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47.転機
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俺は生まれたその日からずっと一人だった。
幼い頃から軍事施設で育ち、戦争をするための知識だけを覚えさせられ、ただ単に戦争に勝つためだけの人間兵器として育てられた。
だから自分を生んでくれた両親の顔すら俺は知らないし、ゼナリオという名も軍がくれたものだった。
軍での生活は一言で言えば地獄のような場所だった。まだ幼かった俺にも周りの大人と同じような対応をされ、ついていけなければついていけられるまで殴られた。
俺がまだ五歳とかそこらの年の頃だ。
笑い話にもならないが、それが普通だった。
気がつけば俺は銃とナイフを握り、戦場に駆り出されては何人もの人を地に葬った。
しかも平気な顔で、何も表情を変えず……
こうして今思い返すと、当時の自分に身の毛がよだつよ。
でもそれが人として当然の生き方、いわゆる”普通”なのだと思っていた。
本当に愚かだった、当時の俺は……
♦
こうして俺は、何も知らないまま身体だけは大人になっていった。
気がつけば俺の周りには、今までずっと同じ場で苦を共にしてきた戦友と呼べるコミュニティが出来上がっていた。
そいつらと共にいれたことが、軍にいて唯一良かったと思えることだった。
当時の俺が生きながらえてこられたのも、そいつらのおかげと言っても過言じゃない。
それほど、戦友という存在は心の支えになっていた。
だけど……そのコミュニティーは戦場が激化していくにつれて崩れて行った。
誰かが戦地へ送られるたびに一人、二人、三人と減っていき、昨日まで一緒に笑顔で飯を食っていた奴がもういないなんてことは日常茶飯事だった。
俺はそれが辛くて辛くて仕方がなかった。
今まではそんなこと思ったこともなかったのに、大人になって初めて気付いた。
戦争というものは常識を否定し、非常識なことだけを肯定する愚かな行いなのだと。
それから俺はもう誰も死なせたくないという想いを持つようになり、自身をさらに磨き始めた。
自分が強くなればみんなを守れるかもしれないと、そう思ったのだ。
だがその考えこそが短絡的だった。
さらに戦争は激しさを増し、関係のない民間人までもが兵として動員されるほど、軍は切羽詰まっていた。
俺たちのような正規兵は毎日のように戦場へ駆り出され、常に死と隣り合わせな環境に放り込まれることとなった。
もちろん、そんな環境が長く続けば人はおかしくなってしまう。
その例として当時俺と同じ駐屯場にいた正規兵のほとんどは、ショック死や精神の崩壊による自殺にまで追い込まれ、残ったのは俺を含めた幹部以外のほんの数人という事態にまで陥っていた。
皆、軍に決めたルールに耐え切れず、身を滅ぼしていったわけだ。
俺も当時は何度も何度も自殺しようと思ったことがあった。
ナイフで喉を掻っ切ろうと喉に切り傷をつけたり、銃口を自分に向けて、トリガーを引く寸前までいったこともある。
でも、そんな俺に新たな希望をくれようとしてくれた一人の男がいた。
そいつはかなりのバカだったけど、戦友想いで真っ直ぐな奴だった。
あいつと出会わなければ、剣聖として生きた俺の過去はなかっただろう。
そして、あいつと共に過ごしたたった数日の出来事が俺にとって、人生のターニングポイントとも言えるべきことだったのだ。
幼い頃から軍事施設で育ち、戦争をするための知識だけを覚えさせられ、ただ単に戦争に勝つためだけの人間兵器として育てられた。
だから自分を生んでくれた両親の顔すら俺は知らないし、ゼナリオという名も軍がくれたものだった。
軍での生活は一言で言えば地獄のような場所だった。まだ幼かった俺にも周りの大人と同じような対応をされ、ついていけなければついていけられるまで殴られた。
俺がまだ五歳とかそこらの年の頃だ。
笑い話にもならないが、それが普通だった。
気がつけば俺は銃とナイフを握り、戦場に駆り出されては何人もの人を地に葬った。
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こうして今思い返すと、当時の自分に身の毛がよだつよ。
でもそれが人として当然の生き方、いわゆる”普通”なのだと思っていた。
本当に愚かだった、当時の俺は……
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こうして俺は、何も知らないまま身体だけは大人になっていった。
気がつけば俺の周りには、今までずっと同じ場で苦を共にしてきた戦友と呼べるコミュニティが出来上がっていた。
そいつらと共にいれたことが、軍にいて唯一良かったと思えることだった。
当時の俺が生きながらえてこられたのも、そいつらのおかげと言っても過言じゃない。
それほど、戦友という存在は心の支えになっていた。
だけど……そのコミュニティーは戦場が激化していくにつれて崩れて行った。
誰かが戦地へ送られるたびに一人、二人、三人と減っていき、昨日まで一緒に笑顔で飯を食っていた奴がもういないなんてことは日常茶飯事だった。
俺はそれが辛くて辛くて仕方がなかった。
今まではそんなこと思ったこともなかったのに、大人になって初めて気付いた。
戦争というものは常識を否定し、非常識なことだけを肯定する愚かな行いなのだと。
それから俺はもう誰も死なせたくないという想いを持つようになり、自身をさらに磨き始めた。
自分が強くなればみんなを守れるかもしれないと、そう思ったのだ。
だがその考えこそが短絡的だった。
さらに戦争は激しさを増し、関係のない民間人までもが兵として動員されるほど、軍は切羽詰まっていた。
俺たちのような正規兵は毎日のように戦場へ駆り出され、常に死と隣り合わせな環境に放り込まれることとなった。
もちろん、そんな環境が長く続けば人はおかしくなってしまう。
その例として当時俺と同じ駐屯場にいた正規兵のほとんどは、ショック死や精神の崩壊による自殺にまで追い込まれ、残ったのは俺を含めた幹部以外のほんの数人という事態にまで陥っていた。
皆、軍に決めたルールに耐え切れず、身を滅ぼしていったわけだ。
俺も当時は何度も何度も自殺しようと思ったことがあった。
ナイフで喉を掻っ切ろうと喉に切り傷をつけたり、銃口を自分に向けて、トリガーを引く寸前までいったこともある。
でも、そんな俺に新たな希望をくれようとしてくれた一人の男がいた。
そいつはかなりのバカだったけど、戦友想いで真っ直ぐな奴だった。
あいつと出会わなければ、剣聖として生きた俺の過去はなかっただろう。
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