上 下
73 / 93
11.若頭とのデートは波乱万丈でございますっ!

しおりを挟む
 そんなやりとりをしているうちに中松さんは綺麗な所為で、あっという間にお弁当を食べてくれた。
 照り焼きハンバーグ、また作って欲しいと言われたので、モチロンオーケーしておいた。
 お弁当の容器はその場で捨てられるものにしてきたから、ごみを分別してきちんと片付けた。

「アイスでも食べるか?」

「えーっ。食べるー!」目が輝いた。

「他の女子なら、太るから止めておくねって、デート中にはあまり食べないって聞いたけど」

「なんで? 太るのは困るけど、美味しいものは好きな人と一緒に食べたいよ」

「美緒らしいな。何がいい? 弁当の礼にご馳走する。買ってくるよ」

「やったー! じゃあ、ストロベリーとバニラで!」

「ダブルか」

「うん。何なら映えアイスみたいな大きいの買って、中松さんと分けて食べるっていうのもアリだけど?」

「こんなオッサンが、アイスをシェアして食べてたらキモいだろ。だから、それは無いな。別に買ってくる。ちょっと待っててくれ」

 優しい笑顔を残し、中松さんが去って行った。
 入り口の方にある、美味しそうなアイスクリームの看板を私がじっと見ていたの、気が付いていたのね。だから、買ってきてくれるって・・・・やっさしー!!

 あーん。もう、更に惚れる――!

 中松さんが行ってしまったので更に後片付けをしていると、コラァー、どうしてくれるんだよー、とかいう謎の怒鳴り声が聞こえてきたの。
 えーっ。遊園地に似つかわしくないー。辺りを見回したけれど、誰もいない。
 弁償だろー、コラー、ってまた怒鳴り声。更に女の子のすすり泣く声まで!

 ちょっと、コラ!
 女の子にチンピラが絡んでいるのかしら!?
 絶対やっつけなきゃ!

 私は声のする方を、自分の勘を頼りに向かった。確かコッチの方・・・・

「ひっ、ご、ごめんなさっ・・・・」

「ごめんで済んだらケーサツ要らねえんだよぉー」

 わー。お約束の台詞だわ。

「ちょっとアンタたち! 何やってんだ、やめな! 大の男がみっともない!」

 私は姐さんになった気分で、文句を言ってやった。

「あぁ、なんだオメー」

 二人のチンピラ風のガラの悪い男が、何と高校生くらいの女の子に絡んでいるではないか!
 これは由々しき事態ですわよおおお!
 悪は成敗! 叩き斬るっ!(ばばばーんっ)


 この、姐さん・美緒に任せてちょーだい!!


 
しおりを挟む

処理中です...