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第2章 おっさん、旧友と会う
第21話 まさかの出来事
―――ガタガタガタガタ。
少しだけ荒い道を馬車で進んでいく。
「そろそろですよ」
「や、やっとか……」
レーナが言うには30分くらいだと言っていたが、その2倍の1時間かかった。
「此処から歩きです」
「は?」
馬車は深そうな森の手前で止まった。
レーナが言うにはこの奥に進んだところにあるという。
ここから先は馬車では行けないらしいので仕方なく歩くことにする。
「マジか……」
まさかの事態に弱音を吐く。
もうかれこれ数時間外にいる。
元ニートにとってはかなり辛い。
でもせっかくのレーナの誘いを無碍にはできない。
俺はレーナの後ろについていくようにして歩く。
幸いだったのは木々で太陽の光があまり届いてこないことだ。
炎天下の中歩くのは地獄だが、これならまだ耐えられそうだった。
それから数十分森の中を歩く。
すると、
「着きましたよ、レイナード」
「こ、ここか……」
森を抜け、目の前に現れたのはとてつもなく大きな豪邸だった。
「こんな辺境に住んでいるとは……」
「そういう人なんです」
レーナは少し笑ってこう言う。
しかし近づけば近づくほど大きい屋敷だ。
屋敷の前はとてつもなく広い庭になっていた。
ちょこんと端っこの方に芝を狩るためのマシンが置いてある。
どうやら本当に此処に住んでいるようだ。
レーナはドアの前に立ちコンコンと叩く。
「すみませーん、レーナですー」
するといきなり地面から魔法陣が現れる。
「なんだ、これは……簡易転移魔術か?」
魔法陣は激しく発光し、気づいた時には屋敷の中にいた。
「玄関の前に魔術施すとか……なんなんだ一体」
すると奥の無駄に横幅が広い階段の方から女性の声が聞こえた。
「お帰りなさい、レーナ」
「ただいま、セントレアさん」
その女性が姿を現した時、俺は見覚えのある顔に思わず声が出てしまった。
「ゲッ……ドリル!」
すると向こうも気づいたようで、
「あら、あー……」
(マズイ!)
すぐさまその女性の手を引いてレーナから見えない場所に隠れる。
「おいドリル、オレをその名で呼ぶのはやめろ!」
「あらあら、久しぶりの再会で興奮しているのね」
「ふざけるな。オレの事情なら少しくらい知っているだろ?」
「ええ、まぁ……英雄と言われた最恐の魔術師が社会的底辺にまで堕ちたって聞いただけだけど」
「……このBBA……」
いちいち言い方に棘があって腹が立つ。
その上、悪いことを言っているという自覚がないので余計にタチが悪い。
まぁ、これも昔からなのである。
ちなみにこのドリルことセントレア・アルフォートは神魔団が誇る魔剣使いの一人だ。
実力はナンバー4。
その髪色と瞳によって『撃滅の黄金女帝』の異名を持つ実力者だ。
俺がドリルと言っているのは、髪型のことだ。
無駄と言っていいほどクルクルとカールされた髪が特徴的であったためこう呼んでいる。
余談だが、年は俺よりもうんと高いらしい。
しかし見た目はどう考えても20代にしか見えないのが不思議だ。
さらに言えば、年齢のことを聞くと分かりやすく不機嫌になる、というかボコされる。
現に俺は年齢を聞こうとしたことがあり、ちょっとした騒動になりかけたことがある。
フィーネ同様、童顔というチート属性を持った恐ろしいBBAなのだ。
話もついたことでレーナのいる所へと戻る。
「お二人はお知り合いだったんですか?」
「ま、まあちょっとな。昔の話だ」
なんとか怪しまれないように誤魔化す。
するとそこへ、
「なんだ? 騒がしいな……」
今度は一人の男が階段を下りてやってきた。
「ゲッ……忘れていた……」
もちろんその男にも面識があった。
そして目が合う。
「ん? お前もしかしてあー……」
「おいちょっとこっち来ようか!?」
またもレーナの目が届かない場所へ彼を引きずり込む。
彼の名前はレザード・アルフォート。
金髪に金眼が特徴でセントレアとは双子の姉弟になる。
彼もまた神魔団の魔剣使いの一人で、実力はナンバー5。
双子揃って実力者だというわけだ。
見た目はクールな美青年だが、実年齢はおっさんである。
これも姉のセントレアの影響なのか実年齢が把握しにくい。
というか判断不能である。
それにしてもまさかあのアルフォートだとは思いもしなかった。
アルフォートという言葉でまさかとは思ったが、予感は見事に的中していた。
なんという偶然だろうか。
レーナを救った命の恩人がまさか神魔団のメンバーだったなんて……。
先ほどと同様、彼にも事情を話す。
「やはりお前、アジトに引き込んでいたのか」
「ま、まぁな。とりあえずレーナがいる前では余計なことを言うな。分かったな?」
「それは承知したが……なぜお前が此処にいる?」
「それは後で話す。今はレーナに怪しまれないようにするのが最優先だ」
しばらくして俺たちは再びレーナの元へと戻る。
「あの……さっきからどうしたんですか?」
「い、いや、気にするな。その……旧友の……あれだ! 再会の挨拶!」
苦しすぎる言い訳を放つ。
だが、レーナは、
「そ、そうなんですか! 変わったご挨拶の仕方ですね……」
まさかの誤魔化しきることに成功。
これにはレーナが天然だったことを思わず感謝する。
「まぁまぁ、立ち話もあれだし座ってお話しましょ」
ドリルことセントレアが俺たちを広い客間へと案内する。
(はぁ……疲れた。なんとか誤魔化せたな)
俺の手からは冷や汗がじんわりと出ていた。
そして俺は案内された客間の椅子にドスッと座り、ホッと一息つく。
少しだけ荒い道を馬車で進んでいく。
「そろそろですよ」
「や、やっとか……」
レーナが言うには30分くらいだと言っていたが、その2倍の1時間かかった。
「此処から歩きです」
「は?」
馬車は深そうな森の手前で止まった。
レーナが言うにはこの奥に進んだところにあるという。
ここから先は馬車では行けないらしいので仕方なく歩くことにする。
「マジか……」
まさかの事態に弱音を吐く。
もうかれこれ数時間外にいる。
元ニートにとってはかなり辛い。
でもせっかくのレーナの誘いを無碍にはできない。
俺はレーナの後ろについていくようにして歩く。
幸いだったのは木々で太陽の光があまり届いてこないことだ。
炎天下の中歩くのは地獄だが、これならまだ耐えられそうだった。
それから数十分森の中を歩く。
すると、
「着きましたよ、レイナード」
「こ、ここか……」
森を抜け、目の前に現れたのはとてつもなく大きな豪邸だった。
「こんな辺境に住んでいるとは……」
「そういう人なんです」
レーナは少し笑ってこう言う。
しかし近づけば近づくほど大きい屋敷だ。
屋敷の前はとてつもなく広い庭になっていた。
ちょこんと端っこの方に芝を狩るためのマシンが置いてある。
どうやら本当に此処に住んでいるようだ。
レーナはドアの前に立ちコンコンと叩く。
「すみませーん、レーナですー」
するといきなり地面から魔法陣が現れる。
「なんだ、これは……簡易転移魔術か?」
魔法陣は激しく発光し、気づいた時には屋敷の中にいた。
「玄関の前に魔術施すとか……なんなんだ一体」
すると奥の無駄に横幅が広い階段の方から女性の声が聞こえた。
「お帰りなさい、レーナ」
「ただいま、セントレアさん」
その女性が姿を現した時、俺は見覚えのある顔に思わず声が出てしまった。
「ゲッ……ドリル!」
すると向こうも気づいたようで、
「あら、あー……」
(マズイ!)
すぐさまその女性の手を引いてレーナから見えない場所に隠れる。
「おいドリル、オレをその名で呼ぶのはやめろ!」
「あらあら、久しぶりの再会で興奮しているのね」
「ふざけるな。オレの事情なら少しくらい知っているだろ?」
「ええ、まぁ……英雄と言われた最恐の魔術師が社会的底辺にまで堕ちたって聞いただけだけど」
「……このBBA……」
いちいち言い方に棘があって腹が立つ。
その上、悪いことを言っているという自覚がないので余計にタチが悪い。
まぁ、これも昔からなのである。
ちなみにこのドリルことセントレア・アルフォートは神魔団が誇る魔剣使いの一人だ。
実力はナンバー4。
その髪色と瞳によって『撃滅の黄金女帝』の異名を持つ実力者だ。
俺がドリルと言っているのは、髪型のことだ。
無駄と言っていいほどクルクルとカールされた髪が特徴的であったためこう呼んでいる。
余談だが、年は俺よりもうんと高いらしい。
しかし見た目はどう考えても20代にしか見えないのが不思議だ。
さらに言えば、年齢のことを聞くと分かりやすく不機嫌になる、というかボコされる。
現に俺は年齢を聞こうとしたことがあり、ちょっとした騒動になりかけたことがある。
フィーネ同様、童顔というチート属性を持った恐ろしいBBAなのだ。
話もついたことでレーナのいる所へと戻る。
「お二人はお知り合いだったんですか?」
「ま、まあちょっとな。昔の話だ」
なんとか怪しまれないように誤魔化す。
するとそこへ、
「なんだ? 騒がしいな……」
今度は一人の男が階段を下りてやってきた。
「ゲッ……忘れていた……」
もちろんその男にも面識があった。
そして目が合う。
「ん? お前もしかしてあー……」
「おいちょっとこっち来ようか!?」
またもレーナの目が届かない場所へ彼を引きずり込む。
彼の名前はレザード・アルフォート。
金髪に金眼が特徴でセントレアとは双子の姉弟になる。
彼もまた神魔団の魔剣使いの一人で、実力はナンバー5。
双子揃って実力者だというわけだ。
見た目はクールな美青年だが、実年齢はおっさんである。
これも姉のセントレアの影響なのか実年齢が把握しにくい。
というか判断不能である。
それにしてもまさかあのアルフォートだとは思いもしなかった。
アルフォートという言葉でまさかとは思ったが、予感は見事に的中していた。
なんという偶然だろうか。
レーナを救った命の恩人がまさか神魔団のメンバーだったなんて……。
先ほどと同様、彼にも事情を話す。
「やはりお前、アジトに引き込んでいたのか」
「ま、まぁな。とりあえずレーナがいる前では余計なことを言うな。分かったな?」
「それは承知したが……なぜお前が此処にいる?」
「それは後で話す。今はレーナに怪しまれないようにするのが最優先だ」
しばらくして俺たちは再びレーナの元へと戻る。
「あの……さっきからどうしたんですか?」
「い、いや、気にするな。その……旧友の……あれだ! 再会の挨拶!」
苦しすぎる言い訳を放つ。
だが、レーナは、
「そ、そうなんですか! 変わったご挨拶の仕方ですね……」
まさかの誤魔化しきることに成功。
これにはレーナが天然だったことを思わず感謝する。
「まぁまぁ、立ち話もあれだし座ってお話しましょ」
ドリルことセントレアが俺たちを広い客間へと案内する。
(はぁ……疲れた。なんとか誤魔化せたな)
俺の手からは冷や汗がじんわりと出ていた。
そして俺は案内された客間の椅子にドスッと座り、ホッと一息つく。
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