元英雄でSSSSS級おっさんキャスターは引きこもりニート生活をしたい~生きる道を選んだため学園の魔術講師として駆り出されました~

詩葉 豊庸(旧名:堅茹でパスタ)

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第2章 おっさん、旧友と会う

第19話 レイナードの休日2

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 ―――クロード王国。

 フェザー大陸にある3大王国の一つである。
 様々な産業が入り乱れるように集まり、繁栄している。
 経済面では大国の中でもトップレベルの潤沢さがあり、情報発信の中心地としても有名だ。
 そんな所に俺、レイナード・アーバンクルスは借家を借りて住んでいる。

 そして俺はいつものように市場へ食材を買いに出かける。
 本当は休日に外にすら出たくはないのだが、料理を作ってくれる人もいない。
 仕方なく食材を買い、簡単な物を作って食を得ている。

「暑い……こう考えると何も考えず料理が出てきたアジト暮らしと比べると苦行だな」

 今までやってもらっていたことが一人になると全てやらなくてはならない。
 そう考えると、しんどい。

「今日も簡単に野菜炒めでも作るか」

 とりあえず低コストで栄養も取れて簡単な料理を中心に作ることにしている。
 
「というか人が多い……頭が痛くなる」

 時間はちょうど昼時、王都が最も盛り上がる時間帯だ。
 それ故に人が多い。
 冒険者、商人、観光客など様々な人が王都に出入りする。

 そんな時だった。

「レイナード?」

 背後から誰かから声を掛けられた。
 声質からして女性の声だった。

 俺はサッと振り向く。

「ん? レーナか?」
「あ、はい。そうです」

 パッと見、誰か分からなかった。
 いつもは髪をおろしているのだが、今回はハーフアップにしていた。
 服装も今の暑い時期にぴったりな白いワンピースを着ていた。
 普段の魔術講師としての姿が目に焼き付いているため日常の姿を見ると違和感を感じる。

 まぁ普通に似合っているのでいいのだが。

「あ、あの……レイナード?」
「あっ……ゴホン!」

 おっといけない。普段と違う姿で思わず観察してしまった。

「すまないレーナ。オレの知っているお前とは少し違っていたものだから」
「そ、そうですか? 私、そんなに学園といる時と違います?」
「ああ、より綺麗に見えるぞ」

 レーナは顔を赤らめる。
 そしてレーナも、

「レイナードの普段着姿も中々新鮮ですね!」
「ん? そうか?」

(普段着と言うか寝間着なのだがな)

 基本的に家にいようが外にいようが寝間着姿で生活をしている。
 いちいち着替えて外に出るのも面倒な上、ゴロゴロを主体として生活をする俺にとってはこれ以上の服装はないからだ。
 動きやすく伸縮性もバツグン。ニートにとっては至高の服と言えるだろう。

 俺はレーナに尋ねる。

「今日は王都に買い物か?」
「あ、はい! 久しぶりに”あの方”の元へご挨拶にと思いまして」
「”あの方”? ああ、レーナを救ってくれた……」
「そうです! 長らくご挨拶に行けていなかったので……」

 レーナはその挨拶の品を買いに来たのだと言う。

「レイナードもお買い物ですか?」
「ああ。夕飯の材料を調達しようと思ってな」
「料理作れるんですか!?」

 レーナは目を輝かせて聞いてくる。

「いや、一人暮らしを始めてから料理はやりだした。超簡単に済ませられるような物しか作らんがな」
「そうなんですか! 私も一人で暮らしているので料理は頻繁にやっているんですよ」
「ほう……」

 なぜだか料理の事について話が弾む。
 レーナは料理をすることが趣味なのだそうだ。
 
 人当たりがよく人望もあり、頭もいいし、料理もできる。
 その上、超絶美人。何を取っても完璧だ。
 
 容姿についてはすれ違った者が思わず二度見してしまうほどである。
 美しい白銀の髪に清楚感溢れるワンピース、そしてその容姿の良さが上乗せされ存在感が半端ない。
 
 それに対比するように上下寝間着のおっさんが隣にいる。

「なんか惨めになってくるな……」
「えっ? どうかしましたか?」
「いや……なんでもない」

 とりあえず先にレーナの買い物に付き合うことにする。

「大丈夫なんですか? 私の買い物に付き合わせてしまって……」
「別に構わない。どうせ家に帰ってもやることがないしな」

 やることがないのは本当の話だが、レーナとの交流をより深めるという意味合いもあった。
 二人でやっていく以上、交流を避けることは不可能だ。
 できる限りお互い良好な関係で仕事がしたい、そう思ったからである。

 探しているのはそのレーナの恩人とやらの手土産だ。

「その恩人は何が好みなのだ?」
「それがイマイチよく分かってないんですよね……あまりそういう話をしないものですから」
「長年一緒にいてお互いを認識していないのか」
「そう……ですね。変な話ですが」

 レーナが迷っている時、とある物が目に止まった。

「レーナこっちに来い」
「えっ?」

 俺はレーナを引き連れて一軒のフラワーショップへと入る。

「こういう物ならどうだ?」

 俺が手にしたのは七色に輝く鑑賞花、シエルフラワーだった。

「き、綺麗……聞いたことはありましたが実物をみるのは初めてです……」

 これを見てレーナは感動したようで、

「じゃあこれにしますっ!」

 あっさりと購入することになった。
 お土産用にラッピングされ、手渡される。

「ごめんなさいレイナード。本来は私が決めなければいけないのに……」
「気にするな」

 申し訳なさそうな顔をする彼女を慰める。

 そしてレーナは、

「次はレイナードの食材探しですね! 私も御手伝いしますよ~」
「あ、ああ」

 なんだか知らんがとても張り切っている。

「ささ、レイナード! まず何を買うんですか? というか今日は何をお作りに?」

 ウキウキしながらこちらを見つめるレーナ。
 相当料理が好きなのが理解できる。

「ま、まぁ……普通に野菜炒めとか」
「いいですね! あっ、そういえばさっき今が旬のお野菜が沢山売られているお店を見ましたよ」
「じゃ、じゃあそこに行こうか」
「はい!」
 
 とても楽しそうだった。
 普段なら見ることができない一面だ。
 
 

 ふぅ……こりゃ長くなりそうだな……

 
 
 悪く思うことはなくとも心の中ではそう思うレイナードだった。
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