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第1章
*
しおりを挟む「イサゾー、」
――――印象的、すぎて。
確かに聞きたいことはあったのに。「だから昨日シャドウ買ったんだね」とか、「そのボックスから見えてるのって限定のマスカラでしょ?」とか。
メイクが大好きで関心の強いあたしだからこそ、聞きたいと思ってしまうこと。
『なによ、どうしたの』
「………なんでもないよ」
『変なカオしちゃって。あげないわよ?』
「これは生まれ付きなんですー。ていうか、欲しいなんて言ってないじゃん」
『顔に書いてあったから』
「……かいてないってー……」
だけれど、でも。それでも。
あんな寂しそうな表情見せられたら、突っ込んで聞けるわけないよ。
イサゾーなりの譲歩だったのかもしれない。
あたしが昨日、そのシャドウ譲ったから。今し方使わせてもらったことには違いないけれど、それの所有者はイサゾーに間違いないから。
だから今日家に招き入れてくれたり、加えて―――これはあたしの推論だけれど―――きっと他人からは極力遠ざけたいそのボックスまで見せてくれたりして。
「ねえイサゾー」
『だから何よ、もう』
だからあたしの言葉は、きっとまだ口にしたら駄目なんだろうなって。
「………、呼んだだけー」
イサゾーはきっと、自分が思うよりずっとずっと優しい人間なのだと。
あたしが勝手に確信するくらい別に、良いでしょ。
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