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古の島編
再会
しおりを挟む…?何だか暖かい…頭に柔らかい触感もある、何だこれ?
確かゴリラと戦って…勝ったんだっけか?あの後気絶してたのか…それにしては体に痛みも無い、また意識の中か?
晃は目を瞑ったまま考えるが、答えは浮かばない。直ぐに目をを開けることをしないのは、目覚めたばかりで少し意識がハッキリしていないからだろう。
「ーー♪ー♫ーーー♩♬」
その時、何処かで聴いたことがある唄が聴こえた。
その唄は澄んだ声で、そして女性の美しい声で唄われていた。
心地良い音色に、つい眠ってしまいそうになるが、状況を把握しなければいけないことを思い出す。
馬鹿か、何寝ようとしてるんだ…ダメだ、目蓋が重い。
「ー♪~~♪♫♪~ー♪♬♪~~~」
…この唄、続きあったのか…どこで聴いたんだっけな?確か異世界に来てからだったよな…?
「~♪♫~……アキラ?」
その声に晃は目を開け、飛び起きる。そして、振り向くとそこには…
「おき、た?」
金髪碧眼の愛らしい少女、ミインが居た。
「…ああ、久しぶりだなミイン」
…あの柔らかい触感は何だったのだろうか?
**********************************
〈洞窟〉
あの後、巨大ゴリラの死骸を持って洞窟向かった。
全身の傷や打撲、その他諸々は全部ミインに治されていて、身体はすこぶる好調だった。ミインは俺の顔を見て機嫌良さそうにニコニコと笑っていて、俺もその顔を見て和んでいた…が、
「ぎゅー…」
「…ミイン?」
ミインは洞窟に着いたと同時に俺の背中に抱きついて来た、今少し血が付いてるし汗もかいてるだろうから…臭く無いか?でも全然離してくれないし。
「ミイン…身体洗いたいから水出してくれないか?」
「んぅ?ん、分かった…」
一先ずミインに離してもらう為に水を出すように頼む。
そうするとミインは一度俺を離して洞窟の外に向かった、晃もそれに着いていく。
「んっ」
ミインは人差し指で外の空間をピッ、と指差した、そうすると指差したその空間に前に俺が出した水の数倍、かつてミインが出した物よりも遥かに大きい水の塊が現れた。
「うおっ…何だそりゃ…」
びっくりした、何だ?今詠唱したか…?
ミインは人差し指て指しただけで詠唱した様子が無かった、その上術式を構築しているかも一瞬過ぎて分からなかった。
「無詠唱…?しかも今術式構築するのもめちゃくちゃ早くね?」
「知ってる、の?アキラ?」
マジかよ…驚愕だ、一回憧れてラプラスにやれるか聞いてみたが、かなりの技術が必要な上に術式構築の速度、魔力操作もかなりのレベルが必要らしく、断念したんだが…、俺がこの島で訓練している間にそんなの覚えたのかよ。
「すごい、でしょ?頑張って練習した」
ミインはドヤ顔になった後、褒めて欲しそうにこちらをじっと見た、凄く抱きしめて撫で回したい衝動に駆られたが身体が汚れているので我慢する、取り敢えず褒め倒しておこう。
「ああ、凄いぞ、めちゃくちゃ凄い、本当に凄い」
バリエーションの少なさは…まあご愛敬と言うことで…とても喜んでるのは良いんだが、本当に人の褒め方って分かんないんだよな…。
「んっ…ふふっ」
ミインは俺の褒め言葉に途端に笑顔になり、身体を洗おうとした俺の方に近づき、今度は前から抱きついて来た。
「ミイン…一回身体洗わせてくれ」
「あ…ごめん、ね」
なんとか引き離すと、ミインは残念そうな声を出し、落ち込んだ様な表情を見せた。
「…聞きたいことも沢山あるから、身体洗ったら喋ろうな」
「…!うん!」
…かわいい………よし、めっちゃ高速で洗おう、そう心の中で晃は決めた。
**********************************
ミインの出してくれた水で身体を洗い、焚き火で身体を渇かしながらミインと俺は話し始めた。
「で、聞きたいことは幾つかあるが…」
「何でも答える、よ?」
「ああ…えーと、先ずは…どうやって此処に来たんだ?」
先ずはこれだ、10日以上もこの島に居て探索もしていた、それにあんな大木が生えて来たら見に来るだろうし、ずっと居たとは考えられない。
「ゼロに送って貰ったの」
「ゼロに?」
送って貰った…ってことはミインから頼んだのか?
「うん、晃が何処かに行って、寂しかった…何も言わずに行っちゃったから…」
…不可抗力だったんだが、ミインの顔を見ると凄く心が痛い。
「でもゼロが島のことを教えてくれて、魔法の事とか沢山勉強したの、そうしたらこの島に行かして貰えると思ったから」
…やっぱりミインって凄い俺に対して懐いてるよな…?何でだ?ただ少し森を一緒に歩いただけなんだよな…いや嬉しいんだが。
「だから頑張った、凄く頑張った」
「お、おう、そうか…」
ミインは再度ドヤ顔をかます、いや可愛いな…!
「で、送って貰ったって言ってたが、どうやってだ?」
「ランプみたいな魔道具があって、それを使うと肉体ごとこの島に飛ばされるって言ってた」
ああ、あのランプか、メイドのリアが置いてた青色に光るヤツか…確かにアレが原因っぽかったが、そんな道具があるのか…流石異世界。
「後は…何で俺はこんな所に飛ばされたんだ?」
わざわざミインに魔法を教えて強くしてから送って来た、俺等を殺すことが目的じゃ無いだろうし、そもそも此処では死んでも生き返る。
なら修行してもらう為、そこまでは考え付いた、だが何のために?わざわざ騙してまでここに飛ばした理由が分からない。
「強くなって貰うため、生きていくには必要なことだからって」
…特別理由は言って無いか、この島から出たら直接聞こう。
「そうか、後は…この島から出る方法だ」
そこが一番重要だ、いい加減出たい、ベッドで休みたい、この島に居たんじゃ元の世界に帰る方法すら探れない。
「えっと、先ずはこの島の構造から説明するんだけど、この島は円状になってて、東西南北で四つのエリアに分かれてるの、それで此処密林は東エリア」
…?
「待て、円状?大木の上から見たが、島は円の四分の一しか無かったぞ?」
確かに見た、不自然に分断されていて綺麗に四分円だった筈だ。
「島の中央部…四分円の先端部に建物が無かった?」
「…塔のみたいな建物があったが、それが?」
「そこが島の各エリアの関所になってるの、そこから別のエリアに移動したり、島から出たら出来るの、各エリアの境目は見えない壁で通れなくなってて、先も見えないようになってる」
…何でそんな面倒臭いシステムなんだよ…それに、
「でもその建物に入るには番人を倒さないとダメ、その番人は各エリア最強の強さを持ってて、倒すのは大変みたい」
だよな、わざわざ番人なんて言われてるんならそりゃ強いよな。多分あの大木を生やしてきて俺を吹っ飛ばし、殺してくれやがったのが番人か…。
「大丈夫、アキラなら勝てる」
「そうか?言いたくねえが、一回その番人にやられてるぞ俺」
しかもほぼ一撃でだ、負ける気は無いが、しんどいぞ…。
「それに…私も手伝う」
「…は?ミインがか?回復してくれるのは有難いが、危険だぞ」
「む…大丈夫、魔法で戦う」
「おいおい…それこそ危険だろ、俺が倒すからその後一緒に…」
「…戦える、実戦で証明する」
ミインは不満な顔をして立ち上がり、そう言った。
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