聖女追放は仕組まれたものだった(私達最初から知っていたのよ編)

転定妙用

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終焉【完】

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 ベゼルブブ王国からは、総司教が三位一体教会教皇のもとに度々、拝謁を要請し、ルシファ王国の謀略について訴えた。王妃の開放、今回の侵略戦争に対する謝罪、賠償の要求、王太子ガブリエルの処罰を要請した。もちろん、一応教皇は謁見したものの、両国間の話し合いで解決するように、て言うだけだった。最終的には、総司教の交代すら臭わせた。
 他国への働きかけも、執拗におこなわれた。ルシファ王国との国交断絶を要請した。しかし、各国とも、丁重に聞き置くだけという態度だった。

 そのうち、ルシファ王国元宰相ラファエルの公開裁判が開始された。弁護士もつけられ、弁護士は大いに弁じ、ベゼルブブ王国からの証人の出頭を要請したりした。が、証拠がそろっており、ベゼルブブ王国が全く、我関せずという態度であったため、どうにもならなかった。
 しかし、ラファエルは意気消沈して沈黙するどころか、大いに語った。4代前の国王の偉大さ、自分の功績、4代前の国王の政治を、国家を守らなければならない、それが国のためであり、民のためだと主張した、声を大にして。ガブリエルは、国の領土を他国に騙しとられるばかりの傀儡であり、知能に欠陥のある男であり、それを廃嫡する必要があった。それを行おうとした自分は、無実の罪を着せられ、する必要のないベゼルブブ王国との戦争を起こしたのだ、そのために多くの民が死に、多額の費用がかかり、国際的信用をおとしたのだ、と主張した。
「私こそ国を愛したのだ。私をガブリエルとともに縛り、鋸を傍らに置き、民にその使用を任せれば、100%の鋸は私の縛めを切るのに使われ、ガブリエルの首を切ることに使われるであろう。自分の正当性を主張するならば、私と並んで民の裁きを受けるが良い。」
と彼は、毅然として態度で、その陳述を締めくくったのだった。

 彼への判決は、反逆罪での死刑であった。直後に、現国王は過去の功績から、罪一等を減じて、終身刑とするとの恩赦があった。
 この後、彼は自分の正当性を訴える著作を始め、5年後に死んだ。それは牢獄生活ではなく、館での幽閉生活で必要なもの、欲しい物はかなり手に入るものではあったが、彼は不当な、苦しい生活であることを記すのだった。

 ベゼルブブ王国国王は、表面上はルシファ王国の陰謀、謀略、侵略行為を非難し続けたものの、それまでの対外拡張戦略をあらため、ルシファ王国を含め、各国との友好、平和政策をとるとともに、国内開発に努めた。その結果、豊かな資源(これは以前の戦争で獲得した領土から産出するものであったが)を背景に産業が発展した。彼は、日々、行政官達、軍幹部に的確に指示を、命令を出し続けた。
 23年後、彼は、正式に王妃とした幼なじみに寄り添われ、疲れきったように椅子に座ったまま、天に召された。

 ルシファ王国では、ベゼルブブ王国への賠償要求をしないことには、かなりの反対があったものの、将来の戦争の原因となるのかもしれないとして、議会も世論も最終的には納得することとなった。
 ガブリエルは、ベゼルブブ王国との戦争後しばらくして、父国王が退位し、正式に国王となった。当然ミカエラは王妃となった。その後のルシファ王国は、隣国ベゼルブブ王国とは対称的な歴史をたどることになった。加護も聖樹等の恩恵を否定して発展したベゼルブブ王国とは正反対に、加護を享受し、聖樹等の世話、その恩恵の有効活用をより改善することを中心とする方向を選択した。財政危機に苦しみ、急速に市民の勢力は拡大、王権・貴族の権限は制限されるようになり、20年後には男女の普通選挙が実施され、議員内閣制の政府が整理するまでになった。

 聖樹や神木などに制約される、その利用効率化の効率化を常に図り続けたとはいえ、経済社会に固執し、王家は市民・国民にその権限を譲渡していったルシファ王国と、それらの制約を捨て、加護にも頼らず、農工鉱業の発展にまい進し、王家の絶対的権限を維持し続けたベゼルブブ王国。そのどちらが正しかったのか。

 そして、ミカエラとガブリエルであるが、手に手を取って、東奔西走北上南下、国内にとどまらず、海外にも、交渉、説得、推奨等々に駆け回った、その各地でイチャイチャラブラブのエピソードをまき散らしながら。
「陛下と聖女様との一世一代の舞台でした。」
と後に事件の発端となった変身俳優が語ったというが、その後も二人はコメディーを演じているかのようでもあり、それを楽しんでいるようだった。年齢よりずっと若く見えた二人は、朝起きてこないのを心配した侍女が、抱き合ったまま眠るようにして亡くなっているのを発見したのだった。

 その時、既に次代の聖女は生まれて、認定され、17歳になっていた。その婚約者は2人の長男だった。
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