イクメンパパの異世界冒険譚〜異世界で育児は無理がある

或真

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第一章

ダンジョン攻略 その4

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 れいちゃんのお陰で傷は癒えた。れいちゃんありがとう。そして俺はここで親として、神威を倒さないといけない。いや、倒すんだ。

『行くぞ、人間よ!』

「来い!」

 神威は再び剣を振りかぶり、不可視の斬撃が俺を襲う。しかしもう同じ手は喰わない。俺は平然と斬撃を避ける。

『まだまだ!』

 神威は連続して斬撃を放つが、俺は斬撃をことごとく避けていく。

『我が連撃を避けるか!』

「ああ、当たり前だよ!」

 神威の斬撃が急に避けられるようになったのは、俺の傷が単純に癒えたからじゃない。明らかに神威の動きが鈍くなってる。斬撃の速度のみならず、見たところ威力も落ちてる。

 やっと分かったぜ。神威の本体は装甲内の何かではなく、刀自身だ。だから刀にダメージが入った途端神威が急に弱体化した訳だ。それに刀への攻撃を避けていたことにも説明がつく。

 これなら俺でも殺れる。

「覚悟しろよ、神威。」

『何?』

「お前をぶっ殺してやるよ。」

 俺は魔剣ディアボロスに雷魔法を纏わせ、一気に距離を詰める。そして雷魔法を纏い攻撃力の上がった剣で、神威に斬りかかる。しかしギリギリの所で避けられてしまうが、すかさず追撃する。

 俺の攻撃はどれも致命傷には至らなかったものの、確実に神威を追い詰めている。そしてとうとう神威は膝をつき、崩れ落ちてしまった。

『ま、まさかこの我が、人間如きに負けるだと……!?』

「俺の勝ちだ。」

 俺は魔剣ディアボロスを刀目掛けて振り下ろす。しかし、あと少しで刃が届きそうなところで、斬撃が俺に炸裂した。

ドシュッ……
 鈍い音と共に不可視の斬撃が俺の左肩を切り裂いていた。くそっ!あと少しだったのに!最後の最後で油断した!

 神威はいつの間にか斬撃が時間差で当たるように操作してやがったんだ。

『馬鹿め、死ぬがいい!』

 神威は再び刀を振り下ろし、俺に止めを刺そうとするが、途中で刀が止まった。

『んっ!体が動かない!』

「は!かかった!」

 神威の体は、氷柱でその場に固定されていた。そして神威の頭上には、巨大な魔法陣が浮かんでいた。

『氷魔法?まさか……』

「そのまさかだよ。」

『だがあの赤子は意識を失っていたはず……どうやって!?』

「俺はれいちゃんに言っただろ?俺が隙を作るからそこに魔法を打ち込んでくれと。」

「あぅ!!」

 あのタイミングでれいちゃんが意識を取り戻すのは、正直賭けだったが上手くいって良かったぜ。

 実は気絶したれいちゃんを安全なところに移した時、魔力をちょっぴり分け与えたんだ。

 そして隙を作った瞬間、目覚めたれいちゃんが神威の頭上で特大の氷柱を生成させ、神威の動きを封じた。
 
 俺はあえて傷付いたフリをして、油断した神威に攻撃を誘い込んだって訳だ。

 まぁ、実際俺の左肩は斬り落とされているし、本当に痛かったんだけどな……

 俺は身動きが取れない神威に近づき、魔剣ディアボロスを振りかぶる。

「終わりだ、神威!」

 パキィン。

 甲高い金属音と共に、神威の刀は氷柱ごと粉々に砕け散った。そして刀が砕けると同時に、神威も光の粒子となって消えていく。

「やった、のか?」

「あぅあぅ!」

 俺はその場に倒れ込んだ。腕はクソ痛いけど、氷魔法で凍らせてあるから出血は大丈夫そうだな。ただ、腕が治るのか正直言って分からない。

「はぁ……疲れたな……」

「あぅ……」

 とりあえず神威のドロップ品を確認していくと、驚くべきものが落ちていた。

「『神威の刀』……?」

 ついさっき折ったはずの神威の刀がドロップしていた。一度鑑定してみるか。

《妖刀神威》

不可視の斬撃を放てるようになる、強力な刀。自由意志を持ち、認められたものはスキル『神威流剣術』が身に付く。

 パッと見、魔剣ディアボロスより性能は低いみたいだけど、自由意志を持つ?随分気になることが書かれてるな。

 と、とりあえず、握ってみるか。

「ぐぁ!?」

 俺は神威の刀を握った瞬間、全身に電撃が走ったかのような衝撃に襲われた。こ、これは……間違いない!この刀の意志だ!

『人間よ、よく我を倒した。」

 うわっ!急に頭の中に声が響いてびっくりしたぜ。というか、この声……神威だよな。

『いかにも。我こそ神威なり。』

 お前のこと殺したのに、なんでお前が生きてるんだよ!?

『我がこの刀に宿りし魂だからこそよ。』

 よく分からんが、そういうことらしい。まぁ、神威のことはもうどうでもいいや。とにかく地上に戻って、この腕を直してもらわないとな。

『うむ。片手だけでは我を扱えぬぞ。』

 勝手に俺の脳内を覗くのはやめてくれよ!プライバシーの侵害だろ!

『しょうがないだろ?念話で繋がってるんだから。』

「で、結局どうやって地上に戻ろうかな。」

「あぅ。」

『あそこに魔法陣があるから、魔力を流し込めば地上に転移できるぞ。』

 おお、ありがたい。二十階層分の道を戻るのは流石に骨が折れるしな。というか実際鎖骨が真っ二つに折れてるし。

「はぁ、ポーションやら持ってこれば良かった。」

 今となってポーションやらを持って来なかったことを後悔する。やっぱり準備は大切ってことだ。うんうん、いい教訓になった。

「まあ、帰るか。」

「あぅ。」

 俺とれいちゃんは、魔法陣に乗って地上へと転移した。
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