王様スマイル

さぶれ@6作コミカライズ配信・原作家

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スマイル19・王様ピンチに現る

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「そう。解ったわ。後はこっちでやるから、王雅は仕事に戻って。ごめんね、迷惑かけちゃって」

「気にすんなよ。乗りかかった船だ。付き合うぜ。外出許可貰ってるから、仕事は差し支えねえよ。大丈夫だ。俺も、内藤に話あるからな。あ、それよりガキ共大丈夫か? 坂崎が怖かったみたいで、リョウの奴、俺に泣きながら電話してきたんだ。ちょっと見てきていいか?」

 それで王雅が来てくれたのね。
 リョウ君ったら、警察じゃなく王雅に電話しちゃうなんて。

 でも、他の子供たちも心配だったから、王雅の言葉に甘える事にした。

「ありがとう。じゃあ、子供達のこと、お願いしてもいい? 私は、内藤さんとサトル君を応接室まで案内しておくから、子供達の様子見て大丈夫そうだったら、王雅も後で来て」

「オーケー」

 王雅はすぐ施設内に走って行った。よっぽどみんなの事が心配だったのね。
 ありがとう。


「内藤さん。お話お伺いいたします。サトル君、もう大丈夫だからね。怖かったのに、よく頑張ったね」

「うん。先生が守ってくれたからだよ・・・・ホントに・・・・ありがとう・・・・ひぃっく」


 サトル君の頭を撫でると、しゃっくりを上げて泣き出した。
 義理とはいえ親子なのに、酷い目に遭わせるなんて、あのチンピラ男、本当に赦せない!
 SPに連れて行かせたという事はあのチンピラ男、恐らく王雅が制裁を加えるに違いないわ。きっと王雅も私と同じ考えだと思う。
 あんな大人は、苦しんだ子供たちと同じように――いいえ、それ以上にもっともっと酷い目に遭えばいいのよ!
 子供の生活を脅かす大人は、排除されるべきだわ。


 サトル君が泣き止み、落ち着くのを待って声を掛けた。

「さあ、もう大丈夫だから、サトル君、泣かないで。お父さんと一緒にお話ししましょう。ね? 先生、お茶淹れて来るから、サトル君がお父さんを応接室に案内してあげてくれる?」

「う、うん」

 恥ずかしそうに俯いて、こっちだよ、と内藤さんの手を引いて、サトル君が応接室へ案内してくれるのを見て、私は冷たいお茶を淹れにキッチンへ行った。
 トレイにお茶やコップを適当に乗せて戻ると、応接室から話声が聞こえて来た。

『あの・・・・お父さん、今日は僕を助けに来てくれたの?』

『そうだよ。父さんな、ずっと悟を探していたんだ。ごめんな、父さんに力が無かったばっかりに、すぐ悟を助けてやれなかったから、父さんの知らない所で、辛い目に遭っていたんだな。櫻井さん――えっと、王雅さんって言えば悟はわかるかな? 彼に、ここに来るまでに少しだけ、さっきの男に悟が酷い目に遭わされているって聞いた。でも、もう大丈夫だぞ! これからは、父さんが悟を守ってやるからな!』
 
『本当? 僕、またお父さんと一緒に暮らせるの!? あの怖いおじさんと暮らさなくてもいいの!?』

『ああ、そうだ! 父さんと一緒に暮らそう。悟さえ良かったら、すぐ父さんの所に来てくれ。母さんとは話し合う。悟と一緒に暮らせるように、父さん頑張るから』

『やったーっ!! 僕・・・・お父さんにずっと会いたかったんだ。お父さんが病気になって入院してた時、もっと沢山お見舞い行きたかったのに・・・・お母さんにお願いしても連れて行ってもらえなくて、全然行けなくて・・・・ごめんね』

『悟が謝るな。悪いのは父さんだ。病気になってしまった父さんが悪かったんだ。本当にごめんな。もう病気はやっつけたから、これからはずっと悟と一緒だ』

『やった――っ!!』


 感動のご対面ね。良かったわね、サトル君。
 貴方には、素敵なお父様が味方にいたのね。
 本当のお父さんが、これからはサトル君を守ってくれるわ。もう、安心ね。


 これで安心して、貴方を親元に帰せるわ。


 
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