王様スマイル

さぶれ@6作コミカライズ配信・原作家

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スマイル33・王様が女王のキモチを聞く

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 町田さんはロマンスグレーの髪を何時もきちんと整えていて、笑顔が素敵な割と背の高い紳士だ。町田青果店のオレンジのエプロンがトレードマークで、歳よりも随分若く見えるのは、ソムリエとしての腕を発揮する際の、厳しい性格があるかもしれない。
 果物の事に関しては妥協しないし、見ただけで中が悪いって商品を全部取り替えさせたりするのは、仕入れ先泣かせで有名な話。


 でも実際、商品をカットしてみたらモノが悪かったから、仕入れ先はソムリエには頭が上がらないでいるのよ。


 だから、どんな果物でもこのお店で買ったら間違いは無い。激安スーパーよりは値段高いから、財政難のマサキ施設にしたらハードル高いと思いきや、施設価格とかで見切り品を安くしてくれたりするの。本当に助かっているのよ。
 見切り品とはいえ、まだまだちゃんと売れる商品よ。もっと色や形が悪いものは、無償で分けて貰っているので、沢山ジャムしにてソムリエにお返しとして持って行くの。
 最近は商店街の中にある喫茶店に、このジャムが美味しいから一緒に作って欲しいと頼まれたから、こちらも無償で提供しているの。
 お礼にお店からクッキーやサンドウィッチ、ソムリエを通してお礼に果物を貰ったりしているから、私も助かっている。


 もちつもたれつ、よね。この商店街があるから、財政難のマサキ施設がやっていけているのよ。
 商店街のみんなの助けがあるから、いいものを安く食べられて、食費を抑えられているんだもの。

 
「ソムリエ、時期じゃないけど美味しいイチゴあるかしら? 王雅の送別パーティーに、急遽ケーキを作ることになって、買いに来たの」

「あー、イチゴね。ハウスのヤツで美味そうなのがいち早く入ってきたから、店頭に並べたんだけど、それよりもっといいのがある。とっておきのヤツがあるから。美羽ちゃんに出してあげよう」

 ソムリエはそう言って店の奥へ入って行った。大きな箱いっぱいに大粒のイチゴがギッシリ詰まっているものを、持ってきてくれた。

「これ、僕が育てたイチゴ」

「ええっ!? ソムリエが!?」

 今十月上旬だから、時期外れでそんなイチゴ、メチャクチャ高いんじゃないの!?
 イチゴの美味しい時期は、本来春頃だもんね。
 っていうか、ソムリエが育てたイチゴなんて値段付けれないし、きっと何十万出しても欲しいっていう人、現れそうなイチゴね。
 粒がそろっていて、優しい紅色をしていて、本当に美味しそう。ツヤツヤで、光っているように見えるもの。


 もう、見ただけで美味しそうって判る!!
 私なんかが作る徳用ケーキもどきに使うのは、すごく勿体ないわ!


「これね、ずっと僕の店を贔屓にしてくれている常連さんに頼まれて、栽培始めたんだよ。この時期のイチゴってあまり美味しく無いだろう? 時期じゃないからさ」

「ソムリエが仕入れたイチゴなら、ハウスでも時季外れでも美味しいわ」

 お世辞抜きの話だ。
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