最弱な奴が実は最強?

レン

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二章 最強の叛逆

リーダー

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 そしてそれから数十分は歩いただろうか。
 ようやく館まで着いた。
 あの時は奈津を助けるために必死だったため気にしていなかった。
 けど改めて周りの景色を見ると酷いものである。
 更地となっており館以外これと言った建物も見つからない。
 昔はここに無能力者の人たちが過ごしていたのだがもはや見る影もない状態だ。
 俺は自分の罪について再度、痛感した・・・。
 そして扉を押し開き使われていない広間に無能力者の方達を集めた。
 暖房も付けあらかじめ用意していた食べ物を配る。
 見ると先程の表情とは打って変わって無能力者の人たちには笑顔が咲いていた。
 暖を取りご飯を食べている間、俺は気分転換のため外の空気を吸いに館を出て行った。
 夜の空を見上げながら深呼吸していると不意に後ろから声をかけられた。
「あんた何者なの?」
 俺は声のした方を向く。
 振り向くとそこには杏花と同じぐらいの歳であろう黒髪の女の子がいた。
 この子の目には中の人たちとは違いまだ明確な敵意が残っている。
「私は君たちを助けに来た。無能力者の味方だよ。私を信じてくれ。」
 さっきまで『俺』と言っていたが違和感を与えないため口調を改める。変な感じだな。
 けど女の子は正論を俺にぶつけてきた。
「信じろと言ったって素顔を見せない奴のどこを信用しろって言うのよ?」
 確かに。それはごもっともだ。素性を隠した奴を信用しろと言う方が無理な話である。
 仕方ない。念のため口調を改めたがどうやら無駄だったようだな。
 そして俺は仮面と変声器を外し改めて目の前の女の子に視線を向ける。
「すまん。素顔を隠したのは敵に顔を見られたくないからなんだ。」
「決してお前たちを混乱させたいわけではない。分かってくれ。」
 目の前の女の子から驚きの声が上がる。
「あんた女じゃなくて本当は男だったんだね。しかも見た感じ高校生でしょ?」
「更に言えばあんた能力者だろ?何で能力者のあんたが無能力者の私たちを助けた?」
 俺はありのままけれど端的に自分の目的を伝えた。
「この世界を変えたい・・・!」
「変えるだって?分かってんのか?仮にお前がどれだけ強くてもそれは個の力だけだ。」
「世界という膨大な数を敵に回したら勝てないぞ!?」
 そんなことはわかっている。勝てる見込みが限りなく0に近いことなんて。
 それでも俺は女の子の目を見て再度、言う。
「だとしても俺はこの世界を変えたい。例え自分が死ぬことになっても変えたいんだ!」
 俺の気迫に押されたのかそれとも諦めたのかはわからないが女の子はため息を漏らす。
「はぁ~。あんたバカだよ・・・。」
「でもあんたには助けられた恩もある。無能力者の私たちで良ければ手を貸すよ。」
 手を貸すか・・・。なら早速だが一つ。
「君にはここの人たちのことをまとめてもらいたい。」
「・・・は?」
「俺はこれからも無能力者の人たちを解放してここに連れてくる。ならばリーダーが必要だ。」
「能力者の俺にも物怖じしない胆力!」
「そして行動力!そこがリーダーにするにはいいと思った。だから頼む!」
「ちょっと待って!私これでも子供だよ!そんな奴がリーダーなんかできると思ってるの!?」
 叫ぶ少女に俺は優しく言った。
「大丈夫だ。君にならできる。それともさっきの『手伝う』と言う言葉は嘘だったのか?」
「ぐ・・・。」
 そう言うと少女は下を向いてしばし悩んで覚悟を決めたのか勢いよく顔を上げ再び叫んだ。
「分かったよ!やるよ!やればいいんだろ!」
 そして勢いよく出される彼女の手。
「私の名前は茜(あかね)!そういえばあんたの名前は何なんだ?」
「あぁ。俺の名前は斗真だ。よろしくな茜!」
 そうして俺たちは煌めく星空の下で誓いの握手を交わしたのであった。
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