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⑱未来への一歩

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ホライゾン対光
「これで解除を成功」
「じゃ、私を狙うのは終わったのか」
北古寺は笑顔になった。また、悪いことができると。心がほくそ笑んでいる。
「この憎悪は本当は月菜ちゃんに向いていたんだ」
「足長お兄さんの邪魔をする人を裁いてほしいと言われ、了承した」
「でも、いざ、憎悪の弾を受け取ると、月菜ちゃんが足長お兄さんを縛っている存在だとでてしまったんだ。だから、この解除を狙っていたんだ」
「本当なら月菜ちゃんに憎悪を返さないといけないが、それをしたくない私達が動いたのよ」
「これで、助かる」
胸をなでおろし一息息を吐き今の状況を整理しようとしている。北古寺である。
「その言葉は早いんじゃない」
舞が到着する。
「なんなんだお前たちは」
北古寺は言葉を発する。
「私達も相談屋」
真ん中に光がいてその周りに舞と瞳が立っている。
「貴方の勘違いを証明してやるよ」
「この小悪党が」
声のトーンを変えずに言葉を放つ


「これが私達の大・どん・でん・返しだ」


光は言葉にする。
「どういう意味」
舞は不思議そうに光に問いかけた。
「ただ言ってみたかっただけ」
光は言ってやったぞと自慢げである。
「良かったじゃん、言えて」
瞳は頭の中で整理してから、光への言葉を出す。
「もう憎悪は消えたんだろ」
北古寺が内心はビビりながらそれを悟られないように言葉を発している。
「貴方がいると足長お兄さんたちが幸せにならないの」
「それに、特警からの仕事だしね」
光が桐ケ谷と月菜のことしか考えてはいない。
「そんなもんは知るか。そんな私情で動いてどうするんだ」
早くこの件を片付けてて本業を始めたいと考えている。しかし、この状況を自分自身では解決できなかった。ハーメルン様との契約がありそれを延長することが死に値するほどであることを光達は知らない。知っていてもこの男たちを擁護はしないであろう。

「私情で助けて何が悪い。私は人間だ」
「好き嫌いはある」
堂々と光は言い放つ。

「高田清子って知ってる」
舞は冷たい声で言い放つ。
「あんたが捨てた女だよ」
動揺を隠せない北古寺は後ろに下がりつつ言葉を出そうと懸命に考えたが真っ白で言葉が出ない。だから、行動で後ろに下がった。
「月菜ちゃんの憎悪は取り消しできたけど。清子の憎悪はそうはいかないよ」
「だから、貴方にこの憎悪を返すよ」
きっぱりと言葉がでる。
月菜ちゃんが助かったことをこの三人は喜んでいる。しかし、この先の二人の為にこの組織は倒さなくてはいけない。
「そうしないと、足長お兄さんも妹ちゃんも幸せにならないんだよ」
舞は手で風を振り払い、手を北古寺に向ける。
「知るかそんなの」
ようやく言葉が出る。
「どうせ月菜の方は後半年だ」
「どうでもいいだろ」
「話にならん」
北古寺は自分に対する意見を振り払うかの如く高らかに声を出す。
「あと半年だからこそ助けたいんじゃないか」
「あの子は言ったんだよ」
「命の重みがあるってことを」


「半年の命と未来がある命が等価かどうか。まだ幼い彼女が考えたんだ」


「一緒だって言ってやりたかったさ」
「でもね、現実は違う等価ではないと判断してしまう自分が許せない」
本当に苦虫を噛みしめるかごとくこの言葉を選びたくはない。
「だから後三ヶ月幸せに暮らせるようにするんだ。それには、お前たちが邪魔なんだ」
「自分のせいで足長お兄さんを縛ってるって聞いたら、彼女は自ら死を選ぶ。そんなことは決してさせない。だって、足長お兄さんへの愛情がこれほど強いんだもの。だから、この憎悪はキャンセルする」
「私は人間だ」
だからこそ、彼女への同情だけではなかったが、こんな未来を予想させる世界が許せない。この世界の違和感を感じる世界であると思うほかない事例だ。
「別の憎悪でお前を切り裂く」
「じゃ、私達、相談屋の仕事を始めますか」
「そうね、このお返しは」
「飲み代で勘弁してあげる」
二人の思いを告げると深刻になりそうだったから。ただ、光が不安だからというよりもこの言葉がこの場を制するのに簡単だったから、この言葉を選んだ。
「そこはさ、助けに来たんだから」
光は言葉を出す。
「ギブアンドテイクだ」
三人は言葉とは裏腹な顔の表情、実に、嬉しそうだ。
「三人にホライゾンの結の憎悪には手を出さないで。私が倒すから」
「もしかして、恋とか」
「うるさい」
この状況でも冗談が言えるくらいに冷静だ。幾度もの修羅場を凌いできたこの三人だから言えることもある。絶対的な力の優位性なのか将又、心の成長なのかは、分からずにいる。
「じゃ、思いっきり行こうか」
瞳が文字の「風」を書き円で囲み触れる。
「私はこの百人を相手するね」と瞳が言葉を出す。
この黒服の男百人に対して一歩も引かない。
後ろで銃で牽制しつつ舞は言葉を投げる。
「がんばれよ」
舞は「銃」と書き円で囲み触れて銃を出す。
真島と応戦している。
真島は「音階」と書き銃という言葉を舞が言い放つと銃という言葉を音階で言うとドソシとなり、それを口でドソシと言い舞と同じ銃が出た。
その銃で舞と渡り合っている。

ここで、気になるのが真島の文字だが。音階はドレミファソラシドがある。敵の文字を書いて口で言うときにこの中の音階を使い、相手と同じ技(文字)とストックしている音階を使う。今回の舞の時は銃でドソシであるため、それを口に出し銃が真島にも現れた。もしも、ストックの炎を使いたければ音階と書き言葉でレミドと言うと現れる。相手の力次第では音階で文字を出すことはできない場合もある。複雑な文字又はドレミファソラシドでは表せない文字とかである。

瞳は「風」と書き円で囲み触れて風の攻撃を行っている。
光は攻撃態勢に移る。
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