四天王最弱の男、最強ダンジョンを創る〜俺を追放した魔王から戻ってこいと言われたけど新たなダンジョン創りが楽しいし、知らんがな〜

伊坂 枕

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70 天使をゲットしよう!

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「えーと、つまり、お前は魔王様に『俺にもう一度、魔王城の管理をしてもらうように謝ろう』って話をしたら逆上して殺されたんだけど、創りかけの魔導クローン体に記憶と意識の一部を転生させてその姿になった、と」

「……はい」

「で、その姿をシシオウに見つかって殺されかけたんだけど、気付いたら、この辺りの森に居た、と」

 ルシーファが申し訳なさそうに小さく頷く。
 
 聞いた話だと、俺が出て行った直後、あの脳みそ筋肉な魔王が、あろうことかダンジョン・コアにヒビを入れるくらいぶっ叩いたとの事だから、居住区域に強制転移罠が発生していても不思議はない。
 多分、シシオウから逃げる途中にその罠でも踏み抜いたんだろう。

「そうしたら、ここの神官の一人に見つかって、中央神殿に連れてこられたんだな?」

「……そうです」

「そこまでは分かった。でも、そこで何で俺の事をわざわざ探したりしてたんだよ?」

 そうなのだ。
 その事情を聞くと、もうルシーファの奴は魔王城とは何の関係もないはず。
 なんで積極的に俺なんかと係わろうとするんだ?
 
「……うぅ……ごめんなさい……でも、私……魔王城の外に……他に知り合いなんて居ないし……誰かを勇者か聖女として指名しないと……あの人たちに……ひどいこと、されるんです……」

 うつむいたままボソボソと話すルシーファのきつく握りしめている両手がカタカタと震えている。

「何だよ、お前、他に友達居ないのかよ? さみしいヤツ~……って、ルシーファさん、ガチですすり泣くのやめてもらっていいですか……?」
 
「……っ、……ごめッん……な、さい……ぐすっ」

 いや、だから、それを止めて!?
 カシコちゃんが俺を射殺せそうな軽蔑の眼差し向けてくるから!!

 こんなのいつもの感じで軽口をたたいてるだけだろ!?
 お前、いつもだったら「ふん、魔王城から一歩でも出たら完全に役立たずの貴方が何を言っているんですか? 貴方の方こそ、魔王城の外に知り合いなんて居るんですか?」とか、そんな感じだったよね!?

「……旦那、軽口も場所とタイミングを見て言おうぜ?」

「……はい……スイマセン……」

 でも、確かに、この神殿でのルシーファの扱われ方を詳しく聞くと、俺でさえヤツが気の毒になる程度には、酷いものだった。

 特に何が酷いって、ルシーファのヤツがココから何度も逃亡しようとした結果、無理矢理『全ての魔法を封じる魔道具くびわ』を装着させられてしまった点だ。
 もちろん、今はボーギルに叩き壊してもらって外してやってある。
 
 ……これな?

 人間と魔族は価値観が多少違うから、あの神官共は知らないのかもしれないけど、魔族おれたちにとって『全ての魔法を封じるアイテムを装備させる』ってかなり非道な事だからな?

 例えその相手が、あのイヤミで陰険なメガネ野郎だったとしても、そこまでしたら完全に過剰報復だと俺が感じる程度にはゲスな事なのだ。
 ……もし仮に、ネーヴェリクに同じ事をしようものなら、この神殿、この世に存在できなくしてやりますよ?

 魔族って言うのは、魔を操るから魔族なのである。
 ルシーファのヤツだって、価値観とか、そのへんの頭の中身は、どうやら魔族おれたち寄り。
 
 それに、人間側は勝手に天使の力を『魔力』じゃなくて『理力りりょく』って呼んでるけど、俺達からすると、全く同じモノだからな? それ?
 単に魔力の属性が『プラス』か、『マイナス』か、を勝手に勘違いしているに過ぎない。

 それでも、百歩譲って『攻撃魔法だけを封じる魔道具』とかなら、人間側が利用したがるのは分からなくもない。

 だけど、『全ての魔法を封じる』となると、存在そのものを全否定しているに等しい行為だ。
 あの性格がねじ曲がった脳筋魔王でさえ、それをやっているのは見たことが無い。

 そんな状態にしておきながら、絶対に作るのに魔力が必要な「『聖水』を作れ」だの「勇者や聖女を探し出さないと奴隷に落とすぞ」だの「咳や翼の傷が治らないのは信仰が足りないからだ」だの、無茶苦茶な理論や脅しを押し付けられては、流石にルシーファのヤツが可哀想だ。

 ルシーファが中央神殿ここに居るのはもう嫌だ、と泣く気持ちは……わかる。

「あー……お前がどうしてもウチのダンジョンハポネスに来たいって言うなら、俺は別に構わないぞ」

 天使ってダンジョン・ポイントの増加率UPエグいから、囲うにはめちゃくちゃ美味しい種族だし。
 そのうえ、超レアだから、ガチで見ないし。

「……え? でも……わたし、魔王城ではカイトシェイドに色々と酷いことをしてしまったから……」

 まぁ……『ははははは! ざまぁみろ!! お前が俺に酷いことをしたから自業自得だ! ここで人間達に虐められて野垂れ死ね! ばーか、あほー!』と、いう仄暗い気持ちが一切無いほどお人好しな訳ではないが……
 でも、何か、コイツはコイツで結構酷い目に合ってたみたいだし……

 俺の邪魔をしないなら、ハポネスの隅っこで、隠居してていただいても、別に全然かまわない。
 むしろ死ぬなら、ウチのダンジョン内でお願いします。

「あらら~? ルシちゃんは、カイトシェイドさんに意地悪しちゃったの?」

「ははは、まぁ、旦那は人が良いから、きちんと謝ればきっと許してくれると思うぞ?」

 カシコちゃんが優しくルシーファの翼を撫で、ボーギルがぽんぽん、と俯くルシーファを励ますように頭に触れる。
 ボーギルとカシコちゃんは何かミョーにルシーファに対して好意的なんだよなぁ……?

 なんで? と思ったのだが……中央神殿ココでの気の毒な姿しか知らなかったら、そりゃ、そうなるか。

 それを聞いて、今までずっと下ばかり見ていたルシーファが不安気に俺を見つめて、意を決したのか、流れるようなしぐさで土下座した。

「……カイトシェイド、今まで……魔王城では、ごめんなさい! ……わたしを許してくれなくても、かまいません。ただ、今は、本当に、悪い事をしたと……思っています」

 声が震えていなかったのは頑張った、と褒めるべきか。

「分かった。……だったら、次からは、誰かに意地悪とかするなよな?」

「……はい、ごめん、なさい……っ!」

 落としどころとしてはこんなもんか?

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