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〜赤の炎〜

プロローグ

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わたしはユキコ。もうすぐ小学5年生。

親戚とか近所のおばちゃんたちからは、
おませさんねってよく言われるけど……

もう10歳なんだから、
半分はオトナってことでしょ?

いつまでも子供っぽい方がおかしいよ。

クラスの男子とか、
なんであんなに幼稚なのかな……



わたしはアイドルみたいに可愛くもないし、
勉強も運動も、成績はいつも真ん中らへん。
とことん〝普通〟の女子だと思ってる。

けど、1コだけ普通と違うとこがあって……
それは前世の記憶を持ってるってこと!

すごいでしょ?
最初はみんなも同じだと思ってて、
だから特に気にしてなかったんだけど……

いつだったかかなぁ? 気づいたの。
わたしだけが覚えてて、みんなは忘れて生きてる。
それが当たり前なんだってゆうことに。


そりゃ、そうだよね。
みんながみんな前世の記憶がバッチリあるんなら、
学校で勉強する必要ないじゃん!って話だし。

前世のわたしはそこそこ良い成績だったみたい。
だけど昔のことすぎるせいなのか、
授業の内容はほとんど覚えてないの……
あー、残念!

だからこうして普通に小学生をやれてるわけだけど。
一度は勉強したことなのに思い出せないなんて……
かなりもったいないよね。
苦手な算数のテストで満点とってみたかったなぁ……



そういうわけで!
とにかく前世の記憶のことはみんなにはナイショなの。

だけどさ、最近やけに前世の夢を見るんだよね。

夢の中のわたしはもう高校生で……
しかも恋人がいたみたい!(きゃっ、照れる)

もう、やるなぁ!前世のわたし。

自分の姿はいつも見えないんだけど……
きっと可愛いかったに違いない。

だって彼氏さんがすっごい優しくて、カッコいいし……
二人ともとにかく仲が良くってラブラブなの!

はぁ、ステキ……
わたしも中学生になったら彼氏できるかな?







――って、思ってたのに。。


まさかその前世の彼氏に再会するなんて!!

わたし、一体どうすればいいの!?

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