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第4章
それぞれの思いを胸に今、
しおりを挟む- 万里side -
暫くずっと同じ方向から視線を離せずに居た。
例の黒いバンが走り去った方向を。
「‥‥」
「あのさ、ちょっと聞きたいんだけど」
漸く自らの視線を引きずり落とし、眼下で小さく身を竦める黒髪の女に声を掛ける。
俺が今日篠崎を追っていたのは事実。
だからもしこういう場面に遭遇したなら不本意ながらも篠崎を助けてやるつもりだった。
それが結果的に"天龍"を救うことに繋がるのだから。
「‥‥アンタもしかして、柳の妹?」
俺が声を掛けている相手が自分だと漸く気付いたらしいその女は、大袈裟なほど肩を震わせて「ヒュウッ」‥‥浅い呼吸を繰り返す。
「俺」っていう特定の存在に対してというよりかは、「男」に対しての抗いようのない拒否反応なんじゃないかと思わせるその仕草。
その様子を見て「例の噂」はあながち嘘でもないんじゃないかと感じた。
‥‥だとしたら此処でコイツ相手に問いばかりぶつけていても無意味だろう。
だってこの女は俺の言葉に返答する素振りすら無いし。
「チッ」
堪えきれずに落とした舌打ちに女が苛れるほど大仰に身を震わせる。
その反応にすら苛々とした思いが増した。
ポケットに乱雑に突っ込んでいたスマホを取り出しリダイヤルで目的の人物の名を探し出す。
そして一瞬の間も置かずに呼び出し音を鳴らして数秒後、
"――‥どうした?"
「ナツキ?悪いんだけど今すぐ柳のところに向かってくんない?篠崎がヤツラに捕まった」
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