上 下
132 / 170
第14話 ~海里くんと美羽先生~

Side・新庄海里/その7

しおりを挟む
 うーん。本当に大丈夫かな。このままだと、何だかご飯を炊くのを忘れてしまいそうだ。
 どうすればいいかと考えた末に、メモを書き直す事にした。


 カレーの作り方

 1.ご飯を炊く!
 2.鍋にサラダ油を引いて切った牛肉を炒める!
 3.肉に火が通ったら全部の野菜を炒めて、玉ねぎが透き通る位までそれを続ける!
 4.いいカンジになったら水を入れて十五分くらい煮込む!
 5.ルーを入れて更に十分煮込む!
 6.その間に夏野菜を炒めて、彩りよく出来上がったカレーにトッピングする!
 7.完成!


 これで間違いない。白いご飯の炊き忘れも無いだろう。私のメモは完璧だ。
 美羽先生の一言メモも、忘れず添えておいた。
 次の休みは、このレシピを見てカレーを家で作ろうじゃないか。あっ。もうすぐ夏合宿があるんだ。このレシピで美味いカレーを作って、政海を喜ばせよう。


 
「美羽っ、見てくれ! 俺様のカレーを!」

「はいはい。今忙しいから後で見るわ」


 まとわりつくおーちゃんを華麗に払いのけ(?)、美羽先生は私達に笑顔を向けてくれた。「あの人がうるさくてごめんなさいね。上手くできた?」

「はい! いい感じにルーにとろみがつきました」

 美羽先生に向かって、張り切って政海が応えた。

「まあ、素敵。上手く行ったのね。じゃあ、炒めた野菜をトッピングしたら完成よ」

 白いお皿にご飯を乗せて、出来たばかりのルーをかけ、彩りよく夏野菜を並べた。思い思いに飾り付け、オリジナリティー溢れる一品となった。
 美羽先生が特製ドレッシングでさっぱり食べられる、夏野菜サラダも作ってくれた。オレンジの風味が効いた手作りドレッシングに、トッピングに何かを砕いたものがかけられていた。美味そうだ。一人ずつ食べられるように、ガラスの小さな容器に綺麗に盛り付けてあった。

「今日は二人の参加者、斎賀政海さんと、新庄海里さんと、恭先生と王雅先生が一緒にお手伝いしてくれて、美味しいお昼ご飯ができました」

 えっ。おーちゃんって、王雅って言うんだ!
 顔に似合っていて、カッコイイ名前だな。でも、おーちゃんがしっくりくるから、おーちゃんとこれからも呼ぶことにしよう。
 間抜けなおーちゃんの方が、もう定着してしまったからな。
しおりを挟む

処理中です...