異世界転移した俺の、美味しい異世界生活

yahagi

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チョコレート屋ピスタチオとラーメン

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 翌日、早朝にリカルドは旅立っていった。
 俺の作ったチョコレートとキャラメルを大事そうに鞄に詰め込んでいた。

「気を付けてね」

 そんなありふれた一言しか言えなかったけれど、気持ちは伝わったと思う。

 俺は女性建築士に頼んだ、チョコレート屋を見に行くことにした。

 屋根は緑で、壁は白く塗られている。
 木目の看板には、チョコレート屋ピスタチオと書かれていた。
 中に入ると、お洒落な装飾で彩られた持ち帰り用コーナーがあり、奥に客席がある。
 客席を見ていると、女性建築士が入ってきた。

「ハヤトオーナー。如何ですか、このお店は。内装にはレースもたっぷり使い、ファンシーな出来上がりを目指しました」

「とっても可愛らしく出来てていいね。キッチンを見ていいかい?」

「勿論です。広めに作りましたので、ご満足頂けると思います」

「うわぁ、本当に広いね。これなら魔道具も置けるし、料理もやりやすい。ありがとう。これ、報酬だよ」

「ありがとうございます。ではまた何かありましたら、お呼び下さい」

 女性建築士は帰って行った。
 俺は伝言屋に行って、今日の午後一番に、お店に集まるように伝言した。

 あとは服飾ギルドだ。
 たまたまジルさんが空いていたので、デザイナーはジルさんに頼むことにした。
 午後一番にお店に来て貰えるように頼み、余った時間は自宅の整備に使うことにした。

 とにかく食材を置いていないので、腐らないものだけ買い込むことにする。
 醤油や砂糖、塩、酢、豆板醤、ソース。
 それと酒類。
 穀物屋に行って米を買い込み、配達を頼んだ。

 支店に戻り、昼食を食べたら、チョコレート屋ピスタチオに集合だ。
 俺が店に到着すると、皆揃っていた。

「ジルさん、このファンシーなお店に似合うポップなデザインの制服にしたいんですが……」

「ええ。こんな感じでどうかしら?」

 それは水色のチェック柄でレースたっぷりのメイド服と男性用制服のデッサンを見せてくれた。
 男用もシャツがフリルたっぷりで、ベストとズボンは水色のチェック柄だ。

「可愛いですね。じゃあ、これでお願いします。後、キッチンもコック服をお願いします」

「ええ。コック服はスタンダードで良いと思うの。こんな感じね」

「いいですね。では、六名の採寸を宜しくお願いします」

「任せておいて。オーナーもオーナー服を作りましょう。水色のチェック柄のジャケットに細身の黒いズボンを合わせて……うん、素敵だわ」

「じゃあ、それも作って下さい。納期は三日で如何ですか?」

「了解したわ。じゃあ、皆さん。まず女性から計ります。こちらへどうぞ」

 カウンター担当二名、キッチン一名が女性である。
 男性陣は客席に移動し、しばし待った。

 次は男性陣の採寸である。
 俺も採寸して貰った。
 背が伸びてるかもしれないしな!

「大変結構でございます。では、明後日の朝、お持ちしますね」

 ジリさんはドレスの裾を翻して帰って行った。

「今日は皆帰って良いぞ。明日の朝、早朝からキッチン担当は来てくれ。カウンター担当は明後日から出勤してくれ」

「わかりました」

 俺は皆を解散させ、そば粉を買って帰った。
 支店で蕎麦を打ち、細く切る。
 さっと茹でて冷やし、ざる蕎麦にして、味見してみた。
 8割そば粉のつなぎ二割だけど、十分美味しい。
 濃い蕎麦つゆがすごく美味しい。

 俺は全員分を切って茹でていき、さっと冷やして皿に盛った。
 机に配膳していく。

 まずやってきたのはアラブレヒトだった。
 
「アラブレヒト、箸を用意した。これを使ってみてくれないか」

「ふむ、いいよ。へえ、こうやって使うんだね。頂きます。ずるずるずるっ! 美味いっ!」

「俺もそれをくれ。使ってみる」

「はい。皆さんの分あります。フォークより食べやすいと思うんです」

「こりゃあ、すすっていいんだな?」

「はい。つゆにつけて、すすって食べて下さい」

「これ、美味しいわ。蕎麦の香りが爽やかね」

「うん、うめえ。つゆがうめえ」

「箸って思ったよりは使いやすいよ」

 箸も蕎麦も、好評のようだ。
 俺はほっと胸をなで下ろした。

 食後、チョコレート作成魔道具を店に運んだ。

 支店に戻り、チャーシューを仕込んでいく。
 じっくりコトコト茹でて、タレに漬け込む。
 後は、食べる直前に仕上げをすれば良い。

 今夜の夕食は鶏肉とナスの炒め物、ご飯と味噌汁だった。
 俺が箸を使っていたら、数人箸に持ち替えていた。
 うん、美味しかった。

 アラブレヒトにお疲れ様の挨拶をして、家に帰る。
 自分の家があるのっていいもんだな。

 玄関先に届いた米を仕舞いながら、家に入る。
 俺はお風呂に入って寝ることにした。

 ベッドルームで一人、真ん中で眠る。
 リカルドの体温が恋しい。
 寂しいけれど、仕方ない。
 俺はせめて夢で会えますように、と願いをかけて、夢の中に旅立った。




 翌日、早朝。
 定食屋で朝食を済ませた俺は、チョコレート屋ピスタチオにやってきていた。

 キッチン担当は全員揃っている。
 俺は午前中一杯使って、基本のチョコレート作りからアレンジレシピまで、丁寧に教えた。
 特に女性の料理人は、立派なショコラティエになって独り立ちしたいそうだ。
 いいねえ、チョコレート屋が増えるのは歓迎するよ。
 男性二人も意欲高く学んでいる。

 昼食は屋台の串肉とオムレツサンドで済ませた。
 塩気強めの串肉が、チョコレートばかり食べて甘くなった舌に丁度良い。

 午後は好きなように作って、試食してみるように伝えた。

 後はメニュー屋も絵師も呼ばなくちゃ。

 俺は前回来てくれたエルランドさんと、ヘンリエッタを呼ぶことにした。

 来たらメニュー屋にメニューを書かせる事、絵師に一品ずつ出して絵を書かせる事を頼み、俺は支店に戻った。

 支店でラーメンの麺を仕込む。
 根気よく練って切り分けていく。
 後はスープの作成だ。
 出汁を作り、醤油ベースのタレを作る。
 あ、鐘3つが鳴った。

 俺は麺を茹でて丼に盛り、スープを注いだ。
 茹でたほうれん草ときくらげ、チャーシューを乗せて箸と共に配膳する。
 居間には皆が集合していた。

 まず、アラブレヒトが箸をつける。
 ずるずるずるっ!
  ぱくぱく、ごくん。
 
 「ハヤト、このラーメン。とっても美味しいよ!」
 
  俺は他の皆にも次々に配膳して回った。
 
 「チャーシューが柔らかくてうめえな」
 
 「麺がスープと一体になって、実に美味い」
 
 「あら、とっても美味しいわ。私、ラーメンが好きになったわ」
 
  俺も自分の分のラーメンをすすり込む。
  うん、美味しい!
  麺がモチモチでスープも美味い。
  
 「ハヤト、このラーメンは屋台向きなんじゃないかい?」
 
  アラブレヒトが良いところに気がついた。
 
 「良くわかったね。俺の故郷にも屋台のラーメン屋があったよ」
 
 「俺はラーメンが気に入ったよ。うどんと蕎麦と、中華麺を工場展開させる!」
 
 「是非頼むよ。明日からはアレンジメニューを作るよ。おやつではなく軽食ばかりだけど、許してくれるかい?」
 
 「水臭いことを言うなよ。どんどん出してくれ。なあ皆?」
 
 「当然だよ、ハヤト。俺達は何だって食うぜ?」
 
 「これぐらいぺろりと食べれるわよ」
 
 「ありがとう、皆。明日からも気合い入れて作るよ」
 
  俺は皆の気持ちに感謝して、後片付けを始めた。
  明日は冷やし中華にしよう。
  そんな事を考えながら、皿を拭く。
  
  リカルドのいない日々は始まったばかりだ。
  正直寂しいけど、慣れないとな。
  リカルドは今頃何してるだろうか?
 
  夫婦になっても、寂しいものは寂しい。
  リカルドも寂しいと思ってくれてると思う。
  帰ってきたらまたボウリングに行こう。
  俺の料理も食べて貰いたいし、外食にも行きたい。
  やりたいことはいっぱいある。
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