男女比1対99の世界に召喚された絶倫勇者

梅田遼介

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34話


 銅鑼の音と共に試合が始まる。
 観客は国王レズリス3世を始めとした重臣たちとその護衛兵のみ。
 建国以来初の男対女という試合は王宮内の円形の闘技場で秘密裏に行われた。

「あのエルザという娘、別に強そうには見えないな」

「ですね、なんでアイツが選ばれたんでしょうか」

 タリアが兵士姿のミネバと囁きあった。
 二人は神官であるルナの護衛という事で特別に観戦を許されている。

 ユウスケの相手となるエルザは見た目普通の少女だ。
 身長は普通よりはやや大きめだがユウスケよりは低い。
 長めの黒髪をポニーテールに結わえている。
 顔は濃くはないが整っている。
 瞳は黒く、そこには強い意志の光があった。
 
 特徴的なのはその武器だ。
 ユウスケと同じく両手剣を持っているが、その大きさが。
 華奢な体つきに似合わない大振りな剣。
 ユウスケの剣よりさらに一回り以上大きい。

 ――ずいぶんデカいな。威力はあっても動きは鈍そうだ。そもそもこんな重そうな剣振れるのか?

 だが次の瞬間、ユウスケの疑問は一発で解消されることになる。

 ――うおっと!

 大剣が軽々と振り下ろされ、ユウスケは何とかそれをかわした。
 鉄の塊が鋭く空気を切り裂く音が耳元で響く。
 見ていた観客が驚きの声を上げた。

 ――あぶねえ、何ちゅう力だよっ!

 明らかに尋常な力ではない。
 ユウスケの背中に冷や汗が流れた。

 エルザはその剣を軽々と振り回す。
 右から左から、縦横無尽に刃が襲いかかる。
 ユウスケは必死にそれらを避けていた。

 ――なんか身体強化系のスキル持ってるだろ、絶対。
 
 ユウスケは試合前に相手を鑑定しておかなかったことを後悔した。
 だが時すでに遅し。
 相手の攻撃は止まらず、とても鑑定している暇はない。

 ――クッソ、なめんなっ!

 振り下ろしてくる相手の剣に合わせて剣を振る。

 ガッキィィィィイン!

 高い金属音と共に剣と剣とが打ち合い、ユウスケの剣が弾かれた。

 ――ウソだろ、おい。

 ビリビリとした強い衝撃が伝わり、手が痺れた。
 
 ――ちょ、ちょ、ちょっとタンマ。

 だがエルザという少女は表情も変えず、剣を振る速度をさらに速めてくる。
 ユウスケは後ろに飛び距離を稼ごうとするが、エルザは即座に前に踏み出して距離を詰める。

 ――ヤバッ!

 ユウスケはエルザが前に踏み出すと同時に剣が振り下ろされるのを感じた。
 とっさにそれに剣を合わせる。

 チイイインッ!

 火花と共にエルザの剣が滑り、一瞬体勢を崩した。
 その隙にユウスケは必死に距離を取り、体制を整える。

 ――な、なんとかギリギリのところで決まったぞ。

 パリスに散々教えられてきた受け流しだ。
 無意識のうちに体が反応してくれたらしい。

 ――このままじゃ勝ち目はない。ここで逆転しないとな。

 ユウスケは剣を正眼に構えながら無詠唱で性魔法を唱えた。





「このまま勝負がつくかと思えば、あの男意外とやるではありませぬか。まあ無駄なあがきもここまででしょうが」

 黒狼将軍ドリスが声高に言って笑うのを、白龍将軍パリスは聞き流していた。
 その目は闘技場のユウスケを捕えて離さない。

 ――よくぞ反応した。ここが正念場だぞ。

 



 ――今のは危なかった。

 エルザは崩れた体勢を瞬時に戻し、剣を構えなおして男と向き合う。
 最初に打ち合った感触では力は大したものではない。
 剛力の能力を持つ自分の相手ではない。
 避けるのが精いっぱいで剣技も大したことは無いと思って攻めた途端これだ。

 ――どんな相手でも油断はならない。
 
 人の強さは見た目によらない、これは闇の技を習った時にさんざん言われたことだ。
 どれほど弱そうな相手でも、例えそれが子供でも油断はならない。
 どんな手を隠し持っているか分からない。
 実際自分がそうだったのだから。
 
 ――絶対に負ける訳にはいかないのだ。

 奴隷から解放されて正式に騎士となり、故郷に妹を迎えに行くという夢。
 相手がたとえ男だからと言っても油断はならない。
 改めて気を引き締め直し、攻撃を再開しようとした、その時。

「ハウンッ」

 自分でも出した事の無い声が漏れた。
 よく分からないが、一瞬首筋に痺れが走ったのだ。

 ――今のは何だ?

 混乱しながらも隙を見せないよう必死に剣を構える。
 相手は何もしていない。
 
 ――気のせい……なのか?

 何とか動悸を鎮め、再び剣を振ろうとすると――

「ヒャンッ」

 今度は脇腹だ。
 まるでチョンと突かれた様な、それにしては鋭すぎるような刺激を感じた。
 思わず反応して体がビクッとなる。
 
 ――この男が何かしている。

 男の見た目に全く動きはない。
 だが今度は間違いなくこの男の仕業だと感じた。

 ――姑息な真似をっ!

 負けじと斬りつけようとするが、今度は連続で刺激が起きる。
 脇、うなじ、背中、脇腹、太腿。

「アッ、ウッ、ハウッ!」

 しかもそれぞれが一瞬のことに関わらず、自分でも驚くほど鋭敏に感じる。
 相手の手に乗ってはいけない、そう思って反応しないようにしようと思うのに。
 体はその思いを裏切ってビクッビクッと刺激のたびに震えてしまう。

 ――なんだ、この気持ちは何なんだ。

 必死に体勢を維持しながら、今まで感じた事の無い刺激の連続にエルザは混乱した。
 エルザは性的には全く未経験であったのだ。
 幼いころから闇の世界で生きてきたエルザは性的な行為の経験も知識もなかった。
 他人に愛撫されたことはもちろん、自分で自分を慰めた事もないのだ。
 そんなエルザには今自分が感じている感覚がなんなのか、理解できなかった。
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