元英雄でSSSSS級おっさんキャスターは引きこもりニート生活をしたい~生きる道を選んだため学園の魔術講師として駆り出されました~

詩葉 豊庸(旧名:堅茹でパスタ)

文字の大きさ
69 / 127
第4章 おっさん、祭りに参加する

第68話 怒りのレーナ


「おい、入るぞ」

 俺は学園長室の前に立っていた。
 三回ノックし、俺は学園長室へと入っていく。

 ―――ガチャ

「あ、カシラ!」
「来たわね、レイナード」

 学園長室には既にフィーネとスカーレットの姿があった。
 テーブルの上にはいかにも高そうな茶葉と茶菓子が置いてあり、学園直属の護衛人がスカーレットの側についていた。

「何だスカーレット、やけに良い待遇を受けているな」
「うちも護衛なんぞいらん言うたのにフィーネがうるさくてなぁ……」
「当たり前よ。外部からの客人は誰であろうと丁重にお迎えする。それが我が学園の方針の一つでもあるんだから」

 ああ、なるほど。内部の人間からも愛され外部の人間からも高い評価を得る学園作りってやつか。
 ま、こういう所はイメージも大切だからな。

「まぁカシラ、とりあえずそこに座ってくだせぇ」
「あ、ああ……」

 毎度毎度思うのはなぜ俺のことをと呼ぶのだろうか。何と言われようが別に構わないのだがその真意が気になる。喋り方も独特な奴で神魔団にいた時とイメージがだいぶ違うような気がした。
 俺はとりあえずフィーネの隣に腰をかける。
 
「さてと、役者が揃ったちゅうーことでだいーじな話をしますかね」

 スカーレットはお茶を一口含み、話を始める。

 ―――一方その頃

「そういえばレーナ先生、さっきの人見ました?」
「さっきの人?」
「はい。演習場にいた時にレイナード先生の隣にいた謎の人物です」
「えーっと……確かに誰かいたような気がしたけど……」

 ここは講師室。レーナとハルカは残りの仕事を終わらせるべく残業に勤しんでいた。
 ハルカは何か気になることがあるようだ。

「レーナ先生見ていないんですか? すっごい美人さんでしたよ」
「そ、そうなんだ。……ホントに?」
「ええ! しかも親密そうに何かコソコソと話していたんで決闘デュエルの時全然集中できなかったですよ!」

 ハルカがどんどんヒートアップしていく。レーナもそれについて少し気になり始めてきた。
 ハルカはレーナの肩をガシッと掴む。
 
「レーナ先生! これはもしかしたら泥棒猫の登場ですよ。それか最悪の場合は……」
「場合は……?」

 ゴクリ。
 二人しかいない講師室が沈黙の渦に巻き込まれる。
 そして、

「最悪の場合は……レイナード先生の彼女さんの可能性があります!」
「え、ええええ! か、かのじょ!?」
「そうです。私の目に狂いがなければあの親密さは恋人同士の可能性が高い。そう踏んでいます」
「で、でも今まで先生にそんな素振りは……」

 だんだんレーナが焦り始めてくる。
 だがハルカの虚言は止まらない。

「いえ、レイナード先生は生粋のポーカーフェイス。あの真顔の裏に隠された素顔は何人もの女を虜にし、抱いてきたハーレム王子の顔です」
「だ、だだだだだ抱く!?」

 それらのことに全く免疫のないレーナは熱があるのかと思うくらいに顔が真っ赤に染まる。

「そうです! もしかすると大事な用っていうのはその人と快楽を共にするための口述……」
「だ、ダメェェェェェェェェェ!」

 ハルカの言葉を大声で遮るレーナ、そして深呼吸をする。
 気の冷静さを取り戻した後、拳をギュッと握りしめハルカに言う。

「ハルカ、行きましょう」
「はい?」
「レイナード先生のところです」
「えっ、いや……ホントに行くんですか……?」
「もちろん。そんな不純異性交遊は私が撲滅します。ハルカも来てくれますよね……」

 ニコッと見せるレーナの笑顔の先には闇深い何かが渦巻いていた。
 それに……笑っているはずなのに恐怖を感じる。

(こ、こわっ……)

 レーナの目の色にもう輝きはなかった。
 逆らうと殺される……そんな勢いが今の彼女にはあった。

「さ、行きますよハルカ」
「は、はい……」

 もはや冗談ですなんて言えない雰囲気だ。

(ごめんなさいレイナード先生! 許してください……)
 
 ハルカは心の中でひたすらレイナードに謝罪をする。
 そして廊下ですれ違った生徒や講師たちにレイナードの居場所を聞いて回り、学園長室に入ったとの情報を掴んだ。
 
「場所は学園長室ですか……確かに行為に及ぶには人目につかずもってこいな場所ですね。そう思いませんかハルカ?」
「え? あ、はい。そうですね……」

 もはや言葉を発するだけでも恐怖心を感じる。
 多分……先生は殺される。

(な、なんとかしないと……)

 頭の中で弁解を考えている内に目的地の学園長室の前に着いてしまった。
 
(や、やばいやばいどうしよう……)

 焦りが加速するハルカ。頭の中はどう弁解するかでいっぱいだった。
 
「えっと……中には……」

 ドアの前で聞き耳を立てるレーナ。そして3人いることが確認できた。

「3人……レイナードとその泥棒女とこの声は……学園長ですか。さすがハーレム王子、二人まとめて相手するとか元気なことで」

 もう性格がまったく別人のように変わってしまっている。普段のレーナからは想像もつかないぐらいだ。
 これに名を付けるのであれば「闇レーナ」という感じだろう。
 それほど恐ろしい変貌を遂げてしまっていた。

「ま、何人いた所で私の制裁は揺らぎませんけど。じゃあ行きますよ」
「は、はい……」

 恐怖のあまり頭の中がもう真っ白だ。
 
(お、終わった……)

 何食わぬ顔でレーナは学園長室のドアノブに手をかけ、豪快に扉を開けた。
感想 29

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜

芍薬甘草湯
ファンタジー
アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。 ふとした事でスキルが発動。  使えないスキルではない事に気付いたアルフレッドは様々なものを合成しながら密かに活躍していく。 ⭐︎注意⭐︎ 女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

最強スライムはぺットであって従魔ではない。ご主人様に仇なす奴は万死に値する。

棚から現ナマ
ファンタジー
スーはペットとして飼われているレベル2のスライムだ。この世界のスライムはレベル2までしか存在しない。それなのにスーは偶然にもワイバーンを食べてレベルアップをしてしまう。スーはこの世界で唯一のレベル2を超えた存在となり、スライムではあり得ない能力を身に付けてしまう。体力や攻撃力は勿論、知能も高くなった。だから自我やプライドも出てきたのだが、自分がペットだということを嫌がるどころか誇りとしている。なんならご主人様LOVEが加速してしまった。そんなスーを飼っているティナは、ひょんなことから王立魔法学園に入学することになってしまう。『違いますっ。私は学園に入学するために来たんじゃありません。下働きとして働くために来たんです!』『はぁ? 俺が従魔だってぇ、馬鹿にするなっ! 俺はご主人様に愛されているペットなんだっ。そこいらの野良と一緒にするんじゃねぇ!』最高レベルのテイマーだと勘違いされてしまうティナと、自分の持てる全ての能力をもって、大好きなご主人様のために頑張る最強スライムスーの物語。他サイトにも投稿しています。

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

ポーション必要ですか?作るので10時間待てますか?

chocopoppo
ファンタジー
【毎日12:10更新!】 松本(35)は会社でうたた寝をした瞬間に異世界転移してしまった。 特別な才能を持っているわけでも、与えられたわけでもない彼は当然戦うことなど出来ないが、彼には持ち前の『単調作業適性』と『社会人適性』のスキル(?)があった。 第二の『社会人』人生を送るため、超資格重視社会で手に職付けようと奮闘する、自称『どこにでもいる』社会人のお話。