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プロローグ ~海里ちゃんと政海くん~

Side・新庄海里/その7

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 まあ、私の事はさておき。今の政海はその辺の女子より百倍可愛い。お世辞抜きで。だから、こっぴどくフッてやるという類の復讐は果たせるだろう。多分。

「あの、私、政海と言います。さっきは助けてくれてありがとう。あ、あの・・・・お話ができればと思って・・・・それで、あの、思い切って来ました!」

ちゃんかぁ。いいよ、いいよ。お話しちゃおう」陽水はこの美少女の中身が斎賀政海だと気づきもせず、彼女(?)の肩をさっきと同様、馴れ馴れしく抱いて待ち合いのベンチに座らせた。ちゃっかり自分も政海の横に座っている。「これから卒業カラオケパーティーするんだけど、マサミちゃんも来ない? あぁ、うちのガッコーにこんな可愛い子がいるなんて、全然知らなかったなぁー」

「あ、カラオケは苦手で・・・・。何かお話できませんか?」

「いいよ。いいよ。どんな話する?」

「えーっと・・・・」

 嬉しそうに話す政海と、さっきまでその政海をコケにして手ひどく振ったのに、デレデレしている陽水に腹が立った。
 互いの趣味とか、タイプとか、楽しそうに話しているのに、私は始終イライラした。

「政海ちゃんのタイプって、僕そのものじゃない? さっき僕の彼女って言っちゃったしさあ。その話、本当にしない? もう、付き合っちゃおうか!」

「えーっ」

「いいだろ。さっきのお礼にって、僕に会いに来てくれたんだろ? だったらさ、僕と付き合おう――」

「SM (それは もしかして) ・・・・」

 政海が突然、私にしか通じない暗号で話し出した。多分色々パニックなのだろう。
 でも、それじゃ陽水に通じないぞ?

「えっ、SMぅ!?」

 驚いて陽水が素っ頓狂な声を上げた。ほら、勘違いしてるし。
 SMなワケないだろうに。陽水もアホか?

「えーっ・・・・MKK・・・・(もっと優しくてぇ カッコいい人がいいんだけどぉ 海里ちゃんみたいな)ウフン」

 ウフンとか言ってるぞ、政海。大丈夫か?
 ああ、多分色仕掛け的な? 普通に目をウルウルさせてるだけでいいと思うけど・・・・。
 
「えっ、MK? タクシーでSMするって事!? わおー・・・・マサミちゃん、大胆だね」

「ちょっと違うんだけど・・・・それより、僕の事好き?」

 IKK(いきなり 核心 キタ)―!!
 何のひねりもないし、攻略も無い。所詮政海の攻撃なんて、こんなもんだろう。

「ああ、うん。勿論大好きさ。じゃ、早速MK呼んでSMキメちゃおっか」

 あれ。でも政海の攻撃、効いてる?
 訳の分からん解釈した陽水が、調子に乗って政海にキスしようと顔を近づけたので、プチっと何かがキレた。
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