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ご主人様
夕方になり、空が茜色に染まった頃、大きな城壁が見えてきた。
沢山の人や馬車が門に並んでいる。
俺達も程なくして並び、順番を待つ。
「次の者!」
「へえ、旦那。こっちが通行証で、奴隷が一人、中にいますんで、銅貨を支払います」
「ヨルゲンじゃないか。良い奴隷が入ったんだな。良し、通って良いぞ」
兵士は俺をちらりと見て、通してくれた。
町の中に入ると、あたりは人だらけで、ごったがえしていた。
黒髪黒目が多いようだが、皆彫りの深い顔立ちで、俺のようなのっぺり顔は見かけない。
「教会へ行くぞ。ミルドレイク教の教えを賜らなくてはな」
馬車はゆっくり進み、やがて止まった。
降りたそこにあったのは、大きな教会だった。
神父様に麻袋を渡したヨルゲン様は、俺を外国人だと説明した。
「ミルドレイク神様は全ての民をお救い下さいます。約束を守り、よく働き、愛するものと愛を育む。ミルドレイク様は極楽浄土へお導き下さいます」
それから、聖水を振りかけられ、木の枝で頭を撫でられる。
これがミルドレイク教になる為の儀式だった。
約束を守ること。
よく働くこと。
愛する者と愛を育む事。
これがとても大事であるようだ。
奴隷の俺に守れるのは、二つだけ。
それでも神は見捨てないという。
「相手を愛しなさい。さすれば、汚れた魂も浄化され、天に登ることが出来るでしょう」
要するに、性処理でも相手を愛すれば、問題ないよ、って事らしい。
とにかく、無理矢理は魂を汚すそうで、今時盗賊でも陵辱はやらないそうだ。
相手を愛すること。
出来るかなぁ、俺。
最後にミルドレイク様の神像に祈って終わり。
教会を出て、護衛とはここでお別れ。
「では、今日はうちの店で休みましょう。ランドルの町にも支店がありますよ」
上機嫌のヨルゲン様と馬車で移動する。
着いた先は、立派な屋敷だった。
中に入ると、たくさんの奴隷がいる。
ここは奴隷商館だったのだ。
「まずは夕食にしよう。食堂に来てくれ」
案内されて食堂の席につくと、まず食前酒が配膳された。
フルーティで飲みやすい。
続いて前菜はチーズとサラダ。
瑞々しい青菜が美味しい。
グラスには赤ワインが注がれ、俺は食事を進めていく。
メインの鶏肉を食べながら、パンを千切って食べる。
「マコトは食事のマナーも完璧だな。これなら貴族にも売りにいける。明日、早速約束している貴族家に行くからな」
「はい、わかりました」
「衣服も、もう少しましなものを用意させよう。そうだな、裸体を見ると言われるかもしれない。今夜は風呂に入りなさい」
「えっ、風呂があるんですか?」
「ああ。お前の部屋に備え付けてある。風呂は通常、貴族の家にしかない」
「俺は貴族に買って貰いたいです」
「まずは明日からだ。今日は早めに寝ておくように。寝る前の祈りも忘れないようにな」
「わかりました」
夕食を終えて、俺は部屋に下がった。
使用人の男がお風呂の準備をしてくれて、お風呂の介助までしてくれた。
そこで、尻の穴まで洗われた。
やり方を教えてくれたらしい。
でも、恥ずかしくてしょうがなかった。
湯船にゆっくり浸かって、疲れをとる。
俺はお風呂から上がるなり、タオルで身体を優しく拭かれ、服を着せられた。
やり方がわからなかった俺は、なすがまま。
丁寧に水気を拭かれた髪、肌触りの良い寝間着、尻を綺麗にした身体……。
まるでこれから、誰かに抱かれるみたいだ。
でも、早く寝ろって言われたし、抱かれるにしても相手が決まらなくっちゃね。
俺はぽすりとベッドに身を横たえ、眠る前のお祈りをする。
どうか格好良い男でありますように。
それだけを念を押して、俺は眠りに落ちるのだった。
翌日、朝食を終えた俺は、綺麗な刺繍がされた服を身に付けて、ヨルゲン様と出掛けた。
行き先は貴族の屋敷で、俺を売り込みに行くのだ。
ヨルゲン様は、愛想良く、笑顔を浮かべるように言う。
俺はサラリーマンだったんだ。
愛想笑いはお手の物だ。
俺はニコニコしながら、貴族の屋敷に入った。
「若すぎるな」
そんな言葉で俺をお断りしたのは、髭の似合う男性だった。
「しかし、実年齢は25歳。申し分ありませんぞ」
「ヨルゲンの勧めだが、今回は無理だ。息子の性処理を頼みたかったが、息子より若々しい」
「かしこまりました。では今回は帰らせて頂きます」
俺達は馬車に戻り、次の屋敷へと向かっていた。
「若すぎるって、どういうことですか?」
「自覚がないのか? お前は15歳よりも若く見える。未成年に見えるということだ」
「ええっ!」
「次の家もうまくいくかわからん。愛想だけは良くしておけ」
「はい」
それから、4軒の屋敷を回ったけれど、若すぎるの一言でお断りされた。
ロリコンはいないの?
神様、俺を買ってくれる人が見あたりません。
「午後は……ちょっと難アリの貴族家へ行くぞ」
「はい」
昼食は店に戻って食べた。
馬車で揺られて着いたのは、なんともデカい屋敷だった。
俺はこわごわと、屋敷に踏み入れた。
磨き上げられた調度品が美しい。
応接室に通され、ソファに座り、出されたお茶を飲む。
「こちらは、デルチアーノ公爵家の4男、ドルチェス様のお屋敷だ。ドルチェス様はこのランドルの町の警備隊を指揮していらっしゃる」
「ほへえ。素晴らしい方なんですね」
「文武両道で大変お美しい方だ。妻が一人と子が一人。事情があり、今は一緒に暮らしていない」
「そうなんですね。俺は……気に入って貰えるでしょうか?」
「子供に大変優しい御仁だと聞いている。安心しなさい。だいたいの姿絵は送ってあるんだ」
そうなんだ。
じゃあ、子供っぽいのわかっていて、会ってくれるって事だよね。
その時、金色の髪がチラリと視界に映った。
「ドルチェス・デルチアーノだ。お前がマコトか」
その男は、まるで獅子のような迫力のある男だった。
眩い金髪の髪に、深い海の青色をした瞳。
すうっと通った鼻梁に、薄い唇。
髪はオールバックに纏められていて、大人の色気を感じさせた。
「はい。マコトと申します。末永くおそばに置いて頂きたいと思います」
「ふむ。15歳にも見えぬ風貌で外国人か。ヨルゲン、珍しい奴隷を仕入れたじゃないか」
「日頃の行いの良さが功を奏したのでありましょう。マコトは処女童貞でございますよ」
「マコト。俺は性豪でな。一晩に6発はヤらねば気が済まない。今までは定期的に男娼で発散させていた。ここまでは良いか?」
「はい」
「妻とは別居しているが、離縁出来ぬ理由がある。よって、俺は妻を持ちながらお前を抱くことになる。これに同意出来るか。ミルドレイク教の教えを守るならば、俺を愛する他なかろう。しかし、婚姻することは難しいのだ」
ふむふむ、奥さんいても良いですか? ってことだよね。
これだけ格好良くて性豪で独り身の方がおかしいと思うから、全然オッケーだよ。
「問題ありません」
「俺の愛が欲しくないか?」
「それは欲しいですけど、婚姻だけが全てではないと思っています」
「わかった。ヨルゲン、マコトを買おう」
「ありがとうございます、ドルチェス様。お値段はこちらになります」
お支払いを済ませたヨルゲン様は、綺麗な礼をして、帰って行った。
「可愛がって貰うのだぞ。どうしても辛ければ俺を呼べ。わかったな」
帰り際、そんな事を言っていた。
ミルドレイク教によると、妻を持つ人を愛するのは、随分リスキーな事らしい。
その点をみんな、心配しているようだった。
俺は広い部屋に通された。
「ここは俺の妻の部屋だ。お前のことは今日から俺の妻として扱う。式は挙げないが、お前もそのつもりでいろ」
「えっ、俺、奴隷なのに?!」
「公式に妻のいる俺の家に、偽りでも妻として来てくれるような人間は奴隷しかいない」
「あ、愛人とか、妾とか、貴族っているんじゃないの?」
「ミルドレイク教の教えに反する故、いないな。いるとすれば奴隷しかいない」
「そうなんだ。俺は平気だよ。今日から妻として宜しくね」
俺はニコリと笑いかけた。
「グッ、可愛い……。公的な場はお前ではなく、妻……レティシアが同伴する事になる。お前は見目が若すぎるし、基本的には家にいて貰う。俺の休日になったら、町をデートしよう」
「うん、わかったよ。ご主人様に愛して貰えるように頑張るねっ」
「じゃあ、俺は仕事に戻る。用がある時は呼び鈴を呼んで知らせろ。じゃあ、またな。夕食は一緒に取ろう」
ご主人様はふわりと微笑み、部屋を出ていった。
イケメンの微笑み、ハンパねえ~。
俺、最高に良い男に買われたんじゃない?
ああ、夜が楽しみだ。
俺は部屋にある本を取ってみた。
日本語じゃないけど、読める。
俺は小説らしきそれを、一巻から読んでいった。
物語は、勇者が悪い竜を倒し、愛する人と結ばれるストーリー。
濡れ場もあって、結構面白い。
むむ、お供の剣士は、同性愛者だな。
お供の剣士の想い人は魔導士で、なかなか仲が進展しない。
しかしある夜。
剣士が自慰をしていると、魔導士がやってくる。
そこで二人は初めて結ばれるんだけど、なぜか勇者がやってきて、剣士の尻の穴をほぐすんだ。
それで準備が整ったら、魔導士がズブリと挿入する。
腰を激しく振られ、喘ぐ剣士の描写に、俺はごくりと生唾を飲み込む。
俺は25歳で生粋の同性愛者だけど、尻はちょっと指を入れたことがあるだけで、めっちゃ初心者。
ほんとにそんなデカいもんが入るのだろうか。
っていうか、勇者と聖女の濡れ場にもお邪魔虫がいるぞ。
吟遊詩人がセックスの最中にやってきて、聖女のおっぱいを揉み、まんこを舐めるんだ。
準備が整ったら、勇者が自慢のものをぶっ刺す。
……まさか、そういう文化なのか?
俺は一抹の不安を抱えつつ、本を読み進めた。
吟遊詩人と狩人のセックスのときのお助け人は、なんと聖女で、狩人のおっぱいを揉みしだき、まんこを舐める。
準備が出来るまで、狩人は聖女に鳴かされまくる。
準備ができて、吟遊詩人のものを突き立てられる狩人。
愛し合う二人は夜通しセックスするんだけど……。
「お夕食の時間でございます、奥様」
「ありがとう。今行くよ」
俺は本を置いて、食堂に向かった。
夕食は、大変美味しかった。
「このお肉のオレンジソースが、たまらなく美味しいですね」
「それは良かった。デザートにオレンジの菓子が出るそうだ。そちらも喜んで貰えると嬉しい」
ご主人様はニッコリと笑ってワインを傾けた。
まるで絵画みたいな、凄く美しい光景だ。
俺はご主人様に見とれてぼうっとしてしまった。
「マコト。マコトはどんな男がタイプだい?」
「えっと、ご主人様の事が好きです」
「嬉しいよ。うん、俺以外の話だ。閨で手伝い人を使うだろう?」
「手伝い人?」
「夫が挿入する前まで、マコトを可愛がる男の事だよ。尻を解して、性感を引き出す。その顔は、初めてかな?」
「俺の故郷は、手伝い人を使っていませんでした」
「貧しい生活だったのかな。そういう場所では、手伝い人を使わないと聞いたことがあるよ」
「そうみたいです。手伝い人は必ず使うんですか?」
「立場ある人間はみんな、手伝い人を使うよ。自分の手で何もかもやるのは、精通したての子供の頃だけさ」
カルチャーショックだ。
それって3Pじゃないの?
それなのに旦那様だけを愛せって言うミルドレイク教は、結構無茶を言っていると思う。
「俺は、顔の良い男性が好きです」
俺の好みは顔一択だ。
旦那様は微笑んで、わかったとおっしゃった。
「分かりやすい好みで助かるよ。妻の場合、薔薇の花束を捧げるときの朝露の一滴のような男が良いとか、抱き締められたときに、柔らかな香りのする男性だとか。好みがうるさくてね」
「なんだか詩的ですね。そういう選び方もあるんだなぁって、思います。俺には教養が足りないから、無理ですが」
「ふふふ。手伝い人とも仲良くなって損はないよ。俺も若い頃は随分楽しんだものさ」
「ということは、手伝い人は若い男性なのですね」
「そうだ。15歳から18歳くらいまでかな。将来の為に真剣に身体について学ぶ時期がある。マコトには選りすぐりの男をつけるよ。楽しみにしていてくれ」
「はい、ご主人様」
食事が終わり、部屋に下がる。
ソファでぼけっとしていると、使用人がやってきて、お風呂の準備をしてくれた。
そして、介助つきで入浴。
頭も身体も丁寧に洗われて、お尻の穴も浣腸されて、綺麗に洗われた。
湯船に浸かっていると、使用人が興奮したように話し出した。
「奥様。今日の手伝い人は、ロキス様だそうです。未だ15歳ながら、100人以上の肉体経験をお持ちです。大変お美しい方で、お腰のものもたいそう立派だとか」
「手伝い人のソコは関係ないんじゃないの? 入れるのはご主人様でしょ」
「奥様は処女でいらっしゃいますからね。今夜がつつがなく終われば、手伝い人も挿入できますよ」
「ええっ! それ、浮気じゃないの?」
「浮気とは、何でございましょう。ミルドレイク教の教典には出て参りません」
俺は呆然としてしまった。
まさか、浮気の概念がないなんて。
ミルドレイク教の教えはこんなところにも影響を及ぼすんだな。
「ミルドレイク教としては、愛する旦那様と愛し合えれば、手伝い人は気にしないのかな」
「使用人は数に含めませんでしょう。それに、用意するのは旦那様です。手伝い人への愛も、旦那様のものです」
そうなのか。
そうすると、若い子と俺がヤりたい放題だよね。
俺の貞操感、大丈夫かなぁ。
沢山の人や馬車が門に並んでいる。
俺達も程なくして並び、順番を待つ。
「次の者!」
「へえ、旦那。こっちが通行証で、奴隷が一人、中にいますんで、銅貨を支払います」
「ヨルゲンじゃないか。良い奴隷が入ったんだな。良し、通って良いぞ」
兵士は俺をちらりと見て、通してくれた。
町の中に入ると、あたりは人だらけで、ごったがえしていた。
黒髪黒目が多いようだが、皆彫りの深い顔立ちで、俺のようなのっぺり顔は見かけない。
「教会へ行くぞ。ミルドレイク教の教えを賜らなくてはな」
馬車はゆっくり進み、やがて止まった。
降りたそこにあったのは、大きな教会だった。
神父様に麻袋を渡したヨルゲン様は、俺を外国人だと説明した。
「ミルドレイク神様は全ての民をお救い下さいます。約束を守り、よく働き、愛するものと愛を育む。ミルドレイク様は極楽浄土へお導き下さいます」
それから、聖水を振りかけられ、木の枝で頭を撫でられる。
これがミルドレイク教になる為の儀式だった。
約束を守ること。
よく働くこと。
愛する者と愛を育む事。
これがとても大事であるようだ。
奴隷の俺に守れるのは、二つだけ。
それでも神は見捨てないという。
「相手を愛しなさい。さすれば、汚れた魂も浄化され、天に登ることが出来るでしょう」
要するに、性処理でも相手を愛すれば、問題ないよ、って事らしい。
とにかく、無理矢理は魂を汚すそうで、今時盗賊でも陵辱はやらないそうだ。
相手を愛すること。
出来るかなぁ、俺。
最後にミルドレイク様の神像に祈って終わり。
教会を出て、護衛とはここでお別れ。
「では、今日はうちの店で休みましょう。ランドルの町にも支店がありますよ」
上機嫌のヨルゲン様と馬車で移動する。
着いた先は、立派な屋敷だった。
中に入ると、たくさんの奴隷がいる。
ここは奴隷商館だったのだ。
「まずは夕食にしよう。食堂に来てくれ」
案内されて食堂の席につくと、まず食前酒が配膳された。
フルーティで飲みやすい。
続いて前菜はチーズとサラダ。
瑞々しい青菜が美味しい。
グラスには赤ワインが注がれ、俺は食事を進めていく。
メインの鶏肉を食べながら、パンを千切って食べる。
「マコトは食事のマナーも完璧だな。これなら貴族にも売りにいける。明日、早速約束している貴族家に行くからな」
「はい、わかりました」
「衣服も、もう少しましなものを用意させよう。そうだな、裸体を見ると言われるかもしれない。今夜は風呂に入りなさい」
「えっ、風呂があるんですか?」
「ああ。お前の部屋に備え付けてある。風呂は通常、貴族の家にしかない」
「俺は貴族に買って貰いたいです」
「まずは明日からだ。今日は早めに寝ておくように。寝る前の祈りも忘れないようにな」
「わかりました」
夕食を終えて、俺は部屋に下がった。
使用人の男がお風呂の準備をしてくれて、お風呂の介助までしてくれた。
そこで、尻の穴まで洗われた。
やり方を教えてくれたらしい。
でも、恥ずかしくてしょうがなかった。
湯船にゆっくり浸かって、疲れをとる。
俺はお風呂から上がるなり、タオルで身体を優しく拭かれ、服を着せられた。
やり方がわからなかった俺は、なすがまま。
丁寧に水気を拭かれた髪、肌触りの良い寝間着、尻を綺麗にした身体……。
まるでこれから、誰かに抱かれるみたいだ。
でも、早く寝ろって言われたし、抱かれるにしても相手が決まらなくっちゃね。
俺はぽすりとベッドに身を横たえ、眠る前のお祈りをする。
どうか格好良い男でありますように。
それだけを念を押して、俺は眠りに落ちるのだった。
翌日、朝食を終えた俺は、綺麗な刺繍がされた服を身に付けて、ヨルゲン様と出掛けた。
行き先は貴族の屋敷で、俺を売り込みに行くのだ。
ヨルゲン様は、愛想良く、笑顔を浮かべるように言う。
俺はサラリーマンだったんだ。
愛想笑いはお手の物だ。
俺はニコニコしながら、貴族の屋敷に入った。
「若すぎるな」
そんな言葉で俺をお断りしたのは、髭の似合う男性だった。
「しかし、実年齢は25歳。申し分ありませんぞ」
「ヨルゲンの勧めだが、今回は無理だ。息子の性処理を頼みたかったが、息子より若々しい」
「かしこまりました。では今回は帰らせて頂きます」
俺達は馬車に戻り、次の屋敷へと向かっていた。
「若すぎるって、どういうことですか?」
「自覚がないのか? お前は15歳よりも若く見える。未成年に見えるということだ」
「ええっ!」
「次の家もうまくいくかわからん。愛想だけは良くしておけ」
「はい」
それから、4軒の屋敷を回ったけれど、若すぎるの一言でお断りされた。
ロリコンはいないの?
神様、俺を買ってくれる人が見あたりません。
「午後は……ちょっと難アリの貴族家へ行くぞ」
「はい」
昼食は店に戻って食べた。
馬車で揺られて着いたのは、なんともデカい屋敷だった。
俺はこわごわと、屋敷に踏み入れた。
磨き上げられた調度品が美しい。
応接室に通され、ソファに座り、出されたお茶を飲む。
「こちらは、デルチアーノ公爵家の4男、ドルチェス様のお屋敷だ。ドルチェス様はこのランドルの町の警備隊を指揮していらっしゃる」
「ほへえ。素晴らしい方なんですね」
「文武両道で大変お美しい方だ。妻が一人と子が一人。事情があり、今は一緒に暮らしていない」
「そうなんですね。俺は……気に入って貰えるでしょうか?」
「子供に大変優しい御仁だと聞いている。安心しなさい。だいたいの姿絵は送ってあるんだ」
そうなんだ。
じゃあ、子供っぽいのわかっていて、会ってくれるって事だよね。
その時、金色の髪がチラリと視界に映った。
「ドルチェス・デルチアーノだ。お前がマコトか」
その男は、まるで獅子のような迫力のある男だった。
眩い金髪の髪に、深い海の青色をした瞳。
すうっと通った鼻梁に、薄い唇。
髪はオールバックに纏められていて、大人の色気を感じさせた。
「はい。マコトと申します。末永くおそばに置いて頂きたいと思います」
「ふむ。15歳にも見えぬ風貌で外国人か。ヨルゲン、珍しい奴隷を仕入れたじゃないか」
「日頃の行いの良さが功を奏したのでありましょう。マコトは処女童貞でございますよ」
「マコト。俺は性豪でな。一晩に6発はヤらねば気が済まない。今までは定期的に男娼で発散させていた。ここまでは良いか?」
「はい」
「妻とは別居しているが、離縁出来ぬ理由がある。よって、俺は妻を持ちながらお前を抱くことになる。これに同意出来るか。ミルドレイク教の教えを守るならば、俺を愛する他なかろう。しかし、婚姻することは難しいのだ」
ふむふむ、奥さんいても良いですか? ってことだよね。
これだけ格好良くて性豪で独り身の方がおかしいと思うから、全然オッケーだよ。
「問題ありません」
「俺の愛が欲しくないか?」
「それは欲しいですけど、婚姻だけが全てではないと思っています」
「わかった。ヨルゲン、マコトを買おう」
「ありがとうございます、ドルチェス様。お値段はこちらになります」
お支払いを済ませたヨルゲン様は、綺麗な礼をして、帰って行った。
「可愛がって貰うのだぞ。どうしても辛ければ俺を呼べ。わかったな」
帰り際、そんな事を言っていた。
ミルドレイク教によると、妻を持つ人を愛するのは、随分リスキーな事らしい。
その点をみんな、心配しているようだった。
俺は広い部屋に通された。
「ここは俺の妻の部屋だ。お前のことは今日から俺の妻として扱う。式は挙げないが、お前もそのつもりでいろ」
「えっ、俺、奴隷なのに?!」
「公式に妻のいる俺の家に、偽りでも妻として来てくれるような人間は奴隷しかいない」
「あ、愛人とか、妾とか、貴族っているんじゃないの?」
「ミルドレイク教の教えに反する故、いないな。いるとすれば奴隷しかいない」
「そうなんだ。俺は平気だよ。今日から妻として宜しくね」
俺はニコリと笑いかけた。
「グッ、可愛い……。公的な場はお前ではなく、妻……レティシアが同伴する事になる。お前は見目が若すぎるし、基本的には家にいて貰う。俺の休日になったら、町をデートしよう」
「うん、わかったよ。ご主人様に愛して貰えるように頑張るねっ」
「じゃあ、俺は仕事に戻る。用がある時は呼び鈴を呼んで知らせろ。じゃあ、またな。夕食は一緒に取ろう」
ご主人様はふわりと微笑み、部屋を出ていった。
イケメンの微笑み、ハンパねえ~。
俺、最高に良い男に買われたんじゃない?
ああ、夜が楽しみだ。
俺は部屋にある本を取ってみた。
日本語じゃないけど、読める。
俺は小説らしきそれを、一巻から読んでいった。
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濡れ場もあって、結構面白い。
むむ、お供の剣士は、同性愛者だな。
お供の剣士の想い人は魔導士で、なかなか仲が進展しない。
しかしある夜。
剣士が自慰をしていると、魔導士がやってくる。
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腰を激しく振られ、喘ぐ剣士の描写に、俺はごくりと生唾を飲み込む。
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ほんとにそんなデカいもんが入るのだろうか。
っていうか、勇者と聖女の濡れ場にもお邪魔虫がいるぞ。
吟遊詩人がセックスの最中にやってきて、聖女のおっぱいを揉み、まんこを舐めるんだ。
準備が整ったら、勇者が自慢のものをぶっ刺す。
……まさか、そういう文化なのか?
俺は一抹の不安を抱えつつ、本を読み進めた。
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準備が出来るまで、狩人は聖女に鳴かされまくる。
準備ができて、吟遊詩人のものを突き立てられる狩人。
愛し合う二人は夜通しセックスするんだけど……。
「お夕食の時間でございます、奥様」
「ありがとう。今行くよ」
俺は本を置いて、食堂に向かった。
夕食は、大変美味しかった。
「このお肉のオレンジソースが、たまらなく美味しいですね」
「それは良かった。デザートにオレンジの菓子が出るそうだ。そちらも喜んで貰えると嬉しい」
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「マコト。マコトはどんな男がタイプだい?」
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「夫が挿入する前まで、マコトを可愛がる男の事だよ。尻を解して、性感を引き出す。その顔は、初めてかな?」
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「そうみたいです。手伝い人は必ず使うんですか?」
「立場ある人間はみんな、手伝い人を使うよ。自分の手で何もかもやるのは、精通したての子供の頃だけさ」
カルチャーショックだ。
それって3Pじゃないの?
それなのに旦那様だけを愛せって言うミルドレイク教は、結構無茶を言っていると思う。
「俺は、顔の良い男性が好きです」
俺の好みは顔一択だ。
旦那様は微笑んで、わかったとおっしゃった。
「分かりやすい好みで助かるよ。妻の場合、薔薇の花束を捧げるときの朝露の一滴のような男が良いとか、抱き締められたときに、柔らかな香りのする男性だとか。好みがうるさくてね」
「なんだか詩的ですね。そういう選び方もあるんだなぁって、思います。俺には教養が足りないから、無理ですが」
「ふふふ。手伝い人とも仲良くなって損はないよ。俺も若い頃は随分楽しんだものさ」
「ということは、手伝い人は若い男性なのですね」
「そうだ。15歳から18歳くらいまでかな。将来の為に真剣に身体について学ぶ時期がある。マコトには選りすぐりの男をつけるよ。楽しみにしていてくれ」
「はい、ご主人様」
食事が終わり、部屋に下がる。
ソファでぼけっとしていると、使用人がやってきて、お風呂の準備をしてくれた。
そして、介助つきで入浴。
頭も身体も丁寧に洗われて、お尻の穴も浣腸されて、綺麗に洗われた。
湯船に浸かっていると、使用人が興奮したように話し出した。
「奥様。今日の手伝い人は、ロキス様だそうです。未だ15歳ながら、100人以上の肉体経験をお持ちです。大変お美しい方で、お腰のものもたいそう立派だとか」
「手伝い人のソコは関係ないんじゃないの? 入れるのはご主人様でしょ」
「奥様は処女でいらっしゃいますからね。今夜がつつがなく終われば、手伝い人も挿入できますよ」
「ええっ! それ、浮気じゃないの?」
「浮気とは、何でございましょう。ミルドレイク教の教典には出て参りません」
俺は呆然としてしまった。
まさか、浮気の概念がないなんて。
ミルドレイク教の教えはこんなところにも影響を及ぼすんだな。
「ミルドレイク教としては、愛する旦那様と愛し合えれば、手伝い人は気にしないのかな」
「使用人は数に含めませんでしょう。それに、用意するのは旦那様です。手伝い人への愛も、旦那様のものです」
そうなのか。
そうすると、若い子と俺がヤりたい放題だよね。
俺の貞操感、大丈夫かなぁ。
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起きるとそこは見覚えのない場所。死んだ瞬間を思い出して呆然としている優人に、騎士らしき人たちが声を掛けてくる。何で頭に獣耳…?とポカンとしていると、その中の狼獣人のカイラが何故か優しくて、ぴったり身体をくっつけてくる。何でそんなに気遣ってくれるの?と分からない優人は大きな身体に怯えながら何とかこの別世界で生きていこうとする話。
知らない世界に来てあれこれ考えては心配してしまう優人と、優人が可愛くて仕方ないカイラが溺愛しながら支えて甘やかしていきます。
大学一軍イケメンにいちご狩りに誘われた陰キャの俺、なぜかいちごじゃなくて俺が喰われたんだが(?)
子犬一 はぁて
BL
大学一軍イケメン×大学九軍陰キャ
喰われるなんて聞いてないんだが(?)
俺はただ、
いちご狩りに誘われただけだが。
なのに──
誘ってきた大学一軍イケメンの海皇(21)に
なぜか俺が捕まって食われる展開に?
ちょっと待てい。
意味がわからないんだが!
いちご狩りから始まる
ケンカップルいちゃらぶBL
※大人描写のある話はタイトルに『※』あり