元英雄でSSSSS級おっさんキャスターは引きこもりニート生活をしたい~生きる道を選んだため学園の魔術講師として駆り出されました~

詩葉 豊庸(旧名:堅茹でパスタ)

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第4章 おっさん、祭りに参加する

第77話 総合競技


 魔技祭まであと2週間足らずとなった。
 我々1年A組はそれぞれの競技種目を磨き、他クラスとの模擬試合も順当に勝ちを収めていた。

「最近、調子がいいですね。連携も取れてきたように思えます」
「そうだな。ほとんどの競技はそれなりに磨けてきただろう。あとは……」
「総合競技……ですか」
「そうだ」

 総合競技。それは1クラス5人ずつを選抜し、戦う決闘デュエルの団体戦仕様の競技だ。
 先鋒、次鋒、中堅、副将、大将の5人で戦い勝利数によって勝敗を決める。
 ルールについては特になく、審査員が認める範囲内であればなんでもありのルールだ。魔術を使うもよし、錬金術や片手剣などの武器、魔法銃のような飛び道具ですらOKの範囲内だ。
 その代わり、選手は審査員によるランダム選抜によって選ばれる。クラス内で相談をし、意図的に選手を選定することができないのだ。要するに向き不向き関係なく誰であろうとランダムで選ばれる。
 ただし、まだ競技に一度も参加していない者は強制的に選抜される。これは大会規約に基づくものなので仕方がないのだ。

「好きに選抜できないのはかなり痛いな」
「でも他のクラスも同じ条件です。周りのクラスも頭を悩ませていることでしょう」

 確かに条件は皆一緒だ。後は運が味方に付くか敵につくかの勝負。だけどそれはさすがにリスクが大きい。
 だからこそこの2週間でクラス全員をどの分野にも対抗できる生徒に磨き上げる必要があるのだ。

(ま、そんなことは不可能に近いから悩んでいるんだがな……)

 だが不可能に近いと言っても不可能ではない。誰が選ばれてもオールラウンダーなパフォーマンスを発揮させることは十分可能だ。
 俺が着任当初に初めてこいつらに教えた感覚センスを上手く使えればな。
 
 俺はレーナに生徒たちを集めるよう指示をする。
 すると一斉に集まり、俺の前で整列をする。

「全員集まったか?」
「はい、全員います!」

 クラス委員長のフィオナがハキハキと返答する。

「よし、お前らよく聞け。もう魔技祭まで2週間を切った。これからお前たちには総合競技の演習をやってもらう」
「総合競技ですか?」
「そうだ。皆も知っての通り、総合競技は大会審査員によるランダム選抜によって選手が選ばれる。要するにこの中で誰が選ばれてもおかしくないということだ」

「―――マジ? 俺初めて知ったぞ?」
「―――は? お前ら今更かよ」
「―――そこの男子! 静かに!」

 生徒たちがガヤガヤとし始める。中には初めて知ったというものもいるようだった。


「静粛にっっっ!」

 レーナが俺の代わりにクラスを静める。
 ナイスだ、レーナ!

 俺は続けて話す。

「……であるからしてだ。これよりお前たちには2週間で総合競技に磨きをかけてもらう。自分なりの戦闘スタイルを見出すのだ。俺からの話は以上だ」

 そういうと俺はクラスを紅白に分け、準備運動するよう促す。

「―――はぁ……今から総合競技に磨きをかけるって無理があるだろ」
「―――そう言うな。勝ちたいんだろ?」
「―――そ、そうだけどよ……」

 所々で不安の声が聞こえてくる。
 もちろん、そんな言葉が飛び交うなんてことは想定の範囲内。無理もない。
 だが彼らには能力がある。A組という看板を背負っているだけあって磨けば光る者たちばかりだ。
 俺は彼らの適応性に密かな期待を抱いていた。

「よし、各自準備体操が終わった者からこっちへ来い! 今から演習のルールを説明する」

 生徒たち準備体操を終えるとすぐに集まる。不安とはいえ皆の眼差しは真剣そのものだった。
 
(よしよしいいぞ。最近のクラス内の調子で勢いづいてきたな)

 この時期に彼らのモチベーションを上げられたのは好機だった。総合科目は試合で必ず出てくる分野だ。これをしっかりと攻略しなければ先はない。
 2週間前というギリギリの時期に磨き始めるのもこれだけに集中してもらいたかったからだ。
 今の所は計画通り。あとはどれだけ彼らの力を引き出せるかが肝になってくる。

 やってやろうじゃねぇか。最後の仕上げを完璧にし、優勝をもぎ取って社畜脱却!
 そして夢のニート生活だ!

 心が高鳴る。
 俺は気合いの緒をしめ、生徒たちを見つめる。

「さ、勝ちに行くぞお前ら!」

 俺は生徒たちにそう告げると次なる行動を指示する。
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