男女比1対99の世界に召喚された絶倫勇者

梅田遼介

文字の大きさ
32 / 46

32話


「――パリスよ、その方が手を合わせてみた結果、あの男が本当に勇者であると確信したと申すのか」

「はい陛下。アシカガ・ユウスケは紛れもなく勇者であると考えます」

 重臣たちが会議室で女王レズリス2世を囲み、ヴァレリア王国の政策が話し合われている。
 その席でパリス・ソロニアはユウスケを牢から出すよう主張していた。

「男が勇者だなど馬鹿げているっ。陛下、白龍将軍は乱心したとしか思えませぬ!」

 黒狼将軍であるドリスが強硬に異を唱えた。
 ドリス将軍はパリスと武威を競う仲であり、常日頃からパリスをライバル視しているのだ。 

「でも『神の巫女』が呼び出して『王の剣』が言うのだもの、信憑性は高いわよねえ」
 
 国王レズリス3世の傍らに座る宰相ベルモアが言う。
 ベルモアは王の愛人(ミストレス)であると同時に政務の面での信頼も篤い。
 パリスがこの国の武を担う存在なら、ベルモアは智を担う人物であった。

「ふむ――ルナもあの男は勇者に相違ないというのだな」

「はい、わたくしが呼び出したあの方は間違いなく勇者の資質を持っておられます」

 国王レズリスの問いに『神の巫女』の異名を持つ司祭であるルナが頷いた。

「司祭殿はパリス将軍と仲が良い。将軍は司祭殿の召喚失敗を隠す為に結託し、あの男が勇者だなどと虚偽の証言をしておられるのではないかっ」

 大柄なドリス将軍が拳を振り上げてなおも言い募る。

「私心はない。このパリス・ソロニア、『王の剣』の名誉に掛けて事実を申し上げているまで」

 それにパリスも応戦する。

「良かろう。ではあの男の力、計ってみる事にしようではないか――ベルモア」

「御意ですわ。では誰か適当な相手と戦わせてみると致しましょう」

「ならば、我が配下にエルザという者が居ります。ぜひその者にお命じ下さいっ」

 ドリスが立ち上がった。
 国王レズリス3世と宰相ベルモアに強く主張する。

「だそうよ。パリス将軍、いいかしら?」

「異存ございませぬ。御心のままに」

 ベルモアの問いにパリスは頷く。

「ではその者を使い、アシカガ・ユウスケなる男の力を試せ。明日さっそく行うがよかろう」

「御意」

 レズリスの言葉に、重臣一同が一斉に頭を下げた。




「――という訳だ。明日陛下の御前で試合をし、勝てばユウスケは自由の身になれるだろう」

「明日、か。嬉しいけど急な話だな」

 牢獄をパリスが訪ねてきて、明日俺のテストが行われるという事を教えてくれた。

「そのエルザとかっていう女はどんな奴なんでしょうか?」

 ミネバが心配そうに聞く。

「分からん。あのドリスが自ら推薦するのだから相当な手練れではあるだろうが」

 黒狼将軍のドリスっていうのは、俺が国王に会った時に横からいじってきた大女だそうだ。
 パリスに対抗心を持ち、足を引っ張るために俺を勝たせまいとしているらしい。
 俺もこのところの訓練でかなり剣の腕に自信は付いたけど、本気の試合は初めてだからなあ。
 でもまあ殺し合う訳じゃないし、モンスター相手よりは気楽かも。

「ユウスケ、油断するなよ。相手は腕を叩き斬るくらいは平気でやって来るだろう。腕が無くても子作りに支障はないからな」

 うへえ、そんなの絶対無理。
 こうなったらどんな手を使っても負ける訳にはいかない。
 何がなんでも勝たなきゃ。

 それから俺はパリスに稽古をつけてもらった。
 さすがは王国一の剣の使い手。
 技術の高さは驚くほどのものだ。

「良いか、ただやみくもに打ち合うのでは勝てぬ。このように相手の力をいなし――」

 パリスはそう言いながら、斬りつけた俺の剣を受け流す。
 俺は体勢を崩し、気付けば首筋にパリスの剣が当てられていた。

「――このように相手に隙を作る。やってみろ」

 俺は見よう見まねでパリスの剣を受け流そうとするが、なかなか上手くいかない。
 ついつい真っ正直に受けてしまうのだ。
 
「こりゃー難しいな」

「まずは相手の太刀筋を見極めること。目の動きや足の運び、体の向きなどで相手の斬りつけてくる方向を予測すること。相手が切りつけてくる太刀筋が分かれば自ずと体が反応しよう」

 えーっと、それって達人の域のお話じゃないかな。
 子供のころから剣を振っては来たが、俺の腕はそんなに凄いものじゃない。
 
「ちょ、ちょっと休もうか」

「なにを呑気な事を。明日試合をして、負ければ即、生殖房行きなのだぞ。子作りで一生を終わりたくないのだろうが」

 うわあ、この先生スパルタだよ(涙)

「いくらユウスケが奥の手を持っていても、使い方を誤れば効果はない。確実にを生かすためには、タイミングを計る時間を稼がねばならん。その為に剣の腕を磨くことが重要なのだ」
 
 結局、俺は夜までパリスにしごかれまくった。
 もはや体はボロボロだったが、途中やって来たルナさんが回復魔法で癒してくれた。
 なんてええ娘なんや(涙)

 こうして練習は終わり、夜もさすがにミネバもタリアも抱くことなくぐっすりと眠った。
 さあ、いよいよ運命の日だ。
感想 31

あなたにおすすめの小説

転生したら世界一の御曹司だった〜巨乳エルフメイド10人と美少女騎士に溺愛されています〜

まさき
ファンタジー
異世界転生した最強の金持ち嫡男、 専属エルフメイドと美少女騎士に囲まれて至福のハーレム生活   現代日本で「地味だが実は超大富豪」という特殊な人生を送っていた青年は、ある日事故で命を落とす。   しかし目を覚ますと、そこは魔法と様々な種族が存在する異世界だった。   彼は大陸一の富を誇る名門貴族―― ヴァン・バレンティン家の嫡男カイルとして転生していたのだ。   カイルに与えられたのは ・世界一とも言える圧倒的な財力 ・財力に比例して増大する規格外の魔力   そして何より彼を驚かせたのは――   彼に仕える十人の専属メイド全員が、巨乳美少女だったことである。   献身的なエルフのメイド長リリア。 護衛騎士でありながら隙あらば誘惑してくる女騎士シルヴィア。   さらに個性豊かな巨乳メイドたち。   カイルは持ち前の財力で彼女たちの願いを叶え、最高級の装備や生活を与えていく。   すると彼女たちの忠誠心と愛情はどんどん加速していき――   「カイル様……今日は私が、お世話をさせてください」   領地を狙う貴族を金と魔力で圧倒し、 時にはメイドたちの愛が暴走して甘すぎる時間に巻き込まれながらも、   最強の御曹司カイルは 世界一幸せなハーレムを築いていく。 最後までお読みいただきありがとうございました。よろしければ応援をお願いいたします。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

義姉と押し入れに隠れたら、止まれなくなった

くろがねや
恋愛
父の再婚で、義姉ができた。 血は繋がっていない。でも——家族だ。そう言い聞かせながら、涼介はずっと沙耶から距離を取ってきた。 夏休み。田舎への帰省。甥っ子にせがまれて始まったかくれんぼ。急いで飛び込んだ押し入れの中に、先客がいた。 「……涼介くん」 薄い水色の浴衣。下ろした髪。橙色の光に染まった、沙耶の顔。 逃げ場のない暗闇の中で、二人分の体温が混ざり合う。 夜、来て。 その一言が——涼介の、全部を壊した。 甘くて、苦しくて、止まれない。 これは、ある夏の、秘密の話。

【魔法少女の性事情・1】恥ずかしがり屋の魔法少女16歳が肉欲に溺れる話

TEKKON
恋愛
きっとルンルンに怒られちゃうけど、頑張って大幹部を倒したんだもん。今日は変身したままHしても、良いよね?

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

女の子がほとんど産まれない国に転生しました。

さくらもち
恋愛
何番煎じかのお話です。 100人に3~5人しか産まれない女の子は大切にされ一妻多夫制の国に産まれたのは前世の記憶、日本で亭主関白の旦那に嫁いびりと男尊女卑な家に嫁いで挙句栄養失調と過労死と言う令和になってもまだ昭和な家庭!でありえない最後を迎えてしまった清水 理央、享年44歳 そんな彼女を不憫に思った女神が自身の世界の女性至上主義な国に転生させたお話。 当面は2日に1話更新予定!

うちの幼馴染がデレすぎてて俺の理性はもう限界。でも毎日が最高に甘いからもうどうでもいいや

静内燕
恋愛
相沢悠太の日常は、規格外の美少女である幼馴染、白石葵によって完全に支配されている。 朝のモーニングコール(ベッドへのダイブ付き)から始まり、登校中の腕組み、そして「あーん」が義務付けられた手作り弁当。誰もが羨むラブラブっぷりだが、悠太はこれを「家族愛」だと頑なに誤解(無視)している。 「ゆーたは私の運命の相手なんだもん!」と、葵のデレデレは今日も過剰の一途。周囲の冷やかしや、葵を狙う男子生徒のプレッシャーが高まる中、悠太の**「幼馴染フィルター」**はついに限界を迎える。 この溺愛っぷり、いつまで「家族」で通せるのか? 甘すぎる日常が、悠太の鈍感な理性を溶かし尽くす――最初からクライマックスの、超高濃度イチャイチャ・ラブコメ、開幕!

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。