異世界転移した俺の、美味しい異世界生活

yahagi

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流しそうめん屋ホタルの準備

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 翌日はちらほらと雪が降っていた。
 リカルドは競いスケートを見に行くという。
 俺はチュッとキスをして、リカルドを見送った。

 出社したら、メリッサさんが引き継ぎしてくれた。
 流しそうめん屋ホタルの従業員は8人、無事に採用出来たそうだ。
 それと、制服の採寸も終わっているとのことで、後はプレオープンを待つばかりである。
 メニューも流しそうめん以外は、焼き魚と天ぷらしかない。
 子供が来ることを思うと、デザートは置いた方がいいだろう。
 プリンとシュークリームでいいか。
 俺は伝言屋に頼んで、エルランドさんとヘンリエッタを呼び出した。
 絵師とメニュー屋である。

 俺は出来上がった店に足を運んだ。
 お店は高級感ある外観で、清潔感がある。
 中に入ると、サンラクさんと女性建築士がいた。

「オーナー。椅子とテーブルは10台用意しました。子供用の椅子も8脚作りました。それと、流しそうめん台の横に座る場合の為に、椅子だけ20脚作ってあります。こんな感じでどうでしょうか?」

「完璧だ。ありがとう。これは報酬だよ」

 女性建築士はニッコリ笑って帰って行った。

「おうハヤト。流しそうめんの台はこんなもんでどうだ?」

「うわあ、高低差があって、凄く格好良いです。曲がるコースもあって、これは良いですね」

「今、水を流してみるからよ。そうめんを流してみてくれねえか」

「はい。今麺を茹でてきますね」

 俺はキッチンでめんつゆを作った。
 鍋にお湯を沸かし、そうめんを茹でる。
 茹で上がったそうめんを持っていき、流しそうめん台へ少しずつ流してみる。

「あっ、流れましたよ! おお、理想の動きです。このまま下まで流れればゴールですね」

「動きが少し固くねえか? もっといっぱい本番じゃあ流すんだろう?」

「わかりました、残り全部流して見ますね」

 俺はかたまりすぎない程度に小分けにして、そうめんを流した。
 サンラクさんと自分の分のめんつゆを持ってきて、サンラクさんに渡す。

「すくってみて下さい」

 俺も横から箸ですくいまくる。
 あはは、楽しいぞ。
 食べてみると、細い麺がつるっと食べれていい感じだ。
 俺は小さい子用の低い場所ですくってみた。

「うん、上手にすくえます。サンラクさんはどうですか?」

「流れてくる速度はちょっとおせえが、すくうのには丁度良いかもな。水の速度は速めることが出来るからよ。それにしても、そうめんっちゃあ、つるっと軽くてなかなか満腹にならなそうだ」

「思う存分すくって食べて欲しいですね。あとは魚の塩焼きと天ぷらがありますよ。あっ、エルランドさん、この流しそうめんの風景をメニューに描いて貰えませんか? このへんに小さな女の子も」

「承知した。メニューは何部必要だ? 人数は何人描く?」

「メニューは12部、人数は6名描いて欲しい。今、メニューの魚の塩焼きと天ぷらを作ってきます。ヘンリエッタは文字をお願いします。デザートはプリンとシュークリーム、どれも3銅貨でお願い」

「わかりました。お肉のメニューも一品くらいあっていい気がします」

「じゃあ、肉野菜炒め。これも作ってくるね」

 俺は流しそうめん台の調整をしばしサンラクさんに任せ、メニューのレシピを作った。

「はい、野菜炒めに魚の塩焼き、天ぷら。後はデザート作ってくるね」

  俺はキッチンでシュー生地を仕込み、オーブンで焼いた。
  しっかり泡立てたホイップクリームをシュー生地に絞り、粉砂糖をかけて完成。
 
  プリンは蒸し上がったものを冷やしている。
  俺はシュークリームとプリンを店内に運んだ。
  後はエルランドさんにお任せだ。
 
 「ハヤト、6名子供も入れて描いてみた。こんな感じでどうだ?」
 
 「うわあ、流石上手ですね。流しそうめんの雰囲気が出てます。子供も3人いるし、箸も使っている。完璧です、エルランドさん」
 
 「後はメニューの料理だな。俺に任せておけ」
 
  エルランドさんは絵筆を持ち替えて、野菜炒めを書くようだ。
 
  俺はキッチンに入ってそうめんを茹でて、2台目と三台目の流しそうめん台にそうめんを流した。
 
 「よし、バッチリじゃ、ハヤト」
 
 「みなさん、お昼ご飯にしましょう。流しそうめんはすくっていただくとして、他のメニューは如何ですか?」
 
 「俺は魚の塩焼きと、シュークリーム」
 
 「俺は肉野菜炒めとシュークリーム」
 
 「私は天ぷらとシュークリームで」
 
 「わかった。ちょっと待っててね」
 
  俺は自分の分の、魚の塩焼きも一緒に作った。
  追加のそうめんも茹でて、そうめん台に流していく。
  おかずは机に置いて、俺もそうめんをすくおう。
  つゆを持ち、皆でそうめんをすくう。
 
 「4人ですくってても、ちゃんとすくえるな。流しそうめん台の調整はこれで終わりでよかろう」
 
  サンラクさんは席について、魚の塩焼きを食べ始めた。
  そうめんも美味しそうに食べているし、これで完成かな。
  俺もそうめんをすくいつつ、魚の塩焼きを食べた。
  デザートにシュークリームを食べて、サンラクさんは帰って行った。
 
  エルランドさんとヘンリエッタの仕事が終わるまで暇なので、流しそうめん台の掃除や、キッチンの後片付け、それとソリティアをして過ごした。
  鐘3つ、皆でプリンを食べて、後もうひと頑張り。
  エルランドさんが絵を描いて、ヘンリエッタが文字を描いたメニューを見ながら、時間を過ごした。
 
  鐘5つ、メニューが完成した。
  見事な出来映えのメニューに、俺も頬が緩む。
  二人に報酬を渡して、店を閉めた。
  支店に帰り着いた俺は、夕飯のボロネーゼを美味しく食べて、家に帰った。
 
  家には灯りがついていた。
  居間でくつろぐリカルドにチュッとキスをして、俺もコタツに入る。
 
 「ただいま、リカルド」
 
 「お帰り。俺は競いスケートで、モロゾフに賭けてきた。かなり稼いだぜ」
 
 「そりゃあ凄いね。俺は流しそうめん屋ホタルを作っていたよ。明日がプレオープンだから、気合い入っているよ」
 
 「招待状も受け取った。明日昼時に向かうぜ」
 
 「正直、冒険者に受けるとは思えないんだけど、楽しんでくれたら嬉しいな」
 
 「新しいもの好きの奴らと行くから、多分大丈夫だぜ。流しそうめんなんて、聞いたことねえからな。一度は体験しときたいって、思うはずだ」
 
  リカルドはミカンを剥き始めた。
  すっかりコタツにミカンの姿がしっくり来るようになったリカルドに、俺は口角を上げた。
 
 「次は釣り堀屋ハチなんてどう? 室内に池があって、魚が泳いでいるの。その魚を釣るお店。釣った魚を調理しても良いし、持ち帰っても良い。ううん、広い場所が買えたら出来そうなんだけど」
 
 「釣りは免許制で一般市民は釣りに縁がねえ。一度釣りギルドに相談してみるといいぞ。魚は釣りギルドに依頼するんだろう。実現したら、すげえ客が来そうだ」
 
 「わかった。釣りギルドに相談してみるね」
 
  こうしてアドバイスをくれるリカルドはとても頼もしい。
  釣り堀屋ハチ、良いじゃないか。
  俺はやる気に満ちていた。
 
 
 
 
 
  翌日、俺は従業員8名を店に呼び出し、店に向かった。
  服飾ギルドのジルさんが制服を持ってきてくれたので、報酬を支払う。
  やがて従業員が揃ったので、流しそうめん屋ホタルの説明をして、キッチン担当にはレシピを伝えた。
  鐘10が鳴り、開店だ。
  キッチン担当には、流しそうめんを流し続けて貰わねばならない。
  たくさんそうめんを茹でて、客を待つ。
  まあ、お昼時までは客も来ない。
  カウンター担当は掃除に精を出している。
  俺は焼きあがったシュークリーム生地のカットの仕方を教えながら、クリームを絞って見せた。
 
  鐘12、まず来たのは、孤児院の面々だった。
  全部で8名、子供ばかりだ。
  シスターがオーダーするのを待って、挨拶に出向く。
 
 「シスター。今日はお越しいただき、ありがとうございます。ゆっくり楽しんでいって下さい」
 
  子供用の椅子に座った子供も元気一杯だ。
 
 「今日は無料で招待頂き、感謝しております。子供達も大喜びです」
 
  シスターはにっこり笑って小さい子を抱きしめた。
  一番年長の男の子が箸の練習をしている。
  そこに、めんつゆが届いた。
 
 キッチン担当が声を張り上げる。

「今からそうめんを流しまーす。この竹の容器からすくってねーっ」

 皆つゆを持って準備万端だ。
 流れてきたそうめんを、皆少しずつすくっていく。

「そっち、流れていったぞ!」

「ああーん、ミサが私のそうめん取ったぁ!」

「いっぱい取れた! 食べようっ」

 にぎやかな子供達が美味しそうにそうめんを食べていく。
 席に戻らず、流しそうめん台の隣の椅子に座って、すかさずそうめんをすくいにいく。
 
「にぎやかでいいじゃないか、ハヤト。食いに来たぞい」

「サンラクさん。今日はゆっくりしていって下さいね」

 やってきたのは、サンラクさんとご友人6名。
 カウンター担当がオーダーを取り、つゆを持ってくる。

「こちらからそうめんを流しますので、箸ですくってくださーい」

 サンラクさん達も楽しそうだ。
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