元英雄でSSSSS級おっさんキャスターは引きこもりニート生活をしたい~生きる道を選んだため学園の魔術講師として駆り出されました~

詩葉 豊庸(旧名:堅茹でパスタ)

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第4章 おっさん、祭りに参加する

第47話 久方ぶりの学園

※4章になります。どうぞ宜しくお願い致します!






 
 
 ―――ガタガタガタガタ。

「ああ……まだか?」
「もうすぐです。頑張ってください」

 俺たちはクロード王国を目指していた。
 
 それにしても暑い。
 ホンニよりさらに熱が強く、身体全体が焼かれているような感じだ。

「この暑さ、オレを殺しにかかってるぞ」
「それは大袈裟ですよ……」

 いーや、大袈裟でもなんでもない。
 インドア派というのもあるのだが、俺は昔から暑いのが苦手な男だった。

 寒いのはまだ我慢できる。なぜなら防寒すれば多少はなんとかなるからだ。

 だが、暑さは違う。暑さに関してはどんなに衣服を脱ごうが暑い時は暑い。

 無駄に汗をかく上に、長時間熱に触れれば体力をごっそり持っていかれる。

「くそっ……なぜ神はこんな時期を作ったのか? 理解が出来ん!」
「自然の構造に物申しても……」

 レーナが呆れるような顔をする。

 気合いで耐えていると、遂に目的地のクロード王都が姿を現した。

「あ! 見えてきましたよ!」
「や、やっとか……」

 帰路で寄り道をしていたのもあって、クロードを旅立ってから一週間ちょいが経っていた。

 俺たちは一週間ぶりにクロードへと戻ってきた。

 やっとだらだら生活に戻れる……

 旅の疲れによって身体はクタクタだった。
 とりあえず休みたい。そんなことばかり考えていた。

「もうすぐ入国審査です。皆さん、審査書の準備を」

 と、ここで一つ問題が発生する。

「そういえば、オルカの分の入国審査書はどうします?」
「ん? 取ってないのか?」
「は、はい。あの後すぐに出発してしまったんで……」
「弱ったな……これじゃあオルカだけ入れんぞ」

 するとここでレーナが一つ案を思いつく。

「あ! ならオルカちゃんはレイナードのご子息ってことにするのはどうでしょうか? それなら保護責任を持つものが審査書を出せば承認されるはずですよ」
「そ、それで入れるのか?」
「はい、問題ないと思います」
「うーむ……気は進まないが仕方あるまいな。そうするか」

 ということで王国に入る時のオルカの名義はオルカ・アーバンクルスということになった。

「レイナード先生に子ども……これは学園でビックニュースに……」
「おいハルカ、お前今、何を考えていた?」

 ボソッと言ったハルカの発言を一言も聞き漏らさなかった。

「い、いえ! なんでもないですよー?」

 棒読みでバレバレだ。

「まったく……だから気が進まんのだ。それにハルカ、お前はスメラギの名は捨てないのか?」
「今の所捨てるつもりはありません。一応授かったものですから……」
「そうか」

 だが、ハルカは落ち着いた表情から一変。
 俺にこう言う。

「でもレイナード先生が私と結ばれる時はためらいなく捨てる覚悟ですよ! 私はいつでも準備OKですっ!」
「えっ……!? レイナード、いつの間にそんな……」

 ハルカの言動で勘違いが生まれる。

「お、おいハルカ! 誤解を招く言い方をするな。オレはお前と結ばれた覚えはない」
「えええええ!? だってあの時学園の展望台で……」
「学園の展望台で何があったんですか、レイナード」

 微笑みながら迫るレーナ。
 だが心は怖いほど笑っていない。

 むしろ殺気を感じたくらいだ。

「い、いや何もないから。落ち着けレーナ、あとハルカはいますぐ黙れ」
「むぅ……レイナード先生の嘘つき」

 誰が嘘つきだ。自分の心に聞いてから言え。

 俺は心の中でそう思った。

 そうこうしている間に王都の入り口まで来ていた。

 一組一組、順番に審査をしていく。
 そして俺たちの番まで回って来る。

「ようこそ、クロード王国へ。早速ですが入国審査書のご提示をお願い致します」

 レーナは審査官に渡す。

「はい。えーっと、4名様のご入国で?」
「はい、そうです」
「そちらにいるお子様は入国審査書がないみたいですが……」
「ああ、それならオレが保護責任者だ。代わりに出した」

 すると審査官はじっと俺の方を見る。

 な、なんだ。まさか、顔が似てなさ過ぎてバレるとかないよな。
 そうなれば万事休すなんだが。

 少し不安が募る。

 しかし、

「えっと……はい、分かりました。4名様の入国を許可いたします」

 ふぅ……俺の考えすぎだったようだな。

 特に何もなく俺たちは入国することができた。

「よ、よかったです……すみませんレイナードさん。私のせいで」
「気にするな」

 久しぶりの王都はどこか雰囲気が違った。
 前より賑やかになっていたのだ。

「この賑やかさはなんだ?」

 一週間後でここまで街全体の雰囲気が変わっていることに驚く。
 どうなってるんだ?

「多分もうそろそろアロン祭が近いからじゃないでしょうか?」
「アロン祭?」
「はい。年に一度、ここクロード王都で大規模なお祭りがあるんですよ」
「祭典か……なるほどな」

 俺たちは賑やかな街を駆け抜け、学園へと向かう。
 
 そして数分後、俺たちはようやくアロナード総合魔術学園に到着した。

「ようやくか……」

 長かった。正直、学園に対してこんな新鮮な気分になるのは初めてだ。

 とりあえずフィーネに報告してさっさと帰ろう……

 俺は馬車を降りる。
 するとオルカがじっと校舎を見つめて動かない。

「どうしたオルカ」
「あっ、その……私は学校に通ったことないのでこういう所に来るの初めてなんです……」

 そうか、オルカは奴隷として育った。
 もちろん教育を受けさせてもらえるわけもなく、今に至る。

「不安か?」

 しかしオルカは首を横に振る。

「ならいい。今日はお前の入学手続きも兼ねてここに来たのだからな」
「えっ!? 入学手続きって……」
「ああ、言ってなかったな。来週からお前はここの初等部に通ってもらう」
「え、ええええええ!?」

 初めて言ったので仕方なかったが案の定、驚いた。

「で、でもでも、私なんかが学校に……」
「嫌なのか?」
「ち、違います! 凄く嬉しいです……でも……」
「私には勿体ない……か?」

 オルカは静かに頷く。
 
「まぁこれは俺からの祝いの品だと思ってくれ。何も学んだことがないことにも関わらずお前は賢い。年齢にそぐわずな」
「そ、そんなことは……」
「自分では気が付かんものだ。それに知識を得れば生きる世界も広がるぞ」
「世界が……広がる……?」
「ああ、だから存分に学べ。きっとお前は有能な人間になれる」

 オルカの目には涙がにじみ出ていた。
 
「お、おい……どうした?」
「い、いえ……何でもないです。ありがとうございます……!」

 オルカは涙を拭くとニッコリと笑った。

「とりあえず報告だ。中に入るぞ」
「はい!」「はい!」「はい!」


 三人は俺に導かれ、学園長室へと向かう。

 
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