四天王最弱の男、最強ダンジョンを創る〜俺を追放した魔王から戻ってこいと言われたけど新たなダンジョン創りが楽しいし、知らんがな〜

伊坂 枕

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35 6階~10階の構想を練ろう!

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 その夜、俺とネーヴェリクは、地下6階から10階のダンジョン構成について話し合う事にした。

「……という訳で、早めに6階以降の体裁を整えたいんだが、何か案はあるか? ネーヴェリク」

「ハイ、ゴブリン達の群れとは交渉が終了し、すでに移住が進んデいマス」

 おお! ネーヴェリクがやってくれたらしい。
 ゴブリンの群れが住む森はダンジョン・エリアの外なので、ネーヴェリクに交渉を任せていたのだが、無事任務を果たしてくれたようだ。

「一応、カイトシェイド様からの最初の指示どおり『ダンジョン・ポイントを使っての進化』を条件に、移住を決断してくだサイました」

「サンキュ、ネーヴェリク! で、どんな感じだった?」

 ネーヴェリクには俺の権限で5千ポイントまでのダンジョン・ポイントを自由に扱うことが出来る能力を与えてある。

「ハイ、ゴブリン・ロードが一体、ジェネラルが二体、後は、ゴブリン・マージ、ゴブリン・ソルジャー、ゴブリン・プリースト、ゴブリン・シーフ、ゴブリン・ハンターがそれぞれ十数体と、かなりバランスの良い群れに成長しマシた。繁殖力も旺盛デ、黒の森での狩りも順調みたいデス」

「よし! これで、6階と7階部分は良いとして……コボルトやオークはどうだ?」

「残念デスが……」

 そうか。
 どうやら、近くでコボルトやオークの群れは発見できなかったらしい。

「うーん、他に呼べそうなモンスターは居るか?」

「あの、それでしたら、ダンジョン・エリアを広げ、街の南側部分まで取り込んデはいかがでショウ?」

「街の南側?」

「ハイ、あの……そこは、墓地が広がっていマス」

 墓地!!
 そうか、アンデッドか!!
 
「しかし、町の南側までエリアを広げるとなると……多少リスクがあるな」

「リスク……デスか?」

「まず一つ、俺たちの屋敷は町のほぼ真北だから、そこまでエリアを広げる場合、街を丸々飲み込む必要性が有る点、もう一つが、ネーヴェリクの強化を後回しにせざるを得ない点だ」

 最初の一つはメリットとリスクが表裏一体なので意外と知られていないが、ダンジョン・エリアが先に創られている所に、侵入者が入ってきた場合、ダンジョン・ポイントへの変換は即座にカウントされはじめる。

 だが、逆に、すでに一定数以上の先住者がいる地域にダンジョン・エリアを拡張した場合は、ポイント増加に一定時間のストップが発生する。
 街の規模にもよるが、ここ、ハポネスの街ならば、数日程度のタイムロスが発生すると見ていい。
 その間は何をしてもダンジョン・ポイントが一切増加しない。
 
 逆に、カウント停止期間が解ければ、住人が爆発的に増えたことになるので、一気にポイント増加が狙える。
 「人口密集地を取り込む」ことは、本来、大きなデメリットでは無い。

 だが、この先住者の居る地に後からダンジョンエリアを拡張した場合、その先住者がカンの良い奴や高位の魔族であれば、何らかの『他者のテリトリー』に自分が取り込まれた事を感知できるのだ。

 まぁ、この街付近に魔族は居ないようだし、気づかれるとしたらあのボーギル殿クラスかな? とは思うのだが、この街に隠れ住んでいる魔族やつが居て、そいつが友好的でなかった場合は、ちょっとだけ面倒くさい。

 そして、次のリスクは、現在の総ポイント数との兼ね合いの問題だ。

 南側の墓地までの範囲をダンジョン・エリアへと拡張するための必要ポイント約10万。
 地下6階~10階を整備するための必要ポイント約1万。

 現在、溜まっているダンジョン・ポイントは約11万ポイントとちょっと。

 そう考えると、ネーヴェリクを強化するためには、ポイントが足りない。
 ヴァンパイア種は成長・進化にかなりポイントが必要。
 配下としてダンジョンに存在してくれている際の増加ポイントは高くて美味しいのだが、どうしても成長はゆっくりめにならざるを得ない。

「カイトシェイド様、ネーヴェリクは今のままデも大丈夫デス、ダンジョンがもっと整ってからデ構いまセン」

 ふわり、と穏やかな笑みを浮かべるネーヴェリク。
 
「……悪ィな」

「いいえ、ネーヴェリクはカイトシェイド様のお側でお仕えできるダケで幸せデス」

「ありがとうネーヴェリク」
 
「それに、もし、墓地を取り込んデいただけたら、ネーヴェリクだってヴァンパイアの端くれデス…… 素材がダンジョン内に有るなら、スケルトンやゾンビー、ポルターガイストくらいは創れマス」
 
 彼女個人に【死霊使い】の能力は無いが、素材がそこに大量に有り、尚且つダンジョン内であるのならば話は違う。

「よし、じゃ、8~10階の整備はネーヴェリクに任せて良いか?」

「ハイ」
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