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【番外編】逆転の芽衣
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「なんすか、これ」
坂田がぐっと両手を引くが、その手はベッドの枠に繋がれほとんど可動域がない。
「手錠」
「そりゃ、見れば分かりますって。俺が聞いてるのは、なんで先輩がこんなことしてるのかって話なんすよ」
坂田の非難がましい視線をかわして、芽衣はにっこりと笑う。
夏季休暇も終わる九月末。坂田の家でサークルの一、二年生を集めて飲み会をやったのが、坂田の運が尽きた瞬間である。
まだ十九歳の一年生はソフトドリンクを嗜み、二十歳になったばかりの二年生も舐める程度しか飲まない輩ばかりだったため、飲み会は早々にお開きとなった。
後に残ったのは、家主である坂田と、後片付けを担った芽衣である。サークルメンバーには言っていないが、芽衣は浪人したため、すでに二十一歳で、酒にはほどほどの耐性がある。
「先輩、絶対酔ってますよね?」
「酔ってるわけないでしょ、全然飲んでないんだから」
「いや、ボンベイサファイアの瓶を空にしたのあんたでしょ」
「なんか言った?」
「いえ、なにも」
坂田は必死に考えを巡らせる。芽衣がなにかよからぬことを企む前に、この拘束を解いてもらわないといけない。
もし、このまま芽衣が寝入るようなことがあれば、坂田は芽衣が起きるまでずっとこの不自由な体勢を強いられる。それだけは絶対に避けたい。
「先輩、早くこれ外してください。というか、どこから持ってきたんすか」
「なんか、福原先輩が貸してくれるって」
聞かなければよかった。げんなりしていても、事態は好転しない。
芽衣は身動きのとれない坂田の上に馬乗りになり、若干挙動が怪しい指先でワイシャツのボタンをひとつずつ外している。
芽衣の顔色は、まったく変わらない。気持ち悪そうにしているわけでもなく、酒が入って陽気になっているわけでもない。
ほとんど、いつもと変わらない芽衣がそこにいる。けれども、決定的にいつもとなにかがちがっていた。
「っ!」
芽衣の指先が、ピンと胸の先端をはじく。平らな胸に吸いつき、舌で先端を転がすと、坂田の口から押し殺したような吐息が漏れる。
「春って乳首イケるタイプなんだ」
当たり前のように名前を呼び捨てにされ、ぞくりと皮膚が粟立つ。部室にいても、二人きりの時でも、芽衣は坂田のことをいまだに「坂田くん」と呼ぶ。
今さら、呼び方を変えるなんて恥ずかしくてできないと彼女は笑っていたけれど、酒が入れば話は別らしい。
いつもは芽衣が乱れていく様を見るほうなのに、今日は坂田だけが息を荒く、芽衣の挙動ひとつひとつに過敏に反応している。
「乳首舐められただけで勃っちゃったの?」
芽衣が面白がるように馬乗りのまま、腰を揺らす。
芽衣の体重で大きくなったそれが擦れて、坂田は口をついて出そうになる声を噛み殺した。
芽衣が腰を浮かせ、服の上から坂田のものを後ろ手に撫でる。
絶えず坂田の唇に吸いつき、伸ばされた舌を噛んで、思いのままに口内を蹂躙する。
芽衣を抱きしめようと伸ばした手は、手錠に阻まれ、少しも動かなかった。
「まって、芽衣、それ以上は……っ」
芽衣の目を見て、また肌が粟立つような快感が走り抜ける。二人きりの時に芽衣の名前を呼ぶと、芽衣は決まって快感に耐えるような、欲に塗れた目をした。
その目を見ると、坂田も抑えがきかなくなる。芽衣を抱きしめたいのに、今すぐ自分の手で満たしたいのに、手錠がそれを許してくれない。
もどかしさと、ゆるゆるとした快感に歯噛みする。
「腰、上げて」
「いや、無理。だめだって」
「なんで?」
「なんでって……先輩に、そういうのさせたくないんですよ」
「ふうん」
気のない返事。芽衣がベルトから手を離し、諦めてくれると思った。
けれど、その白くなめらかな手は、まさに今、トランクスの中から坂田のものを引っ張り出していた。
「先輩っ、ちょっ、と……!」
がちがちに硬くなり、屹立したそれを、芽衣の唇が飲み込む。
唾液のぬるっとした感触と、粘膜の熱くやわらかな口内に包まれる感触が坂田を襲い、自然と息が詰まる。
口に含みきれなかった部分を、芽衣は細い指で丹念に扱く。
先端にちゅうっと吸いつかれると、坂田は溢れ出しそうになるものを必死にこらえて呻いた。
手錠とベッドが擦れ合って、耳障りな音がするが芽衣の耳には届いていないらしい。
「離して、先輩……も、ほんとに、出そうっ、だから……」
芽衣の口を汚してはいけない。その一点だけで、坂田はなんとか理性を保っている。
坂田が息も切れ切れに訴えると、芽衣は名残惜しそうにものを舐めてから口を離した。
熱いものに解放され、すうっと涼しい風が坂田の理性を取り戻す手伝いをしてくれる。
しかし、休息は一瞬だった。
芽衣の指先が、器用にくるくるとゴムを下ろしているのを見て、身体から力が抜ける。その好機を見逃さないというように、チノパンとトランクスはあっという間に脚から抜き去られてしまった。
芽衣もワンピースの裾を持ち上げて、脱いだ下着を床に放り出す。ぴったりと芽衣の秘部が当てられたのを感じ、坂田は慌てて制止した。
「先輩! ちゃんと慣らしてからじゃないと痛いって……!」
「大丈夫、すぐ慣れるから」
まだ指の一本すら入れていないところに、芽衣は無理やり坂田のそれを挿入しようとしている。
坂田の制止も虚しく、ググッと芽衣が体重をかけ、腰を落としてくる。
芽衣のナカは熱く濡れていたが、慣らしていない分、坂田のものが押し入る隙間はなく狭い。
「んんっ……」
「芽衣、いい子だから、っ抜いて」
少しだけ入っていた先端が、ぎゅうっと押し揉まれ、坂田は思わず腰を浮かせた。芽衣が肩を震わせ、一気に腰を落とす。
芽衣のナカは熱く、ぎちぎちと音がしそうなほど狭かった。
「動かないで。こっち向いて」
「むり、我慢できない」
芽衣はとろんとした目で坂田を見た。紅潮した顔に、うっとりとした笑みが浮かぶ。
腰を上げ、ぎりぎりまで抜いたそれを一気に突き入れる。自分の体重で、いつもより奥深いところが穿たれ、芽衣はぎゅっと眉根を寄せて快感に耐えた。
坂田が動けないのをいいことに、芽衣は思いのままに腰を振る。肌がぶつかり合う音と、坂田の押し殺した声、芽衣の荒い息遣いだけが響く。
「あっ、ここ、気持ちいい……」
「ここ?」
ズンと下から突き上げるように腰を動かすと、芽衣は嬌声を上げ、坂田の上にくずおれた。あまりの快感に、力が抜けてしまったらしい。
坂田にしがみつく芽衣を揺さぶるように、ガンガンと下から突き上げる。奥に届く一瞬に、食いちぎられるのではないかと思うほど、芽衣のナカがきつく締まる。
「あー……やば、もう出そう」
「止まって、ね、もうっ」
主導権は完全に坂田の手に戻り、芽衣は坂田に揺さぶられ、ガクガクと全身を震わせている。きつくつむった目の端から涙が溢れ、芽衣はこの後に待ち受ける結末を悟るしかなかった。
「安心してください、先輩。腹いっぱいになるまで、食わせてやりますから」
容赦ない突き上げに、芽衣の頭はぐずぐずに蕩けきる。なにも考えられず、自分の上で鳴く芽衣に、坂田はひとり頬を緩めたのだった。
坂田がぐっと両手を引くが、その手はベッドの枠に繋がれほとんど可動域がない。
「手錠」
「そりゃ、見れば分かりますって。俺が聞いてるのは、なんで先輩がこんなことしてるのかって話なんすよ」
坂田の非難がましい視線をかわして、芽衣はにっこりと笑う。
夏季休暇も終わる九月末。坂田の家でサークルの一、二年生を集めて飲み会をやったのが、坂田の運が尽きた瞬間である。
まだ十九歳の一年生はソフトドリンクを嗜み、二十歳になったばかりの二年生も舐める程度しか飲まない輩ばかりだったため、飲み会は早々にお開きとなった。
後に残ったのは、家主である坂田と、後片付けを担った芽衣である。サークルメンバーには言っていないが、芽衣は浪人したため、すでに二十一歳で、酒にはほどほどの耐性がある。
「先輩、絶対酔ってますよね?」
「酔ってるわけないでしょ、全然飲んでないんだから」
「いや、ボンベイサファイアの瓶を空にしたのあんたでしょ」
「なんか言った?」
「いえ、なにも」
坂田は必死に考えを巡らせる。芽衣がなにかよからぬことを企む前に、この拘束を解いてもらわないといけない。
もし、このまま芽衣が寝入るようなことがあれば、坂田は芽衣が起きるまでずっとこの不自由な体勢を強いられる。それだけは絶対に避けたい。
「先輩、早くこれ外してください。というか、どこから持ってきたんすか」
「なんか、福原先輩が貸してくれるって」
聞かなければよかった。げんなりしていても、事態は好転しない。
芽衣は身動きのとれない坂田の上に馬乗りになり、若干挙動が怪しい指先でワイシャツのボタンをひとつずつ外している。
芽衣の顔色は、まったく変わらない。気持ち悪そうにしているわけでもなく、酒が入って陽気になっているわけでもない。
ほとんど、いつもと変わらない芽衣がそこにいる。けれども、決定的にいつもとなにかがちがっていた。
「っ!」
芽衣の指先が、ピンと胸の先端をはじく。平らな胸に吸いつき、舌で先端を転がすと、坂田の口から押し殺したような吐息が漏れる。
「春って乳首イケるタイプなんだ」
当たり前のように名前を呼び捨てにされ、ぞくりと皮膚が粟立つ。部室にいても、二人きりの時でも、芽衣は坂田のことをいまだに「坂田くん」と呼ぶ。
今さら、呼び方を変えるなんて恥ずかしくてできないと彼女は笑っていたけれど、酒が入れば話は別らしい。
いつもは芽衣が乱れていく様を見るほうなのに、今日は坂田だけが息を荒く、芽衣の挙動ひとつひとつに過敏に反応している。
「乳首舐められただけで勃っちゃったの?」
芽衣が面白がるように馬乗りのまま、腰を揺らす。
芽衣の体重で大きくなったそれが擦れて、坂田は口をついて出そうになる声を噛み殺した。
芽衣が腰を浮かせ、服の上から坂田のものを後ろ手に撫でる。
絶えず坂田の唇に吸いつき、伸ばされた舌を噛んで、思いのままに口内を蹂躙する。
芽衣を抱きしめようと伸ばした手は、手錠に阻まれ、少しも動かなかった。
「まって、芽衣、それ以上は……っ」
芽衣の目を見て、また肌が粟立つような快感が走り抜ける。二人きりの時に芽衣の名前を呼ぶと、芽衣は決まって快感に耐えるような、欲に塗れた目をした。
その目を見ると、坂田も抑えがきかなくなる。芽衣を抱きしめたいのに、今すぐ自分の手で満たしたいのに、手錠がそれを許してくれない。
もどかしさと、ゆるゆるとした快感に歯噛みする。
「腰、上げて」
「いや、無理。だめだって」
「なんで?」
「なんでって……先輩に、そういうのさせたくないんですよ」
「ふうん」
気のない返事。芽衣がベルトから手を離し、諦めてくれると思った。
けれど、その白くなめらかな手は、まさに今、トランクスの中から坂田のものを引っ張り出していた。
「先輩っ、ちょっ、と……!」
がちがちに硬くなり、屹立したそれを、芽衣の唇が飲み込む。
唾液のぬるっとした感触と、粘膜の熱くやわらかな口内に包まれる感触が坂田を襲い、自然と息が詰まる。
口に含みきれなかった部分を、芽衣は細い指で丹念に扱く。
先端にちゅうっと吸いつかれると、坂田は溢れ出しそうになるものを必死にこらえて呻いた。
手錠とベッドが擦れ合って、耳障りな音がするが芽衣の耳には届いていないらしい。
「離して、先輩……も、ほんとに、出そうっ、だから……」
芽衣の口を汚してはいけない。その一点だけで、坂田はなんとか理性を保っている。
坂田が息も切れ切れに訴えると、芽衣は名残惜しそうにものを舐めてから口を離した。
熱いものに解放され、すうっと涼しい風が坂田の理性を取り戻す手伝いをしてくれる。
しかし、休息は一瞬だった。
芽衣の指先が、器用にくるくるとゴムを下ろしているのを見て、身体から力が抜ける。その好機を見逃さないというように、チノパンとトランクスはあっという間に脚から抜き去られてしまった。
芽衣もワンピースの裾を持ち上げて、脱いだ下着を床に放り出す。ぴったりと芽衣の秘部が当てられたのを感じ、坂田は慌てて制止した。
「先輩! ちゃんと慣らしてからじゃないと痛いって……!」
「大丈夫、すぐ慣れるから」
まだ指の一本すら入れていないところに、芽衣は無理やり坂田のそれを挿入しようとしている。
坂田の制止も虚しく、ググッと芽衣が体重をかけ、腰を落としてくる。
芽衣のナカは熱く濡れていたが、慣らしていない分、坂田のものが押し入る隙間はなく狭い。
「んんっ……」
「芽衣、いい子だから、っ抜いて」
少しだけ入っていた先端が、ぎゅうっと押し揉まれ、坂田は思わず腰を浮かせた。芽衣が肩を震わせ、一気に腰を落とす。
芽衣のナカは熱く、ぎちぎちと音がしそうなほど狭かった。
「動かないで。こっち向いて」
「むり、我慢できない」
芽衣はとろんとした目で坂田を見た。紅潮した顔に、うっとりとした笑みが浮かぶ。
腰を上げ、ぎりぎりまで抜いたそれを一気に突き入れる。自分の体重で、いつもより奥深いところが穿たれ、芽衣はぎゅっと眉根を寄せて快感に耐えた。
坂田が動けないのをいいことに、芽衣は思いのままに腰を振る。肌がぶつかり合う音と、坂田の押し殺した声、芽衣の荒い息遣いだけが響く。
「あっ、ここ、気持ちいい……」
「ここ?」
ズンと下から突き上げるように腰を動かすと、芽衣は嬌声を上げ、坂田の上にくずおれた。あまりの快感に、力が抜けてしまったらしい。
坂田にしがみつく芽衣を揺さぶるように、ガンガンと下から突き上げる。奥に届く一瞬に、食いちぎられるのではないかと思うほど、芽衣のナカがきつく締まる。
「あー……やば、もう出そう」
「止まって、ね、もうっ」
主導権は完全に坂田の手に戻り、芽衣は坂田に揺さぶられ、ガクガクと全身を震わせている。きつくつむった目の端から涙が溢れ、芽衣はこの後に待ち受ける結末を悟るしかなかった。
「安心してください、先輩。腹いっぱいになるまで、食わせてやりますから」
容赦ない突き上げに、芽衣の頭はぐずぐずに蕩けきる。なにも考えられず、自分の上で鳴く芽衣に、坂田はひとり頬を緩めたのだった。
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