に叩きつけられた。
「痛っ…なんだ!?」
なんとか背後を向くと、そこには何も居なかった。
は?なんで何も居ない?気配もしないぞ…俺は確かに攻撃されたぞ…攻撃した奴がそこに居ないってことは…移動した?いやあり得んだろ、気配察知はLV1にしているが、それでも範囲は数メートルある…攻撃した瞬間に気配察知が反応しないくらい速く動いたってことか?
「クソ痛ぇ…」
これは骨何本かイったな、キッツイ…骨折れるなんて中ニの夏休み以来だな…。
「ッ!?背後ォ!」
気配察知にまた反応があった、同じ手を二回も喰らうかよ!
気配察知が反応した瞬間に俺は最速で背後回し蹴りをナニカに喰らわせた。
「ギギィ!?」
ナニカは吹き飛び、近くの木にぶつかった。
「ギィガギヂィ!」
そいつは巨大なバッタだった。
デケェなおい!鳴き声キモいし、木や葉の音で羽音が聞こえなかったのか…。
……気配察知LV1にしといて良かった…こいつの強さ半端ないな…あの狼よりかはマシだが、キッツイな気配…。
「ゲギャヂィチィ!」
「ぅごっ!」
巨大バッタは羽を震わせ、メチャクチャなスピードで体当たりをしてきた。俺はそれをもろに腹に受け吹っ飛ぶ。さっき折れた骨が食い込み、痛い。
「クソ!さっきの蹴り効いてねえのかよ!」
全力で蹴り飛ばしたってのに、傷一つつかねぇ…このステータスはチート級だって話なんだけどな…こうなったら…
「来い!」
バッタは俺の言葉が通じたようにこちらに威嚇するように鳴いてもう一度突っ込んで来た、それを俺はタイミングを見計らって受け止め、そして
「うぉら!」
思いっきり木にぶん投げた。
直線上にしか攻撃して来ないなら、いくら速くて見えなくても受け止めるくらいなら出来る。そしてこの後は…
「逃げる!」
俺は地面を思いっきり高速で殴り、砂埃と石片を飛び散らし、全力でバッタの逆へ走った。
「あんなん勝てるか!気持ち悪りぃし!絶対」









「ふぅ……撒いたか?」
後方を確認するがいる様子はなく、気配は近くに無い。
「疲れた…」
気配察知をLV1にしてるから精度が下がってるので入ってくる情報は少ない、お陰で頭痛それほど酷くない。ただ骨が折れているので走る度に身体が痛い、普通の奴だったら痛みで動けないだろう、だが俺は世界で一番嫌いな奴のお陰でこの程度、どうってことない。まあ、どちらにしろ早く治したい………回復魔法万能だよなぁ…元の世界に戻れても頼ってしましそうでなんか怖いな。
「ちょっと休憩っと…」
流石に鍛えてるといっても骨が折れた身体で全力疾走は辛いし、あのバッタ、恐ろしい脚力で突っ込んで来るし、二発目の体当たりをまともに受けてたらヤバかったな、俺は死にたくないのでな。

しばらく休んでいると、近くで重い足音が聞こえた。
「……また敵か?」
足音は辺りを探索するように動き回っている。おそらく、ただ近くを通りかかっただけだろうし、静かにしてれば見つかることもないだろう。足音の大きなからして大型の動物だろうし、触らぬ神に祟りなしだ。
「ウグルルゥゥゥ…」
動物が低く唸ったのでそっと息を潜める、動物の方から音がしなくなり、動くに動けない状況になる。

突然、背筋が凍るような寒気が走った。何故だか分からないし根拠もないがこれだけは分かった、バレたと。
 
動物はメキメキと大きな音を立て始めた、俺は突然の殺気で動揺し、直ぐには動けなかった。
「ウゴォォッ!」
ズドンと大きく足音が鳴り、俺の真横に木が突き刺さって土煙が上がる、その恐怖に身体が奮い起ち、動物がまた木を抜いている音を聴いて走り出した。
「ヤバッ!」
木を根まで引っこ抜いて思いっきりぶん投げた上で地面に突き刺せるような化け物ってなんだよ!異世界なめてた!そんな腕力持ってる奴に絡まれたら一貫の終わりだわ!
「ウルゴッゴォ!」
「危なっ!」
後ろからものすごい風切り音が聞こえ、俺は縮地を使う。
木はさっきまで俺のいた場所に突き刺さり、動物の方からまたメキメキと木を引っこ抜く音が聞こえる。どんな奴かと振り向くと、そこには全身に真っ赤な毛を生やし、腕から肩、脚から腰の一部などにラインを引いたような白い毛が生やしている……

馬鹿みたいに巨大なゴリラがいた。

「ゴリラァ!?」
巨大ゴリラは木を引っこ抜き、こちらに向けて槍投げのような姿勢をとった。
「ゴリラの癖して頭いいな!クソ!」
俺は体に急ブレーキをかけて止まり、脚に力を込めた。
まだ未完成だしコントロール出来てないけどこの状況じゃ仕方ない!固有スキルの技を使う。
「ウグッフォォウ!」
巨大ゴリラは大きく踏み込みズドンと足音を立てて槍(木)を投げてくる。
「ふうっっっ…“龍爪拳”!」
俺は呼吸を整えて、綺麗な青色のエフェクト?オーラ?の様なものを拳に纏わせ、迫り来る木を殴った。拳から出る青色のオーラは蒼炎を纏うたつの様な形に変わり、木に喰らいつく様に拳とともに向かい、木を破裂させた。


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