異世界転移した俺は、高級奴隷となって旦那様に溺愛される

yahagi

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異世界転移

 俺は平沢誠という、25歳のサラリーマンだ。
 恋人もおらず、一人暮らしをしている。
 あえて言うなら、俺はゲイで面食いで処女だった。
 お笑いが大好きで、テレビで笑い転げるのが好きだった。
 そんな俺はある日、路地裏ですっころんだ。
 
 気付けば、そこは森の中だった。
 自分の目が信じられない。
 転んだときに鞄はどこかへ行っており、スーツ姿で身一つだった。
 これはもしや、異世界転移というものではないだろうか?
 明らかに樹齢100年越えてそうな木が、そこらじゅうに生えている。
 植生も見慣れない植物ばかり。
 
 そして、そこには獣もいるに違いなかったが、何せ手ぶらである。
 どうやっても勝つことはできそうになかった。

 鬱蒼とした森を進むこと、小一時間。
 なんとか獣に出会わずに済んだが、今度は喉の渇きに苦しむことになった。
 人里を目指しているのだが、方向が合っているかわからない。
 俺は端的に言って、迷子だった。

「止まれ! お前は何をしにここへ来た!」

 男の声が聞こえて、それは剣呑さを含んでいたが、人に会えた安心感でいっぱいだった。

「俺は平沢誠! 日本人だ! ここには迷ってきただけだ! 良ければ水を一杯頂きたい!」

「何を言っているかわからん! その奇妙な服装はなんだ!」

「えーっと、俺はマコト。この格好はスーツと言って、仕事の時に着るものだ」

「怪しい奴め! おい、不審者だ! とっつかまえろ!」

 どこに潜んでいたのか、3人の男達が出てきて、俺に剣を突きつけた。
 俺は素直に捕まり、彼等の村に連れて行かれた。

 冷たい地下牢へ入れられ、俺は一人座り込んでいた。
 これから、一体どうしたものだろう。
 それより、喉が乾いた。
 言葉は通じているのに、話が通じない。
 俺が不審なのはわかるけど、こんな対応って日本じゃ有り得ない。
 俺は神様に会ってもいないし、チートも貰っていない。
 平凡なサラリーマンなんだ。
 この世界で何をしろと言うのだろう。

「おい、お前。どこからやって来た」

 気付けば、男が地下牢に一人、やってきていた。
 手には剣を持ち、こちらに突きつける。

「日本っていう国からやってきた。ジャパンって聞いたことない? 東にある国なんだ」

「ここはエルランド大陸にあるブローケン王国のある森の中だ。隣国はベニチオ神聖国。もっと遠くには、ダイライテング帝国がある」

「……初めて聞く国の名前です」

「嘘をつくな! お前の黒髪黒目の風貌は、ブローケン王国の生まれであると物語っている」

「それが、本当に知らないんですよ。今日会社に行こうとして、転んでしまって。そしたらこの森の中にいたんです。迷子になってしまって。人里に到着して安堵しているんです」

「不審者よ。お前の疑いが晴れないようなら、お前は斬首だ。ゆめゆめ嘘を言わぬように。お前は、ブローケン国の密偵だな?」

「違います。日本のサラリーマンです。人畜無害な男です。どうか助けてください」

「無理だ。聞いたことのない言葉ばかり喋る男よ。おまえの疑いはますます強まった。仲間がいないか、数日様子を見る。その後、斬首だ。真実を告白するのは早い方がいい」

 男は地下牢から去っていった。

 それから、薄いスープとパンが辛うじて与えられた。
 俺はじっくり味わって飲み干した。
 パンは硬かったが、なんとか飲み込んだ。

 何もない地下牢で、ごろりと横になる。
 俺は疲れ切っていて、ストンと眠りに落ちた。






 それから、3日が経った。
 食事は一日二回、薄いスープとパンだけ。
 お腹は減ったが、もっと貰えるわけもない。
 食べられるだけ良いと割り切った。
 尋問は毎日行われたが、芳しくなかった。
 聞いたことがないと言われようとも、俺は日本人だし、ブローケン王国は聞いたことがない。
 尋問担当も困っていたが、俺はもっと困っている。
 そして、一枚のシャツとズボンを渡された。

「その服は売りに出す。血で汚さない為に着替えろ」

 俺の命運は尽きてしまったのかもしれなかった。
 俺は言われるままに着替えて、スーツを差し出した。

「これを差し出すから、命は助けて貰えないか」

「……これは食事代として貰っておく。斬首の時まで神に祈りを捧げると良い」

 男は地下牢から出て行った。
 あのスーツ、結構高かったんだけどなぁ。
 神様に祈れって言われても、こっちの世界の神様ってどんな存在なんだろう。
 そこらにいるなら、姿を見せてチートを授けて欲しい。
 せめて生きていられるなら何でもするのに。

「ふむ、何でもする、か。余程斬首が嫌なようだ」

 見ると、小綺麗な格好をした男が俺を見つめていた。
 望みを口に出していたのだろう。
 そんな俺に対して、男は特に思う所はなさそうだ。
 村の男ではないみたいだ。
 俺は一縷の望みをかけて懇願した。

「何でもするから、生かしてくれ。料理洗濯掃除、後は、何だろう……」

「男の性処理も行えますか?」

「はいっ! 大丈夫です」

「では、ギース。この男はうちの奴隷商会で買いましょう。斬首よりお金になった方が嬉しいでしょう?」

「この男、まるでものを知らないぞ。ブローケン王国で売るんだろう」

「ええ。うちは正規の奴隷商会ですからね。任せてください。男の性処理をする奴隷は人気なんですよ」

 そうして俺は斬首を免れ、奴隷となった。
 ヨルゲン様という奴隷商の馬車に乗り、北へと北上する。
 護衛も5名おり、いずれも男だ。
 俺は馬車に揺られながら、ヨルゲン様に質問した。

「女性の姿を見ませんが、外に働きに行かないのでしょうか?」

「女性は子を産み、育てる役目がある。だから、働きに出てる女性は少ないね。主に食堂や飲み屋で働いているよ」

「そうなんですか。じゃあ、恋愛観を教えてください。日本は異性愛者が主流でしたが、こちらもそうでしょうか?」

「そうだね。小さな村だと女を嫁にする風習があるね。大きな町では、同性愛もさかんだよ。男と男で結婚も出来るし、女と女で結婚も出来る」

「へえー。夢みたいな環境ですね。ブローケン王国は、良い国なんですね」

「そりゃあそうさ。王様は国民を大事に思って下さるし、王子様がたも精鋭揃いで、国の体制は盤石だ」

 俺はへえーと、聞き流しながら、王子様達の武勇伝を聞いた。
 丘の上で敵将の首を討ち取ったとか、騎馬戦で敵将首を討ち取ったとか、そういうのばっかり。
 俺ももう少しで斬首だったけど。
 首の話題は遠慮したいこの頃です。
 
「そうだ、君がいた村は隠れ里なんだ。人に話さないようにね」

「わかりました。喋りません!」

「物わかりのいい子は好きだよ。良い主人を見つけてあげようね」

「はい、お願いします!」

「具体的に、希望はあるのかな」

「顔の良い男が良いです。俺、面食いなんで!」

「わかったよ。と、なると貴族がいいかな。ああそうだ、あの家に行ってみようかな」

 ヨルゲン様はぶつぶつと呟き、御者に指示を出した。

「今日は森を抜けたら夕食だ。君の料理の手際を確認させて貰うよ」

「はい、頑張ります!」

 森を抜けるまで、相当時間がかかった。
 獣にも襲われたけれど、護衛がなんなく倒していた。
 昼食は塩辛い干し肉だけだ。
 森は広く、雄大で、容赦がなかった。
 革袋の水筒から水を貰い、大事に飲む。
 馬車の中はヨルゲン様と俺だけ。
 俺はこれから、奴隷になるのだ。
 その事は、鉛を飲み込んだみたいにじわじわと効いてくる。
 でも、斬首よりマシだ。
 何でもやるしかないのだ。
 せめて男の顔面が良いことを祈るしかなかった。

「さあ、休憩にしよう。肉は今日襲ってきた獣の肉だ。野菜はここ。パンはここだ」

「はい。夕飯を作りますね」

 心配だった火おこしだったが、スイッチ一つで火がつく魔導コンロというものがあり、ガスコンロと似た感覚で使うことが出来た。
 
「調味料は、塩とハーブ……よし、焼き肉と野菜スープにしよう」

 本当はハンバーグにしたかったのだが、塊肉を挽き肉にする手間があるので、苦肉の策で、焼き肉。
 焼き肉のタレはないけどな。

 野菜を刻み、獣の骨を貰って一緒に煮ていく。
 味見をしながら、ハーブを入れる。
 うん、美味しく出来たぞ。

 後は肉を薄切りにして、野菜と炒めるだけだ。
 じゅわあああっと、美味しそうな匂いがあたりに広がる。
 ここは原っぱだが、獣が出るのではないだろうか。
 そうこうしてるうちに、獣の雄叫びが響き渡った。

 ブモオオオ!
 なんと、角の生えた牛だった。
 護衛の一人が牛を受け止め、もう一人が剣で切りかかる。
 もう一人は弓を放ち、他の二人はあたりを警戒している。

 ズウウウウン。
 牛は倒され、血抜きで木にくくりつけられた。

 俺は鍋に目を落とし、仕上げに塩を振る。
 よおし、出来たぞ。

「夕飯出来ましたよー!」

 護衛の二人を警戒に残し、皆で夕食だ。
 俺は焼き肉と野菜スープにパンを添えて、次々に渡していった。

「では、マコトの作った料理を頂こうか」

 フォークで焼き肉を頬張る男達をじっと眺める。

「うん、美味い! 肉が柔らかいな」

「切る前に少し叩きました。お口に合ったなら光栄です」

「スープも美味いぞ! 何というか、力がつく味だ」

「骨と一緒に煮込みましたので、滋養が取れると思います」

 俺はお肉を噛み締めながら、大事に食べた。
 野菜も程良く煮えていて、ハーブの香りが鼻を抜けていく。
 パンを噛みながら、スープをすする。
 とても美味しい夕食だった。

 護衛の残り二人も交代で食事を取り、後片付けをして、就寝だ。
 寝袋を貸して貰い、土に寝そべる。
 今の時期は雨が降らないので、テントは張らないのだと教わった。
 俺は護衛の夜の見張り番の二人に白湯を作り、差し入れをした。

「少しだけ、会話につきあって下さい。俺は奴隷なんですが、奴隷ってどんな事をするんですか?」

「基本的には、労働力だ。重い石の切り出しとか、過酷な現場で使われているのを見る。でも、あんたはひょろっちいから、無理そうだ」

「俺は、男の性処理をすると聞かされています」

「へえ、人は見かけによらないな。性処理をする男は高級奴隷になれる。奴隷でも、身体を明け渡す奴隷は言うほど多くはない。無理やり犯しても、そのうち自決してしまうからな」

「えっ、奴隷って問答無用で犯されるものだと思っていました」

「大昔はそうだったらしいけどな。身体を汚されると、魂も汚される。将来極楽へ行きたいと考える人間は、愛する人間以外に身体を開かない。お前さんも、外国から来た口か?」

「ええ、そんなところです。信仰を大事にしているのですね」

「当たり前だ。神は全てを見ておられる。高級奴隷が好待遇なのは、死後奈落に落ちるからだ。ちなみに、ヤったほうは極楽へ行ける。受け入れる方が重要なのさ」

「興味深い話ですね。俺は外国人ですが、その神様が見ていてくれるんでしょうか?」

「ああ。ミルドレイク教は、外国人にも、広く門戸を開いている。お前もミルドレイク様に、寝る前に祈ってみろ。寝る前の祈りはミルドレイク教徒の証しだ」

「ありがとうございます。やってみますね。じゃあ、そろそろ寝ます。お邪魔しました」

 寝袋に入り、目を閉じる。
 ミルドレイク様、聞こえていますか。
 地球人の俺をこの地に落として、何がしたいんでしょうか。
 出来れば教えてください……。




 神様からの返事はなく、俺は目覚めた。
 清々しい朝だ。
 俺は朝ご飯の準備を始めた。
 肉は野菜抜きで炒めて、ハーブ強めの味付けにして。
 野菜スープは、優しい味わいにした。

「おはよう、マコト。朝食の準備をしてくれたんだね」

「あっ、俺の担当じゃありませんでしたか?」

「いや、作ってくれて助かる。さあ、朝食にしよう」

 卵があれば、ベーコンエッグとかにしたんだけどね。
 このお肉も美味しいから良し。
 野菜スープの優しい味わいが染みるわぁ。
 パンにお肉を乗っけて食べていると、ヨルゲン様が話し始めた。

「今日中に、ランドルの町に到着する。ランドルの町についたら、ミルドレイク教の洗礼を受けて貰う。昨日の話が聞こえていてね。まさかミルドレイク信徒ではないなんてね」

「すみません。知らなかったものですから」

「こちらも確認しなかったから、仕方ない。でも、約束は約束だ。性処理の奴隷になって貰うよ。高級奴隷は生きている限り尊重される。死後は約束できないが、うんといい男を見つけてやるからな」

「宜しくお願いします」

 俺にとっては、ここが死後の世界に近い。
 わけのわからない世界で、奴隷として生きていく。
 ハッピーではないが、まだそれほど不幸ではない。
 生きていくしかないのだ。
 俺は朝食を済ませた後、後片付けをして、馬車に乗り込んだ。
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