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33 冒険者ギルド長・ボーギル
しおりを挟む「カイトシェイド殿、突然の来訪を快く受けていただき感謝します。私はここ、ハポネスの冒険者ギルド長、ボーギルです」
冒険者ギルド長のボーギルと名乗った男がゆっくりと頭を下げる。
「お初にお目にかかります、ボーギル殿」
……こいつ、人間にしては結構、強いな。
ウチのアルファよりも2,3枚は上手だろう。
割と上質な衣類に包まれ、素肌は見えないが、服の上からでも分かる引き締まった体つきからも、雰囲気からも、高位魔族に近い闘気のようなものが感じられる。
ま、ここはダンジョン内だから、俺の敵ではないが、仮にダンジョンの外でやりあったら絶対に勝てない。
「して、本日はどのようなご用件でしょうか?」
「ええ、実は、貴殿の敷地内に突如現れた『ダンジョン』についてです。その内部を我々、ギルドのトップに直接調査させていただきたい」
聞けば、以前、そこそこ高ランクの冒険者がこのダンジョンを踏破したのだそうだ。
それについては、俺も把握している。
妙にポイント増加率が高い日があったし、二泊三日程度を想定していた全5階を半日で走破して来たから、コイツ等早いなー、とは思っていたのだ。
「これが、その際に彼らが手に入れて来た『魔法石』です、ご覧ください」
ボーギル殿は、自分の懐からゴロゴロとウチのダンジョン産『魔法石』を取り出す。
……うん、まぁ、何の変哲もない普通の『魔法石』だ。
「おかしいとは思いませんか?」
えっ? おかしいかな?
魔王城みたいに、バカでかいダンジョンの『魔法石』はもっと大粒だが、これはまだかなり小粒。
このサイズのダンジョンから産出されたとしては不自然な点は無いはずだが……?
「……申し訳ありません、私にはよく分かりません。どこがおかしいのでしょうか?」
俺は正直に答えた。
「ああ、カイトシェイド殿はこの辺りのご出身ではないんですよね。実は……」
彼曰く、たった地下5階までしかないダンジョンで、この『魔法石』の産出量は数が多すぎるのだそうだ。
しかも、初心者でも油断しなければ大怪我に至らないような安全な魔物しか出没しない割に、一定量の魔力を注ぎ込むと、我が家の玄関前へ瞬間移動するような高度な魔法陣が存在している。
これは、かなり異様とのこと。
「普通、これだけ『魔法石』の産出量があるなら、せめて低級魔族である『ゴブリン・コボルト・オーク・オーガ』くらいは住み着いているはず……おそらく、このダンジョン、地下5階程度で終わっているはずがありません」
ふーん、なるほど、鋭いな。
実は、現在、地下6階~10階を延長中であり、そちらのフロアは黒の森からゴブリン達に移住を検討してもらうべく、住環境を整えている所なのだ。
ダンジョン・エリアをすこしだけ森側に拡張しており、そこからゴブリン達だけが6階部分へ瞬間移動できる魔法陣を張ってある。
しかし、産出量が多いのは多分、俺の屋敷に人間が大量に住んでいるのが原因だと思うぞ?
ダンジョンでありながら、24時間ずっと侵入者が居る、という状態だからな。
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