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6.鬼執事は何をやらせても完璧です!

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 そして、十一時。早速常連さんがやって来た。
 常連のご夫婦二組、それから近くの工事現場で働くオジサマ四人、ガテン系お兄ちゃんが三人、トラックドライバーの団体五人。サラリーマンのお兄さん一人。広い四人掛けのテーブル六つが、あっという間に全部埋まった。そしてオーダーが一気に入る。


「えーっとぉ、グリル大、チョップ大、ステーキ大、ビフカツ大、オムライスご飯少なめ二つ、ナポリタン、ミート、バーグ大、てりやき大、エビ大、ランチ大六。ランチのみそ汁ひとつネギ抜きで!」


 お母さんの可愛い声が厨房に響いたので、了解、と全員でかけ声を返した。
 お客は全部で十七人、オーダーも十七個。間違いないね。私の担当はスパゲティーとオムライス。オーダーを通す時は略して言う。スパゲティナポリタンとミートスパゲティーがそれだ。グリルチキンとかてりやきハンバーグも、全部略して厨房に伝える。

 早速半ゆでのスパゲティーを熱湯が沸いている鍋に二人前放り込み、オムライスのネタをフライパンに入れて炒め、ご飯を少な目二人前を入れた。ナポリタン用のタネも作り、順番に仕上げた。ミートソースはかけるだけで楽。
 しっかりスパゲティーの準備もしておいたから、今日のランチは大丈夫だと思う。でも、沢山オーダーが入って減ってきたら、時間を見て半ゆでにして、次のオーダーに備えておくんだ。
 私が準備をしているその間、琥太郎は焼き場でグリルチキンとポークチョップ(トンテキに特製ケチャップソースを和えたもの)とステーキを焼き始めた。
 ハンバーグまで手が回っていない様子だから助けに行こうと思ったら、中松さんがすかさずランチのミニハンバーグを六個、普通のハンバーグを二個、グリルへ放り込んでくれた。

 わあー、さっすがぁー!

 ランチのハンバーグはミニだから、普通の大きさと違うのもちゃんと理解してくれているし、てりやきの付け合わせに野菜の素揚げも用意しなきゃいけないんだけど、一人前をお姉ちゃんの担当フライヤーの所にささっと用意してくれた。

 その間、お姉ちゃんがランチ用のエビフライと普通のエビフライのオーダー用のエビ、合計十本をフライヤーに投入し、ビフカツを仕込んでいる。とりあえず全員遅れは取らず、順調な滑り出しだ――と言っている間に、料理がどんどん出来上がって来たので私が盛り付け、次々とカウンターに乗せる事に。


 きゃあ、大変。料理がたまって来た! オーダーが一気に通ったから、一気に料理が出来上がりという最悪パターン!


 と、こうなればここは配膳の腕の見せ所!
 中松さんのお手並み拝見!!
 さあ、どうなる!?

 
 
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