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スマイル5・王様と義理兄
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彼は、アッシュ系の色をした髪を肩くらいまで伸ばしていて、それをいつも綺麗にセットしている。長身で脚が長く、メタルフレームのメガネがをかけている。
今日はそれによく合う、お洒落なTシャツとGパン姿をしていた。
年は二十七歳。私よりも五歳上の血のつながらない、義理の兄――真崎恭一郎。
恭ちゃんは私が五歳の時に、マサキ施設にやって来た。
身寄りがなく、引き取り先の施設も思うように見つからなかったから、そのまま、おとうさんとおかあさんが恭ちゃんを養子にしたことがきっかけで、彼の結婚が決まるつい数か月前まで、一緒に施設で暮らしてきた。
ドキン ドキン
私の心臓が、鼓動を高める。
恭ちゃんに久々に会えて、こんなに嬉しい。
おかしいよね。義理の兄――しかももう結婚まで決まった男を、未だに好きなんて。
諦めなきゃいけないのは解っているし、恭ちゃんが施設を去った日、沢山泣いて、恭ちゃんの事はもう忘れようって、いいきっかけになったって、思っていたハズなのに。
会えただけでこんなに胸がときめいて、嬉しいと思うなんて。
やっぱり私まだ、恭ちゃんの事忘れられてない――
「久しぶりだね! 忙しいのに来てくれて有難う」
自然と笑顔が出た。
恭ちゃんと一緒に施設を切り盛りしていた頃――楽しかったな。
頼れる兄がいて、何の心配もなくあれこれ出来ていたのは、たった数か月前の話なのに、もう随分昔のような気がするなんて。
一人になってからは想像以上に色々と大変で、自分で決めた事とはいえ、弱音を吐きたくなる時もしばしばあった。
「いいんだよ。それより大事な話があるから、子供達の昼食を先に済ませて、ゆっくり話そうか」
「うん、解った」玄関を開錠して、子供達に声をかけた。「みんなー、今から先生がお昼ご飯用意するから、出来上がるまで遊んで待っててね」
はーい、と元気な声をあげて、子供達は思い思いに散っていった。
子供達に続いて中に入ろうとすると、おい、聞いてんのか! と、怒った王雅に呼び止められた。
「何よ、まだ居たの? しつこいわね」
思わず嫌な顔になった。
王雅は本当にしつこい。もう、マサキ施設の事はさっさと諦めて欲しい。
他にすることは無いのかしら。相当暇なのね。金持ちのお坊ちゃまだもんね。
その暇さ加減、ある意味羨ましいわ。
「ソイツ、何なんだよ!!」
「は?」
ソイツ何、という言葉の意味が解らなかった。
「だから、そこのソイツだよ!」
王雅が恭ちゃんを指差していたから、恭ちゃんの事を言っているんだって、やっと理解した。
「アンタに関係ないでしょ」
王雅が何に対して怒っているのかはよく解らなかったけど、恭ちゃんとやりあって、私が施設の立ち退きを一向にうんと言わないものだから、きっとイライラしているのね。
今日はそれによく合う、お洒落なTシャツとGパン姿をしていた。
年は二十七歳。私よりも五歳上の血のつながらない、義理の兄――真崎恭一郎。
恭ちゃんは私が五歳の時に、マサキ施設にやって来た。
身寄りがなく、引き取り先の施設も思うように見つからなかったから、そのまま、おとうさんとおかあさんが恭ちゃんを養子にしたことがきっかけで、彼の結婚が決まるつい数か月前まで、一緒に施設で暮らしてきた。
ドキン ドキン
私の心臓が、鼓動を高める。
恭ちゃんに久々に会えて、こんなに嬉しい。
おかしいよね。義理の兄――しかももう結婚まで決まった男を、未だに好きなんて。
諦めなきゃいけないのは解っているし、恭ちゃんが施設を去った日、沢山泣いて、恭ちゃんの事はもう忘れようって、いいきっかけになったって、思っていたハズなのに。
会えただけでこんなに胸がときめいて、嬉しいと思うなんて。
やっぱり私まだ、恭ちゃんの事忘れられてない――
「久しぶりだね! 忙しいのに来てくれて有難う」
自然と笑顔が出た。
恭ちゃんと一緒に施設を切り盛りしていた頃――楽しかったな。
頼れる兄がいて、何の心配もなくあれこれ出来ていたのは、たった数か月前の話なのに、もう随分昔のような気がするなんて。
一人になってからは想像以上に色々と大変で、自分で決めた事とはいえ、弱音を吐きたくなる時もしばしばあった。
「いいんだよ。それより大事な話があるから、子供達の昼食を先に済ませて、ゆっくり話そうか」
「うん、解った」玄関を開錠して、子供達に声をかけた。「みんなー、今から先生がお昼ご飯用意するから、出来上がるまで遊んで待っててね」
はーい、と元気な声をあげて、子供達は思い思いに散っていった。
子供達に続いて中に入ろうとすると、おい、聞いてんのか! と、怒った王雅に呼び止められた。
「何よ、まだ居たの? しつこいわね」
思わず嫌な顔になった。
王雅は本当にしつこい。もう、マサキ施設の事はさっさと諦めて欲しい。
他にすることは無いのかしら。相当暇なのね。金持ちのお坊ちゃまだもんね。
その暇さ加減、ある意味羨ましいわ。
「ソイツ、何なんだよ!!」
「は?」
ソイツ何、という言葉の意味が解らなかった。
「だから、そこのソイツだよ!」
王雅が恭ちゃんを指差していたから、恭ちゃんの事を言っているんだって、やっと理解した。
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王雅が何に対して怒っているのかはよく解らなかったけど、恭ちゃんとやりあって、私が施設の立ち退きを一向にうんと言わないものだから、きっとイライラしているのね。
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