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72 天使を育てよう!
しおりを挟む「どうして物理的な破壊前提なのよ! ここは女の子の方が有利よ! 第一、ここの神官団は男がメインで、女性は一割くらいしかいないのよ! 絶対女の子の方が印象深いはずよ!!」
「破壊するのは神殿そのものじゃなくて、ここに巣食っている濁り切った上層部なんだからな!? 旦那との関係性を見せつけてやる意味でも、絶対、女だ!!」
「それに見て! ルシちゃん、今でもこんなに可愛いのよ!? 大きくなったら絶対美少女よっ!!」
……つっても、大人の姿のルシーファ知ってるしなぁ……
俺の中では線の細い感じのメガネ野郎って印象しか無いぞ?
オメガの時も思ったけど、人間って本ッ当に些細な見た目の違い、こだわるよなぁ……
「マチョリダのヤツだって、ルシーファとそんなに顔立ちに大差無いだろ?」
どっちも髪はプラチナブロンドで瞳は緑だし。
「旦那……もしかして、人間の顔、見分けるの苦手か?」
「いや、見分けは付くけど、美醜の違いはよく分からん。あのアブラタンクと俺だって似たような顔立ちだろ? あっちはハゲ散らかっていたけど、耳の脇に残ってた毛の色も目の色も肌の色も俺と同じだし。」
「色の情報以外で類似の判断しようぜ!? 旦那とアブラタンク神官だと明らかに体積・表面積が違いすぎるだろ!?」
ちぇっ! 人間も魔族位分かりやすい特徴があれば良いのに……
とりあえず、二人の意見を反映させた結果、ルシーファのヤツは女の姿に成長させることになった。
……の、だが……
「ルシーファっ!! テメェ、成長させるのは構いません、とか言っておきながら何で逃げるんだよっ!!」
「に、逃げてませんけどっ!?」
俺が魔力を押し込もうとすると、じりっ、じりっ、と後退してゆくチビ天使。
「逃げてるだろ! つーか、暴れんな!」
ダンジョン・エリアが狭いから、まだ部屋の隅っことかに逃げ込まれると魔法が使えないんだよな。
首根っこを捕まえ、ベッドに押しつけると全力でもがきやがって!
「はぁっ、はぁ……な、何か、その、怖いというか、ぞわぞわするというか……ま、前にもこんな、魔力を注ぎ込まれて身体の中を弄り回された事ありませんでしたっけ!?」
「ねぇよ!!」
あってたまるか!
しかも天使って魔核が見当たらないから、どこから魔力を注いで良いのか分かりづらいし!
「羽の付け根で良いのか?」
「だ、ダメっ、そこはっ……痛い、痛いっ! 無理です、入りませんよっ!!」
「大丈夫だ、入ってる入ってる」
「アーッ!!」
うん、皮膚の薄い部分からなら魔力回路系にアクセスしやすいから何とかなるな。
ちょっと無理矢理感があるから、キツいかもしれないけど、この程度の事でぎゃんぎゃん言わないで欲しいものである。
第一、お前……仮にも魔王軍四天王筆頭だったんだからな?
この程度のことでヒィヒィ言いながら泣き出しやがって。
思わずぶん殴ってやろうかと思ったのだが、それをしてしまうと、カシコちゃんの視線が……ね?
「うぅ……疲れました……」
「それはこっちのセリフだッ!」
なんとか、ルシーファのヤツを10代後半まで成長させる。
本当は20くらいまで育てようかと思ったのだが、ボーギル曰く、外で神官達が「天使様の喘ぎ声が響いてる!」とか言いながら騒ぎ出したらしいので、この辺で中断したのだ。
まぁ、でも、二人が気にしていた翼は、若鳥くらいまでは育ったから良いとしよう。
後はカシコちゃんプロデュースで、元のちび天使は、二人が納得するような美少女天使へと変貌を遂げている。
「どう!? カイトシェイドさん!!」
「どうって……ルシーファだな」
うん……魔王城の時と比べると、羽が白くなって、後ろの髪が伸びて、胸部にコブが付いている。
全体的にはそんなに変わった気はしないんだが……? やっぱりメガネだし。
ただ、僅かに素肌が透ける白っぽいドレスなので、ちゃんと女には、見える。
まぁ、なんつーか…馬子にも衣装だな。
なお、この姿ならばハッタリが効くらしく、ルシーファは、二人から渡された台本らしきメモを頭に叩き込んでいる。
あの姿を維持できるのは数時間程度。
よし、サッサと終わらせて、ハポネスへ帰るぞ!!
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