13 / 127
第1章 おっさん、魔術講師になる
第13話 レイナード先生、課外授業に行かされる
しおりを挟む
時はラルゴとの決闘があった次の日になる。
「すごく疲れてますね……レイナード」
「ああ……昨日のあれが影響した」
日々の疲れが腰痛や頭痛などに変わり、俺は昨晩寝ることすら許されなかった。
よって寝不足の上に身体も痛い、その上精神的なストレスも溜まっているという三重苦に見舞われていた。
そして俺はいつものようにレーナと共に教室に向かったのだが……
「あ、おはようございます! 今日も良い天気ですねぇ」
なぜか我がクラスの教壇にラルゴ・ノートリウムが立っていた。
その上、沢山の生徒たちを連れてきていかにも何かをやりますという雰囲気を出していたのだ。
「おい、これはどういうことだ?」
やっと静かな講師生活を送れると思った途端この始末。
ストレスが溜まっていたのもあってか、つい感情が表情に出てしまう。
「れ、レイナード先生? 怒ってます?」
俺の身体から異様な雰囲気を察知したのだろう。ラルゴはいきなり低い姿勢で応対する。
「当たり前だ。よそのクラスで何をやっている」
俺の表情が段々と険しくなっていくにつれてラルゴの顔にも焦りが出てくる。
「い、いや……その、せっかく昨日あれだけ盛り上がったんでいっそ合同で……」
「断る!」
俺は最後まで話を聞かずに拒絶する。
この自習の時間を睡眠時間にあてようとしていた俺の計画が崩れるからだ。
しかもこのラルゴとか言う男、とにかく動くことが好きで暇さえあれば指導と称して生徒たちとドンパチやっているのだそうだ。
「どうしてです? みんなで授業をやったほうが楽しいではありませんか!」
(相変わらず身振り手振りが鬱陶しい奴だ。こんな奴が宮廷魔術師だなんて世も末だな)
こう思いつつ俺はラルゴにはっきりと申す。
「悪いがお前の授業スタイルとオレの授業スタイルは全く違う。オレは静かに授業がしたいんだ」
ここまで言えば、さすがに食い下がるだろう。
と、思っていたのだが、
「そうですか、静かな所をご所望と! ならば皆でハーバー高原へ課外授業に行くのはどうでしょうか? あそこは静かでいい場所ですよ」
「……」
俺の言っていることは見事に通じていなかった。しかも話は俺を抜いてどんどん進んでいく。
「いいですね! 私も賛成ですラルゴ先生」
「俺もだ。昨日の決闘を見て思いっきり動きたくなった」
フィオナとガルシアも大いに賛成のようだ。
その他A組、B組の生徒も賛成の念を推した。
「ではそうしましょう!」
同じ講師である俺の意見を聞かずに話が決定してしまった。
(ふざけんなよ……)
そんな中で俺の心中を察してくれたのはレーナただ一人だった。
それ以外は”あのバカ”と一緒に勝手に盛り上がっていた。
「これは断れないですね……」
「……レーナ。骨は拾っておいてくれな」
「えっ!? な、何を言ってるんですか!?」
そんなわけでA組とB組で合同課外授業が行われることになった。
* * *
時刻は昼過ぎ。
王都から数分の高原地帯に俺たちはいた。
「殺人的な暑さだ……」
ラルゴの言う通り、これほど良いという日はないくらい天気に恵まれていた。
照り付ける太陽の光が俺の身体を少しずつ喰らっていく。
ちょっとでも運動したら蒸発しそうな勢いだった。
「さぁ……皆さん集まってください!」
ラルゴの号令で生徒たちは集まる。
「それではA組とB組による合同授業を行いたいと思います。お互い知らない者同士であるかもしれませんが、親睦を深める良い機会だと思って取り組んでください」
「―――はいっ!」
そんなこんなで実戦形式による課外授業がスタートした。
普段は学園内で使えない魔術もここでは使えるので皆、張り切っている。
ラルゴ含め皆が盛り上がっている中、俺は休める場所がないか探していた。
「ふぅ……ここなら休めそうだな」
日陰でちょうどいい感じに休めそうな樹木を発見。
そこに寄りかかり、静かに目を瞑る。
「ああ……気持ちいいな」
涼しく、安らかなそよ風が俺の疲れた身体を癒していく。
木々の葉が風に揺れ、心地の良い音を奏でる。
なんて気持ちのいいことだろうか。
俺はそう思った。
こんなに心安らぐとは思ってもみなかった。
「外で寝るのもまた一興かもな……」
英雄時代はこんなにゆっくりと自然に触れたことはなかった。
ましてや引きこもりの生活を送っていた頃は外に出るだけでも抵抗があった。
だからこそこんなにも気持ちの良い感覚は味わったことがなかった。
「ある意味最もこの世で偉大な物は自然なのかもしれないな」
そう思っていると、どこからか誰かの視線を感じる。
「誰だ?」
「あはは、バレてしまいましたか」
そう言うと木の陰からひょっこりとレーナが現れた。
「なんだ、レーナか」
「なんだとはなんですか!」
レーナはさりげなく俺の隣に座る。
「どうした? 生徒たちに指導していたんじゃないのか?」
「疲れちゃったので休憩しようとしたらレイナードの姿がなかったものですから」
「よくこの場所が分かったな」
というのも此処はハーバー高原の奥にあるハーバーの森の入り口付近だ。
集合場所から歩いても数分はかかる。
「休める場所がないかって思ったら此処しか思いつかなかったので……」
「そうか」
さすが俺の助手だ。時を重ねるごとに俺の生態を理解している。
最近では結構忖度をしてくれて助かる場面も増えてきた。
「気持ちいいですね……ここ」
「ああ、オレも驚いた」
レーナは猫耳をピクピクさせる。
そしてそれに反応した俺はとあることを聞いてみる。
「前から気になっていたんだが……お前はなんでそんなものをつけているんだ?」
「え……? 付けているとは?」
(付けているっていう自覚ないのか!)
逆に驚きだが、とりあえずスル―することにする。
「猫耳だ。初めて会った時から気になっていたんだ」
「ああ、これですか?」
そういうと当たり前のように猫耳を外す。
「やっぱり取り外し式だったのか!」
「あ、はい……ちょっと色々とありまして……」
「聞いてもいいことか?」
とりあえず確認は取ることにする。
言いたくないことを無理矢理言わせるのは可哀想だからな。
だが、レーナは何の迷いもなくOKサインを出す。
「じゃあ聞かせてくれ」
俺がこう言うとレーナは口を開き、ゆっくりと話し始める。
「すごく疲れてますね……レイナード」
「ああ……昨日のあれが影響した」
日々の疲れが腰痛や頭痛などに変わり、俺は昨晩寝ることすら許されなかった。
よって寝不足の上に身体も痛い、その上精神的なストレスも溜まっているという三重苦に見舞われていた。
そして俺はいつものようにレーナと共に教室に向かったのだが……
「あ、おはようございます! 今日も良い天気ですねぇ」
なぜか我がクラスの教壇にラルゴ・ノートリウムが立っていた。
その上、沢山の生徒たちを連れてきていかにも何かをやりますという雰囲気を出していたのだ。
「おい、これはどういうことだ?」
やっと静かな講師生活を送れると思った途端この始末。
ストレスが溜まっていたのもあってか、つい感情が表情に出てしまう。
「れ、レイナード先生? 怒ってます?」
俺の身体から異様な雰囲気を察知したのだろう。ラルゴはいきなり低い姿勢で応対する。
「当たり前だ。よそのクラスで何をやっている」
俺の表情が段々と険しくなっていくにつれてラルゴの顔にも焦りが出てくる。
「い、いや……その、せっかく昨日あれだけ盛り上がったんでいっそ合同で……」
「断る!」
俺は最後まで話を聞かずに拒絶する。
この自習の時間を睡眠時間にあてようとしていた俺の計画が崩れるからだ。
しかもこのラルゴとか言う男、とにかく動くことが好きで暇さえあれば指導と称して生徒たちとドンパチやっているのだそうだ。
「どうしてです? みんなで授業をやったほうが楽しいではありませんか!」
(相変わらず身振り手振りが鬱陶しい奴だ。こんな奴が宮廷魔術師だなんて世も末だな)
こう思いつつ俺はラルゴにはっきりと申す。
「悪いがお前の授業スタイルとオレの授業スタイルは全く違う。オレは静かに授業がしたいんだ」
ここまで言えば、さすがに食い下がるだろう。
と、思っていたのだが、
「そうですか、静かな所をご所望と! ならば皆でハーバー高原へ課外授業に行くのはどうでしょうか? あそこは静かでいい場所ですよ」
「……」
俺の言っていることは見事に通じていなかった。しかも話は俺を抜いてどんどん進んでいく。
「いいですね! 私も賛成ですラルゴ先生」
「俺もだ。昨日の決闘を見て思いっきり動きたくなった」
フィオナとガルシアも大いに賛成のようだ。
その他A組、B組の生徒も賛成の念を推した。
「ではそうしましょう!」
同じ講師である俺の意見を聞かずに話が決定してしまった。
(ふざけんなよ……)
そんな中で俺の心中を察してくれたのはレーナただ一人だった。
それ以外は”あのバカ”と一緒に勝手に盛り上がっていた。
「これは断れないですね……」
「……レーナ。骨は拾っておいてくれな」
「えっ!? な、何を言ってるんですか!?」
そんなわけでA組とB組で合同課外授業が行われることになった。
* * *
時刻は昼過ぎ。
王都から数分の高原地帯に俺たちはいた。
「殺人的な暑さだ……」
ラルゴの言う通り、これほど良いという日はないくらい天気に恵まれていた。
照り付ける太陽の光が俺の身体を少しずつ喰らっていく。
ちょっとでも運動したら蒸発しそうな勢いだった。
「さぁ……皆さん集まってください!」
ラルゴの号令で生徒たちは集まる。
「それではA組とB組による合同授業を行いたいと思います。お互い知らない者同士であるかもしれませんが、親睦を深める良い機会だと思って取り組んでください」
「―――はいっ!」
そんなこんなで実戦形式による課外授業がスタートした。
普段は学園内で使えない魔術もここでは使えるので皆、張り切っている。
ラルゴ含め皆が盛り上がっている中、俺は休める場所がないか探していた。
「ふぅ……ここなら休めそうだな」
日陰でちょうどいい感じに休めそうな樹木を発見。
そこに寄りかかり、静かに目を瞑る。
「ああ……気持ちいいな」
涼しく、安らかなそよ風が俺の疲れた身体を癒していく。
木々の葉が風に揺れ、心地の良い音を奏でる。
なんて気持ちのいいことだろうか。
俺はそう思った。
こんなに心安らぐとは思ってもみなかった。
「外で寝るのもまた一興かもな……」
英雄時代はこんなにゆっくりと自然に触れたことはなかった。
ましてや引きこもりの生活を送っていた頃は外に出るだけでも抵抗があった。
だからこそこんなにも気持ちの良い感覚は味わったことがなかった。
「ある意味最もこの世で偉大な物は自然なのかもしれないな」
そう思っていると、どこからか誰かの視線を感じる。
「誰だ?」
「あはは、バレてしまいましたか」
そう言うと木の陰からひょっこりとレーナが現れた。
「なんだ、レーナか」
「なんだとはなんですか!」
レーナはさりげなく俺の隣に座る。
「どうした? 生徒たちに指導していたんじゃないのか?」
「疲れちゃったので休憩しようとしたらレイナードの姿がなかったものですから」
「よくこの場所が分かったな」
というのも此処はハーバー高原の奥にあるハーバーの森の入り口付近だ。
集合場所から歩いても数分はかかる。
「休める場所がないかって思ったら此処しか思いつかなかったので……」
「そうか」
さすが俺の助手だ。時を重ねるごとに俺の生態を理解している。
最近では結構忖度をしてくれて助かる場面も増えてきた。
「気持ちいいですね……ここ」
「ああ、オレも驚いた」
レーナは猫耳をピクピクさせる。
そしてそれに反応した俺はとあることを聞いてみる。
「前から気になっていたんだが……お前はなんでそんなものをつけているんだ?」
「え……? 付けているとは?」
(付けているっていう自覚ないのか!)
逆に驚きだが、とりあえずスル―することにする。
「猫耳だ。初めて会った時から気になっていたんだ」
「ああ、これですか?」
そういうと当たり前のように猫耳を外す。
「やっぱり取り外し式だったのか!」
「あ、はい……ちょっと色々とありまして……」
「聞いてもいいことか?」
とりあえず確認は取ることにする。
言いたくないことを無理矢理言わせるのは可哀想だからな。
だが、レーナは何の迷いもなくOKサインを出す。
「じゃあ聞かせてくれ」
俺がこう言うとレーナは口を開き、ゆっくりと話し始める。
0
あなたにおすすめの小説
没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます
六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。
彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。
優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。
それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。
その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。
しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。
※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。
詳細は近況ボードをご覧ください。
チートツール×フールライフ!~女神から貰った能力で勇者選抜されたので頑張ってラスダン前まで来たら勇者にパーティ追放されたので復讐します~
黒片大豆
ファンタジー
「お前、追放な。田舎に帰ってゆっくりしてろ」
女神の信託を受け、勇者のひとりとして迎えられた『アイサック=ベルキッド』。
この日、勇者リーダーにより追放が宣告され、そのゴシップニュースは箝口令解除を待って、世界中にバラまかれることとなった。
『勇者道化師ベルキッド、追放される』
『サック』は田舎への帰り道、野党に襲われる少女『二オーレ』を助け、お礼に施しを受ける。しかしその家族には大きな秘密があり、サックの今後の運命を左右することとなった。二オーレとの出会いにより、新たに『女神への復讐』の選択肢が生まれたサックは、女神へのコンタクト方法を探る旅に目的を変更し、その道中、ゴシップ記事を飛ばした記者や、暗殺者の少女、元勇者の同僚との出会いを重ね、魔王との決戦時に女神が現れることを知る。そして一度は追放された身でありながら、彼は元仲間たちの元へむかう。本気で女神を一発ぶん殴る──ただそれだけのために。
35年ローンと共に異世界転生! スキル『マイホーム』で快適5LDK引きこもり生活 ~数学教師、合気道と三節根で異世界を論破する~
月神世一
ファンタジー
紹介文
「結婚しよう。白い壁の素敵なお家が欲しいな♡」
そう言われて35年ローンで新築一戸建て(5LDK)を買った直後、俺、加藤真守(25歳)は婚約者に捨てられた。
失意の中、猫を助けてトラックに轢かれ、気づけばジャージ姿の女神ルチアナに異世界へと放り出されていた。
「あげるのは『言語理解』と『マイホーム』でーす」
手に入れたのは、ローン残高ごと召喚できる最強の現代住宅。
電気・ガス・水道完備。お風呂は全自動、リビングは床暖房。
さらには貯めたポイントで、地球の「赤マル」から「最新家電」までお取り寄せ!?
森で拾った純情な狩人の美少女に胃袋を掴まれ、
罠にかかったポンコツ天使(自称聖騎士)が居候し、
競馬好きの魔族公爵がビールを飲みにやってくる。
これは、借金まみれの数学教師が、三節根と計算能力を武器に、快適なマイホームを守り抜く物語。
……頼むから、家の壁で爪を研ぐのはやめてくれ!
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】
最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。
戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。
目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。
ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!
彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!!
※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる