①三人の天秤~二人だけの友達~

落雷リョウ

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②情報処理部

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情報処理部の部室にて
 情報処理部の部室らしくパソコンは三台あり。椅子や机に漫画等の色々なものが置いてある。棚には漫画やパソコンやアプリの開発に必要な雑誌まで取り揃えてある。パソコンはデスクトップのパソコンでアプリ開発に二台要している。この情報処理部は学校からの仕事で、学校のホームページやその他の仕事をしていて、学校から正式な部として認められていて、部費が出ている。それをおおよそ請け負っているのが情報処理部の学生達である。

 部室には六人いる。花園湊音以外は好き勝手に漫画や動画を見ている。

「ねえねえ」
「湊音先輩」

 後輩の女の子が湊音の後ろから声をかけて、湊音に近づきスキンシップのように肩にトントンと肩を叩く。
 少し、くせっけで色はオレンジ色をしている。制服のベストはちゃんと着こなしている。情報処理部の中では注目の新人の位置にいる。どうしてこの子は、情報処理部に入ったのか分からない。

 湊音は見た目が普通の高校生で眼鏡を掛けている。そして、制服のブレザーを着ている。こちらも真面目にブレザーを着ている。

 後輩に占ってもらったことがある。この子は占いが好きで色々な人を占っている。

 先日、占ってもらった時に災い来ると言われて。自分の正義に従うように、友達は大事にとでた。そして、後輩に返事をする。

「なに」
 湊音は、後輩に振り向かないで話を始める。なぜ振り向かなかったかは、情報処理部の資金を稼ぐ意味でも、このアプリの完成に力を入れている。このアプリが作れたら。スポンサーが付き、金が入る。そのためにもこのアプリの完成が急務である。画面とにらめっこしながら、後輩の言葉を聞く。

「このアプリって超良くないですか」
 後輩ちゃんがアプリの完成のプロットを見て感心している。このアプリが出来たら、私はアプリ使います。と言いたげだ。

「そうだね」
 言葉は出すが、にらめっこは続いている。

「おい」
「湊音」

 桜美塁の声が聞こえて作業を止める。塁は後ろにある共用のパソコンの一台で皆と遊んでいる。その塁が思いついたように湊音に声をかけ、こちらに歩いてくる。

 塁は見るからにオタクの感じで眼鏡をかけていて、小太りである。見た目からは気弱そうな感じが出ている。こちらも高校の制服を真面目に着こなしている。

 後輩ちゃんの時は手を止めなかったが、塁の時は手を止めた。それが、後輩ちゃんが気分を害してしまい、どっかへ行ってしまう。

「なに、塁」
 湊音は早く続きを作らなきゃと考えているが、塁に呼ばれたらそいつの顔を見る。だって親友だから。他の人とは少し違う態度をとる。

 大事な友達である。

「情報処理部のパソコン買わないといけないんだけど」
「どうする」
 湊音は立ちながら、塁は椅子に座りながら、お互いに顔を突き合わせている。塁が湊音を頼っているのではなく、湊音を試している。

「難波で色々パソコンはあるし。梅田にはコドバシカメラもある。どこで買うかって話」
 湊音はありきたりな答えを塁に対して示す。

 湊音も近くの椅子に乱暴に座り、話している。

「まあ、難波かな」
「それより、後輩ちゃんお前に気があるんじゃね」

 塁から唐突な言葉が飛んできて、まだ生きて十六歳の俺に、どうしろって言うんだ。まだ、高校生だぞ。いや、もう高校生か、遅いくらいだ。学校の中でもくっついたり離れたりを繰り返していると情報が塁からくる。塁は情報通ではないが、湊音より比較的に友達が多いい、でも、湊音のことは親友と思ってくれている。大事な約束より親友の方を大事にしてくれている。

 友達が塁しかいない湊音よりも、友達が多いい塁の方がもっともてるんじゃないかと勝手に持ち上げる。しかし、実際にモテてるところは見たことがない。

 休み時間も色々な奴と話ている。自分の中に情報を蓄積している。この塁は、とても顔が広い。
 マクロを組める湊音と情報通の塁とで何か事業を起こせるんではないかと勝手に考えていることもある。

「羨ましいぞ、こら」
 塁は、おもむろに椅子から立ち、塁が湊音の首元に腕を回し腹を小突きながら塁が本音で話してくれている。周りから見たらそう思うのかな。自分は相手するのが、いっぱいいっぱいで。どうもそこの考え方や見え方が分からない。だからこそ、塁の普遍的な見え方が大事で、それを伝えてくれる塁の存在はでかい。

「だって部長から頼まれたから仕方ないじゃない」
 こっちも、大変なんだと分かってもらうために例を出そうかと思ったが、周りに人がいて聞かれると困るのでここは、言葉を濁す。

「まあ、そうだけど」

 塁も大変さは分かると思っている。しかし、羨ましいだろ。が本音である。

「で、どうなんだ」
「後輩ちゃん、狙ってる人多いぞ」

 恋の応援までしてくれるのかと若干嫌だったが、後々考えると悪くないと答えに行きつく。

「俺はそんな」
 謙遜をしてしまう。

「それより、本題だけど」
 小突くのは止めて、腕を首元から離し、言葉を続ける。塁は特に脈絡のない会話をしていただけで、湊音が後輩ちゃんのことをどう思っているかを気にはしていない。その考えにいたり、自分の中で少し恥ずかしくなる。

「明日」

 塁は、少し間をおいてから続きを話す。

「パソコン買いに行かね」

 塁はやっと本題を言ってくれる。まだ、恥ずかしさは続いている。

「いいね、それ」
「どこ行く」

 難波と決めていたから、後はどこを回るかだ。

「電気街の空山にいかね」
 塁は考えながらそこのお店のことを示す。パソコンで(空山)を検索する。

「いいパーツそろってるかな」
 聞いたことはあるが、行ったことはない店だ。

「予算どのくらい」

「五万は貰ってる」

 そこでは、中古も取り揃えているんだと値段から推測する。

「厳しいね」
「自作のパソコンを作ろうよ。それなら、ネットで買わない」

 湊音は、空山の検索をしてホームページを出す。それを見ている限りだと。そこまで値段はお手頃ではない。
 湊音は塁に対して、聞く。

「実物を見たいんだよね」
 頭を掻きながら、塁の返答は少し鈍い。そこへ行く理由が他にあるのかとも思う。

「そうか、それじゃ」
「電気街の空山に自作用の部品があるか見てみよう」
 塁はホームページをまだ見ている。湊音はそんな塁を見ている。
 そうだなと二人の暗黙の了承が終わる。

「先輩」
「ここを教えてください」

 机にいたと認識していた時から少ししか時間は立っていないが、後輩が何かのノートを持っている。机で宿題でもしていたかと感づいて話を聞く。今度はちゃんと後輩の顔を見る。学校の数学の問題が分からないらしい。
 なぜ、湊音に問題の解き方を聞いたかは、湊音はこの高校でも上位を占める位置にいる。それもそのはず、マクロを組めるのだ。

とびっきり優秀である。

「何だよ、あいつ」
「デレデレしちゃってさ」

 塁は手を頭に回して残りの一台で遊んでいる。奴らに向かって、不機嫌そうに湊音と後輩に聞こえるように言う。

 これは、どっちだ。応援する方なのか、それとも応援していない方なのか。今の湊音には分からない。塁の心を読める機械がこれほど、欲しいと思ったことはない。

 後輩に甘えられていて嫉妬しているならいいが、後輩を狙っていて塁が湊音のことを邪魔だと考えているのなら。大問題である。もしそうなら、湊音はどうするべきなのかと、一人妄想をしようかとも考えたが。数学の問題の解き方を教えている。心ここにあらず、しかし、きっちりと解き方は教えている。

「俺も、後輩欲しいよ」

 塁は、手を天井に向けながら大きな声で話す。

「それって、ただ、彼女が欲しいだけなんじゃ」
 周りの奴らに茶化されている。こいつのこういう所が羨ましいと皆は常々思っている。

「まあ、いいよ」
 塁は何かをあきらめたように声がでている。
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