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どうして捨てられたのかしら?
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「そういうコリアンダー公爵様は、ご自分を捨てた婚約者との思い出にひたるために、ここにおいでになったというわけですか?どうなのですか、コリアンダー公爵閣下?」
思わず嫌みたっぷりに言ってしまった。流石に嫌な顔をした彼だったけど、
「気が付くと、婚約者を盗られた美しいピール家のご令嬢が涙を流して、夜の庭をさまよっているのを目にしたので、心配になってやってきただけですよ。」
目いっぱい反撃してきたわね。
「お聞きしてよろしいでしょうか?婚約者の気持ちが自分にないということがわかりませんでしたの?」
彼は、困惑した、そして泣き出すような顔になった。や~い、ざまあみろ~。
「う~ん。今考えれば数か月前・・・一年くらい前・・・もっとかな・・・誰かが見ているかもしれないから恥ずかしいと言って僕が抱きしめるのを嫌がるようになったかな・・・ああ、それと彼女に会いに行く途中でミカエル様に出会うことが度々あったな。」
私は、ため息をつく風をして、
「それでわからないかったの?そんな鈍感だから、まんまと寝取られるのよ。」
と言ってやったら、
「さぞかし、学園内では評判になっていたのだろうね。そして、知らぬは婚約者ばかり、と嘲笑していたわけなんだね、君達は?」
う、すかさず反撃してきたな。私は言葉がでなかった、二人がそんな関係だったなんて、さっき初めて知ったのだもの。その私の顔を見て、
「なんだ、君達も知らなかったのか。二人とも、こういうことに関しては頭が切れるんだから。」
確かに、その通りだった。でも、なんで、あんたがドヤ顔するのよ!無性に腹立たしくなった私はつい、
「あんたが、ちゃんとしていれば、私は・・・全てあんたの甲斐性がなかったせいよ!どうしてくれるのよ!」
と言ってしまった。
「まあ、確かに俺のせいであんたも、婚約破棄されたともいえるな。」
な、なによ、あんたと同じにしないでよ。
「まあ、このまま立っているのも疲れるから、そこのベンチに座らないか、お互い。」
傷の嘗めあいなんかしたくないわよ。でも、疲れたから座ってあげるわよ。
私達は、彼が婚約者、今では元婚約者なのだが、二人で時間を過ごしたように小さなテーブル越しに座って互いの顔を見ていた。こういう風に、二人は見つめ合っていたのよね、ってか、なんだかますます腹立たしくなってくるわ。それなのに、この男ったら、まだ赤ん坊の婚約者が、自分があやすと、母親や乳母、侍女達ではどうしても泣き止まないのに、すぐに泣き止み、笑い声をだすわ、スヤスヤと眠ったとかから始まって、彼女がコリアンター公爵家の家風に恥ずかしくないようにと剣、槍、弓、銃砲、体術から絵画、音楽、哲学まで文武を熱心に学んだとか、自分が軍務で初めて感状がでると、
「え、あなた、一度でも感状をもらうほど功績があったの?」
と私は思わず素っ頓狂な声を上げて話の腰を折り、
「ああ、二度もらったよ、大したことではなかったけどな、確かに。」
と彼に切り返されたが、そこからまた、それを彼女が心から喜んでくれて、今後のことを相談に乗り、苦しかった時の愚痴を嫌な顔もせずに聞いてくれたと延々と聞かせてきた。
なによ、私だって一生懸命、パパイ大公に恥ずかしくない婚約者として努力したわよ。あの方に物心ついたときに、婚約者だと言われて、初めて会った時には、幼い子供ながら、あの方の圧倒されるような、頼もしい、惹かれるような、頼りになるというかのオーラを感じたし、輝くような美しい美丈夫だって感じたわよ。だから、領地のある北方のことを知ろうと勉強し、武芸が必要と知ると剣から鉄砲まで懸命に習ったわ。北方の風俗にも慣れようと努力した、食べ物だった。それと同時に王都の洗練された文化も身につけなければならないと、社交界で、サロンでも頑張ってきたし、芸術から哲学の素養を身に着けようと研鑽してきたわ。外見だって、北方の健康的な美と王都の洗練された美を両方ともそなえられるように努めてきたわ。北方の田舎者と思われるような、そんなのだから北方辺境大公の婚約者だなんて陰口をたたかれたら。パパイ大公様の不名誉になっちゃうじゃない。パパイ大公様も、領地にいることが多く、海外留学もあり、あの方はここではなく、外国の大学で学んだのだ、あまり頻繁に私の下を訪れることはなかったけど、あなたのようなお気軽な公爵とは違ってやらなければならないことが多かったの、訪れてくれた時は、いつも優しく接してくれたわ。私の文武の向上ぶりを褒めてくれたし、未来の大公妃にふさわしいと言ってくれたわ。初めてキスした時なんか天にも昇る心持だった。その時間はかけがいのないものだったわ、幸福に酔いしれるものだったわ、私にとっては。そのことを、よ~く、こんこんと彼に言ってやった、聞かせたわ。
「でも・・・どうして・・・それなのに・・・こんなことになったのよ。」
私と大公様の絆をとっくりと説明した後、急に切ないものを感じてきて、つい弱音を口にしてしまった。でも、捨てられたとかの言葉は出したくなかった。
「それは・・・カーキ公爵家の方が、ピール公爵家より利用価値が大きいと判断したからだろうな。そして、悲劇のヒロインであるゼハンプリュ嬢への同情心を自分の人気にできるだろうと判断したのだろうさ。それに、彼女の母上は、王族だからな。君の背が高すぎるとかは関係ない・・・と思うよ。」
彼は、私の話を聞いていた、辛抱強く聞いていたと思う、考え込むように言った。
「あ、あの方はそんな方ではないわ!」
と思わず叫んでしまった。
「身分と金目当ての婚約のあなた方と一緒にしないでよ。」
とも言ってしまった。自分に返ってくることだというのに。
「まあ、俺達の家の場合はそうだけどな。」
と一瞬反発する風ではあったが、それを抑えて、あっさり私に同意した。
「たしかに、ゼハンプリュ嬢だと並んで歩くとちょうどいい背丈だったし・・・。」
腕を組んで去っていく二人の背を思い出して、私は呟いた。
「俺達だと、凸凹コンビだったな。」
二人は、しばらく、ため息をついて、沈黙してしまったわ。そしたら、
「背丈だけなら、俺とあんたはつり合いがとれているな。」
とぽつりと口に出した。その時、私達は貴族にあるまじきため口で会話をしていたことに、ようやく気が付いた。
思わず嫌みたっぷりに言ってしまった。流石に嫌な顔をした彼だったけど、
「気が付くと、婚約者を盗られた美しいピール家のご令嬢が涙を流して、夜の庭をさまよっているのを目にしたので、心配になってやってきただけですよ。」
目いっぱい反撃してきたわね。
「お聞きしてよろしいでしょうか?婚約者の気持ちが自分にないということがわかりませんでしたの?」
彼は、困惑した、そして泣き出すような顔になった。や~い、ざまあみろ~。
「う~ん。今考えれば数か月前・・・一年くらい前・・・もっとかな・・・誰かが見ているかもしれないから恥ずかしいと言って僕が抱きしめるのを嫌がるようになったかな・・・ああ、それと彼女に会いに行く途中でミカエル様に出会うことが度々あったな。」
私は、ため息をつく風をして、
「それでわからないかったの?そんな鈍感だから、まんまと寝取られるのよ。」
と言ってやったら、
「さぞかし、学園内では評判になっていたのだろうね。そして、知らぬは婚約者ばかり、と嘲笑していたわけなんだね、君達は?」
う、すかさず反撃してきたな。私は言葉がでなかった、二人がそんな関係だったなんて、さっき初めて知ったのだもの。その私の顔を見て、
「なんだ、君達も知らなかったのか。二人とも、こういうことに関しては頭が切れるんだから。」
確かに、その通りだった。でも、なんで、あんたがドヤ顔するのよ!無性に腹立たしくなった私はつい、
「あんたが、ちゃんとしていれば、私は・・・全てあんたの甲斐性がなかったせいよ!どうしてくれるのよ!」
と言ってしまった。
「まあ、確かに俺のせいであんたも、婚約破棄されたともいえるな。」
な、なによ、あんたと同じにしないでよ。
「まあ、このまま立っているのも疲れるから、そこのベンチに座らないか、お互い。」
傷の嘗めあいなんかしたくないわよ。でも、疲れたから座ってあげるわよ。
私達は、彼が婚約者、今では元婚約者なのだが、二人で時間を過ごしたように小さなテーブル越しに座って互いの顔を見ていた。こういう風に、二人は見つめ合っていたのよね、ってか、なんだかますます腹立たしくなってくるわ。それなのに、この男ったら、まだ赤ん坊の婚約者が、自分があやすと、母親や乳母、侍女達ではどうしても泣き止まないのに、すぐに泣き止み、笑い声をだすわ、スヤスヤと眠ったとかから始まって、彼女がコリアンター公爵家の家風に恥ずかしくないようにと剣、槍、弓、銃砲、体術から絵画、音楽、哲学まで文武を熱心に学んだとか、自分が軍務で初めて感状がでると、
「え、あなた、一度でも感状をもらうほど功績があったの?」
と私は思わず素っ頓狂な声を上げて話の腰を折り、
「ああ、二度もらったよ、大したことではなかったけどな、確かに。」
と彼に切り返されたが、そこからまた、それを彼女が心から喜んでくれて、今後のことを相談に乗り、苦しかった時の愚痴を嫌な顔もせずに聞いてくれたと延々と聞かせてきた。
なによ、私だって一生懸命、パパイ大公に恥ずかしくない婚約者として努力したわよ。あの方に物心ついたときに、婚約者だと言われて、初めて会った時には、幼い子供ながら、あの方の圧倒されるような、頼もしい、惹かれるような、頼りになるというかのオーラを感じたし、輝くような美しい美丈夫だって感じたわよ。だから、領地のある北方のことを知ろうと勉強し、武芸が必要と知ると剣から鉄砲まで懸命に習ったわ。北方の風俗にも慣れようと努力した、食べ物だった。それと同時に王都の洗練された文化も身につけなければならないと、社交界で、サロンでも頑張ってきたし、芸術から哲学の素養を身に着けようと研鑽してきたわ。外見だって、北方の健康的な美と王都の洗練された美を両方ともそなえられるように努めてきたわ。北方の田舎者と思われるような、そんなのだから北方辺境大公の婚約者だなんて陰口をたたかれたら。パパイ大公様の不名誉になっちゃうじゃない。パパイ大公様も、領地にいることが多く、海外留学もあり、あの方はここではなく、外国の大学で学んだのだ、あまり頻繁に私の下を訪れることはなかったけど、あなたのようなお気軽な公爵とは違ってやらなければならないことが多かったの、訪れてくれた時は、いつも優しく接してくれたわ。私の文武の向上ぶりを褒めてくれたし、未来の大公妃にふさわしいと言ってくれたわ。初めてキスした時なんか天にも昇る心持だった。その時間はかけがいのないものだったわ、幸福に酔いしれるものだったわ、私にとっては。そのことを、よ~く、こんこんと彼に言ってやった、聞かせたわ。
「でも・・・どうして・・・それなのに・・・こんなことになったのよ。」
私と大公様の絆をとっくりと説明した後、急に切ないものを感じてきて、つい弱音を口にしてしまった。でも、捨てられたとかの言葉は出したくなかった。
「それは・・・カーキ公爵家の方が、ピール公爵家より利用価値が大きいと判断したからだろうな。そして、悲劇のヒロインであるゼハンプリュ嬢への同情心を自分の人気にできるだろうと判断したのだろうさ。それに、彼女の母上は、王族だからな。君の背が高すぎるとかは関係ない・・・と思うよ。」
彼は、私の話を聞いていた、辛抱強く聞いていたと思う、考え込むように言った。
「あ、あの方はそんな方ではないわ!」
と思わず叫んでしまった。
「身分と金目当ての婚約のあなた方と一緒にしないでよ。」
とも言ってしまった。自分に返ってくることだというのに。
「まあ、俺達の家の場合はそうだけどな。」
と一瞬反発する風ではあったが、それを抑えて、あっさり私に同意した。
「たしかに、ゼハンプリュ嬢だと並んで歩くとちょうどいい背丈だったし・・・。」
腕を組んで去っていく二人の背を思い出して、私は呟いた。
「俺達だと、凸凹コンビだったな。」
二人は、しばらく、ため息をついて、沈黙してしまったわ。そしたら、
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