その視界を彩るもの

疼木 沙紀

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第2章

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ふらついた体勢を立て直した少年が、再度此方に向き直る。



イサゾーという鉄壁防御が離れたことで、面白いほど明瞭にその表情を読み取ることができた。



あれ、間違いなく青筋立ってるって。イサゾーなんか満足気に肩まわしちゃってるけど、絶対まだ安心するの早いって。



そんなことを延々と考えていたあたしは、その少年が動き出した瞬間「やっぱり」と納得した。




もう既に少年に対し背を向けてしまったイサゾーは、頭の片隅でもこうなることを予測できなかったのだろうか?



男って生き物は解らない。第一、イサゾーに至ってはその「男」の括りに入るのかどうかが不明だけれど。



大声で少年の動向を知らせてやることが最善なのかどうかなんて知らない。



それにあたしだって、そんな冷静な思考を持続させるほど達観している訳じゃないから。







「―――ッ、イサゾー!!!」







気付けばそんな風に叫んでいた。



普段みたいに「面倒だし」とか調子に乗ったことは言わない。イサゾーに関することなら、あたしは自分ですら驚くほど気張ってしまうみたいで。





それに何より、イサゾー自身が背後で鬼の形相を覗かせる少年の姿に気付いていないと思ったから。



だから叫んだ。当然の防衛反応だった。








あたしはどうやら、イサゾーが傷付く姿を何が何でも拝みたくないらしい。




まあ、畢竟するにそれはお節介に過ぎなかったようだけれど。














* * *








「……ねぇイサゾー」



『なによ』





不機嫌な表情を隠そうともせずに歩を進めていくイサゾーの真横に立ち並ぶ。



そんなあたしを高い位置にある瞳でちらり、一瞥したブレザー姿のそいつ。


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