婚約破棄された悪役令嬢に辺境大公(私の婚約者)を寝取られました

転定妙用

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最低の男だね、俺は。【サムロは悩む】

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「全く、自分という男が情けないですよ、会長。今に始まったことではないですが。」
 俺は弱弱しく可愛い、助けてやりたくなるゼハンプリュを拒絶できず、可愛い、ともに生きたい、背を任せ合いたいデュナだけを愛するということを守れなかった、裏切ってしまった。彼女達を並べて、交互に愛するとかいう痴態を演じてしまい、それが続いてしまっている状態にある、日々を送っているのだ。
 それを会長に、もとい元会長に、いいやイチジーク元書記官、いいや、イチジーク北方領臨時行政官長に向って、公務時間は終わったとは言え、執務室、一応臨時北方領総督としての俺の執務室で言い訳めいたことを言っているのだ、俺は。学生自治会時代と同じように、彼女に迷惑しかかけられないでいるのだ。それが、いかにも恥ずかしいのだが。
 彼女は大きなため息をついた。そうだろうな、呆れるだろうな。

「コリアンター公爵には、あえてここではかつての盟友としての我がままで、サムロに、全てを任せてしまいましたね。私には、彼女を救えなかった。残念であり、君に申し訳ないと思っているよ。」
 え?なんの話?

 パパイ大公領は、その主の死などから、その領地は同盟外国軍部隊や大公軍残党、大半は傭兵による略奪で大混乱、大きな被害を受けた。それは、諸外国との交渉を速やかに行い、政府に復帰したイチジーク行政官を含めた尽力で短期間で成立して外国軍が撤兵、残党の軍は恩赦と討伐の飴と鞭で壊滅できた。
 その短期間ながらも、ひどい被害の結果、我々が解放軍のように迎えられ、戦後処理はスムーズにいくことになったのは、皮肉な結果だった。

 代々のパパイ大公陵が、実は国王に対するものと同様なものであったことが判明したのは、略奪がそこに及んだため、修復のための調査をしたときだった。だからといって無理やり破壊して、分際をわきまえさせたものに作り替えるのは費用もかかるので、そのまま再建させた。これまた、領民を安心させる結果になった。

  パパイ大公の代々の大事業、特に先代からアイリスまでの大事業は、軍師にして、軍師としての才能は?だったが、名宰相にして、大謀略家、外交家が大いに力があった、大公とあの宰相があってのことであると同時に、無理があり、多額の政府からの助成金によりなりたっていた。あっという間に崩壊の危機にあったが、巧みに、すばやく、無理なく、縮小、いや縮小ではなく適地適作、水量、労働力にあわせた形に修正することで、軟着陸させることに成功した。例えば、無理に小麦の栽培ではなく、もっと作りやすい雑穀に替える、乾燥、低温に耐える作物に転換させるということで対応した。全ては、イチジーク長官とその優秀な部下達のおかげであって、俺の功績などは全くない。まあ、一応ピール公爵デュナこと、俺の妻とともに統治機構の、形上のトップは俺だからやらなければならないことはやったが、大したことはやっていない。

 ここに理想の進歩的な社会制度のモデルを実現しようという、空想的な、机上の主張をする輩が一杯現れた。パパイ大公統治が突然なくなり、空白になったから、強制的にできる状態だから行う、実現できるというのだが、とんでもないことだった。そんなことをやったら、どんなにいい制度であっても反発を受けて、失敗することは確実なのだ。イチジーク会長の手腕のおかげである、全て。民族、地域の伝統を尊重しながら、うまく新しい進歩的な制度を理解を得て、導入し大部分が成功した。華々しくはなかったが、着実に進んだ。全ては、イチジーク会長だけの功績ではなかったとはいえ、彼女の存在なしにはありえなかった。本当に、彼女は学園時代から、俺からは眩い存在だ。

「学園の自治会時代から、あなたには導かれて・・・、本当にあなたは、私にとっては孤高に輝く満月だつた。あなたを支える存在にも・・・支えてもらう存在にもなれなかった。私は、中途半端だつた、いつも。後悔している・・・。私のつまらないプライドとためらいが恨めしいよ。」
 は?なんのことですか、会長?


 
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