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第2章 おっさん、旧友と会う
第24話 神魔団一の色魔
なんだ……重い何かが俺の上に……。
俺は身体を揺さぶろうとするが、
……身動きが取れないだと。
これは……なんだ?
そして俺は何かを掴んだ。
―――ムニュ。
「んっ……」
ムニュ? しかもなんか女の声がしたような……。
というか苦しい……息が……できん!
し……死ぬっ!
俺はあまりの苦しさに目を覚ます。
「……!」
すると目の前にあったのは大きな大きな乳。
そして俺の上で馬乗りをしているセントレアの姿だった。
「あら……目が覚めちゃったわ」
だが、俺はそれどころではなかった。
セントレアの恐竜的な乳に息ができないだけではなく、頭蓋骨まで粉々にされそうな勢いだった。
俺は手をベットにバンバンと叩き、苦しいアピールをする。
「あらあら、そんなに興奮しなくてもいいのよ」
(ふざけんな、このクソドリル! こっちは生命的危機に陥っているんだぞ!)
無念にもアピールは届かない。
(や、やばい……)
意識が遠くなってくる。
(お、オレは……女の乳に殺されるというのか……?)
顔が真っ青になり始め、意識が天に召されかけようとした時、セントレアは気づいた。
「あら、ごめんなさい! 苦しいのね!」
すぐさまセントレアは俺から離れる。
「ぶはっっっ!」
やっと解放された。
酸欠になりかけた身体に空気を満遍なく入れる。
生き返った……
これを見てセントレアは、
「ごめんなさいね、てっきり興奮しているのかと思って……」
「ふ、ふざけんな! 危うく昇天するとこだったんだぞ!」
こみあげてきた怒りをぶつける。
「だって……あまりにも可愛い寝顔だったからつい……」
このBBA……ホントいくつになっても変わらねぇな。
「いい年こいて何をしていやがる。そろそろその悪趣味な服と行動を止めろ」
セントレアは昔からこういう女である。
無駄に露出の高い衣服を纏い、暇さえあれば男に目を光らせる。
そんなことが災厄となっているのか知らないが、未だに結婚相手ができない。
容姿端麗なので知らない人から見れば魅力的に見えるのかもしれないが、中身は血に飢えた魔獣みたいなものである。
そんなインパクトの強い個性を持っていたため、神魔団一の色魔として君臨していた。
「別にいいじゃないの~減るもんじゃないし……」
「女としての価値が減っているのにそろそろ気づけ。それとオレの生命が減るどころか消失しかけたことを自覚しろ」
「もう……アークったら相変わらず堅いのね」
「その名で呼ぶなと言ったろクソドリル」
このやり取りもかれこれ数十年前まで当たり前のようにやっていたことだ。
神魔団のメンバーは変わった奴が多かったが、こいつだけは破格だった。
初めて対面したその夜に夜這いをしかけられたのを今でも覚えている。
当時の印象としては初対面の年下の雄にも平気で夜這いをしかけてくる狂気に満ちた女という印象だった。
しかしだ、破格なのは人間性だけではなかった。
魔剣を使った戦闘力、これも他の魔剣使いと比べると桁違いの強さだった。
単純な戦闘力ならレザードよりセントレアの方が上だろう。
その分、レザードは頭を使ったトリッキーな技や戦術に長けている。
双子の姉弟ということもあってかコンビネーションも抜群に良い。
正直、二対一で襲われたら俺でさえ勝てるかどうか分からない。
彼女らこそ最強の魔剣使いで間違いない。俺はそう思っている。
まぁ要するに問題なのは人間的な面というわけだ。
「なにジロジロみているの? あ! もしかしてわたしのこと……」
「それはない」
言いたいことは何となく分かる。
するとセントレアは顔をプクーっとさせる。
「それで、本題が遅くなったが何の用だ? まさか用もないのにオレの数少ない睡眠時間を邪魔したわけじゃあるまいな?」
威圧を与えるように彼女を凝視する。
「い、いやその……そ、そう! こづく」
「出ていけ」
俺はセントレアを部屋の外へ放り出す。
するとセントレアはドアをバンバン叩いて、
「じょ、冗談よ! ちょっとお話がしたかっただけ! 開けてよー!」
俺は舌打ちしながら扉を開け、彼女を中に入れる。
先ほどより落ち着いている様子だ。
そしてセントレアは俺の方を向く。
「はぁ……ホントあなたは昔と変わらないわね」
「お前が言うか」
「私は変わったわよ? 毎晩、住処を抜け出してマークしていた男の所へ夜這いにいったりとかちょっと人為的工作をして男を口説いたりとかもうしてないわ」
「今だろうが昔だろうが関係なくアウトだ、それは」
「でも変わったのはそれだけじゃないわ」
そう言うと彼女は指にはめた指輪を見せる。
「ん? なんだそれは」
「なんだって……婚約指輪よ」
俺は一瞬目を疑った。
「は? 婚約? お前が?」
「な、何よ。あり得ないって言ってるの?」
「当たり前だ。お前みたいな痴女をどこのどいつが好き好んで拾うんだ?」
「ひどい言われようね……」
だが、その話は本当のようで式は来月末の挙げるとのことだ。
なぜだろうか、祝福するべきなのに素直に祝福ができない。
逆になぜこんな奴でも結婚相手ができるのかという事を考えてしまう。
「……物好きもいるもんだな」
「あなた……私をなんだと思っているのよ」
「で? 相手はどんな奴なんだ?」
だがセントレアはニコッと笑って何も言わない。
「なんだ? 言いたくないなら無理にとは言わんぞ」
「言ってもいいけど……つまらないじゃない? 今度式にいってのお楽しみということで」
「は? オレは式にはいかんぞ?」
セントレアは驚いた表情を見せる。
「え? 来てくれないの?」
「行く必要があるのか? オレは忙しいんだ」
「せっかく高級料理や景品の金貨などを用意したのに……」
俺はこの言葉でピピっと反応をする。
「おいセントレア、今なんて?」
「えっ……? 高級料理?」
「いや違うその後だ。金貨って言ったか?」
「え、ええ。景品で用意したの」
「い、いくらだ?」
「そうね……ざっと10億フラムくらいかしら?」
「10億……」
俺は思わず息を呑む。
この金があれば俺は講師生活をしなくてもすむ。というか遊んで暮らせる。
景品を取った瞬間、俺の天国生活が幕を開けるのだ。
そう……これは絶好の機会なのだ!
「分かったセントレア、オレも式に行こう」
「き、来てくれるの?」
「ああ、勿論だ。俺にもお前の晴れ姿を祝わせてくれ」
「わ、分かったわ。単純な男ね、あなた……」
俺の勢いにセントレアは後ずさる。
「セントレア! どこにいる?」
「あ、レザードが呼んでいるわ。じゃ、私はこの辺で失礼するわ。ごめんなさいね休憩を邪魔して」
「ああ」
彼女はゆっくりと立ち上がり、部屋をでていこうとする。
「おい、セントレア」
「ん?」
俺の呼びかけに彼女が振り向く。
そして俺は少し照れながら、
「お、おめでとう……な」
祝福の一言を言う。
するとセントレアはニッコリと笑い、
「うん! ありがとうアーク。じゃなかったレイナード」
彼女のその笑顔は、今までに見たどの笑顔よりも眩しく輝いていた。
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