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第二十七話 レセプションパーティ3、初めてのキス
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戻らなくては、今すぐに、そう思うのに。
怒らせてしまった事に身がすくむ。
幻滅させてしまったかもしれない。
そう思うと何も口に出して言う事が出来なかった。
彼はお構いなしにずんずんと歩く。
私は下を向いたまま、彼に引っ張られるように歩く。
ベンチにたどり着くと、ジェイコブ様は優雅な手つきでポケットチ-フを広げてから視線で私に座れと促した。
戸惑いつつも腰掛ける。
人いきれから離れたのもあって、夜の空気の冷たさを直に感じることが出来る。
二人とも無言で、時間だけが過ぎていく。
どれくらい時間が過ぎたのだろうか。
ベンチの前で彼は立ったままだ。
漏れてくる喧騒、音楽だけが二人を取り巻く。
座らないのかしら?と不思議に思い顔を上げると、ジェイコブ様が困ったような顔をして私を見ていた。
「…お酒、そんな強くなかったんだね…」
「え?いえ、そんな事はないのですが…」
実際外の風に当たると、少しずつだが酔いがさめていくのが分かった。
その意味では外に連れ出してもらったのは有難い事だった。
「足元がふらつくまで飲ませたのは、僕の責任だ」
そう言ってうんうんと頷くジェイコブ様。
飲み過ぎた自覚はあったが、緊張もしていたし、人に酔ったせいもある。
いや、それ以上に。
本音を言えばあの場所に居たくなかったから。
だって、あそこは嫌でも現実を見てしまう。
彼と、踊る。
ファ-ストダンスを。
周囲の目を、どうしても気にしてしまう。
弱い私が囁く。
踊りたくない、と。
そんな私を誤魔化すように口に運んだワイン。
だから、お酒に酔ったのは私の心が弱いせいだ。
断じて彼のせいではない。
「そんな事はありません。
私の不徳の致すところでした。
もう少し、自重すべきでした」
先程の失言とあわせ謝罪する。
あれは単なる八つ当たりだった。
ジェイコブ様が肩の力を抜いた。
「落ち着いたみたいだね、良かった」
ホッとした顔で微笑むジェイコブ様を見上げる。
「それに…気にしないでいいよ、アリシアのせいではない。
うん、頬の赤みも、目元が潤んでいるのも大分収まったかな。
そろそろ戻ろうか」
先ほどまでの強引さが影を潜め、穏やかに手を取ってテラスに向かう。
そのテラスの階段で、彼が急に立ち止まった。
「え」
顔を上げようとしたら、目の前にあるのは彼の胸で。
そして彼の胸の筋肉の柔らかな衝撃に驚く間もなく、いきなりきつく抱きしめられた。
苦しいくらい、強く。
彼の左手が、私の背中を抱く。
彼の右手が、私の後頭部を支えて。
身動きしようとした私の行動を止める。
ドレス越しに伝わる彼の手の温盛。
鼻腔をくすぐる、爽やかな男らしい彼の香り。
真剣な目をした彼が、私の顔を覗き込む。
こんな至近距離では目すら逸らせられない。
心臓が痛いくらいにドキドキし始めた。
抱きしめている彼にも伝わっているだろう。
彼の真剣な目は、熱を持ったような、初めて見る瞳で。
私はその瞳に怖気づく。
「アリシア」
掠れるような熱っぽい声で私の名前を呼ぶ。
私が返事をする前に、私の口は彼に塞がれた。
唇と唇が触れ合うような、軽いキスではなくて。
押し付けられるような、強引なキス。
力強く、全てを奪うようなキスだった。
長い長いキスの後、私の吐息が漏れた。
彼はそのまま私を抱きしめたままで。
彼の息が私の耳にかかる。
彼の手が、私の髪に触れる。
それを心地よいと思ってしまう。
それを嬉しいと思ってしまう。
どうしてだか、涙が出てきそうになる。
彼が、再度抱きしめてキスをしてきた。
下におろしていた手を彼の背中におずおずと回して、ぎゅっと、私も抱きしめ返した。
どれくらい、そうしていただろう。
「…本当、かっこ悪い…」
ボソリ、と小さな声で彼が呟いた。
「…僕の身長は、変えられそうにないから…
こんな段差を利用しないと、君に自分からキスも出来ない。
本当にかっこ悪いね…」
「そ」
そんな事はない、と言おうとしたけれど、また彼の唇が私の唇に重なった。
「確かに僕たちは政略結婚だ。
初めて会ったのだって、つい最近で。
だけど、僕はアリシアが表情をクルクル変えて笑ったり、瞳を輝かせて、馬の話をする君をとても好ましいと思っているんだ。
そして、なによりも。
僕は君と話していて、一緒にいて、とても楽しかった。
ついうっかり、執務の時間に遅れそうになってしまうくらいに、ね。
だから、正直言って僕はとても幸運だと思ったよ。
僕の花嫁になる人は、とても格好良くて綺麗で、素晴らしく可愛い女の子だったから」
私は目を伏せた。
とても格好良くて綺麗で、素晴らしく可愛い女の子。
一体誰の事を言っているの?
可愛い?私が?
私が可愛い?本当に?
視線を上げて、ジェイコブ様と目を合わせる。
彼は頷きながら優しく微笑んだ。
「可愛いよ、アリシアは」
その言葉は魔法のように私を包む。
だけど。
超えられない身長の壁。
どう頑張っても、私は彼よりも背が高くて。
お似合いの二人には、慣れない。
ダンスは身長差があると、どうしてもうまく踊れないのだ。
躊躇する私に彼は言葉を続ける。
「僕はね、アリシア。
他の誰でもない、君と、踊りたいんだ、
僕の花嫁になる、アリシアと」
囁くように言われて、私は頷いた。
よくできました、というように、彼は私の両肩をポンポンと叩いた。
「ごめん、アリシア、唇が少し剥げてる…
一旦あっちに回って化粧直しをしてもらおう」
そういう彼の唇にも、私の口紅が少しついていた。
この人と、本当にキスをしたんだ、と恥ずかしさと嬉しさで胸が一杯になる。
「ジェイコブ様にも口紅の色が移って…」
ユックリと手を動かして、彼の唇の端についた紅をチーフで拭き取る。
拭き終わると、ぎゅっと再度抱きしめられて、そしてゆっくりと彼の手が背中から離れていった。
それを寂しいと思ってしまった自分にも驚く。
もう一度だけ、顔を上げると、優し気な顔だと思っていた彼の顔が、凛々しい男の顔だという事に気が付く。
あぁ、そうか。
背が高いとか低いとか、そんな事よりもずっと大事な事があったんだ。
何で私は彼に惹かれた?
彼が私の事を考えて行動してくれていたから。
私が笑った時、ジェイコブ様も嬉しそうに笑ったから。
二人で話す時間が楽しかったから。
支えようとしてくれる、その姿勢が嬉しかったから。
彼も、同じ様に感じていてくれたら嬉しい。
目が合った。
それが、何かの合図のように。
私は静かに目を閉じた。
ゆっくりと、彼の唇が私の唇に触れる。
先ほどとは違う、愛おしむ様な、啄ばむ様な優しいキスだった。
目を開けると、彼は照れくさそうに微笑んだ。
私のつられて微笑む。
どちらからともなく、手をつないで侍女が待つ控えの間に向かう。
繋いだ手から、勇気を貰う。
そう、もう、逃げない。
怒らせてしまった事に身がすくむ。
幻滅させてしまったかもしれない。
そう思うと何も口に出して言う事が出来なかった。
彼はお構いなしにずんずんと歩く。
私は下を向いたまま、彼に引っ張られるように歩く。
ベンチにたどり着くと、ジェイコブ様は優雅な手つきでポケットチ-フを広げてから視線で私に座れと促した。
戸惑いつつも腰掛ける。
人いきれから離れたのもあって、夜の空気の冷たさを直に感じることが出来る。
二人とも無言で、時間だけが過ぎていく。
どれくらい時間が過ぎたのだろうか。
ベンチの前で彼は立ったままだ。
漏れてくる喧騒、音楽だけが二人を取り巻く。
座らないのかしら?と不思議に思い顔を上げると、ジェイコブ様が困ったような顔をして私を見ていた。
「…お酒、そんな強くなかったんだね…」
「え?いえ、そんな事はないのですが…」
実際外の風に当たると、少しずつだが酔いがさめていくのが分かった。
その意味では外に連れ出してもらったのは有難い事だった。
「足元がふらつくまで飲ませたのは、僕の責任だ」
そう言ってうんうんと頷くジェイコブ様。
飲み過ぎた自覚はあったが、緊張もしていたし、人に酔ったせいもある。
いや、それ以上に。
本音を言えばあの場所に居たくなかったから。
だって、あそこは嫌でも現実を見てしまう。
彼と、踊る。
ファ-ストダンスを。
周囲の目を、どうしても気にしてしまう。
弱い私が囁く。
踊りたくない、と。
そんな私を誤魔化すように口に運んだワイン。
だから、お酒に酔ったのは私の心が弱いせいだ。
断じて彼のせいではない。
「そんな事はありません。
私の不徳の致すところでした。
もう少し、自重すべきでした」
先程の失言とあわせ謝罪する。
あれは単なる八つ当たりだった。
ジェイコブ様が肩の力を抜いた。
「落ち着いたみたいだね、良かった」
ホッとした顔で微笑むジェイコブ様を見上げる。
「それに…気にしないでいいよ、アリシアのせいではない。
うん、頬の赤みも、目元が潤んでいるのも大分収まったかな。
そろそろ戻ろうか」
先ほどまでの強引さが影を潜め、穏やかに手を取ってテラスに向かう。
そのテラスの階段で、彼が急に立ち止まった。
「え」
顔を上げようとしたら、目の前にあるのは彼の胸で。
そして彼の胸の筋肉の柔らかな衝撃に驚く間もなく、いきなりきつく抱きしめられた。
苦しいくらい、強く。
彼の左手が、私の背中を抱く。
彼の右手が、私の後頭部を支えて。
身動きしようとした私の行動を止める。
ドレス越しに伝わる彼の手の温盛。
鼻腔をくすぐる、爽やかな男らしい彼の香り。
真剣な目をした彼が、私の顔を覗き込む。
こんな至近距離では目すら逸らせられない。
心臓が痛いくらいにドキドキし始めた。
抱きしめている彼にも伝わっているだろう。
彼の真剣な目は、熱を持ったような、初めて見る瞳で。
私はその瞳に怖気づく。
「アリシア」
掠れるような熱っぽい声で私の名前を呼ぶ。
私が返事をする前に、私の口は彼に塞がれた。
唇と唇が触れ合うような、軽いキスではなくて。
押し付けられるような、強引なキス。
力強く、全てを奪うようなキスだった。
長い長いキスの後、私の吐息が漏れた。
彼はそのまま私を抱きしめたままで。
彼の息が私の耳にかかる。
彼の手が、私の髪に触れる。
それを心地よいと思ってしまう。
それを嬉しいと思ってしまう。
どうしてだか、涙が出てきそうになる。
彼が、再度抱きしめてキスをしてきた。
下におろしていた手を彼の背中におずおずと回して、ぎゅっと、私も抱きしめ返した。
どれくらい、そうしていただろう。
「…本当、かっこ悪い…」
ボソリ、と小さな声で彼が呟いた。
「…僕の身長は、変えられそうにないから…
こんな段差を利用しないと、君に自分からキスも出来ない。
本当にかっこ悪いね…」
「そ」
そんな事はない、と言おうとしたけれど、また彼の唇が私の唇に重なった。
「確かに僕たちは政略結婚だ。
初めて会ったのだって、つい最近で。
だけど、僕はアリシアが表情をクルクル変えて笑ったり、瞳を輝かせて、馬の話をする君をとても好ましいと思っているんだ。
そして、なによりも。
僕は君と話していて、一緒にいて、とても楽しかった。
ついうっかり、執務の時間に遅れそうになってしまうくらいに、ね。
だから、正直言って僕はとても幸運だと思ったよ。
僕の花嫁になる人は、とても格好良くて綺麗で、素晴らしく可愛い女の子だったから」
私は目を伏せた。
とても格好良くて綺麗で、素晴らしく可愛い女の子。
一体誰の事を言っているの?
可愛い?私が?
私が可愛い?本当に?
視線を上げて、ジェイコブ様と目を合わせる。
彼は頷きながら優しく微笑んだ。
「可愛いよ、アリシアは」
その言葉は魔法のように私を包む。
だけど。
超えられない身長の壁。
どう頑張っても、私は彼よりも背が高くて。
お似合いの二人には、慣れない。
ダンスは身長差があると、どうしてもうまく踊れないのだ。
躊躇する私に彼は言葉を続ける。
「僕はね、アリシア。
他の誰でもない、君と、踊りたいんだ、
僕の花嫁になる、アリシアと」
囁くように言われて、私は頷いた。
よくできました、というように、彼は私の両肩をポンポンと叩いた。
「ごめん、アリシア、唇が少し剥げてる…
一旦あっちに回って化粧直しをしてもらおう」
そういう彼の唇にも、私の口紅が少しついていた。
この人と、本当にキスをしたんだ、と恥ずかしさと嬉しさで胸が一杯になる。
「ジェイコブ様にも口紅の色が移って…」
ユックリと手を動かして、彼の唇の端についた紅をチーフで拭き取る。
拭き終わると、ぎゅっと再度抱きしめられて、そしてゆっくりと彼の手が背中から離れていった。
それを寂しいと思ってしまった自分にも驚く。
もう一度だけ、顔を上げると、優し気な顔だと思っていた彼の顔が、凛々しい男の顔だという事に気が付く。
あぁ、そうか。
背が高いとか低いとか、そんな事よりもずっと大事な事があったんだ。
何で私は彼に惹かれた?
彼が私の事を考えて行動してくれていたから。
私が笑った時、ジェイコブ様も嬉しそうに笑ったから。
二人で話す時間が楽しかったから。
支えようとしてくれる、その姿勢が嬉しかったから。
彼も、同じ様に感じていてくれたら嬉しい。
目が合った。
それが、何かの合図のように。
私は静かに目を閉じた。
ゆっくりと、彼の唇が私の唇に触れる。
先ほどとは違う、愛おしむ様な、啄ばむ様な優しいキスだった。
目を開けると、彼は照れくさそうに微笑んだ。
私のつられて微笑む。
どちらからともなく、手をつないで侍女が待つ控えの間に向かう。
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そう、もう、逃げない。
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