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ラストスマイル・王様は世界一
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食堂に戻り、真凛ちゃんにメイクをお願いした。
沢山のメイク道具が食堂の上に並べられていて、全身鏡なんかも用意してくれていて、本物のドレスルームみたいに感じる。
真凛ちゃんが、私のために用意してくれた席に座ろうと思っていた時だった。
強烈な吐き気に襲われた。
胃が逆流しそうな位に熱く、とても気分が悪くなった。
ごめん、と断ってお手洗いに駆け込み、吐いてしまった。
最近、御飯の炊けた匂いにムッとしたり、軽い吐き気があったりしたけど。
季節の変わり目だから、ちょっとした風邪か何かかと思っていたけれど。
・・・・そういえば、暫く生理来てない。
思い当たるふしをなぞる様に確かめた。
もしかして、と思っていたけれど。
本当、なの?
私は無意識に、何も変化の無いお腹を撫でた。
王雅との赤ちゃんが・・・・新しい命が、私のお腹に宿っているというの?
思いを形にした途端、思わず顔を覆った。
涙が溢れて、止まらなくなってしまった。
だって私は、ずっと幸せな家族に憧れていたから。
美幸おかあさんと久信おとうさんがいなくなってしまって、恭ちゃんもいなくなってしまって。
私は何時も、マサキ施設に取り残される淋しい女だったから。
子供たちも何時か巣立っていく。ずっと一緒にいる事は出来ない。
でも、家族だったらずっと一緒に暮らしていける。
どんなに大きくなっても、
ずっと、ずっと――・・・・
「ミューちゃん、大丈夫!? どうしたのっ」
中々戻らない私を心配してくれて、真凛ちゃんが飛んできてくれた。
お手洗いから泣きながら出てきた私と、真凛ちゃんの目が合った。
「あの・・・・実は・・・・つわりみたいで・・・・・・・・」
「ええっ!? おめでたなのっ!? キャー、ミューちゃんスゴイ!! やったね! おめでとう!!」
真凛ちゃんも涙ぐみながら、私をギュッと抱きしめてくれた。「良かったねぇ、ミューちゃん!」
「ありがとう。嬉しいわ!」
私も真凛ちゃんを抱き返した。
幼い頃、辛く苦しい思いをしてきた私たちが、ようやく一人前になって、そして大人になっていくのね。
その節目に真凛ちゃんと真秀君がいてくれて、本当に嬉しい。
王雅の事は信じている。でも、やっぱりスゴイ男だって事は揺ぎ無い事実だし、結婚式ひとつ挙げるだけでも、大層な家柄で決めるのに一苦労したものだから、不安はずっと私の中で付きまとっていたの。
彼の意志だけでは、どうにもならない事だってあると思うし。
だけど、今。
王雅と、本当の家族という絆で結ばれるのね。
彼との関係が、本当に揺ぎ無いものになるのね。
そう思うと、嬉しくて涙が止まらない。
私も本当のお母さんになれるんだって、私だけを必要としてくれる、私だけの家族が。
王雅とだったら、築いていける。
本当の、本物の、素晴らしい家族を。
「さあっ、楽しい宴だよ! ミューちゃんを、私が世界一綺麗な花嫁にしてあげるっ! 早く行こう。王雅が首を長くして待ってるよっ」
真凛ちゃんに手を取られ、私は食堂の控室に戻った。
控室で早速、お母様が届けて下さったウェディングドレスを広げ、お腹を庇う為にコルセットをあまりきつく締めずに、ドレスを着せてもらった。
これから、真凛ちゃんの柔らかい手が、私に魔法をかけてくれるの。
目を閉じると、様々な想い出が浮かんでは消えていく。
美幸おかあさん、久信おとうさん。
私は今日、世界一幸せな花嫁になります。
世界一愛する夫と、これから愛を誓い合います。
二人もどうか、見ていてください。
これからは二人に負けない様な、
素晴らしい家庭を築いていくって、
私の全てを懸けて、誓うから――
沢山のメイク道具が食堂の上に並べられていて、全身鏡なんかも用意してくれていて、本物のドレスルームみたいに感じる。
真凛ちゃんが、私のために用意してくれた席に座ろうと思っていた時だった。
強烈な吐き気に襲われた。
胃が逆流しそうな位に熱く、とても気分が悪くなった。
ごめん、と断ってお手洗いに駆け込み、吐いてしまった。
最近、御飯の炊けた匂いにムッとしたり、軽い吐き気があったりしたけど。
季節の変わり目だから、ちょっとした風邪か何かかと思っていたけれど。
・・・・そういえば、暫く生理来てない。
思い当たるふしをなぞる様に確かめた。
もしかして、と思っていたけれど。
本当、なの?
私は無意識に、何も変化の無いお腹を撫でた。
王雅との赤ちゃんが・・・・新しい命が、私のお腹に宿っているというの?
思いを形にした途端、思わず顔を覆った。
涙が溢れて、止まらなくなってしまった。
だって私は、ずっと幸せな家族に憧れていたから。
美幸おかあさんと久信おとうさんがいなくなってしまって、恭ちゃんもいなくなってしまって。
私は何時も、マサキ施設に取り残される淋しい女だったから。
子供たちも何時か巣立っていく。ずっと一緒にいる事は出来ない。
でも、家族だったらずっと一緒に暮らしていける。
どんなに大きくなっても、
ずっと、ずっと――・・・・
「ミューちゃん、大丈夫!? どうしたのっ」
中々戻らない私を心配してくれて、真凛ちゃんが飛んできてくれた。
お手洗いから泣きながら出てきた私と、真凛ちゃんの目が合った。
「あの・・・・実は・・・・つわりみたいで・・・・・・・・」
「ええっ!? おめでたなのっ!? キャー、ミューちゃんスゴイ!! やったね! おめでとう!!」
真凛ちゃんも涙ぐみながら、私をギュッと抱きしめてくれた。「良かったねぇ、ミューちゃん!」
「ありがとう。嬉しいわ!」
私も真凛ちゃんを抱き返した。
幼い頃、辛く苦しい思いをしてきた私たちが、ようやく一人前になって、そして大人になっていくのね。
その節目に真凛ちゃんと真秀君がいてくれて、本当に嬉しい。
王雅の事は信じている。でも、やっぱりスゴイ男だって事は揺ぎ無い事実だし、結婚式ひとつ挙げるだけでも、大層な家柄で決めるのに一苦労したものだから、不安はずっと私の中で付きまとっていたの。
彼の意志だけでは、どうにもならない事だってあると思うし。
だけど、今。
王雅と、本当の家族という絆で結ばれるのね。
彼との関係が、本当に揺ぎ無いものになるのね。
そう思うと、嬉しくて涙が止まらない。
私も本当のお母さんになれるんだって、私だけを必要としてくれる、私だけの家族が。
王雅とだったら、築いていける。
本当の、本物の、素晴らしい家族を。
「さあっ、楽しい宴だよ! ミューちゃんを、私が世界一綺麗な花嫁にしてあげるっ! 早く行こう。王雅が首を長くして待ってるよっ」
真凛ちゃんに手を取られ、私は食堂の控室に戻った。
控室で早速、お母様が届けて下さったウェディングドレスを広げ、お腹を庇う為にコルセットをあまりきつく締めずに、ドレスを着せてもらった。
これから、真凛ちゃんの柔らかい手が、私に魔法をかけてくれるの。
目を閉じると、様々な想い出が浮かんでは消えていく。
美幸おかあさん、久信おとうさん。
私は今日、世界一幸せな花嫁になります。
世界一愛する夫と、これから愛を誓い合います。
二人もどうか、見ていてください。
これからは二人に負けない様な、
素晴らしい家庭を築いていくって、
私の全てを懸けて、誓うから――
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